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ホリデイ企画とクルーズ企画
 コーディネーターから上がって来た11月末の店頭スタイリング動向報告イラストを見ていると、昨年までは限られていたホリデイ企画やほとんど見られなかったクルーズ企画が結構、並んでいる。売れ筋後追いの期中企画が蔓延して梅春企画が悲しいほど細っていた昨年までとは状況が一変した感がある。おそらくは弊害が大きかった売れ筋後追いの52週継ぎ接ぎMDが反省され、計画MDへの回帰が広がりつつあるのだと思う。
 ホリデイ企画とは欧米のクリスマス休暇向け企画で、カントリーやスノーリゾートなどのアウトドアカジュアルやパーティードレスが多い。90年代までは明確に在った日本の梅春企画と時期的には一致するが、梅春企画は『獣毛混など温かい起毛素材を使った春色の冬物、あるいはクリスマス用のパーティードレス』であって、パステル〜ライトカラーや白〜ライトグレーの獣毛混ニットや防寒アウターなどの街着が大半で、カントリーやスリーリゾートはごく部分的だ。復活した梅春企画もそんな性格は変らないようだが、今シーズンはコレクショントレンドの影響か、九月末から打ち出すブランドも見られた。
 11月末になって目立ち始めたのがクルーズ企画だが、真冬に熱帯リゾートを楽しむ欧米のリゾートウエアとは異なり、これも『春トレンド春素材の初春物を防寒アウターの下で楽しむ』という日本的クルーズだ。昨年まではほとんど見られなかったクルーズ企画が目立ち始めたという事は、消費回復とともに業界も元気を取り戻して先物企画に力を入れだしたと受け止めたい。売れ筋後追いばかりではつまらないから、良い兆候だと歓迎しましょう。

 2013/11/29 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

化石か遺跡かバラックか
 昨日のブログ『提供方法の革新がない』で『「ユニクロ」など化石的な不合理に満ちている』と指摘したが、それなら商業施設の大半を占める継ぎ接ぎMDの店など‘化石’どころではあるまい。「ユニクロ」を‘遺跡’に格上げして継ぎ接ぎMD店を‘化石’あるいは‘バラック’と呼ぶのが妥当なのかも知れないが所詮、言葉の遊びでしかない。
 ほとんどの店はMDが流動的ゆえ陳列フェイスが継ぎ接ぎでMD編成が確立されず、VMDや販売手法などの提供方法も独自性が無く、顧客の購買慣習も固まらずブランディングもほど遠い。そんな中、「GAP」など欧米SPAをキャッチアップして来た「ユニクロ」はMD編成が計画的でフェイスもきちんと設計されており、前世紀に欧米SPAで確立されたノウハウのほとんどを吸収した‘グローバル水準’と評価される。それでも‘化石’とか‘遺跡’とか言いたくなるのは2010年以降のオムニチャネル革命には明らかに立ち後れているからだ。
 確かに「ユニクロ」はEコマースを始めたのも00年10月と極めて早かったし、SNSなどウェブ活用のプロモーションも逸早くリードして国際的な広告賞なども獲得し、各国への出店に先行したローカルブランディングにも効率的に役立てて来た。最新の13年8月期決算における国内「ユニクロ」のEC売上も242.4億円と突出しているが、国内総売上に対する比率は3.5%と停滞しており、店頭販売もECと連動しておらず、オムニチャネル戦略に積極的とは見えない。
 オムニチャネル戦略の根幹は『顧客利便と提供方法(=購買方法)の効率化を表裏一体に実店舗やウェブ店舗を隔てなく使ってもらい顧客を囲い込む』というものだが、Eコマースの利便性に加えてスマホによるローカル化がオムニ双方向化(ショールーミングとウェブルーミング)を加速する今日、店舗販売も『顧客利便と提供方法(=購買方法)の効率化』という変革が急がれる。生産地から顧客までの物流プロセスはもちろん、店頭VMDのパビリオン化とデジタル化、さらには決済方法のデジタル化など、化石化した店舗運営をオムニチャネルにアップデイトする必要を認識すべきだ。
 ‘化石’‘遺跡’‘バラック’が層を成すモルタル商業施設はこのままではオムニチャネル時代に置き去りにされてしまう。リテイラーもデベロッパーも変化を直視して未来への変身を急ぐべきではないか。
 2013/11/28 11:12  この記事のURL  /  コメント(0)

提供方法の革新がない!
 次々と開発される新業態を見ても、一部の雑貨業態を除いてはインパクトが感じられない。テイストやライフスタイルを提案して衣料品に服飾雑貨や生活雑貨を加えれば‘新業態’が出来てしまうという発想はいかにも安直で、購買スタイルを一変させる「提供方法の革新」を欠いている。
 提供方法(=購買スタイル)革新の肝は陳列と物流と決済だ。
 陳列にはプレゼン機能の「出前」と在庫機能の「元番地」があるが、店頭では「出前」さえ在れば「元番地」は必ずしも必要ではない。「元番地」を置けば店要員に品出し/品戻し/陳列直しなどの作業が発生するし、顧客には在庫探しとレジまでの物流、さらには自宅までの物流が要求される。店頭陳列を「出前」だけにすれば店要員にも顧客にも不要な作業が発生せず、購買(=販売)労働が極小化され、運営経費を圧縮して売価を下げる事が出来る。
 「フライングタイガー」には不完全ながら「出前」特化パビリオン陳列が見られるが、タグカード持参方式かNFC認識方式で顧客が商品を選択し、レジで現品を受け取るか自宅などへ配送してもらう方式に簡単に進化出来る。既に「アップルストア」や「IKEA」の家具類はこのパビリオン方式を実践しており、ほんのちょっとデジタル技術を加えれば画期的な提供方法に化ける。そんな視点で見れば、「ユニクロ」など化石的な不合理に満ちている。
 売る側と買う側の労働を極小化するという点でもEコマースは画期的だったが、オムニチャネルショッピングが一般化する中、店頭販売もそれに見合う提供方法の革新を迫られている。米国などで実証実験が始まった「デジタルキオスク」はワゴンビジネスを無人無在庫Eコマース化するものとして注目されるが、パビリオン方式のデジタル化と見れば店頭の提供方法も一変させる可能性がある。
 『業態開発が「提供方法の革新」を欠いている』という指摘をご理解頂けただろうか。『業態開発総研究』をテーマに明日開催するSPAC月例会ではそんな「提供方法の革新」にも踏み込むつもりだ。
 2013/11/27 14:11  この記事のURL  /  コメント(0)

素材偽装価格偽装は業界常識?
 このところホテルやレストラン、食品スーパーなどで食品偽装が次々と表面化しているが、我らファッション業界でも敢えて自供しないだけで、もっと酷い素材偽装や価格偽装が日常化している。つい先日など、玄人のつもりの私までコロっと騙されてしまった。
 先週末、渋谷パルコに「WEAR」をお試しに行ったついでに某SPAで買ったカラースリムパンツにはすっかり騙された。10月に買ったカラースリムパンツが気に入って同じ色をもう一本買おうと立ち寄ったら、確か7900円だった同じパンツが3990円にマークダウンされていて、二点買えばさらに20%オフになるとかでベルトも一緒に買った。
 たまたまそのパンツを履いて行ったので、商品に縫い付けられた商品コードを照合して販売員にも同一商品だと確認してもらったのに、家に帰って見比べてみると色が微妙に違うので‘釜違い’(同一色指定でも染めロットで発色がズレてしまう事)かと思ったが、履いてみると素材も明らかに違う。店頭でも物性感の相違を感じたので二重に確認したのだが、商品コードが一致して販売員も同じ商品だと言うのでさすがの玄人も騙されてしまった。
 好調で売り切れてしまったから類似素材で追加生産して同一品番を付け、素材感が落ちる分、マークダウンして売っていたというのが実情のようだ。これって明らかな素材偽装で、投入直後からマークダウン表示していたとすれば景品表示法の有利誤認(第四条一項二号)違反だと怒っていたら、当社のコーディネーター達は『追加投入ではよくある事で、同一仕様で発注した素材でもこの程度はズレる事がある』と弁護に回った。消費者としては騙された感を否めないが、業界通念としては許容範囲なのだそうで、何だか食品業界と体質が似ていると思った。
 最近は毎週のように何らかの値引きキャンペーンをやっている店が多いが、煩雑な値引きの中で景品表示法は遵守されているのだろうか。煩雑な値引きだけでも正価不信が避けられないのに、素材偽装や価格偽装で顧客を欺いてはさらに不信感が強まってしまう。‘業界常識’も度が過ぎれば司直の摘発を受ける事になりかねないから、そんな事になって信用を失墜する前に自ら衿を正すべきだと思う。
 2013/11/26 11:07  この記事のURL  /  コメント(0)

イケるネタとイケる商法
 巷では未だ「フライングタイガー」や「ASOKO」の行列が途切れず「ロンハーマン」の人気も陰る様子がないが、こんな事が続くとこの業界は何か大当たりするネタはないものかと鵜の目鷹の目になり、イケるネタばかり探してイケる商法の構築に身が入らなくなる。
 今月28日に開催するSPAC月例研究会では『SPAからライフスタイル業態まで業態開発総研究』をテーマにイケるネタとイケる商法(MD手法とか提供方法とか)を探ろうと思うが、メンバーのアンケート回答がイケるネタ(コンセプト)ばかり注目してイケる商法への関心が薄いのには困惑している。メンバーが注目する業態も既に評価を得ているものばかりで、まだ花開いていないがイケる商法に乗せれば爆発しそうというホントのネタには目が行っていないし、MDやVMDはもちろん今時常識のO2Oも絡めたイケる商法を探そうという気運も期待ほどではない。
 そんな状況だからこそ、イケる新商法のアイデアを提示し、それに乗せれば爆発する未開の既存ネタを例示して新業態開発に火を付けようというのが私の魂胆なのだが、さてメンバーは提案に乗ってくれるだろうか・・・・・
 ‘イケるネタ’とは新商品開発ではなく、既にある商品の新たな使い方やそれが開くライフスタイルを啓蒙し、需要を増幅するMD展開手法(カラー/サイズ/素材柄/ディティールなど)を見出し、購買労働(=販売労働)とコストを極小化する提供方法とロジスティクスを創造して新たなマーケットを獲得する‘イケる商法’に乗るネタでなければならない。それら‘イケる商法’は ‘イケる提供方法’と言い換えてもよいだろう。今時、それは店舗販売に限らないしECとも限らない。それらをオムニチャネルに複合して最少の購買労働と提供コスト(当然ながら人件費/物流費/不動産費も含む)で顧客の手元に届ける仕掛けを探す事になる。「IKEA」や「AMAZON」のような‘イケるネタ’と‘イケる商法’の最適なマッチングを探し当てる事が出来れば数百億数千億の市場が目の前に開く。今月のSPAC研究会ではそんな起業家感覚のインテグレイテッド思考プロセスを啓蒙出来ればと思う。
 2013/11/22 11:48  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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