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ODM/OEMも発注者次第
 テイストがはっきりしてMDも継ぎ接ぎになっておらず固定客がしっかり付いているブランドは皆、自社開発の計画MD体制だと思われるかも知れないが、計画MDでも意外とODMを活用しているブランドも多い。
 ODMが同質化と値崩れを招くのは短サイクルで売れ筋を追うからで、商品計画をビジュアルに明示して業者に十分な時間とコストを与えれば、結構、完成度の高い商品が出来上がる。企画から納品まで8週では流通素材と在りパターンに載せたアバウトな商品しか出来なくても、12週ならオリジナルプリントや専用パターンで味を出して来るし、16週以上ならオリジナル織り地の開発も期待出来る。もちろん単なる振り屋で素材開発背景を持たない業者に時間とコストを与える意味はないが、テキスタイルコンバーター系や素材開発スタッフを抱える業者なら覿面の効果が期待出来る。大切なのは発注する側がルック/カラー/素材/アイテムの商品計画を早期に決定する事で、何を開発して欲しいかビジュアルに明示して開発期間と開発費用を与えればODMでも完成度の高い計画MDが十分に可能だ。「ニコアンド」などODMによる計画MDの典型的な成功例と言えよう。
 OEMにもまた別の効用が期待出来る。OEM本来のメリットは、商社が早期から開発した標準素材と標準パターンにブランドの企画を載せれば手堅い標準規格商品が得られる事で、商社の仕掛かり与信力や在庫保管分納体制も活用出来る。OEMのデメリットは、どのブランドが発注しても同一アイテムは似たような仕上がりになって同質化し、標準規格品ゆえ味も薄くなってしまうというものだが、立場が違えばメリットともなる。ODMに依存して規格と品質が安定しないブランドにとっては手堅い標準規格商品が得られる商社OEMはメリットが大きく、キレイ目志向が強まる局面では絶大な効果を発揮する。
 ODMもOEMも発注するブランド側次第で毒にも薬にもなる。自社の戦略を明確にして業者の力量を最大限に引き出す使い方が出来るか否かが問われているのではないか。
 2013/10/22 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

魔法の中世から科学の現代へ
 週末にTVを見ていたら食品スーパーの52週MDが紹介されていたが、前年の競合各社のチラシと家庭の食卓メニュー調査に基づく科学的な52週MD計画になるほどと感心させられた。そのチラシにしても単品価格訴求からクロスマーチャンダイジング訴求(カレールーにじゃがいもとタマネギなど)に移行しつつあり、一部のスーパーではPB食品をNBメーカーへの別注や外部工場への生産委託ではなく自社工場で原材料から加工して品質と味を追求するなど、食品スーパー業界の先進性に改めて目を見張らされた。
 我らアパレル業界ではOEM/ODMが蔓延してブランドの品質管理も感性管理(食品の味に相当する)も怪しく、52週MDも売れ筋の後追いに終始するばかりで、計画MDの52週制御が定着しているユニクロにしてもチラシは単品価格訴求ばかりだ。売場の照明にしても食品業界では精肉用(かなり赤い)、鮮魚・寿司用、青果・花き用、総菜・パン用、日配用と使い分けるのが常識だが、我らアパレル業界では素材別の使い分けなどなく気分とテイストで使い分けているに過ぎない。科学が競われる世界とマジックが競われる世界の違いはまるで現代と中世のようだ。
 そんな想いで新聞に織り込まれたチラシを見てみると、こりゃピンタレストではないか。デジタルの世界では順序は自在に入れ替えられるのにアナログなチラシでは動かせないという違いはあるものの、ピンタレストはウェブ世界の電子チラシなんだと会得した。eコマースの世界も食品スーパーを勉強すると目から鱗の革新が進むのかも知れない。ならばアパレルの人たちが食品スーパーに学べば魔女狩りの中世から科学の現代へと目も開くというものだ。
 2013/10/21 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

視野も了見も狭いモルタルデベ
 ファッション消費におけるショールーミングが市民権を確立するのか否かが注目される「WEAR」だが、スタートトゥデイは店や館の許可を得ないとバーコードを読み取れないチェックイン機能を設定して決戦を回避してしまい、コーディネイト比較SNSというオブラート部分を前面に出したアフィリエイトビジネスとしてスタートを切るようだ。とりあえず羊の皮を被って普及を進め、ショールーミングが購買慣習として市民権を得た段階でチェックイン機能を外すという事なのだろうが、これではヤフージャパンの「eコマース革命宣言」のようなインパクトを欠き、自由なショールーミングを期待した消費者の失望を買う事になる。駅ビルなどモルタルデベの拒絶反応を考慮せざるを得なかったのだろうが、そんな妥協を強いたモルタルデベの視野の狭さが嘆かわしく思われる。
 スマホによるSNSやショールーミングはモルタル店舗の売上をECに攫う面もあるが、同時にモルタル店舗の売上も嵩上げする。当社が主催するSPAC研究会メンバーアンケートに拠れば、オムニチャネル戦略によってEC売上が平均12.0%増加する一方、モルタル店舗の売上も平均9.4%増加すると回答しており、ECの拡大がモルタル店舗の売上を食うというカニバリの報告は皆無だった。実際、ECが伸びているブランドほどモルタル店舗の売上も伸びており、ウィンウィンな効果が実感されている。
 米国ではモルタルデベは一切、ショールーミングを規制していないが、それはオムニチャネル化によってモルタル店舗も恩恵を受ける事が実感されているからではないか。価格比較型ショールーミングがモルタル店舗を追い詰める家電業界はともかく、価格比較ではなく利便性でショールーミングされるブランドファッション分野ではモルタルデベが恐れるような消費流出は起こらず、オムニチャネルショッピングはモルタル店舗にも売上増という恩恵をもたらしている。スマホが国民生活に定着しショールーミングが購買慣習となっていく中、モルタルデベや百貨店は狭い了見に囚われず、自らオムニチャネル戦略を押し進めてスマホ文明の果実を手にする事に注力すべきだ。
 2013/10/18 11:07  この記事のURL  /  コメント(0)

デザイナーの魔法に縋りたい?
 昨日は本日開催する「マーチャンダイジング&在庫運用ゼミ」の準備の合間を縫って尾州素材展を覗かせてもらった。その印象を素直に言わせてもらえば、各社とも毛織物産地という枠内でトレンドに沿ったテキスタイルを提案しており、共通性が先に立って各社の特色が目立たなかった。欧州のテキスタイル展ではトレンドに対応しても各社が自社の強みに絞り込んで提案しており、産地としての共通性が前面に出るという印象は薄かったと記憶している。
 テキスタイラーは手持ち織機が対応出来る範囲でトレンドに対応するのだろうが、多種な織機を持っているのか限られた織機で工夫を凝らしているのか、各社とも意外に様々なテキスタイルを開発しており、結果として何処も似通ってしまうのは不思議な気がした。コンバーターの展示会でもあるまいに、器用過ぎるのかリスクを絞れないのか、考えさせられてしまった。
 主催者の方とファクトリーダイレクトSPAについて立ち話をしたが、備蓄糸から紡いで製品化するニット/ジャージ系や備蓄素材から縫製して製品化するシャツ系はともかく、毛織物からファクトリーダイレクトSPAを年間稼働するのは難し過ぎるという結論となった。合繊プリーツ加工素材による「プリーツプリーズ」のようなロジックは毛織物では成立しそうもないが、三宅一生さんのような天才的デザイナーなら魔法を見せてくれるのかも・・・・という話で終わりました。クリエイティブなデザイナーの本来の役割は物作りと顧客ニーズを繋いでファクトリーダイレクトを実現する事なのかも知れませんネ。
 2013/10/17 13:59  この記事のURL  /  コメント(0)

「取り易い戻し易い」陳列
 昨日の日経MJのコラムで榎本博之さんという食品分野のコンサルタントの方が陳列の三原則を論じておられたが、アパレル業界では死角になっている点を指摘されていて、長年不思議に思っていた事がなるほどと会得される思いがした。
 三原則のうち「見易い」「選び易い」は同じだが、「取り易い戻し易い」はアパレル業界では聞いた事もない。これは手の届かない高い陳列やひとつ取ると崩れかねない山積み陳列を注意したものだが、「ユニクロ」などそんなタブーのオンパレードになっている。お客様が自分のサイズを探してパンツやトップスの山から一枚抜く度に山が崩れ、店舗スタッフがいちいち畳み直さなければならなくなる。試着室で落ちた商品を棚に戻したり、売れたら売れたでストックからいちいち棚出ししなければならないから、一日中、店内物流業務に忙殺される事になる。壁面高く積み上げた商品はお客様には手が届かないから、必要なら店舗スタッフが脚立に乗って取り出さなければならないが、この作業には危険が伴う。
 こうして見るとアパレル業界、とりわけ単品量販型の陳列は「取り易い戻し易い」という原則を無視して膨大な店内物流業務を発生させており、それが「ブラック企業神話」にも繋がっているように思われる。単品量販で「常識」とされているセルフサービスと棚積み陳列が実は膨大な店内物流業務の元凶である事を果たして経営者は理解しているだろうか。
 VMDとは購買プロセスと販売プロセスを一致させて顧客と店舗スタッフ双方の作業量を極小化するものだとすれば、「ユニクロ」も「GAP」も膨大な無駄を垂れ流す古典的なVMDに留まっていると指摘せざるを得ない。『単品量販=セルフサービス&棚積み陳列』という常識は「神話」でしかないと思う。
 
 2013/10/16 12:42  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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