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ユニクロ次のヒット商品は?
 アジアでは伸びているものの国内では伸び悩む「ユニクロ」だが、色々と要因はあっても結局は「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」に続くヒット商品を開発出来ない事が最大の要因と思われる。そんな「ユニクロ」の次のヒット商品として期待されるのが、三菱商事ファッションの開発した撥水性機能繊維と東レ・デュポンのケブラー繊維ではないか。
 撥水性機能商品はアウターに限らずボトムやニット/ジャージまで広範な開発が可能で様々なシーズン、とりわけ春から秋にかけて重宝されるから期待されるのは当然だが(「ユニクロ」の売上は冬期への偏りが著しい)、東レ・デュポンのケブラー繊維も意外な機能商品が開発出来る。ちょっとびっくりするかも知れないが、それは防刃防弾性日常衣料だ。
 普通のOLやサラリーマンが路上や駅中で通り魔に遭う事も珍しくない今日、手軽な防刃防弾性衣料が重宝されるという恐ろしい話だが、防弾はともかくカッターや小型ナイフ程度は防げる防刃性衣料が「ユニクロ」価格で供給されれば、通勤通学あるいはバイカーやサイクリストの必需品となるのは必定だ。加えて、中韓との関係がキナ臭くなる中、軍用衣料や防空衣料としての需要も・・・・・・
 こんな際物マーケティングが冗談で終わらない御時世は空恐ろしいが、ウェアラブルIT端末が現実の課題となる中、今や合繊産業の屋台骨を支える産業用繊維技術のアパレル転用が次のヒット商品開発の突破口になるのは間違いない。
 2014/01/31 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

矛盾する要求
 昨日(29日)の新聞各紙にそごう・西武の50代カップル向け新SPAブランドの記事が載っていたが、従来の外部(アパレルメーカーや企画会社)依存を脱して新規採用の専門人材中心に社内プロジェクトで運営するのは一歩前進と評価されるものの、工場直の自社開発を謳う一方で二週サイクルの新商品投入を謳うのはあまりにも無理がある。二週サイクルの商品開発はODM業者依存でないと不可能だし、ファストファッション好みの若い人向けならともかく、成熟した50代カップル向けとなればそれなりの完成度と品質感も求められるから、短サイクル開発のODM商品では通用しない。
 そんな事は業界の常識だが、社内の様々な要求に応えるうちに企画書上であれもこれもと矛盾する要件が重なって行ったのか、それとも‘業界の常識’を打ち破る画期的な開発手法を見出したのか、どちらかなのだろう。後者なら良いのだが、企画チームも開発チームも織田鉄砲隊方式に多重配置しないと遂行は不可能だから、短期で数百店を布陣する壮大なプロジェクトなのかも知れない。百貨店のPBプロジェクトでそんな多店舗展開は非現実的だから、イトーヨーカ堂でも展開するのだろうか。
 もし前者だとすれば、無理な公約を果たすべくプロジェクトメンバーは過労死寸前の人海戦術に走らざるを得なくなるが、そんな事は続かないから、結局はペースダウンするかアウトソーシングに流れる事になる。万一、無理を通せたにしても、二週間サイクルで投入しても年に24回も回転するはずもないから(H&Mでも3.29回転しかしていない)、残品の山が積み上がってプロジェクトは破綻してしまう。せっかくのチャレンジなのだから、虻蜂取らずにならぬよう、早めに矛盾する要求を整理して実現可能なシナリオに着地させるべきだと思う。
 2014/01/30 09:54  この記事のURL  /  コメント(0)

貧困と徒労という日本の現実
 冷凍食品工場の農薬混入事件で逮捕された49才の契約社員の年収が200万円そこそこだったと報道されているのを聞いて低所得に驚き『会社に悪意を持っても不思議は無い』と思ったが、『今時、工場労働者なんてそんなもんですよ』という声もあり、統計データ(国税庁民間給与実態統計では平均408万円)とは掛け離れた実態を見た想いがしたが、月曜夜のNHKTVクローズアップ現代の『ガールズ・プア特集』で単身女性の三分の一が年収125万円以下と聞いて、またまたびっくり。アベノミクスの追い風に乗る高額消費など上っ面に過ぎず、日本はここまで疲弊しているのかと暗澹たる気分になった。『ユニクロが高くて買えない』低所得層が今やマスとなっている現実に言葉も無く、ユニクロが回収した古着をアフリカに送っていてよいのかとさえ思った。
 そんな報道を真顔でしているNHK職員の平均年収が1185万円(12年度NHK公表値)と聞けば、よくも白々しく報道出来るよなとムカついてしまう。これでは往時のJALどころではない。面白くもない大河ドラマや朝ドラに大枚をかけて特定女優を売り出すのは准公務員として不正が疑われるし、キャラの出過ぎる大物タレントに依存する番組作りの手抜きに加え、最近は民放並みにB級タレントやお笑い芸人をひな壇に並べるくだらないバラエティ番組まで流して貴重な時間枠を無駄遣いするに及んでは、もはや東電並みに粛正するしかない。これで視聴料を強制徴収しようという厚顔ぶりは万死に値する。
 とは言え、低給与労働者をこき使う貧困なビジネスモデルが蔓延する今日の日本をこのまま放置しては若者の未来が閉ざされるばかりか、教育の格差が貧困の世代継承に繋がりかねない。他業界までは何ともならないが、我ら業界だけでも退化の隘路を絶って価値を生むビジネスモデルに転換し、幸せの輪を拡げる事を力不足ながら啓蒙したい。価値を生まない徒労のゲームに陥りがちな業界の実情をなんとか変えたいが、力及ばず私も徒労に終わる日々が続く中、解ってくれる経営者が一人でも増える事を祈るばかりだ。
 2014/01/29 10:45  この記事のURL  /  コメント(0)

退化の隘路を断ち切る!
 店頭販売員の労働実態を分単位に調査して接客時間や物流関連労働時間を掴み、時間帯別の買い上げ率や客単価との関連を検証すると、業界で取り組まれている啓蒙活動とは懸け離れた答えが出て来る。一部の高価格店を除き、効率を左右しているのは時間帯別の人員配置数や陳列手法、什器/FR/レジの配置関係であって、販売員の‘熟練度’は二次的要因に留まるからだ。
 覆面調査などで好感度を左右するのも新人研修レヴェルの‘常識’とマニュアルに記載されている‘基本手順’であって‘熟練度’ではない。新人研修やOJT、マニュアルで数ヶ月もかければ一定(許せる)レヴェルには達するが、それ以上の‘熟練’には現場経験と専門的研修の繰り返しが不可欠で、分野によっては年単位の積み上げを要する。
 残念ながら多くの場合、店頭販売員の在職期間は‘熟練’を期待するには短く、私が教えている店頭在庫の再編集陳列技法など、マスターしかけた頃には過半が新人に入れ替わって最初から教え直す事もある。現状では‘熟練’を要する技術の継承は極めて困難で、パート/バイトの回転の速い店では‘常識’や‘基本手順’も崩れがちだ。
 企業側も‘熟練’は非現実的だと悟って‘常識’と‘基本手順’の維持に割り切っているのか、未熟練者の関心を惹くゲーム的研修をイベント感覚で繰り返しているが、定着率や販売実績を見るかぎり効果は限定的なようだ。店頭販売員に専門的な知識や熟練した技術を求めるのはもはや困難で、‘素人’で運営出来る体制が現実的なのだろうが、それでは店長など管理職の負担が重くなってしまう。
 店頭販売員に‘熟練’を期待しなくなった契機は2000年6月の大店法廃止による営業時間の自由化であり、イオングループが率先した営業時間延長で店頭保守要員?の慢性不足が全国化・常態化し、本来の適格者や熟練者とは異なる素人を大量採用せざるを得ず、販売員の質の低下(=店頭販売の質の低下)が常態化してEコマース拡大の一因ともなった。『ここまでやるか!』と懇切丁寧ビジュアル双方向に畳み掛ける韓流アパレルECの「DHOLIC」などを見ると、今更ながら店頭での下手なVMDや‘素人’の接客など不要に思えて来る。
 店頭販売の質の低下とECへの売上流出という悪循環を断ち切るには2000年6月の分岐点に戻ってやり直すしかないが、私はショールーム型ストアこそ突破口になると確信している。店頭販売員を物流労働から解放して専門的接客に集中させれば素人まで動員しなくても店舗運営が可能になり、販売効率も客単価も格段に上昇して販売員の給与水準も大幅に改善出来る。オムニチャネル時代の到来は00年6月来の退化の隘路を断ち切る絶好のチャンスなのだ。
 2014/01/27 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

メイド・イン・ジャパンの疑惑
 業界では消費者そっちのけの産地振興が免罪符のように流行しているが、その是非以前に‘メイド・イン・ジャパン’の旗印に疑問符が付く。外国人技能実習生に依存する縫製工場で作られた製品が‘日本製’と言えるのかという指摘だ。
 中国など低コストのアジア諸国に生産が移転して衰退が著しく、従業者の老齢化と低賃金ゆえの採用難で外国人技能実習生への依存が進む国内縫製業だが、12年度統計では全分野44、897人中、衣料縫製業は9、719人と21.6%を占める。都道府県別では岐阜県が1,489人と最も多く、岡山県が698人で続く。香川大学経済学部教授の佐藤忍宇治氏の論文に拠れば、岡山県では縫製業従業者の15%程度に留まるが岐阜県では過半を占め(09年)、実習生の満足度も岡山県では9割と高い。岡山県では実習生制度が比較的遵守されているのに対し、伝え聞く限り、岐阜県では低賃金労働者として酷使されている印象が在る。
 それを裏付けるのが1月21日付け繊研新聞の『外国人技能実習生受け入れ法違反8割超 過去最高水準に』という岐阜労働局の発表を報じる記事で、85.5%の事業所で労働基準関係法令違反があり、『改善の傾向は認められない』と匙を投げている。米国務省も2011年6月27日発表の「人身売買実態年次報告書」で日本の外国人技能実習生制度を『借金による束縛、移動の制限、賃金や残業代の未払い』などを挙げて問題視しているほどだ。
 70年を経ても戦時徴用工問題が未だ隣国との軋轢を引き摺るのだから、虐げられた記憶も生々しい実習生達が母国で反日の輪を広げる事は想像に難くない。地場産業の些細な利益のために国益を損なう悪行は一刻も早く根絶すべきだ。
 海外生産では「スウェットショップ問題」に敏感なのに国内生産では目を瞑るアパレル業界のモラルが問われる一方、倉敷スクールタイガーのように実習生ゼロの生産体制を堅持する縫製業者も少なくないのだから、‘メイド・イン・ジャパン’として振興する条件に「外国人技能実習生ゼロ」を加えるべきだと思う。
 国内縫製工場の生産性向上は製販連携(ファクトリーダイレクト)やTSS(TOYOTA Sewn-product management System)など生産プロセス革新によるべきで、低賃金労働に依存すべきではない。「縫製工場の業務日誌」(加藤良株式会社)というブログなど目から鱗の‘カイゼン’が満載だ。
 2014/01/24 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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