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「14年秋冬MDディレクション」の特筆点
 ブランド別販売成績と客層別スタイリング変化を検証して来シーズンの有望スタイリングとMD展開を提案する当社の「MDディレクション」14年秋冬版が昨年末に完成し、契約クライアントへの解説もほぼ一巡しましたが、その特筆すべき点は以下の4点です。
1)先進国経済の復調を背景としたモードの熟成とライフスタイルへの浸透。
2)温帯型から高緯度型にシフトする四季推移に対応した梅春期MDテーマの拡充。
3)高負担福祉社会シフトに伴う北欧モードのフォーカス。
4)国内市場動向検証に加えての「ピンタレスト」によるグローバルなモードトレンド検証。
 その帰結としてオフシーンからオンシーンまで秋/冬/梅春のシーズンMD展開を担うレディス9/メンズ7の有望テーマを設定し、商品企画に即、活用出来るようスタイリング/素材構成/カラーパレットをビジュアルに表現しました。2月7日(金)には当社オフィスで小規模な公開セミナーも行いますので、ご興味のある方はこちら(レディスウェア編メンズウェア編)を参照して下さい。
 2014/01/23 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

貧乏暇なしの隘路
 私の『販売員は物流要員か?』と問題提議したブログ中の『52週継ぎ接ぎMDが問題解決の妨げになっている』という指摘に対して以下の投稿が来たが、重大な示唆を含むと思われるので公開して回答したい。
 『私はアパレルECサイトに携わっている者です。「売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMD」とは具体的にどのような現象の事を指すのでしょうか?綿密なMD計画がなく、行き当たりばったりで生産・販売し、結果、販売員が大量消費の物流要員でしかないという認識で宜しいでしょうか?
現在、各アパレル企業で綿密なMD計画の元、生産・販促・販売をしているかと思いますが、その中でヒット品番が生まれ、結果として、売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMD商品が生まれてしまうという事もあると思います(逆もしかりでヒットするであろう商品を外してしまい、消化の為に販売員が物流要因になってしまう) 。
前年の売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMD商品のデータを活用し、販売予測の精度を上げる事で計画的に生産し、売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMD商品を徐々に減らしていく事が企業・販売員の幸せの輪を広げるという認識で宜しいでしょうか?
その他「売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMD」が蔓延、各企業が脱却できない理由等、業界が抱える問題点がありましたら、是非ともご教授いただけると幸いです。』

        ※      ※      ※      ※      ※
 この投稿に拠れば、前年実績データを活用して計画MDの精度を高める一方、直近動向に即して短サイクルに対応する努力も問われる業界の実情が生々しく伝わって来るが、私はそこにこそ不幸の隘路が在ると思う。販売データで単品管理を追求し短サイクルに対応するほどMD精度が上がって不振商品が減り売上も伸びると考えられて来たが、アパレル各社の売上と利益、給与水準を検証すると、実は逆の結果が見えるのだ。
 当社が長年に渡って検証して来たブランド別販売動向では近年、シーズンに先行した計画MDで差別化するブランドほど伸び率が高く、直近動向に基づいて短サイクルに期中対応するブランドほど低迷するという傾向が顕著で、90年代とはまったく逆の結果が見られる。これはPOSシステムが定着し短サイクルで対応出来るODM調達が一般化するにつれ、多くの競争ブランドが同じプロセスで同じ成果(売れ筋商品)を追うようになり、そのスピードを競って頑張る事が正しい努力だと錯覚される一方、類似商品の氾濫で値崩れし売上も収益も低迷して給与水準も低下して行くという報われない結果を招いている。計画MD型の企業と期中企画比率の高い52週MD型の企業の収益率と給与水準の推移を見れば、もっとリアルな格差が見える。
 企業価値は『価値と便宜と幸せの環を広げているか』だとしたが、‘価値と便宜’を生まない限り社内にも取引先にも幸せの環は広がりようがない。単品販売実績への対応スピードを競う52週MDでは同質化と値崩れが避けられず、MDが流動化して後方から店内まで物流業務も煩雑になり、本部も店舗も毎日くたくたになって頑張っている感はあっても、価値が生まれないから報われず、幸せの環が広がらないのだ。皆さんの会社は『貧乏暇なし』の隘路に陥ってはいないだろうか。
 
 2014/01/22 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

クリエイション至上の結末は
 某百貨店のバーゲンは初日の混雑を避けて週末の朝一で出かけたが、やはり現実的なライフシーンに着回し易い気の効いた商品はサイズの欠落が激しく、しっかり残っているのは『これ何処で着るの?』と言いたくなるようなデザインものか『何年前の持ち越し品?』と疑うような時代ズレしたものばかりで、戦利品は数品目に限られた。
 それにしても気の効いた現実的な商品はファクトリーブランドばかりで、デザイナーブランドはデザインが誇張されすぎて着難く日常シーンには目立ち過ぎて着て歩けないものばかり、という印象を否めなかった。プレス享けする誇張されたデザインは自己主張が不可欠なアーチストや芸能人はともかく、普通の人が日常生活のために自腹を切って購入するには価格や体型もハードルが高過ぎる。だからこそSPAが衣料消費の大勢となったのであり、デザイナーブランドは一部のラグジュアリー系や実質SPAを除いて‘永遠のマイナー’に終わりがちだ。
 思い返せばDCブランドブームが陰り始めた88年2月、クリエイション至上の御三家とその追従者が行政の支援を得て古典的なデザイナービジネスに固執する中、私はブランドビジネスの将来はSPAしかないと喝破してSPAC研究会を設立。26年を経た今日も82社のメンバーとともにオムニチャネル時代のSPAビジネスを追求している。
 クリエイション至上のデザイナービジネスと企画・開発から物流・販売まで効率的に一貫するブランドSPAビジネスのどちらが正解だったのか、文化的貢献はともかく事業規模だけ見れば結果は明らかだ。にもかかわらず今日も尚、行政も業界も‘クール・ジャパン’の御旗のもとクリエイション至上のお祭り騒ぎを一歩も出ていない。隣国のしつこい告げ口おばさんにはうんざりするが、『歴史認識なき業界に明日はない』と言いたくもなる。
 2014/01/21 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

脱チャイナSPAの決断
 18日付けの日経に拠れば、ファーストリテイリングの「ユニクロ」が世界共通の商品企画を方向転換し、欧米向け商品企画に動き出したとか。今年に入ってWWDなどで報じられるクリエイティブ/マーケティング分野での欧米人幹部の登用から推察していたが、これほどはっきり公言するとは思わなかった。
 「ユニクロ」の海外展開が加速して売上の30%を超えるに至ったとは言え大半は中国を中心としたアジア市場で、欧米での展開は足踏み状態を脱せないでいる。アジア市場に軸足が移る中、商品企画が中華圏好みに流れて欧米どころか日本でも違和感が指摘され、中国で売れるほど欧米や日本で伸び悩むというジレンマに陥っていた。アジアン・グローバル体質に陥れば、かつての「ジョルダーノ」や「エスプリ」と同じ隘路に嵌ると案じた私は、『ユニクロはチャイナSPAか?』(12年7月9日)と警鐘を鳴らしたが、柳井さんもようやく決断してくれたという事なのだろう。
 NYの旗艦店やNJの郊外モール店も行く度に見るが、スタイリングやカラー陳列は現地の第一線スタイリストやビジュアルマーチャンダイザーの手を借りて相応にローカライズ出来ても、中華圏で享ける色展開やフィットのままでは欧米市場では限界があると感じていた。中華圏と欧米では‘モード’の価値観や色彩感覚が異なるのだ。
 遅まきながら欧米市場向け商品企画を決断した事は評価すべきで、次は量販的な単品山積み陳列から欧米人好みのカラーストーリー陳列への切り替え(それは同時に部分的なショールーム陳列への進化ともなろう)を急ぐべきだ。子供っぽい嫌いのあったストアデザインも「アップルストア」を凌駕するようなフューチャーモダン・アーキテクチャーへの進化を期待したい。
 2014/01/20 09:54  この記事のURL  /  コメント(0)

高級ブランド品の内外価格差
 今朝の日経は中国市場における高級ブランド品市場の冷え込みを詳しく報道していたが、その要因は習近平指導部による倹約令や綱紀粛正に加えて40%とも言われる内外価格差だそうだ。日経に拠ると2011年には30%も伸びたのが13年には2%に急減速し、新規出店数も37%減少したとか。その一方で中国人による国外での高級ブランド品購入は33%も増えたそうだから、内外価格差はよほど大きいと推察される。その分、欧米や周辺アジア諸国(香港/シンガポール/韓国/日本など)の中国人旅行客売上が急拡大しているわけだ。
 内外価格差の要因は20〜40%もの輸入関税に加えて膨大な許認可コストと推察されるが、日本は中国に較べれば割安とは言え、シンガポールや韓国に較べて割安とは言い難い。衣料品はともかく皮革製品の関税は高止まりしたままで、バーゲン時期もシンガポールや韓国より二週間〜四週間も遅く、ラグジュアリーブランドのバーゲン対象品目も限られるから、価格メリットで旅行客を引っ張れる状況にはない。他の観光価値や家電製品/化粧品などの日本製品の魅力で引き寄せた旅行客がラグジュアリーブランドも買っていると見るべきだ。
 今世紀に入っての欧米高級ブランドの高価格政策は目を剥くほどで、70〜80年代には日本の一般OLの給料でも買えたLVやグッチなど倍以上になった感があるし(75年頃、パリまで行けば大学を出て入社二年目の給料でLVのバッグが何個も買えた!)、近年のモンクレールのブランディング戦略による価格高騰はびっくりするほどだ。
 こんな高価格戦略が可能だったのも中国富裕層の急激な増加があってこそで、中国経済の減速と海外旅行の自由化、インターネットによる内外価格差情報の周知という現実の前に高価格戦略は壁に当たっている。世界の高級品価格が平準化へ向かい法外な高価格も通らなくなる中、拡大を続けてきたラグジュアリービジネスも淘汰の時代を迎えたのではないか。
 2014/01/17 10:15  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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