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消費増税前の駆け込みと反動
 昨夕、開催した『販売データ交換会』ではやはり、消費増税前の3月の駆け込みと4月に入っての反動が話題になった。駆け込み消費は紳士服オーダーや家電、家庭用品などが先行したが、衣料品や服飾品、化粧品は連休の週末から月末にかけて極端に集中したそうだ。
 注目されるのが駆け込みによる3月の伸び率と4月に入っての反動だが、婦人服は駆け込みが盛り上がらなかった分、店舗によっては反動も小さく、紳士服は一部で駆け込みが盛り上がった割りに反動は一部店舗を除いて恐れたほどでもなく、まとめ買いが目立った化粧品や肌着は相応に反動も大きく、店舗に寄っては倍増した宝飾・時計などは半減している。総じて消費は底堅く、銀座地区の人気ラグジュアリーブランドなどは4月も割り込んでおらず、恐れていたほどの反動ではないが、問題はどこまで尾を引くかであろう。
 婦人服、紳士服とも消費増税による消費の陰りを恐れて夏物企画を先行投入したブランドが多く、GWに向けて鮮度のある企画の投入が限られるから、衣料品についてはバーゲンまで反動が尾を引く事は避けられそうもない。消費増税を契機にブランド価値とシーズンMD展開の優劣が露呈した感があるが、一時の営業対策に終わる事なく、本質からの再構築を決意すべきであろう。
 2014/04/18 10:15  この記事のURL  /  コメント(0)

4段階のアーキテクチャー
 14AWのコレクションシーズンもしんがりのTOKYOで一巡したが、業界のウェブや紙面にはコレクション報道が溢れているものの、ディティールや演出に目が流れ、パーティートークな社交辞令ばかりでプロの視点を欠いているように思う。バイヤー視点でランウェイや展示会を見るなら4段階のアーキテクチャーをきちんと評価すべきだ。
 森から木へでも木から森でもよいが、一眼レフのレンズを交換するように視点をシフトして見るのが基本だと思う。まずは一品の‘服’として構造美(シルエット)とフィット感を物性や重量まで捉えて見る(展示会では必ず持ってみる)。次に一つの‘ルック’として素材や色彩・柄、フィットの対比構成の鮮度と完成度を見る。次にはワンステージの着回しや展開手法(MD展開に匹敵)の技と実用性を見る。最後にコレクション全体構成(シーン構成やデリバリー)の洗練度と現実性を見る。これで売場に並べた時の鮮度やインパクト、通期に渡って売場を維持出来るかどうかが解る。
 この4段階のアーキテクチャーを評価するのが玄人の見方だと思うが、コピー視点でディティールに偏ったり、パーティートーク同然に社交辞令を並べるブログや報道ばかりというのが実情だ。真面目腐ってはパーティー人間の輪から外れてしまうし、素人受けを狙いたいブランド側からも嫌われてしまうから、バイヤー視点で書くのは厭われるのだろうが、それでは一般紙と変らない。むしろ一般紙の方が服飾史や文化史の視点からシャープに斬り込んでいる事も多い。ホントこんなんで良いのだろうか・・・・・
 2014/04/17 10:09  この記事のURL  /  コメント(0)

LEDに切り替わるの?
 店舗照明はLEDへ切り替えるのが常識という感があるが、欧米ラグジュアリーブランドの一部は頑としてフィラメント照明に固執していると聞くので、どうなっていくのかと思案していたら、モデュレックス(旧ウシオスペックス)のLED照明を知って目から鱗の解悟と相成った。
 高名な西脇一郎さんにお手伝い頂いて設計したハーマンズ名古屋パルコ店の開店設営で照明を点検した際、LEDと指定したはずなのにフィラメント照明にしか見えず??と思い、西脇さんにその話をしたら後日、わざわざ照明を担当したモデュレックスの管取締役を連れて説明に来てくれた。
 管さんによると、点光源の集合体みたいな野暮なLED照明とは次元を画した、フィラメント照明かと見紛うほど自然な発光と演色性を実現したLED照明なのだそうで、私も不勉強を恥じ入るしかなかった。フィラメント照明に固執して来たラグジュアリーブランドも、最近はモデュレックスのLEDに切り替えているそうだ。
 我が家でも一時、LEDへの切り替えを図ったが、密閉型や調光型の器具には使用不可で、60Wのクリプトン球に匹敵する照度(ルーメン)を確保するには2000円近くも出さなければならず、高価な割りに光が堅くて和めず、長寿命という触れ込みにしては短期で切れるケースが続き、次第にフィラメント照明に戻してしまった。店舗照明のLED化はもはや決定的な流れだが、家庭の照明は高価なモデュレックスを使う訳にもゆかず、このままLEDに切り替わって行くのだろうか?
 2014/04/16 09:14  この記事のURL  /  コメント(1)

‘商品’価値と‘提供方法’価値
 産地の人の‘ものづくり’信仰はともかく、メーカーの方々の‘商品’信仰と‘提供方法’軽視の体質はSPA化が叫ばれて四半世紀経ってもほとんど変わっていない。基礎的なMD展開手法はおろか、VMDも売場のお化粧直しか虚仮威しとしか認識していないし、オムニチャネルなショールームVMDやロジスティクスなど興味も無いというのが大多数なのだろう。
 顧客にとっての‘価値’は‘商品’そのものとその‘提供方法’の合算であり、個々の商品が良くても、その提供方法に魅力や便宜を欠いては買ってもらえない。‘提供方法’は1)販売チャネルミックス、2)個々の販売チャネルに於ける見せ方と売り方、3)見せ方売り方に対応した面と時系列のMD展開、4)それらに最適なロジスティクス、の四面から形成され、四面一体の提供方法として確立すれば競争優位なビジネスモデルとなる。
 メーカーにとってはSPAもオムニチャネルも提供方法革新のムーブメントだが、表層的に捉えては四面一体の提供方法革新に繋がらず、競争優位なビジネスモデルとは成り得ない。大手アパレルの直営事業など大半はSPAにはほど遠いし、Eコマースにも出遅れて、ようやくO2Oに手を付けたという程度だ。その一方、異分野からアパレル業界に進出して独自のSPA事業を構築し、オムニチャネルもリードして急成長を続ける会社も在る。提供方法を真摯に学び愚直に構築した者に勝利の女神は微笑むのだろう。
 とは言え、メーカーが‘ものづくり’の手を抜いてアウトソーシングに走り、パターンナーも生産管理も果てはデザイナーまで削減して行けば、いったい何が残ると言うのだろうか。どんなに提供方法が優れていても(そんな例は極めて稀だが)、競争力も収益力もつるべ落としに失われて行く。‘商品’価値と‘提供方法’価値の合算は掛け算だから、どちらが手抜きでも先々は行き詰まる。当然の真理なのに、この業界の人たちには何故、見えないのだろうか・・・・・・
 2014/04/15 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

ZARA HOMEは反面教師
 近所の銀行跡に「ZARA HOME」のフラッグシップがオープンしたので仕事の合間をみて覗いてみたが、大勢のお客さんで賑わってはいたものの、昨年四月に初上陸したグランフロント大阪店、ららぽーと横浜店の反省が何一つ生かされていなかったのには驚いた。ホームリネンの色柄は洗練された魅力があり、テイスト別に奇麗に陳列されているものの、買おうとすると幾つも障害があって買い進めず、基幹カテゴリーたるベッドリネンは依然、ホテル仕様のままだった。
 VMDの第一目的は美しく飾る事ではなく、まずはお客様が見易く買い易く、お客様にも販売員にも不要な労働を強いない事だ。その意味では「ZARA HOME」は最悪の反面教師と言わざるを得ない。
 第一の問題は陳列階梯が顧客の購買選択順と乖離している事だ。テイスト別の陳列は美しいが、ベッドリネン中心に見えてもテーブルリネンやカトラリーが混在して解り難く、気に入った柄でシーツからピローケースまでベッドリネンを揃えようとすると全売場を駈け巡らねばならない。ベッドのディスプレイにテーブルリネンやカトラリーが置いてあるのも関連がなく、クロスマーチャンダイジング効果は無い。
 第二の問題は出前と元番地がまったく分離されていない事だ。ホームリネンでは柄/色をコーディネイトした出前陳列に惹かれても、実際に欲しいアイテムを揃えるにはそれらが解り易く棚割りされた元番地陳列が不可欠だが、両者がルール無く混用されており、いちいち販売員に聞かなければ所在が解らない(彼等も正確に答えられなかったのには絶句した)。加えて、ひとつの柄/色のアイテムが無計画に偏っており(欠品率7割という印象だが恐らくは始めから企画に欠けているのでは)、コーディネイトして揃えようとすると壁に当たってしまう。
 第三の問題は販売員の業務が繁忙を極める事だ。第一、第二の問題から質問が殺到し在庫探しや再陳列が煩雑に発生して多忙を極めるのか、多数の販売員が配置されていたが、それでも対応出来ない顧客が商品を探して右往左往し、それが繁盛感は演出するものの、販売員はもちろん顧客も無駄な労働を強いられているのは明らかだ。
 生活雑貨の提供方法(VMDと販売プロセス)はホームリネン軸の高客単価型か雑貨軸の多客数型かに分かれるが、「ZARA HOME」の価格帯や洗練度、ホームリネン主体という構成を考えると高客単価型の提供方法を確立する必要がある。現状では分類配置も陳列階梯も什器も販売プロセスも整合しておらず、グローバル展開業態として提供方法が確立されていない。単にローカル対応の不備という次元ではなく、根本からMD展開も提供方法も再構築しないと行き詰まるリスクがある。
 テイストや柄で揃えた陳列に拘るのなら売場は出前陳列に特化し、カウンターを隔てた元番地ストックから接客で顧客に手渡すショールーム型販売システムの方が遥かに合理的で美しく陳列出来、顧客も販売員も不要な労働から解放され、買い上げ率も客単価も格段に高くなるのではないか。買上げ率で4割、客単価で5割の改善余地があると見た。
 提供方法に加え、日本では非現実的なホテル仕様ベッドリネン(布状でフィット状や袋状になっていない)に固執するのもローカル対応を軽視し過ぎだと思う。欧米生活経験者やメイドがいるお家ならともかく、家人にホテル式のベッドメイクを強いるのは相当な勇気を要する。私は妻にも長年仕えてくれている我が家のフィリピーノのメイドさんにも頼む勇気はない(ホテル式のベッドメイクは二人一組の作業が常識)。
 インディテックス社はトヨタに学んで偉大な成功を収めたSPA企業だが、「ZARA HOME」にはその血統が通っていない。「ZARA HOME」の提供方法(VMDと販売プロセス)は手酷い反面教師であり、ゼロからの再構築が必要だと思う。
 2014/04/14 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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