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韓流ファッションの‘どこでもドア’
 今朝の繊研新聞一面は『韓国ファッションの裾野が広がる』と打ち上げて韓国のOEM業者やアパレルがネットやショップで進出していると報じていたが、いまさらという感がないでもない。109市場では以前から韓流商品が溢れていたし、ネットでは昨年春から韓流ファッションサイトの「DHOLIC」がブームになり、今春は中国市場を席巻しているイーランドが「MISSO」を上陸させ、7月には「SPAO」も投入する。総じて低価格、ファスト、ウェットなセクシーカジュアルというイメージが強いが、それは韓国ファッションの一面に過ぎない。
 韓国ファッションはセクシーカジュアルやアメカジからフェミニンモードやスタイリッシュモード、ブリティッシュトラッドやエレガンスプレタまで日本同様なバラエティがあり、日本では消滅してしまった過去のビジネスモデルから最新のSPAやネットアパレルまで並存する業界構造が特筆される。ちなみに韓国アパレルの国内トップ企業はイーランドではなくサムスン財閥直系の第一毛織で、開発体制は三陽商会に近く「BEANPOLE」や「GALAXY」は「BURBERRY」的品質感がある。
 日本のテキスタイル業界が受注産業に変質し、墨田区近辺の小規模縫製工場が消えて久しいのに対し、韓国では企画素材を短サイクル小ロットで流通させるテキスタイル業者や都心ビル内の小規模縫製業者が多数残っており、そんな意匠性の流通素材を東大門市場などで購入して一晩二晩で製品化してもらい夜行バスや自家用車で持ち帰って売るセレクトSPA的地元専門店やブランドのFC店を展開する代理商的地元専門店もしっかり生き残っている。日本では80年代までで消えた業界が並存しているのだ。
 そんな韓国の流通テキスタイルや副資材、都心縫製工場を活用した小ロット短サイクルなキャリーSPAやODM業者が109世界を支えて来たのが実情で、そんな仕掛けを大規模工業化したファストファッションに圧迫されて109世界が衰退する中、韓流ブランド/SPAがダイレクトに進出して来たという現象は極めて興味深い。渋谷109と東大門、LAのCAL-Martと東大門は‘どこでもドア’で繋がった韓流コネクションという点で共通している。そのあたりに渋谷109再生の突破口があるのかも知れない。
 2013/06/27 10:39  この記事のURL  /  コメント(0)

大箱中箱小箱の需給ギャップ
 様々な商業施設の構成企画を手掛ける中、最終的なテナント配置段階ではてと思案するのが第一候補の後に続く第二第三候補だ。
 商業施設のテナント配置はゾーニングストーリーに基づいてサブ核となる大箱を最初に決め、中箱と小箱を業種・業態、客単価×客数のリズムをつけながら配置していくのだが、大箱は第一候補に続く類似テナントがほとんどなく、中箱、小箱と小さくなるほど類似テナントのバラエティが増えて行く。ゆえに大箱の第一候補が転けた場合の第二案は別業種にするか複数の中小箱を組み合わせて代替せざるを得ない。外資大型SPAやユニクロはそんな絶対ポジションにあるから、極端に低い家賃条件(恐らくオール込みで7〜9%)で着地する事になる。
 それに較べれば中箱小箱は代替候補があるだけ家賃条件は高くなるが、例外的に優遇されるテナントもある。それは類似テナントが存在しないケースで、マーケット開発の先駆者であったり、商品開発・調達の難度やロットによるバリュー格差の大きい分野だと思われる。先駆者が開発したマーケットも売れるとなれば新手の参入が続き、安易なODM系の低価格類似業態が氾濫すればブームも冷却してしまうが、新規参入が難しいか市場規模が過小評価されて類似業態が広がらない場合は先駆者利益が継続する。
 そんな有望分野は多くはないが、立地や客層、テイストや価格帯、提供方法や調達手法を緻密に検証してマーケットを鳥瞰する「ブランドツリー」を作れば、どこにチャンスがあるか一目瞭然となる。明日のSPAC研究会では最新の「13SS版ブランドツリー」完成版を配布するとしよう。
 2013/06/26 10:05  この記事のURL  /  コメント(0)

物見遊山より継続的商売を!
 「失われた20年」の果て、MD主導のOEM/ODMに流れて国内業界が開発力を失い、優れたクリエイターや素材メーカーは海外に活躍の地を求め、国内マーケットは外資ブランド/SPAに蹂躙される中、クリエイターや産地を見直そうという気運も見られるが、免罪符的物見遊山や一時的イベントに終始している現状は実効性が疑われる。百貨店の「一人SPA」や産地イベントも‘点’の取り組みに過ぎず、継続性も発展性も期待出来ない。
 本当にクリエイターや産地を活かしたいなら、‘点’のアクションではなく彼らをサプライチェーンの‘線’に繋いで継続的発展的ビジネスモデルに組み込むべきだ。それには糸から製品化まで繋ぐサプライチェーンと表裏一体になる市場性/継続性あるコンセプトを見出す必要がある。それはクリエイターや産地の業者はもちろん、市場を向いたMDerにも見え難いものだと思うが、古今東西のブランド/業態のビジネスモデルを検証して来た私は幾つかの仮説を抱いている。
 マーケットが求めるスタイリング/テイスト/アイテム/品質感/価格、年間のMD展開と売場陳列運用、顧客の購買誘導と販売プロセス、それらと一体になった開発・生産と補給プロセスをビジネスモデルの環に組み上げれば新たな市場が開け、産地はサプライチェーンを維持出来る。そんな産直的事業を「ファクトリーダイレクトSPA」として有望性を指摘して来たが、川上と川下が噛み合ないこの業界では一向に実現しない。「産地振興」を謳うなら、その実現に取り組んで欲しいものだ。
 2013/06/25 11:01  この記事のURL  /  コメント(0)

カジュアルストア開発の格差
 次々と新設される商業施設に並ぶ顔ぶれを見ていると、外資SPAの‘大箱’や‘大目玉’のLAライフスタイル系セレクトストアの一方、セレクトチェーンやカジュアルチェーンが競い合うに開発した‘中箱’のカジュアルストアが目立つが、開発初期に較べて格差が開いて来たように感じる。
 今更ニューファミリーでもないとは思うが、セレクトブランドとのコラボ企画などを鏤めたMDは薄味なカジュアルSPAとは一線を画した魅力があり、カジュアルチェーンがODMの寄せ集めで手がける類似ストアとは明らかに格が違う。カジュアルチェーン系のアパーポピュラー価格よりツーラインほど高いロワーモデレート価格にはなるが、その差を上回る価値が認められる。
 格差を感じる一番のポイントは多店化によるロット拡大が進化をもたらしているか否かだ。開発初期は店舗数が限られて流通素材によるODM衣料や問屋から掻き集めた雑貨ばかりになるのもやむを得ないが、2ダース3ダースと店数が揃って来ると開発素材によるOEM/ODMに移行し、有力ブランドとのコラボ企画も可能になる。はっきりと変貌するのが5ダースあたりからで、自社で企画開発スタッフを抱えても固定費を吸収出来るロットに近づくから、素材からの自社開発体制に順次、移行する事も可能だ。10ダースの店舗展開に至れば開発固定費負担は格段に軽くなって自社企画開発体制に移行し切れるし、衣料品よりロットの大きい生活雑貨やHBCもODMが可能になって衣料品に遜色ない値入れを確保出来るようになる。
 このプロセスは商品開発上は「可能」だが多店舗間在庫運用やVMD運用の技術革新による回転消化が伴わないと頓挫してしまうし、何より経営者が手早く市況対応が可能なODMから抜け出す‘志’を持つか否かが大きい。セレクトチェーンやカジュアルチェーンが開発するカジュアルストアの‘格差’とは、このプロセスにおける技術革新と‘経営意志’の現れなのだろう。

 2013/06/24 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

歴史認識?を問う
 なんて言っても隣国の女性大統領の発言ではない。もちろん、我らファッション業界のお話だ。バーゲン時期分散はこの夏も尾を引いて「三度目の正直」が問われているが、実態は大手NBの孤立になりそうだ。
 バーゲン後倒し派の急先鋒たるルミネはフライングを厳重に取り締まる方針をテナントに通達したそうだが、元より駅ビルにはODM型/OEM型/自社開発型の3タイプのアパレルテナントが混在しており、ODM型は既に実質セールに突入、OEM型は6月末から、自社開発型は7月半ばからセールに入るのが実勢だ。館のバーゲン時期に拘らず実勢は三段階で進んで行くから、下手に取り締まればセールの盛り上がりに水を差すだけなのではないか。
 伊勢丹にすればアパレルの主力はもはや自社開発の海外ブランドやクリエイターブランド、東京セレクトブランドだからセール後倒しも論拠が無い訳ではないが、OEM見え見えのOLブランドやクリエイティブとは言えない大手NBまで後倒しに相乗りするのは違和感がある。NB比率の高いコンサバな百貨店が先行してセールに入る中、一部大手NBがセールにならないというのは消費者の反発を招きかねない。『いったい何様のつもり!』というブーイングが聞こえて来そうだ。
 百貨店NBは90年代中期の歩率切り下げで価格と品質のバランスを崩して客離れを招いたという歴史を忘れ、今度はセール後倒しで顧客の離反を招くという過ちを犯しつつある。NBが百貨店の主役であった良き時代ならともかく、海外ブランドやクリエイターブランド、駅ビル系ブランドが跋扈してNBが主導権を失った今日、セール後倒しは顧客の離反を招いて自らの首を絞めるだけではなかろうか。‘歴史認識’どころか‘現状認識’も疑われる。
 テナント貸しの駅ビルにせよ消化仕入れの百貨店にせよ、商法では価格決定権は商品を所有するテナント/ブランド側に在り、館側はバーゲン時期を強制する法的根拠を持たない。バーゲン時期の統一は顧客の支持と相互利益があってこそ成り立つものであり、テナント/ブランド側の営業政策がタイプ別に異なる以上、段階的な開催が実勢とならざるを得ない。その中で、テナント/ブランドは館に振り回されない独自の営業政策とブランディングを貫くべきだし、館側はそれを無理にねじ曲げない範囲で競争優位なバーゲン戦略を仕掛けるべきだ。
 バーゲン時期の混乱は消費に水を差す愚行であり、‘歴史認識’と‘現状認識’の上に聡明な収拾を図ってもらいたい。
 2013/06/21 09:59  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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