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H&Mは奇跡を起こせるのか!
 モードトレンドに乗って勢いづくH&Mが既存の低迷SCや不振が予想される新設SCへの出店を次々と表明しているが、果たしてH&M出店で売れないSCも売れるようになるという‘奇跡’が起こるものなのだろうか。
 唖然とさせられたのが久しくシャッター街化していた著名な低迷SCであるユニモちはら台への出店だ。同SCは道路面から目立たない建築配置や昇降導線の問題に加え、人口密度の高い北側をライバルSCに抑えられて人口密度の極端に低い南側の農村地帯にしか商圏を拡げられず、売上不振から退店が相次いで営業継続さえ危ぶまれていた。そんな事情を抱えた低迷SCでもH&Mの集客力で勢いを盛り返せるものなのだろうか。
 これから開業するSCでも苦戦が予測される中部地方の某郊外大型SCへの出店を表明しているが、当社の予測では衣料テナントの平均月坪効率は○○.○万円に留まる。H&Mが出店すれば、その集客力でどこまで嵩上げ出来るのだろうか。
 ひとつの例として、イオンモール武蔵村山のケースが挙げられよう。撤退した三越の跡に1Fフラクサス/2Fビクトリア/3Fコジマと入れてモール中央1〜2Fに在ったフラクサスの跡にH&Mを入れるなど様々な手を打った結果、三越時代の325億円が13年3月期には400億円を超えるまで大きく改善されている。三越跡の入れ替え効果などを差し引いた純粋なH&M効果は、2200平米のH&M自体の売上が14億円前後と推計されるから、フラクサス当時からの売上増加額にH&M誘引客の波及効果を含めても17億円程度と推察される。
 中部地方某郊外大型SCの場合、同様な効果が発揮されるとしたらSC全体の予測売上が12億円弱上乗せされ、衣料テナントの平均坪月効率は6000円ほど嵩上げされる。この効果を大きいと見るか、それほどでもないと見るか微妙なところであろう。H&Mが1900平米で出店するユニモちはら台の場合は、極端に低迷しているだけにもっと劇的な効果が期待されるが、売上の嵩上げ額を予測するのは難しい。SC全体の月坪効率を一万円も押し上げれば‘奇跡’と言って良いのではないか。
 2013/09/09 12:05  この記事のURL  /  コメント(0)

9月8日朝5時 明暗が分かれる
 今週日曜の朝5時、今後の景気の明暗を分ける決定が発表される。ご存知2020年夏期オリンピック開催地が発表されるのだ。秋から減速が予想される景気を一転して高揚させると期待される東京オリンピックだが、既に株式市場は関連銘柄の物色に沸いている。東京が開催地に決定されれば月曜の日経平均は千円以上高騰し、投資も消費も一気に沸騰するに違いない。まさにバブル景気の再来が現実となるのだ。
 問題は期待に反して東京が落選した場合だ。月曜の株式市場は暴落し、日本中ががっかり感に染まって消費も停滞し、来春の消費税増税も困難になる。ブックメーカーの賭け倍率を見ても東京は圧倒的本命のようだからそんな事は考え難いが、全柔連の不祥事や猪瀬東京都知事の失言に福島第一原発の汚染拡散が加わる中、楽観は出来ない。
 ひとつの決定がこれほど国家の明暗を左右するなど、まさに歴史的事件と言うべきで、投資家やファンドマネージャーはもちろん、各業界とも固唾をのんでその瞬間を待っている。9月8日朝5時のTV視聴率は歴史的高率を記録し、9月9日月曜は今年一番忙しい一日になるに違いない。
 2013/09/06 09:56  この記事のURL  /  コメント(0)

CUTE CUBE HARAJUKUへ行ってみたら
 昨日は朝から竹下通りに翌日開業するという商業施設「CUTE CUBE HARAJUKU」の内覧会に行ってみました。延べ床面積1900平米、テナント10店舗というミニ施設ですが間口は57mもあって竹下通りの十分の一を占めるそうです。
 目玉は何と言っても心斎橋に続いて日本二号店関東初というH&M社の「MONKI」で、1FとB1二層でほぼ100坪を占めます。1Fはちょっと大人っぽくて?という感じでしたが、B1は心斎橋と同様、ポップなストリートマインド溢れるいい感じでした。中でも原宿店限定コレクションのグラフィックプリントアイテムは活きが良くて超値頃ですから、開店すれば即完売しそう。平板なアイテムもあるものの色柄からきちんとルックを組んだコレクションはお値打ちで、テイストは違うけど「Bershka」といい勝負かも。キャラクター溢れるパーソナリティが競う商品開発は売れ筋後追い継ぎ接ぎMDの日本流ファストファッションとは一線を画していると思います。
 順路に沿って1Fに移り可愛いお嬢さんに惹かれて入った「ATOMICBOXX」はオルケスのウェブサイトが運営するリアル店舗一号店。商品を見て触って試着してウェブサイトで買ってもらおうというショールーミングショップですが、普通に買って持ち帰る事も出来るそうです。
 モルタルVS.クリックのショールーミング戦争が勃発し、オムニチャネルなアプリや新機軸商法が続々と登場する中、古典的なモルタル商売に固執していては置いて行かれるのは必定でしょう。デベや百貨店の経営陣には頭を切り替えてもらうしかありませんネ。




 2013/09/05 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

「WEAR」は阻止出来ない
 スタートトゥデイの「WEAR」が業界に与えた衝撃は大きく、ルミネや東急グループが禁止通達を出し、スタートトゥデイ側も導入を延期しながらテナント企業を説得して陣営を固めつつある。肝心の有力テナント企業は明確な方針を明らかにしていないが、『路面店に限定』を建前に導入を拡げる方針と見る。
 「WEAR」に限らず、店頭のバーコードをスマホのカメラでスキャンしてECサイトに飛ばすショールーミングアプリはウェブ上から無料配布すれば止めようが無く拡散してしまうし、JANで統一されているバーコードを館によって変えるのも非現実的だ。Amazonのように黙々とアプリを無料配布して拡散させれば済むのにスタートトゥデイは何故、大騒ぎして業界に石を投げたのか不可解と言うしかないが、彼なりに仁義を切ったのかも知れない。
 館側としてもスマホ撮影禁止通達を出したり出店契約違反と脅してみたりしているが、現実的にはバーコードを撤去させる訳にも顧客のスマホ撮影をいちいち警備員に阻止させる訳にも行かない。テナント企業が『路面店に限定』と言い訳しても館と路面でバーコードを変えられるはずもなく、結局はなし崩しに広がってしまう。店頭で商品やバーコードを撮影してSNSで交流したりショールーミングするのはもはやスマホ世代の日常的ライフスタイルであり、誰も止められないパンデミックと諦めるしかないのが現実だ。
 館や百貨店としてはテナントやブランドを規制する事は出来ても顧客は規制出来ないから、結局は打つ手が無いのではないか。強引に阻止したいなら、専用バーコードへの付け替えを強制するかWiFi妨害電波を流すしか無い。それとも警備員を増員したり販売員に顧客のスキャン行為を阻止させるのだろうか。いずれも大ブーイングを招くから現実的とは言えない。結局は「WEAR」のみならず様々なショールーミングアプリが氾濫してモルタル店頭から売上をさらって行くのを館や百貨店は指をくわえて見過ごすしかないのかも・・・・少なくとも米国では規制するモールは見当たらない。
 テナント/ブランド側としてはモルタル店舗より格段に営業経費率が低いEC売上を拡大したいのが本音だし、顧客は自在にオムニチャネルショッピングを楽しみたいのだから、館や百貨店には大義も分も無い。姑息な規制を仕掛けるより自らのオムニチャネル戦略を確立するのが先決なのではないか。専用バーコードを強要して流通の効率化に逆行する事だけは業界ぐるみで阻止すべきだ。
 2013/09/04 09:49  この記事のURL  /  コメント(0)

人の世は所詮、祭りごと
 この業界ではクリエイションとランウェイばかりが囃され行政の支援も‘祭り’に終始するのが実情で、流通小売の技術革新に光が当たる事はほとんどなかった。DCブランド華やかなりし80年代にはデザイナーのギルドが業界を振り回し、あまりにデザイナーにリスクが集中するのを嫌気した企業がDCビジネスから離れ、90年代以降、SPA化と企画開発の外注化(OEM/ODM)が急進してMDに権限が集中しデザイナーの地位が凋落するという反動を招いた。 
 00年代に入ってSPA化はさらに進み業界の付加価値率(値入)は嵩上げられたものの、原価率の切り下げと売れ筋後追いの52週MDが蔓延してバリュー感は低下し、セール乱発で歩留まり率が悪化し収益はかえって低迷するに至った。OEM/ODM依存の売れ筋後追い52週MDに流れてクリエイティブな計画MDが確立されず、店舗運営と在庫運用の技術革新が停滞して(むしろ退化して)消化回転が悪化し、付加価値の創造も実現も劣化して行ったのが実情ではないか。
 人の世は所詮、祭りごとに終始するのだろうが、クリエイションやランウェイといったお祭りの一方で地道な流通小売の技術革新にも注力しないと付加価値の創造が実現に繋がらない。マジックやオカルトがもてはやされるこの業界だが、その百分の一、千分の一でも科学(フィールドデータ)に裏付けられた流通小売の技術革新に力を割いても罰は当たらないのではないか。
 2013/09/03 10:24  この記事のURL  /  コメント(1)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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