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今年は冬も梅春も早い
 今年は例年になく残暑が儚く、9月半ばだと言うのに朝夕はひんやりと寒いくらいの日もあり、急な冷え込みで風邪気味の人も多い。その分、秋冬物の動きも早まっているようだが、店頭で目に付くのが例年になくフライング投入されたふんわりファンシーなパステルカラーの梅春物だ。
 教科書的に言うなら梳毛の秋物、紡毛の冬物、獣毛混の梅春物の順に投入されるのが定石で、今世紀に入って冬物売れ筋の後追いが蔓延して梅春物の投入枠が細り投入も遅れ気味だったのが、売れ筋QR品の値崩れに懲りたのか梅春物復活の気運が高まりつつあったところに、14AWコレクションでマークジェイコブスがふんわりファンシーなパステルカラールック、MIUMIUがクールサイバーなスポーツルックを打ち出した事が契機になり、目を惹くほどのフライング投入となったようだ。
 素材はふんわりファンシーなモヘアやシャギー、ブークレやボア、色はミント〜サックス〜アイスブルーかシャーベットオレンジ〜ピンクとお約束通りだが、シルエットはキュートなフィット&フレアからレトロなボックスラインまで巾があり、10月に入ればダウン/キルティングアウターを中心にメタリックカラーやアイスカラーのスポーツラインも加わると思われる。
 梅春物のフライング投入で危惧されるのが後半戦のネタ切れで、GW前までに晩夏物まで出尽くしてGW明けにはセール待ち状態になってしまう近年の春夏商戦みたいになっては12月戦が苦しくなる。せっかく梅春物を前倒したのに、やはり12月戦は値崩れしてしまうのだろうか。この業界、需要と供給のマッチングがホントに難しい。
 2014/09/19 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

法外なんじゃないの!
 NYからLONDONへ移って毎日のように報道される来初夏のコレクションシーンは目新しさがあって結構楽しく、エミール・ガレ的アールヌーボーモチーフやボタニカルガーデンモチーフをデニムやエナメルレザーからオーガンジーまで大胆な素材コントラストと70’Sシルエットで構成したバーバリーブロッサムなんて、ロンドン万博の水晶宮やキューガーデンを思わせる会場のパースペクティブなカメラワークもあいまって感嘆ものだった。
 業界人的興味はともかく一消費者としては、伊勢丹から毎週のように送られて来るモードブックのプライスを見ては、あまりの法外さに絶句している。スーパーブランドはともかく、その次に来るランクのブランドまでミスプリントじゃないの?と思えるくらい高騰したプライスを付けている。それはバッグや靴などの皮革製品でとりわけ顕著だ。
 円安が本格的に波及する今秋冬の欧米ブランドは高騰が避けられないと言われていたが、いざ値上がりして消費増税と重なってみると、よほど泡銭が潤沢でない限り、ちょっと手が出ない。当家が貧乏なのかも知れないが、これでは足が遠のいてしまう。とは言え着るものが無くては困るので、この週末にはまだお手頃なファクトリーブランドでも漁りに伊勢丹を覗いてみる事にしよう。
 消費増税後、衣料消費は選別性が強まっており、さすがのラグジュアリーブランドも法外価格で客足が遠のくと危ぶまれるが、9月の販売動向はどうなっているのだろうか。今夕開催する『販売データ交換会』の各百貨店の報告が待たれる。
 2014/09/18 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

数字で明らかになったローカル回帰
 来週のWWDに掲載する夏商戦(5〜7月)のブランド別販売成績にはグローバルSPAの減速とローカル回帰が鮮明に現れた。
 H&Mは総売上こそ伸ばしたものの郊外SC出店もあって坪効率は二桁減が続き、ZARAも伸び悩み、GAPも前年を割り、一時は一世を風靡した国内アラモ系ブランドも軒並み水面下深く沈んでいる。その一方、ローカルなナチュラルカジュアル系やキュートモード系は好調を継続し、低迷が長引くと思われたジーニング系の一画も回復に転じている。直近の秋物売れ筋もアメカジアイテムやスウェットアイテム、50’Sアイテムが目立ち、ノームコアなベーシックカジュアルをゆるニートに着崩すローカルトレンドが勢いづいている。
 欧米コレクションシーンの変化や国内の客層別スタイリング変化から予想していたローカル回帰が売上数字で明らかになったわけで、来春夏へ向けての商品開発はデザイン軸から素材軸へ、クリエイションよりユーティリティ重視(パターンと素材の物性が要)、カラーを絞って柄/織を展開、と大きく変わる事になる。その分、商品開発射程は長くならざるを得ず、開発の前倒しが急がれる。
 ブランド別売上と客層別スタイリング変化の検証、今秋の新ブランドも加えての最新ブランドツリー(3300ブランドを分類)の解説、来春以降の有望ポジションなど、最新のブランドマーケティングの成果を10月17日(金)開催の『ブランド戦略&テナントミックスゼミ』で提じたいと思う。
 2014/09/17 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

走馬灯のごとき空蝉の日々
 カメラマンの大石一男さんの一連のブログ「コレクション−その光と影」を読んでいると、過ぎ去った空蝉の日々が走馬灯のように脳裏を巡って一瞬、胸の奥が熱くなった。70年代末期からの熱狂的な東京コレクションシーンや和気あいあいだった原宿コレクション、私が立ち上げて後の東京ガールズコレクションの先駆けとなった東京エレガンスコレクション、そして寒風の中を右往左往したパリコレやミラノコレ、どれもファッションビジネスが活気に満ちあふれていた古き良き時代の想い出だ。
 ランウェイの熱気に惹かれたのは80年代の半ばまでで、DCブームが急速に翳って欧米ラグジュアリーブランドや世俗なボディコンルックにマーケットの関心が移っていく中、メゾンの顔色を窺っておべんちゃらを書き席を張り合う取材人種の軽薄さとコレクション運営の時間的不合理さに愛想が尽き、すっぱり足を洗ってブランドビジネスの定性定量マーケティングと流通システム研究に徹する事にした。
 88年3月にSPAC研究会を立ち上げて以来26年余、80数社の会員企業とブランドビジネスの戦略と実務技術の革新を追求して来たが、未だランウェイの席取りをしておべんちゃら記事を書いているより遥かに創造性独自性のあるプリンシプルを通した人生を送って来れたと思う。体力気力が衰え一段とミーハーさを失って行く中、あと何年やれるか解らないが、空蝉のパーティーやオートマティスムに流れがちなこの業界で、誰かが冷静に現実を指摘し未来へ導く必要が在ると信じたい。
 2014/09/15 14:13  この記事のURL  /  コメント(0)

モードとスポーツの融合?
 昨日はモードとスポーツをテーマにしたユナイテッドアローズのカップル型新業態「アンルート」のお披露目を覗いたが、シャワールームを併設してランナーを狙う一方で凝ってはいるが機能性を欠くウェアとの矛盾に、今更ながらモードとスポーツの融合の難しさを痛感させられた。
 2Fこそ「NIKE」などのランニングウェアやスニーカーを揃えてランナーをフォーカスしているが、1Fのウェアはスポーティーデザインを意識したドメコンな街着で、セレクトのスニーカーもデザイン優先で重くランニングには適さない。メンズはポリ混比率の高いずっしりと重いアウターが目立ち、軽快な爽やかさを志向するランナー人種との乖離が大きく、レディスも洒落たドメコンモードなデザインは評価出来るものの機能性はまったくない。モードとスポーツをテーマにしながら両者はまったく融合しておらず、1Fと2Fで別人種を狙って平行展開しているというのが正直な実感だ。百貨店や駅ビルにスポーティーなドメコンブランドとして展開するならともかく、路面でスポーツライフスタイルを謳うのは無理が在ると思う。
 ユナイテッドアローズは07年春の原宿店から立ち上げたスポーツテーマの「サウンドグッド」3店舗を09年で閉めているし、オンワード樫山も11年11月のテラスモール湘南の開業と同時に立ち上げたスポーツテーマの新業態「サザンウインドフィールズ」2店舗を12年8月末で撤収している。スポーツウェアは機能性が不可欠で、ファッション企業のスポーツ業態は時間とロットを要する素材からの開発とモードトレンドとの相克を解決出来ないまま行き詰まるケースがほとんどだ。その点、14年1月期で254店を展開して15.9億ドルを売り上げ24.6%の営業利益率を誇る「ルルレモンアスレティカ」は例外的な成功例で、類似したコンセプトでワールドが12年に立ち上げた「anima」もなんとか6店舗を展開しているから、国内では例外的な成功例なのだろう。
 モードとスポーツの融合はデザイン的には可能でも、機能と価格とファッション性を鼎立させビジネスとして成功させるのは極めてハードルが高い。ファッション企業がスポーツ分野に進出するならVFコーポのように専門メーカーを買収するのが賢明で、そこまで本気でないならスポーティーなファッションブランドに留めるべきであろう。


 2014/09/12 10:33  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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