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盛り上がりはGWまで?
 アベノミクスの追い風に乗って三月の衣料品売上は驚異的な伸びを記録したが、果たしてこの勢いは何処まで続くのだろうか。景気の動向はともかく、店頭の商品展開を見る限り昨年と同様、GW明け以降の減速が危惧される。
 月例の「販売データ交換会」を控えてコーディネーターから上がって来た直近スタイリング動向報告を見ると、先月からのエアリー&トランスペアレントな初夏物に肌出し/柄物のリゾートアイテムや麻混/地黒プリントの晩夏物が加わり、GWへ向けた品揃えに切り替わっている。危惧されるのは既に三月末から出ていたアイテムが氾濫気味なのに加えて晩夏物も一通り出揃い、GW明けからバーゲン前までプロパーで引っ張れそうな新鮮アイテム/ルックがわずかしか見当たらない事だ。
 景気回復とモード回帰で衣料消費は好調と言ってもGW前に弾が出尽くし、後は売れ筋のリピートばかりという展開になれば昨年と同様、五月末にはセール待ち状態に入ってしまう。モンスーン気候の日本では暑くなるとゆるナチュラルなレイヤードに戻るからモード回帰の神通力も効かなくなるし、バーゲン時期分散を引き摺るとなればGW以降の投入を抑えるブランドも多く、昨年と同様に失速してしまう事が危惧される。
 失速を回避するには晩夏のシーン提案を打ち出すかプレフォールを前倒すべきだが、バーゲン時期が分散しては在庫を抑制せざるを得ない。羹に懲りて膾を吹かしては夏バーゲンの低迷は避けられないが、館の拘束を無視して営業政策を貫けるブランドは限られるから、やはり盛り上がりを欠く事になるのだろうか。バーゲン時期分散の徒労はいい加減に終わりにしたいものだ。
 2013/04/18 13:52  この記事のURL  /  コメント(0)

スターフライヤーはスタイリッシュ
 昨日はSC開発絡みで羽田と関空を日帰り往復したが、ANAのコードシェアで乗ったスターフライヤーのデザインセンスとビジネスセンスに共感。新手LCCが次々と参入する中、フルサービス&バリュープライスの‘ハイブリット・エアライン’として一線を画す戦略が光っていた。
 スターフライヤーは北九州空港を拠点とする元祖フルサービスLCCとして知られるが、ロボットデザイナー松井龍哉氏の手に拠るミニマルモダンな白黒反転塗装のAIRBUS A320やシャープな白黒グラフィックデザインがファッション関係者には注目されて来た。ブラックレザーのシートは同型機を使うANAが166席配置に対して144席配置で足元が12cm以上広く、ブラック微光沢素材テーラードパンツスーツ姿のCAの対応もミニマルに抑制が効いて好感が持てる。
 ビジュアルからビジネスセンスまで「プリンシプル」を貫徹するスタイリッシュなスターフライヤー社だが、何かとトラブルの多いスカイマーク社と混同する人もあり、東京国税局に持ち株会社の脱税を指摘されたマークスタイラー社とも語感が似通っているのは可哀想だ。
 ファッション業界でもスターフライヤー社ほどブランディングを貫徹している企業は稀で、その徹底振りは「LV」や「グッチ」を上回るかも知れない。ファッション屋さんはミーハーな格好良さやバブリーなお祭り騒ぎはお好きなようだが、企業行動において「プリンシプル」を貫徹する潔癖さ(真のスタイリッシュ!)を欠いているように思う。そんなファッション屋さんと同列に並べてはスターフライヤー社に申し訳ないのかも。
 2013/04/17 14:10  この記事のURL  /  コメント(0)

SC開発が再過熱する?
 毎年、全国主要SCの売上を集計して立地/タイプ別の指数を算出し、これから開設されるSCの売上予測のベースとしているが、12年度の売上指数は10年振りに上昇に転じた。上昇率は立地/タイプで異なるが、ローカル立地よりメトロポリス立地、量販店核より百貨店核の方が伸び率が高い。平均すればSC協会発表値の101.5に収斂されるのだろう。
 今月26日に開催するSPAC研究会では、この指数を使って今秋以降に開設される主要SCの売上を推計してメンバー企業の出店判断に役立てて頂くとともに、10年以降に開業した主要SCの直近売上動向を報告する。開業直後は開店景気に沸いても二年目、三年目と失速するSCもあり、経年変化の確認が欠かせないのだ。
 三月の百貨店や主要専門店の売上伸び率は驚異的だったが、大都市と地方都市、百貨店と量販店の明暗が拡大している。今の動向から見れば13年度は政府の目標とする2%を超えるのは確実だ。13年度の伸びを今から予測するのは気が早いと思われるかも知れないが、来年開業するSCの売上を予測するには一応の目安が必要なのだ。
 SC売上がインフレに転じた事は新規開発や増床を考えるデベロッパーの背中を押し、開発のペースが加速すると推察される。90年代の規制緩和から00年代に規制強化に転じ、改正都市計画法の施行で一気冷却したSC開発だが、景気の回復とリート資金の流入に加えてTPP交渉を背景に規制緩和に転ずるなら再び過熱しかねない。消費が回復に転じても少子高齢化と生産の空洞化が止まる訳ではないし、国家の巨額負債も消えはしないから、ほどほどに・・・・・
 2013/04/16 09:32  この記事のURL  /  コメント(0)

ローカルブランドは使えない
 中国の大手繊維企業、山東如意科技集団はレナウンの第三者割当増資を引き受けて出資比率を41%から53%に拡大し、レナウンを連結子会社にする。レナウンは2010年7月に同集団から40億円の出資を得てレナウンのブランドによる中国事業拡大を図ったものの知名度の低さも災いして苦戦が続き、同集団から新たに29億円の出資を得て日本国内事業の拡大に転じる。
 2010年の資本提携後、同集団の依頼でレナウンのブランドの中国市場における市場性をアドバイスする機会があったが、私の判断は『日本のローカルブランドに過ぎないレナウンのブランドは中国市場では無価値で、投資は水の泡と消える』であった。当然ながらレナウン経営陣の反発を招き、当社が実務に関与する事はなかったが、結果は私の判断通りとなった。中国市場で受け入れられなくても日本市場なら拡大出来るという判断も裏付けがなく、急激にグローバル化する国内市場でローカルなレナウンのブランドが拡大出来るとは到底思えない。中国で売れないブランドは日本でも売れない時代なのだ。
 中国事業の失敗にも拘らず、強かな中国企業にさらに29億円も投資させるレナウン経営陣の交渉力は高句麗的マジックと言うしかないが、山東如意科技集団には日本のローカルブランド企業に大枚を投資するぐらいなら『糸から製品まで』貫徹出来る自社の強みに投資する方がよほど賢明だとアドバイスしたい。11年に同集団の株式3割を取得して提携のお目付役を担って来た伊藤忠商事はグローバルなブランドビジネスに精通しているはずだから、いずれ英断を下すのだろう。
 2013/04/15 09:06  この記事のURL  /  コメント(1)

「UNIQLO」は外資SPA?
 ファーストリテイリングが上海に銀座店の5000平米を上回る6600平米の「UNIQLO」世界最大店舗を開くとか。そんな積極策に出られるのは中国の販売効率が国内と極端には変わらないからで、中国に進出している日系百貨店の販売効率が国内の四〜五分の一に留まるのとは大差がある。何処へ出ても一定水準の売上が稼げるというのが‘グローバルSPA’の実力なのだ。実際、国内の郊外SCにおいても「UNIQLO」は外資SPAを上回る安定した販売効率を稼いでいる。となれば、国内においても「UNIQLO」を‘グローバルSPA’に位置付けるべきではないか。
 商業施設のゾーニング動向を語る時、必ずと言って良いほど話題になるのが「UNIQLO」の位置付けだ。ベーシックカジュアルSPAと言うにはグローバル感覚が鮮明になって来たし、出店交渉の高飛車ぶりはもう外資系としか言いようがない。実力主義に徹した人事評価やプレッシャーのきついマネジメント、英語が社内公用語という内情は、もはや日系企業とも思われない。グローバルに商業施設を展開するアジアの巨大デベロッパーにとっては「H&M」や「ZARA」「GAP」と同列に並ぶグローバルSPAとして認識されているのは明らかで、国内の大手デベロッパーも似たような認識に移行しつつある。
 「ユニクロ」を外資SPAに分類するなら、12年度で1527億円、アパレル専門店チェーン市場に占めるシェアも5.6%に過ぎないグローバルSPA勢は一気に7728億円、同28.5%に跳ね上がってしまう。「UNIQLO」だけで国内アパレル専門店チェーン市場の22.9%も占めているのだ。
 今のペースでグローバルシフトが進めばファーストリテイリング社は名実共にグローバルカンパニーと化して幹部の過半を外国人が占めるようになり、企業体質も‘外資’そのものに変質してしまうに違いない。消費者さえ「UNIQLO」を外資SPAと認識する日が来るのも時間の問題なのではないか。
 2013/04/11 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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