| Main | 次へ
大西様ありがとう御座います
 昨夕は三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長をゲスト講師にお招きしてSPACビッグコンベンションを開催し、コンベンション後の懇親パーティまで大いに盛り上がりました。超ご多忙にも拘らず大西様は本講演のために資料を再構成して下さり、顧客と現場を緻密に検証したマーケティングとマーチャンダイジング、売場運営体制から現場の意欲を高める人事考課まで、とことん真面目に向き合う真摯な経営をお話し下さいました。懇親パーティにも遅くまでお付き合い頂き、誰にも対等目線で接する誠実なお人柄に触れる事が出来ました。大西様ありがとう御座います。ご返礼という訳ではありませんが、今朝は早速、ルン妻が秋の新作を購入に新宿伊勢丹本店に出動したようです(笑)。
 大西様率いる三越伊勢丹が突出すればするほど他百貨店との格差が広がり、大手アパレル業界の淘汰を加速してしまうという弊害?は指摘されるものの、その責を三越伊勢丹に問う訳にもいかない。すべては他百貨店の不勉強が招いた自業自得だからだ。百貨店の抜本的革新を問う当社の「百貨店MD技術革新ゼミ」(9月12日開催予定)もほとんど反応がなく、百貨店人は学ぶ意志が無い事を改めて痛感させられた。ちなみに前日開催の「商業施設開発・リモデル戦略ゼミ」は定員まであと数名と手応えがあるから、百貨店人の自尊心の高さと不勉強ぶりは突出している。これに懲りずに百貨店の研究を続けるべきか、さすがに考えてしまう。
 2013/08/30 13:28  この記事のURL  /  コメント(0)

アパレル流通は効率化したか?
 流通の効率を示す指標にW/R比率(Wholesale売上に対するRetail売上の比率)というものがある。日米貿易摩擦が過熱した90年前後、米国はこの指標を取り上げて日本の流通の非効率性を指摘し、流通規制の撤廃を迫ったものだ。
 我らアパレル業界のW/R比率はSPA化の急進で02年の1.93倍から12年の0.86倍へと急ピッチで改善されたが、アパレル流通は必ずしも効率化したとは言えない。何故なら付加価値がSPA事業者に集中した分、流通のロスとコストもSPA事業者に集中し、「正価」に対する調達原価率が年々切り下げられてバリュー感は逆に損なわれ、様々なセールが乱発される状況を招いたからだ。
 上場アパレル企業平均の粗利益率は02年の47.4%から12年は52.2%と4.8ポイント利幅を拡げたが、営業経費率も40.8%から47.1%に肥大し、営業利益率は6.6%から5.1%に低下した。SPACメンバーアンケートに拠れば、ロス率も07年の18.6%から12年には23.1%と4.5ポイントも悪化している。02年のロス率を07年と同一水準と見ても、アパレル企業の調達原価率は02年〜12年間に平均9.3ポイントも切り下げられた計算になる。ファーストリテイリング社を除き、大手カジュアルSPAの調達原価率はこの間に10ポイント近く切り下げられているから、9.3ポイントという平均値が業界の趨勢を反映しているのは間違いない。
 調達原価率を切り下げて値入れを嵩上げた分、バリュー感が低下して「正価」が通らずロス率が肥大し、マーケティングコスト(営業経費率)も肥大して収益率は却って低下するという『笊抜け体質』に陥っていたのだ。
 SPA事業者に付加価値が集中しても、値下げロスを抑制しない限り付加価値は実現せず、肥大するロスとマーケティングコストがさらに調達原価率を切り下げてバリューが低下するという悪循環に陥り、アパレル流通は必ずしも効率化されなかった。その最大の要因は、SPA事業者の多くが調達原価率の切り下げによる値入れの嵩上げとその実現へのプロモーションに注力する一方、計画MDに基づいて素材開発や生産工程へ踏み込むという抜本的なバリュー創造、陳列フェイスを起点とした効率的な配分・補給〜再編集運用・店間移動によるロスの極小化というリテイリング技術革新を軽視した事に他ならない。
 プロモーションを否定する訳ではないが、抜本的なバリュー創造とリテイリング技術革新を欠いては『笊抜け体質』から脱却出来ない。アジア諸国の生産コストが急騰し円安が定着する中、もはや調達原価率の切り下げは困難で、顧客がお値打ちと感じる「正価」を実現する本質的な革新が問われている。明日29日に開催する「SPACビッグコンベンション」ではアパレル/SPA企業の経営指標変化をグローバルに検証して抜本的な革新を迫りたい。
 2013/08/28 11:19  この記事のURL  /  コメント(0)

リアリティを欠く商業施設開発
 今朝のWWDジャパンで編集委員の三浦彰氏が近年開業の阪急メンズ東京、ルミネ有楽町店、東急プラザ表参道原宿、ダイバーシティ、東京ソラマチ、JR大阪三越伊勢丹、グランフロント大阪、いずれも予想売上(予算?)を下回っているとして、慎重な判断や中止する勇気が必要と提言していたが、これらの商業施設はいずれも足下商圏が見えない超広域型で流動客に依存する点が共通している。それなら直近開業のみなとみらいマークイズも加えるべきであろう。
 足下商圏が見えないということは衣食住サのバランスも客単価も読めない訳で、ほとんど博打に近い。数十億数百億を投資する事業としてはリスクが大き過ぎる。ましてや、いずれも需要が激減して必然性の疑わしい衣料品や服飾品に大半の面積を割いており、著しく科学的統計的検証を欠いている。これでは事業ではなく水商売か博打でしかない。
 優秀な人材が集中しテナント/ブランド集めも有利なはずの一流企業が手掛けたこれら注目施設が悉く苦戦している要因は、科学的統計的に検証して足下商圏の実需を漏らす事なく取り込むという商業施設開発の基本を軽視した事に尽きる。足下商圏は近隣に生活する居住者や通勤通学者を中核に、各種アクセス手段で来店し易い周辺顧客まで想定するもので、衣食住サのカテゴリー別需要は厳密に計算出来る。カテゴリー別の需要と確保可能な占拠率から必要な業種業態テナントのバラエティと売場面積は科学的に算出出来るのに、上記の施設を見る限り、それら科学的検証を積み上げた構成にはほど遠い。まさか商業施設開発をクリエイションと勘違いしているのではあるまいか。
 商業施設開発にせよ業態/ブランド開発にせよ、この業界ではクリエイションやマジックが信奉されるあまり科学的手順が蔑ろにされている。科学的手順を欠くリアリティのない商業施設開発がどんな結果を招くか。いい加減に目を覚ますべきではないか。9月11日に開催する「商業施設開発/リモデル戦略ゼミ」では近年の成功例/失敗例を多数取り上げ、商圏分析から施設構成までの科学的検証手順をリアルに公開したい。翌12日にはその百貨店向けゼミを予定しているが、不勉強な百貨店人はまったくの無反応で開催出来そうもない。
 2013/08/26 16:08  この記事のURL  /  コメント(0)

指導力を失った業界団体
 バーゲン時期問題でもショールーミング問題でも偽装二重価格問題でも業界人育成でも、寡占企業が力づくで押し切ったり寡占企業同士の喧嘩に終始したり見識を欠く権力者が暴走したりで、業界一丸となっての合理的な議論やルール作り、消費者保護の浄化運動、実務能力に直結するカリキュラム作りなどが進まない現状は憂慮すべきものがある。加えて、異論や正論を提議すれば村外れにされかねない厚顔無恥な業界体質は虐めが横行する崩壊学級と大差ない。人としての生き様さえ疑いたくなる比目魚体質や群雀体質を恥ずかしいとは思わないのだろうか。
 こんな状況を招いた要因は業界の指導層の見識と志の欠如に在り、結果として業界団体が本来の機能を発揮出来ていない。バーゲン時期問題もショールーミング問題も偽装二重価格問題も、本来なら業界団体が専門家や法律家の意見も聞いて衆議をまとめ、所轄官庁とも調整して統一見解や実効性のあるガイドラインを打ち出すべきである。業界団体指導層の反省と奮起を望みたい。
 2013/08/23 10:29  この記事のURL  /  コメント(0)

ウィゴーとスピンズに注目
 日本的ファストファッションたるマルキュー世界は外資ファストファッションに押しまくられて衰退が止まらないが、ユーズド風ストリートカジュアルからファストファッションに化けつつある「ウィゴー」と「スピンズ」が元気だ。今秋立ち上げでもマルキューブランドやヤングカジュアルブランドに新鮮ルックが見当たらない中、オオッ!と目を惹くトレンドルックを「H&M」を下回るチーププライスで打ち出している。
 店舗数の限られるファストファッションなのだからODM調達なのだろうが、これほどエッジの効いたトレンド商品をびっくりするようなチーププライスで打ち出せるのは業界に知られていない未知の技があるに違いない。コーディネーター達に聞いたところ、買い叩いたデッドストック素材の活用やデッドストック製品のリメイクが背景にあるのではとの事(ここではデッドストックを広義に捉えたい)。
 古着はモード志向や奇麗目トレンドに圧されて一時の勢いを失ったが、古着屋チェーンの一部はユーズド風ストリートカジュアルSPAに転身し、その中でもエッジーなストリートトレンドを訴求するブランドが特異なファストファッションに変貌しつつある。デッドストックのリメイク手法やユーズドで培った編集力をSPAに持ち込んだ濃い味のMDはエッジーだった往時の「TOPSHOP」や「KILIWATCH」に通ずるものがある。
 平凡なOEMやODMに流れる最近のセレクトSPAに較べれば、ユーズド系SPAの商品開発手法は一工夫も二工夫もされている。商品開発手法もMD編集手法もまだまだ研究すべき余地がある奥の深い領域だと思う。
 2013/08/22 10:52  この記事のURL  /  コメント(0)

| Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ