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靴が変ったけど・・・・
 この一年ほどで私のシューズ・ワードローブは大きく変わった。ビジネススタイルの常識だった革底のパンプスは出番が急減してラバー底のモードスニーカーに替わり、ビジカジスタイルのみならずスーツスタイルの時も日常の場ではガルディアーニのモードスニーカーで済ませている。週末やリゾートではドライビングシューズやプーマのモードスニーカー、あるいはアウトドアシューズばかりだから、革靴というものをまったく買わなくなった。契機は数年前の腰痛からだったと思うが、コンフォートな靴に慣れた今となっては革靴は痛くてたまらず、講演など公式な場では革靴にドクターインソールを入れて耐えている。
 夏場になると白いモードスニーカーが欲しくなるが、ガルディアーニはビジネスシーンに耐えるデザインは黒ばかりだし、Y3やプラダは白はあってもカジュアル過ぎてビジネスには無理で、メッシュのドライビングシューズで誤摩化すしかない。モードスニーカー派のビジネスマンは未だ少数派なのだろうか。 
 ルン妻もドルガバやジミーチューのハイヒールパンプスは辛いようで夜のお出かけに限り、日常はもっぱらトッズのフラットシューズで済ませているようだ。コーディネーターに聞いても、いまや小キレイなオフィスワークで済むOLは少数派でアクセク働くにはコンフォートな靴が不可欠と言うのだが、靴売場を拡充した百貨店では洒落たデザインのヒールパンプスやハイソールのサンダルばかりが目立つ。モード回帰が言われてもOLのライフスタイルが昔に戻る訳ではないから、現実離れした提案なのかも知れない。インヒールスニーカーやコンフォートサンダル、フラットなバレーシューズも広がっているが、ビジネスシーンでの着用には限界があろう。
 コンフォートな靴を求めるのは歳のせいなのか機能性の必然なのか判然としないし、クロックスまで崩すのは如何なものかとも思うが、モードトレンドとコンフォートな機能性を両立する商品開発が遅れているのは間違いない。ユニクロやJINSの勢いを見るにつけ、モードと機能を両立させる商品開発の重要性は靴分野でも同様だと思う。
 2013/05/22 11:13  この記事のURL  /  コメント(0)

街ぐるみのバーゲン祭り
 四月の百貨店売上がようやく発表されたが、大方の予想をさらに下回る厳しいものだった。全国百貨店は三月の勢いから一転して0.5%減、婦人服は3.0%減、紳士服も3.4%減、資産効果が乗った東京地区も総額2.1%増、婦人服、紳士服とも2.4%増に留まった。輸入ブランド雑貨や高級時計、宝飾品などは好調を継続したが、三月の需要先食いと天候不順に災いされた衣料品は伸び悩んだ。
 四月の低迷で業界は在庫を抱え新鮮企画の夏物や晩夏物を大きく投入する余地を失っており、プレセールを仕掛けて在庫処理に走らざるを得ない。先週のルミネはカード優待10%オフセールを仕掛け、夏物実需期を迎えてファッションビルや百貨店も部分的なプレセールを始めている。六月に入れば駅ビル/ファッションビルでは五月雨式にプレセールが広がり、高級ブランドからはシークレットセールの案内が届くようになる。その一方、一部の百貨店やセレクトショップは例年より早くプレフォールの紹介を始めるようだ。
 NYでは既に20%オフ程度のプレセールに突入しており、六月半ばには50%オフの本セールが始まるが、色/サイズがまだ揃った20%オフで買うか50%オフになって残り物を漁るか(最終は70%オフまで行く)、顧客とストアのせめぎ合いが盛り上がる一方、上顧客にはプレフォール紹介イベントの案内が届き始めている。
 NYでもパリでもシンガポールでも、海外観光客が大量に押し寄せるファッションキャピタルではバーゲン時期が早く、行政が音頭を取って街ぐるみでお祭り気分を盛り上げる。せっかく円安で海外観光客が急増しているというのに、東京の夏バーゲンは今年も一部館の後倒しで分散してしまう。ライバル都市と競い合うようにバーゲン時期を前倒して街ぐるみで盛り上げる世界のファッションキャピタルと較べれば、行政の音頭取りもなく時期が後ろに分散する東京のバーゲンは盛り上がりに欠ける。
 行政が業界を支援するのはファッションショーだけで、実効性のある産業振興や街ぐるみの観光客動員などにはとんと関心がない。クール・ジャパンを謳うなら、まずはシンガポールやソウル市に張れるバーゲン祭りを盛り上げるべきではないか。東京を海外観光客を惹き付けるファッションキャピタルとすべく、行政のリーダーシップが望まれる。
 2013/05/21 09:42  この記事のURL  /  コメント(0)

成功の三条件
 経営者の戦略判断と行動を見ると、成功のポイントは1)強固な遂行意志、2)マーケットの支持、3)現場の実務遂行力、の三点に尽きると思う。
 例えブラックと揶揄されるほど厳しい達成力を社員に要求し続けても勝てば官軍というのが現実だし、手軽な迂回路に逃げる経営者より紆余曲折あっても力づくで正面突破する経営者の方が結局は大きな勝利を手にしている。柳井さんや福田さんは強固な遂行意志で正面突破する経営者の典型だと思う。一時は苦闘しても、やがては2)3)も揃って戦略目的を達成してしまうのだ。
 壁に当たった時、安易な迂回路を見つけて社員に楽な遂行に流れる経営判断も多々、見られるが、一時は上手く立ち回れても結局は行き詰まる事になる。そんな経営判断に警鐘を鳴らしても不興を買うだけで聞き入れられた事は長いコンサルタント人生で一度も無かったから、企業の栄枯盛衰は人智の及ばぬ運命なのだろう。OEM/ODM活用の52週MDなど、グローバルなブランディングと競争力を損なう麻薬でしかない。
 先を見据えた強固な意志を貫徹すれば誰もが成功する訳ではない。それがマーケットの支持を得られず、現場の実務遂行力が伴わなければ、悲劇的な結末に至るケースもある。ロン・ジョンソンによるJCペニーの革命劇は顧客と現場から乖離し、わずか一年半で行き詰まってしまった。大手GMSの経営陣は他山の石として肝に銘ずるべきであろう。
 経営者の意志力は極めて重要だが、マーケットと顧客を真摯に直視しなければ空転は避けられず、現場の実務遂行力を磨き続けなければ戦略目標の実現は難しい。経営者と現場と顧客の綱引きという図式から企業の先行きが見えるのではないか。
 2013/05/20 10:03  この記事のURL  /  コメント(0)

産地支援を免罪符にしないで
 百貨店や駅ビルの方がアパレルを飛び越えてテキスタイルやニットの産地を勉強に訪問する事が流行しているが、バーゲン後倒しの理由に「産地支援」を挙げるのは如何なものかと思う。バーゲンを後倒しても産地の売上や利益には何の関係もないし、産地をどうこう言う前に直接取引しているテナント専門店やアパレルメーカーの営業体制や開発体制を研究するのが先であるべきだ。
 このブログでも幾度か触れたが、今日では直接、産地の工場と取引するアパレル事業者は少数派で、OEM/ODM業者を通じて間接的に調達する事業者がほとんどだ。国内工場で生産されるアパレル製品はもはや4%にも満たず、希少価値を訴求したくなる状況だ。
 そんな状況を招いた責任は大手百貨店にある事は明白だ。バブル崩壊以降の売上低下局面で百貨店はアパレルの納入掛け率を年々切り下げ、アパレル事業者は収益を確保すべく生産原価を切り下げ、結果として92年以降、急速にアパレル産地が中国などのアジアに移転し、国内産地の加速度的空洞化を招いた。そんな百貨店や駅ビルデベに今更、産地支援など言われても鼻白むだけで、『もっとアパレル事業者の実情を勉強したら!』と言いたくなる。産地支援を優越的地位濫用や不勉強の免罪符にするのだけは止めて欲しい。
 2013/05/16 10:27  この記事のURL  /  コメント(0)

「一人SPA」って面白い!
 今朝の日経MJの一面記事は『一人SPA 百貨店変える』と打ち出して、松屋銀座紳士服の名物バイヤー宮崎俊一さんとそごう・西武婦人服飾バイヤーの黒川香利さんの活躍を紹介していたが、なるほど「一人SPA」とは面白い着眼点だと感心させられた。
 なんでそんな事を思うかと言うと、マーケットと商品開発体制が急速にグローバル化する中、ガラな国内市場の等身大感覚と矮小なロットではグローバルブランドに太刀打ち出来ず、有力商業施設の一等地は外資テナントに制圧されてしまいそうな情勢だからだ。開発組織の陣容や生産ロットの大差を埋め切れず、等身大感覚に頼って大向こうを唸らせる見得を切れない国内ブランド/業態に限界を感じる昨今、組織やロットに頼らないローコスト・ワンマン貫徹の「一人SPA」という原点的体制にハッとさせられた。所詮、支店経営の百貨店にはピッタリの着眼点だと思う。目をセレクト業界に転じても、パルグループの業態開発など「一人SPA」的やり方が共通しているではないか。
 日経MJは時に面白い着眼点を見せるが、WWDジャパンに較べれば今更という記事もある。同じ号の最終面に掲載された新宿歌舞伎町の「ロボットレストラン」など周回遅れも甚だしい。当初の目新しさが薄れて『曜日には踊り子がビキニを落とす』といった噂が流れそうな頃になって取り上げるのは『あの人は今』的享けを狙ったものなのだろうか。
 2013/05/15 09:42  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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