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デジタルかアナログか
 デジタル陳列かアナログ陳列かはVMDの運用方式を分ける基本中の基本だが、解らないまま混用しているケースが多い。
 デジタル陳列とは統一規格(寸法と仕様)の什器に陳列するもので、大人のアパレルでは4F巾(120cm)、子供のアパレルや肌着では3F巾(90cm)が一般的だが、意図して大型のMDを訴求するストアでは6F巾(180cm)を採用する事もある。デジタル陳列は寸法が統一されているからMDもその寸法に合わせて構成し、その寸法に合わせた棚割りを補給で維持する事が前提となるが、補給しない継ぎ接ぎMDをデジタル什器に押し込むケースが多々、見られる。
 定番商品を継続展開するベーシックMDに向いた手法なのに、そうではない店までデジタル什器を使うのは如何なものかと思う。立ち上げ時点では本部が棚割りコンテで統一指示するから店側は特別なセンスや技術を必要としないが、切り替えサイクルでは店毎に事情が異なり混乱が生じる。
 アナログ陳列とは一定寸法で区割りせず、連続したシングルハンガーや大型テーブルに独自のストーリーで陳列するもので、デジタル陳列のように補給で棚割りを維持するのではなく、むしろ次々に新しい商品を投入して鮮度を訴求する店に向いている。連続シングルハンガーでは色環順ルック回転陳列が最適で、トレンドやシーズンに即して起点色と回転方向を変化させて行けば効果的だが、センスや技術を要するのが難点だ。とは言っても、店舗スタッフの研修と適確な本部指示が揃えば意外にスムースに運用出来る。定番補給型の店より変化訴求型の店の方が圧倒的に多い現状では、アナログ陳列の運用方式を確立する方が賢明かも知れない。

 2014/03/20 09:49  この記事のURL  /  コメント(0)

VMDはお手軽な魔法なのに・・・・
 お子様のお遊戯に堕した感のある業界のVMD?に警鐘を鳴らしても、難しい事を言うとまったく通じないので、ちょっと部分的な話になるけど手軽で効果的な「購買プロセス誘導」を取り上げてみたい。
 「購買プロセス誘導」はVMDの水平的側面(他に垂直的時系列的側面も大きい)の部分的技術に過ぎないが、手軽で解り易い上に即効性がある。要は売場の編成配置とラック内の型・色・素材・サイズの選択順配置の技術論だが、これを体得すると面白いほど売上が伸ばせる。
 編成配置は通常、オン/オフ/ソワレ/ルーミー/アクティブといったシーン分類かアイテム・カテゴリー分類から入るが、「ZARA」のようにシーン分類の次にカラー分類を持って来るなど、解り易く独自性のある編成配置にすれば購買慣習を確立し易い。編成配置は顧客にブランド固有の構造と認識されなければ購買慣習に繋がらないから、安易に変えるものではない。
 陳列ラック内の‘元番地’と演出に持ち出す‘出前’では意図して選択順配置を変える。元番地は素材・型・色・サイズの配置関係が一見して解るように棚割るが、出前では特定の色やアイテムに絞って演出し、他の要素はその後に選択するように並べる。例えば、マリンルックではブルー系と白に絞って無地とボーダーやドットが交互になるようトップスとボトムスをルック回転配列または定型ルック配列に並べ、サイズはその後に来るように並べる(出前ではワンサイズに絞って接客段階で元番地から持って来る方が合理的→ショールーム陳列へ進化する)。色切れ残品を売り切るには色別に並べて型やサイズが後に来るように陳列し、サイズ切れ残品を売り切るには逆にサイズ別に並べて色や型が後に来るように陳列する。
 たったこれだけの事だけれど、売上も消化率も目に見えて向上する。売場で実験すればすぐ解る事だから、『VMDはお手軽な魔法』を実感してもらいたい。
 2014/03/19 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

新業態の成否を分けるもの
 今春の新業態開発ラッシュを目にして思うのは、それらの成否を分ける要因だ。毎年、これでもかと新業態が投入されるが、二三年経って多店化に移行しているのはほんの一握りに限られるし、わずか一年やそこらで何時の間にか撤収されるケースも少なくない。立ち上げ直後の店頭を見て、こりゃ溝に金だな!と呆れるものもあれば、よくぞここまで詰めたものだと感心させられるものもあるが、前者が全滅するのは致し方ないにしても後者とて離陸するとは限らない。それほど新業態開発は困難を伴うものなのだ。
 長年、新業態の成否を見て来た経験から、業態開発を成功させるポイントは以下の3点だと思う。
1)そこに青い海が広がっている。
 マーケットが在っても競争者が犇めいていては参入は容易でなく、赤い海に溺れるのが関の山だ。最近のマルキューカジュアルからルミネエスト系OLへの雪崩打つような一斉移行は、あたかもレミングの集団自殺を思わせる。逆に、衰退するマーケットでもライバルが次々と撤退すれば青い海に転じて残存者利益を謳歌出来る(ミセスプレタの活況はその好例)。要は受給バランスの問題なのだ。
2)既存ライバルと差別化出来るご利益が在る。
 先行するライバル達に伍してマーケットに受け入れられるには、それ以上のご利益(価格以上の価値)か、まったく新たな使用価値を打ち出すしかない。そんな視点で昨今の新業態を見ると、ライバル以下のご利益でぬけぬけと新参するものが大半だ。コンセプトのインパクトがあればご利益が怪しくても受け入れられる、とマーケットを見縊る者には手痛いしっぺ返しが待っている。
3)提供方法の画期的革新が在る。
 同じマーケットに大差ないご利益で参入しても、提供方法が画期的なら新たな需要を獲得出来る。顧客にとっての便宜と販売者にとっての効率が画期的に高まる結果、コスト効果でご利益が高まり新たな需要を開拓出来るからだ。Eコマースはもちろん、人気沸騰の北欧雑貨店(TやS)やショールーム陳列パンツショップ(B)など、その好例だと思う。手軽なVMD革新(購買プロセス誘導)でも期待以上の効果が得られるが、オムニチャネル消費が実店舗をショールームに進化させれば流通は革命的に効率化され、新たなご利益と需要を創造するに違いない。
 2014/03/18 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

第一印象を決める光と空気
 今春の新業態を見て色々と感じる事はあるが、MDやVMD、商品のお値打ち感など玄人視点の以前に、一般消費者が店頭から受ける第一印象が結局、明暗を分けると思う。要は好感や興味を持ってもらえるか、嫌悪感や拒絶感を抱かれないか、に尽きるのではないか。
 モールから店頭を見た第一印象を決めるのは店の‘光と空気’だ。好まれる‘光と空気’は時代で異なるが、色で言えば今は‘ブルーからイエローへ’と動きつつあるように感じられる。店舗の照明で言えば‘白色から電球色へ’であり、色温度で言えば4000Kから3000Kへ向かっている。空気感で言えば溌剌からやや和み方向に向かっており、青白くて緊張感のある照明は嫌われると見るべきだ。
 照明から受ける印象はランプの色温度だけで決まるのではなく、ルーメン(光束量)や内装色の反射にも大きく左右される。ルーメンが高いと演色効果はともかく空気の緊張感が高まってしまうし、壁や床、天井に濃色を配すると店内が暗くなり、寒色を配すると色温度が上がってしまう(青白くなる)。
 そんな視点で見るなら、今春の新業態のうち○○社と××社のそれは店頭の段階でかなりの顧客を遠ざけるリスクが指摘される一方、B社とT社のそれは店頭段階では好印象を持たれると推察される(売れるかどうかは他の要素にも左右されるが)。ストアプランでは基本的な検証項目だが、こんなところまでチェックを入れる経営者は限られるのかも知れない。が、それが成否を分けるのがファッションビジネスなのだ。
 今時はこんな指摘に対しても『うるせえな』と逆恨みする経営者が多いので社名も業態名も明らかに出来ないが、皆さんがまともな感性をお持ちなら店頭で見れば解ると思う。
 2014/03/17 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

ららぽーとに新業態総結集
 3月14日のリニューアル開店を控えた当日の早朝、湾岸高速を飛ばしてららぽーとTOKYO-BAYのプレス内見会に行って来た。内見会が当日の早朝9時〜10時というのも極めて例外的だが、それでは撮影しきれないと8時30分からの取材をごり押したのも異例中の異例と言えよう。まずは、そんな無理を聞いてくれた関係者にお礼を言っておきたい。
 今回リニューアルの目玉はセレクト〜カジュアルチェーンの新業態のオンパレードに加え、外資注目業態の導入だ。前者ではシップスのライフスタイル業態「SHIPS Days」一号店、トリニティアーツのライフスタイル業態「BAYFLOW」四号店、ポイント初のセレクトショップ「SQUOVAL」五号店、オンワード樫山のライフスタイル業態「SHARE PARK」一号店、ユナイテッドアローズのレディスパンブスブランド「ポワソンショコラ」、ワコールのレディスインナー新業態「FULFRU AMPHI」一号店、後者では「フライングタイガーコペンハーゲン」(SC出店初)、「ZARA HOME」、「Free People」、「UGG Australia」、遅れて5月上旬に日本初出店の「Stradivarius」(インディテックスのレディスストリート業態)などだが、さてどれがプロフェッサーのお眼鏡に適っただろうか。
 ライフスタイル業態では「SHIPS Days」がよく出来ていたし、「SQUOVAL」もレディスは今ひとつだったがメンズは出色。「BAYFLOW」はSPAっぽいアパレルと生活雑貨がいまひとつ解け合わず、その他は・・・・・・そんな中で望外の注目は、カラー陳列の色順はどうかと思うがワコールの「FULFRU AMPHI」だった。






 2014/03/14 18:00  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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