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バーバリー社の皮算用は?
 英バーバリー社は21日の14年3月期決算説明会で三陽商会とのライセンス契約を打ち切った後の日本事業構想を明らかにしたが、今年度で42億円に留まる日本売上を直営店の拡大で3年間で四倍の一億ポンド(約170億円)にするという皮算用には疑問符が付きそうだ。
 今決算におけるライセンス収入は3.4%に過ぎないからグローバル直営戦略はもはや大詰めだと言うしかないが、7920万ポンドのライセンス収入のうち76%の6000万ポンド(約100億円)が日本から、そのうちアパレル(三陽商会)は78億円だったと推計されるから、それに見合う収益を確保するには今決算の税引き前利益率(19.8%)から逆算して500億円強の売上を日本で稼ぐ必要がある。一億ポンド達成時の利益を2500万ポンド(25%)と見込んでいる事から逆算しても400億円の売上が必要だが、果たして実現は可能だろうか。
 三陽商会のバーバリー事業は小売価格で約1000億円、三陽商会以外のライセンス雑貨売上が250億円近くあると推計されるから、直近の我が国バーバリーブランド市場はインポートの42億円を含めて1300億円にも達する。それが15年秋冬期からは一瞬にして数十億円にシュリンクしてしまうのだ。クリスチャン・ディオールがカネボウとのライセンス契約を打ち切った97年当時の日本売上は500億円に達していたが、直営展開でその市場規模に回復させるのに15年もかかった事を考えれば、コアの「バーバリーロンドン」だけでも300億円に達する市場規模をインポート商品の直営展開に切り替えて42億円から3年で170億円まで拡大というバーバリー社の皮算用は相当に難易度が高い。
 難易度が高いとするのは、現在の「三陽商会バーバリー」フアンが「ロンドンバーバリー」ファンにすんなり移行するとは到底思えないからだ。まず価格帯が倍も違うし、百貨店での販売フロアもミセス/アダルトのベターポジションからラグジュアリーに移行する。コンサバなブリティッシュトラッドのミセスやアダルトがコンテンポラリーに尖ったブリティッシュモードに移行するのは難しく、新たな顧客層を開拓する事になる。先行して直営展開に切り替わった中国の富裕層旅行客が「三陽商会バーバリー」に殺到する姿を見ても、「三陽商会バーバリー」と「ロンドンバーバリー」は異質のマーケットなのだと痛感される。フアン拡大の鍵となるレザーグッズも「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」とは較べるべくもなく(今決算で全売上の36%)、コスメとて「ディオール」や「シャネル」とは桁が違う。
 三陽商会を切り捨ててグローバル直営戦略を敢行するバーバリー社だが、こと日本市場においては皮算用の達成は相当にハードルが高いのではないか。
 2014/05/22 11:18  この記事のURL  /  コメント(0)

バーバリー続報の突っ込み
 19日に三陽商会がバーバリー社とのライセンス契約終了を発表して以降、業界紙はもちろん経済誌や一般紙が様々に報道しているが、一般消費者に解り易くまとまっていたのはやはり20日朝刊の朝日新聞で、今朝(21日)の続報になると一段と突っ込んだ記事が出揃って来た。
 「ポスト・バーバリー」と一面に銘打った繊研新聞は上下二段階の掲載としたせいか、今朝の「上」では三陽商会の発表をまとめるに留まっていたが、明日の「下」では業界紙ならではの取材で内情の秘話を明かしたり、基幹3ブランドの今後の売上見通しを独自に推計するなど突っ込んで来れるのか、業界紙ゆえに関係者に配慮してほどほどに筆を丸めるのか、興味津々といったところ。その一方、日経MJは今朝の9面に「綱渡りのブランド戦略」と銘打って大きく取り扱い、ライセンス契約の始まりから終了に至るまでの経緯を、バーバリー社と三陽商会の思惑が何時頃からどう乖離して行ったのか、ラグジュアリーブランドの世界戦略トレンドの中でバーバリー社がどう意思決定して行ったのか、他ラグジュアリーブランド関係者や百貨店への取材もからめて立体的に描いていた。一面扱いではなかったが、日経MJとしては近年でも突出した記事と評価される。
 明日以降、さらに突っ込んだ続報が出て来ると思われるが、来週月曜のWWDジャパンはどう斬り込んで来るのだろうか。バーバリー社サイドの海外情報も含め『今だから明かせる』裏の裏まで明かして欲しいものだ。
 2014/05/21 09:59  この記事のURL  /  コメント(0)

バーバリー終了に見る情報時差
 三陽商会は昨日(5月19日)、ながらく帰趨が注目されて来たバーバリー社とのライセンス契約が15年春夏シーズンで終了すると公式発表した。
 「バーバリー」は三陽商会の売上の2割強、派生ブランドの「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」を加えればほぼ半分を占めるというから、経営への打撃は想像に難くない。それゆえ同社も「マッキントッシュ」や「ポール・スチュアート」、自社開発の「エポカ」などの育成を急ぎ、13年には270人もの希望退職を実施して収支バランスの改善にも努めて来たが、「バーバリー」の喪失を補うには距離があり過ぎる。300店以上もあると言われる百貨店の打撃も大きく、しばらくは混乱が続きそうだ。
 それはともかく、バ−バリー社との契約終了は業界では「15年危機」として早くから噂されていたもので、業界紙が取り上げるようになった12年始め頃にはほぼ‘既定事項’として認識されていた。それが一般の投資家にも広く認識され始めたのは昨年の6月頃からで、正式発表翌日(20日)に株価が急落しているのは意外にさえ思える。
 三陽商会の株価は06年4月には1123円の高値だったのがリーマンショック直後の08年10月10日には393円まで下がり、その後は200円台までじりじりと低下した後、12年1月6日には173円まで急落しているから、この頃に業界の認識が固まったと見るべきだろう。それから買い上げたのは一般投資家による景気回復期待だったのだろうが、事ここに至っては情報時差を痛感せざるを得ない。今年の春節では中国人旅行者によるサンヨー「バーバリー」の買い占めも目立っていたから、その頃にはアジアの富裕層にも認識が広がっていたのだろう。 
 バーバリーのライセンス契約終了は三陽商会の業績や取り扱う百貨店の売上に多大な影響を与える事になるが、公式発表に至る情報の波及と認識の時差は今後に課題を残したのではないか。
 2014/05/20 10:15  この記事のURL  /  コメント(0)

男の選択?
 パーティーでの親爺同士の会話に‘男の選択’という厳めしい話題が出て来たが、『男の腐ったような組織体質』という話題で盛り上がった直後だったので、てっきり『男らしい生き様とは』という突っ込みかと思ったら、これが『プロペ親爺とバイア親爺の選択』という下半身系の話だと理解するのに何十秒かを要した。
 「プロペ親爺」とは前立腺癌の治療に効果のある男性ホルモン変換抑制薬「フィナステリド」を男性型脱毛症の治療薬に転じた「プロペシア」を常用する親爺を指すもので、長期に常用すると増毛効果が高いものの性欲減退などの副作用を伴うとされるが、プラセボ実験では有為の性欲減退は確認されていない。「プロペ親爺」とは頭髪増毛と引き換えの性欲減退で品行方正な日々を送る枯れ親爺を揶揄したものだが、下半身の煩悩から解放された爽やかさは捨て難いという声も聞く。
 「バイア親爺」は逆に、狭心症の治療薬開発中に勃起不全への効能が発見された「シルデナフィル」をED治療薬として発売した「バイアグラ」を常用する親爺を指すもので、瞬間的な効果は高いものの体調や薬の飲み合わせによっては狭心症などの重篤な副作用が生じるとされる。「バイア親爺」とは老いても下半身の煩悩を捨て難い萌え親爺を揶揄したものだが、リスクのある薬を使ってもセックスを謳歌したいという心情は狂気としか思えない。
 下半身の‘男の選択’は煩悩、欲望の処仕方という点で社会や組織の中での‘男の生き方’に通ずるものが在る。「老害」とか「男の腐ったような」とか苦言されない生き様にはどっちの選択が適しているのだろうか・・・・・たまにはパーティートークも良いのでは?
 2014/05/16 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

販売職をなめんじゃねーよ!
 ゼンショーHDの「すき屋」がバイト不足などから184店が営業出来ない状態だと報じられていたが、そう言えば近所の「なか卯」なんかも一人でてんてこ舞いしてる事が多い。クレンリネスなども乱れて、これでいいのかと思わされる。
 インテリジェンスのまとめた三月の求人情報におけるバイト時給は全国平均で979円と7ヶ月連続して上昇し関東地区では1030円まで上昇したが、職種別では専門系の1093円に対してフード系は942円、販売系は899円、関東地区に限っては専門系の1135円に対して販売系は950円と格差が大きく、運輸系の1137円や労務系の1025円も下回って最低だった(四月の発表は21日頃になる)。販売職も随分と舐められたものだが、これも販売職が専門職として確立されておらず、店内物流など雑作業に追われている実情を反映したもので、経営者の意識改革が急がれる。
 何度も指摘して来たように、店舗要員の業務は店内物流(品出しや陳列整理)、在庫管理が過半を占めて接客時間は10%前後に過ぎず、それが低賃金を強いて来た。が、ITが進化した今日ではICタグで在庫管理業務もレジ処理業務も桁違いに圧縮出来るし、ショールーム陳列を取り入れて店内物流業務を軽減し、さらにはオムニチャネル販売に徹して販売と物流を分離すれば、販売員は接客に集中出来て買上げ率も客単価も大きく上昇するから、販売職の給与水準は格段に改善出来る。
 若年労働人口の減少に景気の回復が輪をかけて人手不足が極まる中、経営者は低賃金店舗労働者の使い捨ての上に成り立って来た「蟹工船」的チェーンストア経営を原点から見直すべきだ。その要は販売と物流を分離するショールーム販売を軸とするオムニチャネル戦略である事は言うまでもあるまい。
※6月5日に開催する「最新ブランディングVMD&ストアプランゼミ」ではショールーム陳列についても具体的なビジュアルで詳説します。
 2014/05/15 10:00  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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