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○○は着てても心は錦〜♪
 今朝の繊研新聞はしまむらが仕入れ契約書の価格表示を「原価+消費税」に切り替えた事を伝えていた。『消費税の増税分を納入業者に押し付けない』という決意を表明したもので、来春に予定される増税を控えて業界に範を示す快挙と賞賛したい。消費税が8%に嵩上げされても小売価格は税込み総額表示を継続する事も決めているから、しまむらの値入れは二重に圧迫される事になるが、生産原価の抑制や物流のさらなる効率化、プライシング手法の改善で収益性を維持するとしている。 
 消費税の増税分を納入業者に押し付けたい小売業界と下請業者を不法な収奪から守りたい公取委の綱引きが政治がらみで玉虫化する中、しまむらの清廉潔白な決断が錦の御旗のように光り輝いて見える。バーゲン時期の後倒しなど、何かと取引先や消費者に背を向けた我田引水な目論みが厭われるこの業界だが、清廉潔白な経営を志す立派な方もいらっしゃるのだと救われる思いがした。
 しまむらの店頭は藤原秀次郎前社長時代と較べると什器規格の統一が崩れクレンリネスも劣化した感があるが、『○○は着てても心は錦』という心意気なのだろうか。安くてもそれなりに美しくブランディングされた外資SPAが勢力を伸ばす中、ユニクロと並んでモードの民主化を担う消費インフラ企業として、清廉な経営姿勢を店舗にも表現して欲しいものだ。
 2013/05/30 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

靴のVMDは面白い
 靴の陳列は様々で面白い。セール会場のように詰め込んだ陳列があるかと思うと生け花かオブジェアートかと思わせるほど洗練された陳列もある。前者はファッションビルのケミカルシューズ店やターミナル百貨店の靴平場に見られるし、後者はバーグドルフ・グッドマンやセルフリッジの靴売場に見られるが、改装なった伊勢丹本店の靴売場もその域にやや近付いた。専門店では「ダイアナ」や「プールサイド」(かねまつ)のレヴェルが高い。
 一般に高価格店ほど陳列量が少なくアートに洗練された陳列になり、低価格店ほど陳列量が多くて量販的な陳列になりがちだが、低価格店でも「チャールズ&キース」は陳列量を抑えて洗練された陳列を心掛けている。アパレルでは企画が多頻度で型番が積み上がると継ぎ接ぎ陳列になって洗練から遠ざかるが、それは靴でも同様だ。低価格でも同一型のカラー展開や柄展開、装飾展開を連続的な陳列(リピテーション型かリズム型)で表現すればインパクトある美しい陳列が可能で、結局はMD展開が陳列を決める事になる。高価格品では生け花的韻律のオブジェアートが競われる。6月13日に開催する『ブランディングVMD&ストアプランゼミ』では、アパレルのみならず靴やバッグの陳列も国内外の多数の実例を挙げてビジュアルに解説したい。
 余談だが、靴で特徴的なのが片方だけの陳列で世界共通のようだが、意外に例外も多い。陳列フォルムの美しさはペアの方が表現し易いが、陳列型数や盗難防止を考えると片方にならざるを得ないのだろう。右か左かどちらを陳列するか、一般には右側だが、左を陳列する店も少数派だが存在する。各店ともマニュアルで統一しているのだろうが、業界団体の協定があるとも思えない。靴業界の方がいらしたら教えて欲しいものだ。



 2013/05/29 09:22  この記事のURL  /  コメント(2)

マーケットを鳥瞰する
 三月から五月末までの三ヶ月は結構、忙しかった。次々と開業する商業施設やリモデルした百貨店を子細に検証し、新たに登場したりリコンセプトしたブランド/業態をすべからく位置付け、これまで20年に渡って毎シーズン、積み上げて来た「KFMブランドツリー」を13SSの最新版に改訂する作業に忙殺されていたからだ。収録したブランド/業態はアパレル中心に服飾雑貨やインナーまで千数百に及び、これに別表のHBAや生活雑貨、文化雑貨などを合わせれば二千を超えると思う。
 今年はそれに8万平米級新設SCの構成企画と7万平米級名門SCのリモデル企画が重なったから、魂を詰める作業が続いて疲労困憊する週もあり、GWも前半は仕事を持ち帰らざるを得ず、暦通りに仕事をする羽目になった。そんな業務を適確に行うには最新の「ブランドツリー」が不可欠だから、それを詰める作業も手を抜けなかったのだ。
 「ブランドツリー」はマーケットをグローバルとドメスティックの複眼で鳥瞰し、様々なブランド/業態を最新の視点で位置付けるもので、百貨店からSCまで商業施設の構成企画には欠かせないものだが、業界の関心は意外に低い。それぞれの企業や担当者のピンポイントな視点で構成企画を詰めるのが‘クリエイティブ’だと錯覚されているのだろう。ゆえにとんでもない失敗作が世に出る事もある。マーケットを客観的に鳥瞰する重要性をクリエイション至上の業界が認める事はおそらく永遠にないと思うが、めげずにこつこつと続けたい。
 膨大な手間をかけて更新した「13SS版KFMブランドツリー」は6月のSPAC研究会で「伊勢丹本店婦人服ブランド編成表」と一緒に公表する事にしよう。
 2013/05/28 09:56  この記事のURL  /  コメント(0)

外資SPA頼みの夏商戦?
 コーディネーターから上がって来た五月末の店頭スタイリング報告を見ると、国内ブランドがごく一部を除いて夏物売れ筋の色替え/素材替えリピートに終始して店頭の変化が限られるのに対し、外資SPAではカジュアルからエレガンスまで、来シーズンに繋がりそうな鮮度あるリゾート企画が新たに投入されていた。
 国内ブランドのGW明け以降の夏物/晩夏物新提案が年々細って行く中、外資SPAは五末に至っても鮮度ある夏物新企画を投入しており、六月に入ればプレフォール商品も入って来る。バーゲン時期の混乱も館の営業政策に左右されない彼らには関係ないから、夏商戦は外資SPA頼みという状況が色濃くなって来た。
 もうひとつ、注目したいのが国内企業が開発・導入したグローバルブランドで、Eコマースのネオグラフィック社が立ち上げたLA発ポップカジュアルの「GROWZE」、サンエーインターナショナルがリン・スーチン社との合弁で立ち上げたLA発セレクトショップの「プラネットブルーワールド」が目を惹く。五月末のスタイリング報告でも両者は鮮度あるスタイリングを打ち出しており、鮮度を欠く国内マーケットに喝を入れている。
 等身大感覚が染み付いた国内ブランドが売れ筋のリピートに終始する中、外資SPAや国内企業の開発・導入するグローバルブランドの役割が加速度的に大きくなっている。伊勢丹本店婦人服リモデルの衝撃にせよ、グランフロント大阪の開業における「ZARA HOME」への取材集中にせよ、国内業界のガラパゴス感覚がマーケットの期待と乖離しつつある事を直視すべきであろう。
 2013/05/27 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

ぼちぼちでんな〜
 大阪の挨拶は『儲かりまっか』で、『ぼちぼちでんな〜』と返すらしい。英語で言うなら『How about your business?』と聞いて『It’s going so so』とでも返すのだろうか。アベノミクスも佳境という近頃なのに、アパレル業界では『儲かりまっか』と聞かれても『ぼちぼちでんな〜』と返せるのは恵まれた方で、『相変わらず青息吐息ですわ〜』とか『貧乏暇なしですわ〜』と応えるしかない方の方が多いのかも。
 株は過熱気味で昨日なんか派手に大暴落して水が入ったようだが、株ばかり上がっても実体経済への波及は乏しく、スーパーブランドや宝飾品はともかく、アパレルは一向に上向いて来ない。景気というより天気に振り回され、天候に恵まれた三月の神風も以降は凪いだままだ。昨夜の「販売データ交換会」で集計した百貨店やSCの売上は四月よりは上向いているものの婦人服も紳士服も水面の攻防で、株価の勢いとは隔世の感がある。
 アベノミクスも半年を経て、そろそろ実体経済や消費に勢いがついて来ても良い頃なのだが、円安は輸出産業には追い風でも輸入産業やアパレル産業にはコストインフレをもたらすだけで、一向に恩恵が届かない。これで消費税が増税されたら、大手小売業やSPAは優越的地位を最大限に活用して納入業者を絞り抜くに違いない。バーゲン時期を巡る混乱も下請虐めも是正出来ない業界、そして行政に恨み言のひとつも言いたくなる近頃のアパレル業界だ。
 2013/05/24 14:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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