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格差が開くラグジュアリーブランド
 外資ファンドのオファーもあって毎月のブランド別販売動向データからラグジュアリーブランドの販売推移をまとめてみたら、人気(販売効率と既存店伸び率)に凄い格差がある事を再認識させられた。東京・大阪の一部百貨店の限られたデータによるもので、全国平均とは誤差が生じる事をお断りしておく。
 直近の12月はピーク月に消費増税前の駆け込みが加わって大きく嵩上げられているので、ちょっと前になるが昨年秋期(8〜10月)の平均値を基本に検証すると、販売効率ではAクラス(月坪100万円以上)、Bクラス(月坪50万円以上100万円未満)、Cクラス(月坪50万円未満)にはっきり分かれる。
 最も坪効率が高いのが著名宝飾ブランドで、「カルティエ」「ヴァンクリーフ&アーペル」「ブルガリ」「ショーメ」はいずれもAクラス〜超Aクラス。皮革系ブランドでは「エルメス」が突出し、「ルイ・ヴィトン」までが安定したAクラス。「ボッテガ・ヴェネタ」もシーズンによってはAクラスに入る。皮革/プレタに股がる「セリーヌ」も人気沸騰でAクラス入りした。プレタ系では「シャネル」が安定してAクラスで、「プラダ」や「グッチ」「ディオール」、毛皮に強い「フェンディ」もシーズンによってはAクラスに入る。
 Bクラスのブランドは人気の消長が激しく、人気沸騰してAクラス入りするかと思えば人気凋落でCクラス寸前まで落ち込むシーズンもある。シーズン毎のコレクション評価が売上を左右するトレンドプレタ系ブランドの振幅は極めて大きい。それは日本のデザイナーブランドとて同様だ。
 ABクラスブランドの大半は大きく伸ばしており、宝飾系はもちろんプレタ系でも20%〜30%、中には40%以上伸ばすブランドも目につく。既存店が前年を割っているブランドは片手で数えるほどだがCクラスばかりで、一段と格差が広がっている。
 高額消費が過熱する中もラグジュアリーブランドの上位集中は止まらず、裾野が広がる状況にはない。Cクラスブランドの多くはジャパン社の維持も困難になっており、ジャパン社を解散して販売を代理店に移管するケースも増えている。それは中国市場とて同様のようだ。
 2014/02/21 11:18  この記事のURL  /  コメント(0)

今春のローカル商品は楽しいよ!
 今夕開催の『販売データ交換会』を控えてコーディネーターから直近タイプ別店頭スタイリング動向のカラーイラストが上がって来たが、これが結構、鮮度があって楽しい。
 春物と言っても二月も後半になると初夏物やリゾートまで加わって多彩で、ホワイトを基調にサックスやネイビー、ミントやグリーンなどの寒色系中心にシトロンが加わるカラーパレットは、‘透け×光沢’‘透け×凹凸’といったコントラストの強い素材合わせもあって、実に爽やかで心地よい。加えて一部とは言え、アイスウォッシュやダメージ加工など、加工デニムの復活も特筆される。やはりモードは6シーズン毎に反転するものなのだろう。
 コレクショントレンドをちょっぴり反映しながら、ローカルなマーケットの実勢を捉えて等身大に着回せる鮮度あるルックを打ち出している今シーズンの店頭は、業界の開発力復活を実感させる。実需期になればまた売れ筋後追いで同質化したODM商品が氾濫するのだろうが、力入った自社開発商品が際立つ立ち上げ期の今は店頭も見応えがある。その一方、コレクションからぱくった単品が無秩序に並ぶ外資ファストファッション店の店頭は共感を欠いてインパクトがなく、外資コンテンポラリーSPAの店頭には日本市場の実需と乖離したリゾート商品も打ち出されている。
 如何にマーケットがグローバル化しているとは言え、やはりファッションはローカル特性が大きい商品だ。国という単位はもちろん、地域やストリートでさえミクロクリマな相違があるのだから、きめ細かい地域/個店対応が欠かせない。グローバル戦略も結構だが、顧客特性を掴んだローカルブランドならではの優位性を発揮する事も大切だと思う。
 2014/02/20 11:46  この記事のURL  /  コメント(0)

四苦八苦する外資SPA
 2月12日の当ブログで『日本発、世界ブランドの夢を実現するには、思い込みでなくグローバルに通用する商品と技術、ビジネスモデルを基本に、個々のローカル市場に張り付く地道なマーケティングとブランディングを積み重ねるしかない。』と提じたが、最近の外資SPA勢の店頭MD展開を見ていると、グローバルなマーチャンダイジングをローカル対応させる困難さを痛感させられる。傍目には勢いづいているように見える外資SPAも、店頭MD展開の推移を追うと、グローバル企画をローカル対応させるのに四苦八苦しているのが解るからだ。
 「H&M」も「ZARA」もグローバル企画を多少の取捨選択やSKUバランス、わずかなデリバリー調整で微修正するのみでローカル企画やローカルフィットは見当たらないが、「H&M」ではエリアどころか個店ごとにウィンドウ・ディスプレイやルックの打ち出しを変えてローカル対応している。おそらくエリア毎にローカルのスタイリストを契約し、毎週のように人海戦術で品揃え編成と打ち出しを変えているのだろう。‘グローバルSPA’というスマートなイメージと実際のオペレーションには想像を超える乖離があるようだ。
 「ZARA」はコンテンポラリーユーロモードなグローバル企画が日本市場と乖離する事が多く、投入タイミングも首を傾げる事があり、「H&M」的人海戦術のローカル対応も限られる。それが売上の伸び悩みをもたらしている事は否定出来ないが、グローバル統一展開を優先してローカル対応を限定する経営方針なのだろう。
 ジャパンフィットなどローカル対応に積極的な「GAP」とて商品企画とVMDはグローバル統一展開を崩していないが、本国の倍近い価格設定が煩雑な値引きキャンペーンを招いてオペレーションを混乱させ価格信頼感を崩しているのは残念だ。
 外資SPA各社の四苦八苦な日本市場対応を見れば ‘世界ブランド’展開の難しさが身に染みて理解されよう。『ものづくりには自信がある』『日本ブランドは憧れられている』などの思い込みでの竹槍特攻では到底、壁は超えられない。個々のローカル市場に張り付く地道な努力を覚悟して挑戦して欲しい。
 2014/02/19 12:38  この記事のURL  /  コメント(0)

家電量販店ってやばくねぇ?
 消費増税を控えて我が家でも昨年末から耐久消費財の買い替えを急いでいるが、家電量販店の大判振る舞いの値引きには、これで利益が出るんだろうかとひと事ながら心配してしまう。
 まず昨年末には年代物のプラズマTVを4KTVに買い替えたが、『ポイントなんかいらないからアマゾン価格にしてよ』の一言で一気に15%値引き。おまけに年末のキャンペーンだとかでレジでバーコードをスキャンすると100,000ポイントが大当たりで、結局、店頭価格から実質36%引きでシャープの4KTVがゲット出来てしまった。その後、画質も音質も気に入らないのでSONYの4KTVに交換してもらったら、また37,000ポイントほど付いて来て、やはりレジで30,000ポイントが大当たり。結局17万ポイント近くもらってしまったが、『100,000ポイントは返品したシャープのTV分ですから回収します』という次第になった。こういうボーナスポイントはメーカーが負担しているという事なのだろう。
 残った67,000余ポイントを使って二月に入ってから二品目を購入したが、やはりアマゾン価格を提示すると、ひとつは確か48,000円が42,000円に、ひとつは29,000円が24,500円になってしまった。安く買えるのは嬉しいけれど、繁華街に大きな店舗を構えて大量の店員を雇用して、これで利益が出るのだろうかと他人事ながら心配してしまう。事実、ヤマダ電機は店舗に値引き権限を与えてショールーミングに対抗した結果、13年9月中間決算で営業赤字に転落している。
 加えて、物流や補給、在庫管理でも信じ難いネックを抱えており、在庫は店頭で確認出来ないし(いちいち調べに行く)、他店在庫の照会もままならない。欠品の入荷を聞くと平気で週単位の回答をしてくる感覚はもう断末魔というしかない。有力アパレルブランドではもはや常識となりつつある顧客と在庫の一元管理もO2O送客も、家電量販店業界ではこれからの課題のようだ。ショールーミングに直面する家電量販店業界のオムニチャネル戦略がこれほど遅れているとは、もう『これ、やばくねぇ?』と絶句するしかなかった。
 家電量販店こそ「アップルストア」的ショールーム型ストアへの転換が急務だと思う。さすれば店舗ごとの在庫の偏りや欠品、二重物流や巨大店舗運営の無駄も一気に解消され、顧客も嵩張る商品を抱えて帰る苦労から解放されるのではないか。
 2014/02/17 09:37  この記事のURL  /  コメント(0)

40年は進化だったのか?
 私が業界デビューした某業界紙が発刊40周年になるとかで、40年の流れと2020年への展望を書けとの依頼が来たが、その原稿が載る号が発売されるのは4月1日と聞いてびっくり。今時、ブログやSNSは書けばすぐ伝播して即、反応が来るし、当社の会員向け月刊「SPACレポート」だって社内印刷で〆切後24時間で発行される御時世だというのに、ギリな校正入稿でも二週間、通常四週間もかかって発行されるというスローペースは時代錯誤に思える。
 ネットサーフすればコレクション報道から業績発表まで業界ネタはオンタイムかつ無制限フリーに入手出来る今日、薄っぺらい月刊紙に千円を超える値段を付けるのもしんどいと思う。ブランドビジネスのオムニチャネル戦略のように、ウェブサイトやSNSでタイムリーに読者を惹き付けて印刷媒体に送客する仕掛けが不可欠なのではないか。その点、WWDジャパンなんかは上手いよね。
 00年代に入って編集は大衆化の一途を辿り、読者も経営者や本部の幹部から店長や販売員に一変してしまった。『難しい事は書かないで下さい』と言われても、芸人をひな壇に並べるバラエティ番組みたいになっていく紙面に合わすのは私には困難で、出番は限られてしまう。それでも年に数度の経営幹部向け企画や記念企画にはお声がかかるが、経営幹部向けの書き方では理解出来ない読者も多く、生徒会新聞まがいの文章が求められる(漫画が一番人気らしい)のには閉口する。
 この40年、様々な変化があったが『マーケットや業界が進化している』と感じたのは90年代までで、00年以降は止め難い退化の潮流に戸惑うようになった。業界をリードしようと先走りするとついて来る企業が限られるし、『退化している』と喝破すれば総スカンを食ってしまうのが現実だ。売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMDが蔓延する今日の業界は、半世紀の歴史認識に立つ老研究者の目には(オムニチャネル戦略を除けば)ブランドビジネス興隆以前の70年代に子供返りしたかに見える。
 「失われた20年」の果てにアベノミクスで束の間の宴を謳歌する日本だが、40年は果たして進化だったのか退化だったのか、自問せざるを得ない。
 2014/02/14 11:27  この記事のURL  /  コメント(1)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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