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ソルドの裏技にびっくり!
 極東の島国では消費者そっちのけで産地擁護などを理由にバーゲンを遅らせる混乱が続いているが、行政が開始日などのルールを定めるフランスでは夏ソルドは6月最終水曜日から、冬ソルドは1月第二水曜日から始まり、最大5週間続けられる。夏冬の二回以外にも年一回二週間まで、または年二回各一週間までのプチソルドを行う事が出来るが、開始予定日の一ヶ月前までに管轄県庁へ届け出る必要がある。ソルドされる商品は店頭で一ヶ月以上(日本は二週間)正価販売されたものでなくてはならず、ソルド用に調達した特価品の投入は禁じられている。これらに違反すれば高額の罰金が課されるなど、消費者保護が徹底されているそうだ。フランス語の法律文を読んだ訳ではなく日本語の解説を聞きかじった程度なので正確さを欠くかもしれないが、間違ってはいないと思う。
 なんでソルドの話かと言うと、昨夜19時からのTBSドキュメンタリーバラエティ「世界の日本人妻は見た!」で紹介されたソルドの裏技に度肝を抜かれたからだ(フランス男のお洒落への拘りには頭が下がった。退化に慣れてはいけない!)。ソルドの前日、下見にプランタンに出かけた元売れっ子局アナのマダムが商品タグに張られた色シールを見てソルドの割引率をチェックするというシーンがそれで、さすがの私もまったく知らなかった。早速、調べてみたらギャラリーラファイエットも同じような色シールで割引率を表示していたが、実はこの色シールは下見に来るお客様へのサービスではなく、ソルドに先行する上顧客向けシークレットセールの暗号なのだそうだ。
 ソルド前には表立った割引販売は出来ないので、上顧客には暗号の読み方を記載した招待状を送り、ハウスカードを提示すると他のお客様には内緒で値引きしてくれるのだとか。ラグジュアリーブランドだけじゃなくデパートもシークレットセールをやってるんですね。
 バーゲンを遅らせる伊勢丹も上顧客には内緒の暗号を記した招待状を送ってシークレットセールをやっているのだろうか。Iカードで10%引きになる顧客(数十万人はいるのだろう)の私にもそんな招待状は来なかったから、余程の高額購入客にしか送ってないのか、そんなシークレットセールは存在しないのか。次のバーゲン直前には内緒の色シールを探してみる事にしよう。
 恐らくそんなシークレットセールはやっていないと思うが、混雑緩和のためにもプロパーで沢山買ってくれた顧客のためにも、是非ともやって頂きたいものだ。
 2013/07/31 10:28  この記事のURL  /  コメント(0)

駅ビルは産地のために在る?
 ルミネはバーゲンを遅らせる理由に国内産地振興を挙げているが、今や衣料品の国内生産比率は4%を切っており、ルミネに並ぶテナントの価格帯を考えれば国産品比率は1%あるかないかだから、ルミネがバーゲンを遅らせても産地振興に繋がるとは到底思えない。本気で国内産地振興を考えるなら、名産品コーナーを設けるより継続的なライン稼働を可能にするファクトリーダイレクトSPAの開発を啓蒙すべきと思うが、ルミネにも業界にもそんな気配は毛頭ない。
 ファクトリーダイレクトSPAは染色整理から製品化まで連続して生産ラインを稼働出来るMD展開が必要で、シャツやパンツ、ニットやジャージのシングルライナーが適しているが、通年の需要を喚起出来るスタイリング提案とシーズンMD展開、陳列フェイスを回して行くVMDとの連動を欠いては軌道に乗らない。幾つか存在するシングルライナー業態もメーカーズシャツ鎌倉(素材は使い切りだが)を除いてはファクトリーダイレクト性がなく、あっても生産ラインは国内ではない。
 最も理想に近いのは、アパレルではないが素材をほぼPVCワイヤーに限定したバッグのシングルライナー「アンテプリマ」だと思う。ニットでも糸から染色、編み立てと一貫する似たような仕掛けは十分に可能なはずだが、ブランド化して成功している事例は近年では国内外とも見られない(集中生産の卸型シングルライナーは存在する)。
 価格帯を考えれば国内産地振興に繋がるファクトリーダイレクト業態は多店舗展開の百貨店がオリジナルブランドとして手掛けるべきで、バーゲンを遅らせるより余程、産地振興に貢献出来るのではなかろうか。
 それにしても、ルミネはお客様のスマホによる商品スキャン(撮影)行為を禁止したり、産地振興のためにお客様の利便を損なってもバーゲンを遅らせるなど、お客様第一という商人道からの乖離が目立つ。まさか本当にお客様より産地が大切と思っているわけではなかろうが、バーゲンを遅らせる理由にこじつけるにも程が在ろう。
 ルミネは『駅ビルは産地のために在る』のではなく『店はお客様のために在る』事を商人として再認識すべきだと思う。
 2013/07/30 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

やはり全面戦争勃発
 と言っても尖閣諸島を巡る日中のお話ではない。スタートトゥデイが始めたショールーミングアプリ「WEAR」に逸早くモルタルデベロッパーが反撃しているというお話だ。
 「WEAR」はZOZOTOWNに参加するブランドの店頭商品にZOZOの商品ページに飛べるバーコードを付記してもらい、消費者がスマホでスキャンすればZOZOで買い物出来るというショールーミングアプリだが、スタートトゥデイの参加呼びかけが始まるや否や、ルミネを筆頭にモルタルデベ各社が「WEAR」を名指ししてテナント企業に禁止通達を出す騒ぎになっている。モルタルデベ側としては館の店頭からZOZOTOWNへ売上が流れる訳だから阻止に動くのも当然だが、その根拠として挙げている理由には頭を傾げざるを得ない。
 ルミネの挙げている理由は『店内撮影禁止なのだからスマホのカメラ機能を使うのも禁止』なのだそうだが、今時、商品を比較したり友人と商品情報を交換するのにスマホのカメラ機能を使うのは当たり前で、お客様のスマホ撮影を警備員に阻止させるつもりなのかと良識を疑ってしまう。ショールーミングが常識化した米国ではデベやデパートがお客様のスキャン行為を取り締まる事はあり得ず(あったら訴訟沙汰は避けられない)、むしろデベは便利なスマホ向けモールアプリを提供して顧客を惹き付け、デパートは自社サイトへ飛ばしてオムニチャネルな買い物の便宜を計っている。米国ではモルタルデベは一切ECモールを手掛けておらず、デパートは大半の商品が買取という背景の違いも在る。
 オムニチャネルショッピングが消費者に定着する中での今回のECデベとモルタルデベの対決は様々な課題を含んでいる。テナント側のO2O行為はともかく消費者のスキャン行為を阻止するのは時代錯誤が問われるし、商品在庫を保有しないデベや百貨店がテナント/ブランドの販売行為を何処まで制約出来るのか商法上の判断も問われよう。現実問題としては出店契約書や仕入れ契約書でO2O行為の範囲を合理的に規定すべきで、業界できちんと議論すべきだと思う。
 2013/07/25 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

「探す楽しみ」と言われても・・・
 クライアントが今春から始めた新業態を見に行った時、分類も陳列も解り難かったので販売員さんに尋ねたら『探す楽しみを狙って敢えて解り難くしています』と応えられてしまい、このままでは多店化は難しいのではと思ったが、余計な助言でクライアントの機嫌を損ねるのもメリットがないのでそのままにしている。最近の経営者は真摯な助言に耳を傾けるどころか、怒って契約を切られるのが関の山なので、もう直言はしない事にした。
 きちんと分類整理し棚割りや色順にこだわる正統派は今日、むしろ少数派で、ヴィレッジバンガードやドンキホーテのように敢えて混乱した陳列にして「探す楽しみ」を訴求するのが若者に享けているという世相だが、実態は流通業の技術的退化に過ぎない。実際、ヴィレッジバンガードは不振在庫の滞貨に苦しんでおり、商品回転は年1.49回に留まる。ドンキホーテは食品が三割り近くを占めるから年4.75回とややましだが、量販店としてはかなり低い(いずれも直近決算公表値)。
 「探す楽しみ」は逆に言えば「探さないと見つからない」わけで、買う側にとっても売る側にとっても非効率な陳列手法と言わざるを得ない。商品回転ではっきり答えが出ているのだから、安易に真似すべきではあるまい。ましてや分類や陳列の基本を学ばない言い訳に使われるのは如何なものかと思う。
 2013/07/24 09:09  この記事のURL  /  コメント(1)

購買パターンとフェイシング量
 「フェイシング量」とは売場で同じ商品(SKU)をいくつ陳列するかというMDの基本中の基本ですが、買い物に行くと有力チェーンでもエッ?という陳列量に困ってしまう事があります。誰もがひとつしか買わない商品ならともかく、複数買いが普通の商品もあるからです。
 例えば食器ですが、十人十色のマグカップならともかく一般的なディナー食器では半ダース買いが多く、三つや四つの陳列量では足りません。それはタオルも同様で、最低でもSKUあたり1ダース以上積んでおかないとすぐに欠品してしまいます。
 フェイシング量の基本は「最低陳列量+次回補充までの販売量」ですから、コンビニでは日配食品は半日分、グロサリーは1日分、スーパーでは日配食品は一日分、グロサリーやドラッグは2〜3日分の販売量だと推定出来ます。特売で積み上げたティッシュペーパーなどは別として、豆腐や納豆などの日配食品はもちろん、女性用の衛生用品などからその店の商圏規模がだいたい推定出来るものなのです。
 最近はフェイシング量の基本が崩れた店もあり、必ずしもこの推察方法が当たらない事もあるようですが、そんな店は売上も在庫回転も低位に留まるでしょう。アパレル業界など、「フェイシング量」という概念さえ知らないどんぶり勘定の店も少なくないと思われます。流通業界に限らずプロとしての基本が崩れがちの日本の将来が不安です。我ら業界でも、せめてフェイシング量と補充サイクル、分類配置と棚割り、元番地と出前運用(食品分野ではクロスマーチャンダイジングと言う)の基本ぐらい維持して欲しいものです。
 2013/07/23 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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