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モードは3年サイクルで巡る
 「ナチュ可愛」「スウィート」が廃れ「アラモ」が台頭して4シーズンが経過したから、13AWには「ミニモ」(ミニマルモダン)が台頭して「アラモ」と交代すると私は見ている。世界的なモード回帰や日本市場の脱ガラパゴス化(等身大ファッションは絶滅する!)はもちろん、LSIの高度化や蓄電池技術の飛躍的革新による工業デザインのミニマルシフトも大きな要因だが、「モードの3年サイクル」が一段と明確になって来た事も大きい。
 「モードの3年サイクル」は従来から経験的に言われて来た事で、109の人気ブランドなど判で押したように3年毎に入れ替わって来たが、近年はそのサイクルが一段と明確になって来た。その要因は以下の二点と思われる。
1)OEM/ODMが蔓延して自社開発型ブランドが希少化し、せっかく自社開発型ブランドがブームに火を付けても、3〜4シーズン目にはOEM/ODMの低価格な追従ブランドが氾濫して6シーズンで人気を食い潰してしまう(昔からの業界の体質が加速した)。
2)00年導入の定期借家契約が業界の主流となって(新規テナントはほぼ100%適用)、近年の駅ビルやファッションビルでは3年(郊外SCでは5年)でテナントを入れ替えるサイクルが定着した。
 と言う訳だから駅ビルやファッションビルでは3年サイクルで、元々OEM/ODM商品ばかりの郊外SCでは定借期間と同じ5年サイクルで人気ブランド/テナントが交代して行くはずなのだが、現実には業界の新ブランド/業態開発が停滞して魅力的な新手が揃わず、デベとしては外資ブランド/SPAに頼るしかない。結果、同質化してしまうのは如何なものかと思うし、不甲斐ない事このうえない。業界には3年サイクル(郊外SCでは5年サイクル)の入れ替えに応えられるよう、時代をリードする意欲的なブランド/業態の開発を求めたい。
 2013/01/24 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

プチ・バブルで百貨店は復活するか
 アベノミックスによるプチ・バブル景気が本格的に盛り上がるとなれば、百貨店にも久しぶりに追い風が吹く事になる。その予兆のように昨年、百貨店売上は16年振りにわずかとは言え回復に転じた(既存店0.3%増/全店計0.1%減)。バーゲン時期を巡る混乱がなければ恐らく、もっと力強い回復となったのではないか。
 百貨店に吹く追い風とは、1)景気回復による全般的な消費マインドの好転とブランド消費の拡大、2)縮小の一途を辿って来た高所得(年収1200万円超)世帯数の回復、3)相続税増税に伴う富裕層の不動産投資関連支出や高額宝飾品・美術品の購入、後に反動減が来るとは言え4)消費税増税前の駆け込み購入、などであろうが、主力商品たる衣料服飾関連では5)世界的なモード回帰と日本市場の脱ガラパゴス化に伴う大量の買い替え需要、に注目すべきだ。経済退潮下で永らく蔓延した等身大なガラパゴス服がプチ・バブル下のモード回帰で一気に陳腐化し、爆発的な買い替え需要が広がるからだ。
 とは言え、百貨店がその追い風に乗るには幾つか解決すべき課題がある。それは以下の四点だと思われる。
1)プチ・バブルな上昇志向に応えるモードな華のあるブランドを国内外から揃える。海外ブランドはともかく、OEM/ODM依存で開発力の落ちた国内アパレル業界は果たして応える事が出来るのだろうか。
2)長年の消費退潮下で継ぎ接ぎバラック化した店舗を華やかで斬新なミニマルモダン様式に刷新する。同時に照明をLEDに全面転換し、「加圧防排煙システム」に空調体系を刷新して排煙ボーダーを一掃するのが時代の見識だ。投資余力のある企業とない企業、デザインセンスのある企業とない企業で明暗が分かれざるを得ない。
3)店舗小売業はもちろんオンライン小売業とバリューと利便を競って華のある販売訴求を行うには店舗運営コストの圧縮とフルフィルメント投資が不可欠で、経営資産(人材と販売チャネル)の入れ替えが急がれる。駅ビルとのハイブリッド化だけでなくウェブとのハイブリッド化が問われているのだ。
4)百貨店は割高な分、特別な顧客サービスが期待されるが、現実には顧客に労役と忍従を強い露骨に差別する百貨店もある。景気が回復しても顧客の高齢化と他チャネルへの流出は止まらないから、「顧客に優しい」「顧客に誠実」かどうか、経営陣は自らの胸に手を当てて反省する必要がある。売上回復で慢心し顧客に高慢になれば、富裕層、高齢層から先頭を切って逃げ出すのではないか。
        ※        ※        ※        ※
 残念ながら、これらの指摘に本気で応える百貨店は未だ見られない。どの百貨店が先んじて茹で蛙を抜け出すのか、ここ半年が勝負だと思う。
 2013/01/23 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)

「勝ち組」シフトを急げ
 何もかもが衰退していった「失われた20年」の斜陽下、「負け組」が傷を舐め合う「等身大」がマーケティングのキーワードとなって久しく、誰もが「勝ち組」を競う登り龍のようなアジアの活力とは比較すべくもなかったが、アベノミックス下でプチ・バブル景気が本物になって「米国型借金漬け巡行バブル経済」に移行するなら、「勝ち組」マーケティングへのシフトが急がれる。
 「米国型借金漬け巡行バブル経済」とは、財政赤字の肥大を恐れる事なくジャブジャブとお金を供給して自国通貨安とインフレと消費拡大の好循環?を誘導し、貿易収支を経常収支でカバーして借金漬けでもバブル経済を長期巡行させる、基軸通貨国か債権大国だけに可能なウルトラCの経済政策だ。80年代のレーガノミックスから始まったとされるが、近年のオバマミックスや今回のアベノミックスはやや異なる。レーガノミックス以来の共和党の政策は「小さな政府支出+富裕層減税による消費と投資の拡大」だが、オバマミックスは「大きな政府支出+中間層救済による消費の拡大」、アベノミックスは「大きな政府支出+消費税増税/富裕層増税による消費と投資の拡大」なのだ。
 なんで消費税増税/富裕層増税が消費と投資の拡大に繋がるかと言うと、消費税増税が迫れば駆け込み消費が拡大し、相続税を増税すれば不動産投資と高額消費に金が回るからだ。高額ブランド宝飾品や投資マンションは既にバブり初めているではないか。これで「プチ・バブル」を誘発し、消費税増税に加えて景気回復による法人税の増収で財政悪化を歯止めし、円安による貿易収支の改善と経常黒字の増大で「巡行バブル経済」を軌道に乗せようというのがアベノミックスなのだ。米国の借金漬け過剰金融バブル経済が財政悪化とドル安の進行を伴いながら、何度かパニック調整があっても長期に継続しているという現実を考えれば、アベノミックスは中期的な巡行バブルに移行する可能性が極めて高いと見るべきだ。
 という訳で、80年代バブル景気まではともかく04〜05年の小泉政権下プチ・バブルの復活は間違いなく、「負け組」「等身大」マーケティングを脱して「勝ち組」「上昇志向」マーケティングへの転換が急がれる。となれば、業界も「ユニクロ」「しまむら」「低価格カジュアルチェーン」一辺倒から百貨店と高級ブランドが本格復活という事になるのだろう。ファーストリテイリングにとっては国内の牽引役が「ユニクロ」「g.u」から「セオリー」「プラステ」に替わるだけで、柳井さんはつくづく運の強い経営者だと思う。
 2013/01/22 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

伊勢丹バーゲンへ出撃!
 「来店客殺到」と伝える新聞の提灯記事を見て躊躇したものの、18日に後倒したバーゲンの品揃えと売れ行きが如何なものか土曜日の午後、意を決して伊勢丹新宿本店に出撃した。購入予定品目はモードスニーカー、ダウンジャケット、パジャマ、ベッドリネン、タオルの五品目。ちなみに、ご愛顧ブランドのシークレットセールを12月中に一巡したルン妻は『残品に興味無し。春の新作を丹青会で見る』と同行を拒否。新宿の喧噪と伊勢丹の混雑に戦々恐々としながら、午後一で新宿に向かった。
 本館パーキングに延々と並ぶ暇はないからサブナードのパーキングに停めて伊勢丹会館側からメンズ館まで来ると1Fは圧すな押すなの混雑で、EVで6Fに逃げて物色しながら降りて来たが、どこの売場も在庫は山積みながら目星いものは見当たらず残品ばかりという印象で、太田伸之氏が言う「定数定量」を逸脱した売場は混雑と欠品も相まって、とてもじゃないが選べる状況ではなかった。
 モードスニーカーはプロパー時に見送った品ばかりだったし、13AWのスタイリッシュなトレンドが頭に入っていると、どのダウンジャケットもボリューム過剰で時代遅れにしか見えず、セールになっても法外価格のイタロブランドはローカルな過去の遺物でしかなく、代わり映えのしないパジャマも買う物がなかった。這々の体で本館に移動してタオルを物色したが過剰デザインのブランド品ばかりで上質なベーシック品はセールになっておらず(やむなく松屋銀座本店に廻って「今治タオル」を大量購入した)、ラルフのベッドリネンを二セット購入し、疲れ果てて脱出した。
 2シーズン先までトレンドが見えていると今回に限らずセールはくたびれ儲けに終わる事が多く、品揃えが良く陳列も綺麗で混雑しないシーズン初期に10%オフで買い、愛顧ブランドのシークレットセールで買い足せば十分で、後手に回って残品ばかりの期末セールに行くメリットは無い、と改めて思い知った。売る側にしても、顧客が喜ぶシークレットセールに重点を置く方が賢明で、それから2週も4週も遅れて残品ばかりの期末セールに山を掛けても顧客の失望を買うだけではないか。セール時期問題は「顧客満足」という視点で再論議されるべきだと思う。
 2013/01/21 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)

舐めたらあかんぜよ
 某テキスタイル系ODM業者に伺ったところに拠ると、最近の納入掛け率は駅ビル系ブランドで25から27、百貨店ブランドでは20弱〜23まで下がり、大手SPAでは20を割るケースもあるとか。駅ビル系ブランドやカジュアルSPAで27〜28という昨春頃の認識から一段と下がり、10年前からはほぼ12ポイントも下がってしまった。
 ここまで来ると素材も付属も玄人から見ると酷いものになり、パターンは平べったくプレス仕上げも締まらないものになってしまうから、『等身大に感性が退化した消費者には判らないだろう』と舐めているとしか思えない。ところがどっこい、ブランド別の販売動向を見るとプロパー消化率と原価率は見事に相関しており、若い消費者も決して騙されてはいない事が判る。
 商品開発にこだわって原価率が高い良心的なブランドの消化率は、そうでないブランドに較べると格段に高く、それがまた高い原価率でも利益が出せる好循環をもたらしている。駅ビルではマッシュスタイルラボ系、セレクトではトゥモローランド系のブランドなどが『品質にこだわって原価率が高い』と聞くが、店頭で商品を手に取るとなるほどと思う。この違いは『良心的か否か』と言うより『商品に拘るか否か』の結果的なものだが、玄人のプライドに賭けて商品開発に拘るブランドが結果として素人たる消費者の支持を得ているという現実を真摯に直視すべきであろう。
 『消費者は騙せる』と舐めている企業は不動産費(歩率)やマーケティングコストを肥大させて原価率を切り詰めたバリューの疑わしい商品を売りつけ、結果としてプロパー消化率が低位に留まってマークダウンロスを肥大させ、さらに原価率を切り詰めてバリューを損なって行く、という悪循環に陥っており、残念ながら大手SPAでは少数派ではない。
 その本質的要因は、1)商品開発における玄人の術と拘りを欠いて詰めの甘いOEMやODMに流れている、2)流通・販売における玄人の術と拘りを欠いて継ぎ接ぎMDのバラック売場に堕している、3)顧客と取引先に誠実でありたいという商人の志を欠いている、の三点に尽きよう。これではトレンドに流されて浮き沈む水商売でしかない。
 『アパレル業界なんてこんなもの』『消費者は上手に騙せば良い』と開き直る企業や業界は結局は消費者という神々の怒りに触れて衰退し、ロスとコストを抑えてバリューの高い商品を提供する新手の企業や業界に世代交代されていく。業界は玄人の技と拘りを取り戻し、ロスとコストを抑えてバリューの高い商品を提供する『誠実な商人』たろうと真摯に努力して欲しい。それが消費者の信頼を得て繁栄をもたらす唯一の方法だと思う。
 2013/01/18 09:01  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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