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大艦巨砲時代の終焉
 今朝の日経はウォルマートが都市型小商圏の小型店「ネイバーフッド・マーケット」「ウォルマート・エクスプレス」を増強すると報じていたが、その背景として米国人の購買慣習が大量まとめ買いから小口当用買いへと変化している事を挙げていた。それを象徴するのが都市部の低所得層を対象に食料品まで手を広げた「ダラー・ジェネラル」や「ファミリー・ダラー」などの所謂ダラーショップ(1ドル均一ではないが10ドル以下)の急成長で、ネット通販の拡大も影響しているとまとめていた。
 目を日本に転ずれば、市場開放が謳われた90年代からコンパクトシティを志向した改正都市計画法施行の07年(08年末まで駆け込み開業が続いたが)までは大艦巨砲の大商圏大型SCが時代の主役だったが、リーマンショック後の景気後退期を経て13年頃からオムニチャネル消費が本格化するに連れ、ラストワンマイルの利便を競う近隣小型店が時代の主役に躍り出て来た。まずはコンビニが注目されているが、ミニスーパーやドラッグストアまで含めて津々浦々までの面布陣が競われる事になるのだろう。
 そんな中、三越伊勢丹が小型のサテライトストアや空港店舗、コスメ専門店などを急速に布陣している事が注目される。巨大一番店に売上が集中する大艦巨砲も最たる百貨店が小型店や専門店、トラフィックストアを拡げる背景は、採算性の読める大艦巨砲店舗の新設が困難な事に加え(JR大阪三越伊勢丹に象徴されよう)、百貨店特有の商材であるライセンス雑貨(洋品や身の回り品)需要のコンビニエンス化が在ると思われる。ライセンサー側は販路を厳しく統制しているもののコンビニなど小商圏店やトラフィック店でのニーズは大きく、百貨店資本によるサテライトストアやトラフィックストア、専門店の商機が高まっていたからだ。結果としてオムニチャネル消費の利便も高められるという一石二鳥の効果も期待出来る。
 それぞれの事情はあるものの、オムニチャネル消費の拡大は『大きいことは良い事だ』という前世紀の流通概念を一変させ、大艦巨砲時代の終焉を告げる事になるのだろう。
 2014/02/28 10:14  この記事のURL  /  コメント(0)

青い海と赤い海
 ブランド別売上や決算業績を俯瞰して『売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMDはくたびれ儲け』と警鐘を鳴らしても、それが体質になった企業はなかなか抜けられないようだが、私は主張を押し付けている訳ではない。そのビジネスモデルが今日では血を血で洗うレッドオーシャンに陥り、巨大ロットでコスト勝負して来るグローバルファストSPA以外は利益が出せなくなったという環境変化を指摘しているだけだ。
 マルキュー全盛の前世期末頃は、時間をかけてオリジナルを自社開発するブランドと売れ筋を短サイクルで追うODMブランドとのバランスが取れ、それぞれに商売が成り立っていたが、リーマンショック直後の「H&M」「フォーエバー21」上陸を契機にファストファッションを真似るブランドが急増して低価格後追い商品の供給が過剰になり、誰も儲からないくたびれ儲けのレッドオーシャンに陥ってしまった。要は需要と供給のバランスであり、時代の環境変化によってブルーオーシャンがレッドオーシャンに転じた訳だ。逆に衰退市場では残存者利益というブルーオーシャン化現象も見られる。『株も商売も逆張りする者に利益が集中する』という経験則は本能的なブルーオーシャン嗅覚に基づくものなのだろう。
 そんな見方をするなら低価格の合皮靴チェーンも厳しく、プレタ専門店や百貨店のコンサバNBなど残存者利益で美味しくなると思うが、貴社の商売は青い海かな赤い海かな?
 2014/02/27 09:42  この記事のURL  /  コメント(0)

こだわりトラッドカジュアルは何処へ行く
 ライトオンの大人向けトラッドカジュアル「ソルト&ペッパー」が廃止されたそうだ。12年2月開店一号店のヨドバシ梅田店を2月中旬、二号店のららぽーと東京ベイ店を1月末、どちらも「フラッシュリポート」に転換して閉店してしまった。11年9月に渋谷明治通りに開店したワールドの「ラギッドファクトリー」も、その後は阪急メンズ大阪店を開店したに留まっているから、こちらも離陸したとは言い難い。
 どちらもカジュアルをベースに大人向けのトラッドカジュアルを志向したこだわりブランドだったが、マーケットの風向きがキレイ目ビジカジに向いた事もあり、品質感のギャップもあって苦戦する結果となった。そう言えばアメリカントラッドの名門、ラルフ・ローレンが力入れて開発した「RUGBY」(04年のボストン店が発祥)も13年度末で廃止され、10年9月に開店した神宮前店も既にない。表参道にフラッグシップを構えて攻勢をかけた「トミー・ヒルフィガー」も期待通りの広がりは得られなかったようだから(既存店売上は九掛け状態)、米国系トラッドカジュアルは頓挫したと見て良いだろう。
 アメカジはストリートなグランジ方向に振れたりキレイ目なプレップ方向に振れたりを繰り返しながらカジュアルダウンな着崩しが進み、キレイ目ビジカジはセレクトショップなどクオリティ感のあるブリット系プレップモードに流れ、アメカジ系のトラッドカジュアルは結局、出番が無かった。
 ようやく加工ジーンズも復活の兆しが見えて来たが、その分、スウェットも勢いづいてアメカジはカジュアルダウンに向かうから、アメカジ系トラッドカジュアルに陽は当たりそうもない。IVY時代の栄光を忘れられない業界人には酷だが、アメカジ系トラッドカジュアルの市場性はもはや復活しないと見切るしかないだろう。
 2014/02/26 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

日本的クルーズって?
 日本ではほとんど見られないが、欧米ではクリスマス前から「クルーズ」というリゾートコレクションが立ち上がる。まだ雪も残る都会を脱出して南海のリゾートを楽しもうという提案だが、日本では芸能人や一部の金満家に限られる例外的なライフスタイルに留まっている。そんな日本でも、初春の寒いうちから春アウター下で夏物やリゾートウェアを楽しむ「日本的クルーズ」が広がりつつある。欧米のコレクションシーンではコート下に水着を着る危なげな提案も見られるが、「日本的クルーズ」はもっと切迫した業界事情が火を付けたようだ。
 売れ筋後追いのQRが競われる日本市場では先行開発ブランドのブルーオーシャンが短く、逃げ切りを図って初夏物や夏物、ひいてや晩夏物まで早期投入する傾向が年々強まり、GWまでに春夏企画を投入し尽くしてしまう結果、GWが明けたら売場が鮮度を失ってプレセール状態に陥ってしまうのが近年の実情だ。と言う訳で、まだ雪も残るうちからスプリングコートやスタジャンなど春アウターの下でキャミソールやブラトップ、ショーツやリゾートスカートなどの夏物を楽しむファッショニスタが増えて来たのは良いのだが、いったい何処で着ているのだろうか?
 春に多少「日本的クルーズ」が盛り上がってもGW明けの商戦が尻窄みでは通期の商売は旨味を欠く。夏バーゲンを後送りしても、その間を埋めるプロパー企画を欠いてはセール待ちで売上の低迷は避けられず、結局はシークレットセールやフライングセールが横行するだけだ。埋めるとすれば晩夏企画しかないが、プロパーを押し通すのは苦しい。結局の所、世界のファッション都市と合わせて6月半ばあるいは末からセールを始めて短期で売り切り、7月半ばからトレンド鮮度のある初秋企画を立ち上げてテストマーケティングと先物受注会に励むのが正解だと思う。
 2014/02/25 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

六本木ヒルズはショールームストアの宝庫
 某メーカーの直営店を一周する過程で三ヶ月振りに六本木ヒルズを訪れたが、いゃーここはショールーム型ストアの宝庫だと認識を新たにした。法外に家賃が高いためショールームと割り切った店が多くなるのは解るが、これほどまでまでとは思わなかった。
 某メーカーの直営店も売上が家賃に追い付かず店舗損益は大赤字だが、情報発信のショールームと割り切る余裕もなく、何とかしようと検分する事になったのだ。六本木ヒルズはターミナルと較べれば客数は限られるが客質は高く、客単価が取れるMD編成とVMD、販売プロセスを組めば大きく伸ばせる可能性があるが、某店は半分は低単価品に流れセルフな棚割り陳列に終始して客単価が低迷していると見た。
 同じフロアにタオルメーカーの直営店が在るが、こちらは良い意味でショールーム型VMDに徹しておられる。品質を追求した高単価品を各色各一で美しく陳列して丁寧な接客でまとめ買いやギフト需要を訴求しているが、オンラインショップと連携したオムニチャネル販売を仕掛ければもっと売上を伸ばせるに違いない。
 そんな視点で六本木ヒルズを見渡せばオムニチャネル販売で売上を伸ばせそうなショールーム型ストアが幾つも見つかるが、ショールーミングによる売上流出に怯えるデベとしては課金出来ないクリック売上を助長する営業サポートに動くはずもなく、せっかくのポテンシャルが埋もれたままになっている。
 法外な家賃を取っているのだから、せこい事は言わずにテナントのオムニチャネル販売を支援し、ショールーミングを上回るウェブルーミング集客で売上が伸びればよいと大きく構える度量を見せて欲しいものだ。もしそうなれば、六本木ヒルズはオムニチャネル戦略で立地の制約を超える商業施設の最初の成功例となるに違いない。
 2014/02/24 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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