| Main | 次へ
「スマイルカーブ」で良いお年を
 20年振りにデフレが終焉して衣料消費が底を打ちO2O(ウェブと店舗)ハイブリッドが急進する革新と再興の年となるはずだった12年は、バーゲン時期を巡る混乱や有力ファッションウェブモールの暴投で業界がダッチロールに陥り、混迷を深める結果となった。これらの混乱は13年も尾を引きそうだが、年末の選挙での自民党の圧勝を受けての景気回復期待が高まる中、領土問題を巡る中韓との関係悪化リスクは否めないものの、衣料消費も本格的回復が期待される。
 業界の混乱は「サプライチェーン総体のバリュー競争力」という視点を欠いた顧客軽視の利益追求パフォーマンスから発したものであり、業界の指導的立場にある方々の視野の偏りが嘆かれる。個々の企業はもちろん、業界を発展させて行くにはサプライチェーン総体のバリュー競争力向上が不可欠で、経営者には各段階の付加価値創造に見合った利潤の配分という「スマイルカーブ戦略」の見識が求められる。13年を革新と発展の年とすべく、経営者はグローバル&ハイブリッドな視野を持って取引先から顧客まで皆が笑顔になれるスマイルカーブを描いてほしい。

※当社も明日から年末年始休暇に入り、年明け7日から営業を再開します。皆様も良いお年をお迎え下さい。
 2012/12/28 10:28  この記事のURL  /  コメント(0)

13AW「MDディレクション」
 11月の始めから取りかかっていた13AWの「MDディレクション」がレディス版/メンズ版とも、ようやく完成しました。
 8〜11月の客層別スタイリング変化を検証して畳一帖ほどもある「客層別スタイリングボード」を作成する事から始まり、内外数百冊のファッション誌から鮮度あるスタイリングを切り出してリミックスのフォーカスを決め、着回しとMDを組んで「有望スタイリングテーマ」を設定。そのテーマ毎に「カラーパレット」と「素材構成ボード」を作成して全体を総括する解説文をまとめ、トレンドを表現する素材コラージュ(私が手ずから創ります)を作成してグラフィックに装飾し、A3版フルカラーの「ディレクションブック」に仕上げました。毎シーズン、全スタッフが総出で二ヶ月丸々かかるヘビーデューティですが、これを適確にやっておかないとクライアントへのMDコンサルティングが成り立たないのです。
 完成した「MDディレクション」(レディス版)では、『ネットとのハイブリッドが広がり景気も回復する13AWではプレップ〜スポーツ〜ポップ〜ロック、あるいはポップアート〜イリュージョン〜フューチャーモダン、ファンタジー〜モダンバロック〜アールデコなど多彩な柄色が広がる一方、モード味が強まってフィットが細身にシフトし、ガラなナチュラルレイヤードやナチュ可愛スタイルは一段と衰退する』と総括しています。ご興味のある方は当社事務局までお問い合わせ下さい。
 2012/12/27 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

阪急うめだ新本店は最新の正統派
 クリスマス商戦に彩られた阪急うめだ新本店を足早に一周させて頂いた。11月21日に全面開業して早や一ヶ月が過ぎ、ようやく落ち着いて来た新本店は600億円を投じて七年もかけて建て替えただけあって、中値半端な改装では望めない最新のデパートメントストアに仕上がっていた。ゾーニングやブランドミックスの詳細については別の機会に譲るとして、今回は建て替えならではの建築的な構成と照明について見所を紹介しておこう。
 まず、感銘を受けたのは全フロア、どこにも排煙垂れ壁がなくすっきりと目線が通る、彫り込み照明が施された美しい天井だ。これは01年から可能になった「加圧防排煙システム」によるもので、建て替えでなくては実現不能な革新であった。もうひとつがフロアの外側を一周する巾2mの物流&避難回廊で、物流台車が売場通路を走る危険を回避し、緊急時の避難誘導をスムースに行う画期的なものだ。米国の新築デパートメントストアでは常識となっているが、日本の百貨店ではおそらく始めての快挙ではないか。
 照明についてはLEDの導入をチェックしたが、ファッションフロアの基本照明は「お肌がキレイに見える照明」を重視して敢えて旧来型の照明器具で構成しているが、8Fスポーツファッション「イングス」や11F「キッズインターナショナルブティック」、3F「D.ファイル」などでは最新のLED照明が駆使されており、意欲的に取り入れているブランドブティックも少なからず目についた。
 1F、2Fは碁盤目通路だがメイン通路からの対称性と視界の広がりが配慮されており、各ゾーンとも同一意匠什器が左右対称あるいは回転配置されて極めて視認性と誘導性が高く、建築的にも美しい(服飾雑貨や化粧品は衣料品に較べて商品が小さく、視覚空間を構成し易い)。3F、4Fではエスカレーター正面から左右対称に売場が展開され、中央部分の陳列高規制で(あるいは服飾雑貨や化粧品を衣料売場の中央に配して)視野が広がるよう配慮されており、一部に視線誘導に優れた曲線通路も活用されるなど、極めて視認性と誘導性が高い。それに対して5Fはブティック売場が碁盤目に配置されるだけで視認性も誘導性も弱く、ファッションビル的空間に留まっていた(靴&バッグとフロアを分離してラグジュアリーブランドの衣料品ばかり並べると、こんな空間になってしまう。同一フロア内で島面と壁面に分離すべきだ)。6Fも碁盤目配置でランダバウト・サークルや曲線通路などの工夫が無く、編集売場とブランドショップの空間配置(雑貨編集→単品編集→インショップ→ブティックと島から壁に配するのが定石)も欠き、従来の百貨店を大きく出るものではなかった。一番店なのだから、やりたいように出来たはずで、ちょっと残念だった。
 見学に行った業界人が異口同音に感激する9〜11F吹き抜けの祝祭広場は、ただっ広い空間に各フロアから雑多な意匠が無神経に交錯するイコン性の希薄さ、とりわけUFO風の天井シャンデリアと安っぽいミラーボール、旧店舗から移設されたロココ調の大時計とのブレードランナー的ミスマッチには失笑するしかなかった。「阪急エレガンス」を貫徹するにはモダンデコで統一したオペラハウス的祝祭空間とすべきではなかったか(宝塚大劇場こそ阪急のイコンだと思う)。目玉中の大目玉だけに「画龍点晴を欠く」では済まされまい。巨費を投じ建て直してまで百貨店の王道を目指したのだから早急な改善が望まれる。







 2012/12/26 14:01  この記事のURL  /  コメント(0)

ジーンズ業界はモードで再生せよ
 昨日のブログで南充浩君が『ジーンズ業界はなくなる』と嘆いていたが、このままでは衰退は止まらないだろう。世界のカジュアルシーンはモードの大流に飲み込まれてキレイ目シフトが急進しており、ヴィンテージジーニングなどローカルな骨董趣味の域に追い込まれつつある。
 当社の13AW「MDディレクション」がレディス/メンズとも完成したが、それを見てもジーンズ業界の明日は明るくない。13AWではウェブとのハイブリッド化と景気の回復期待を背景に多彩な色柄が氾濫し、グローバル化を背景にモードシフトが進んでフィットが細身になってレイヤードが後退し、面がキレイ目ナチュラル〜キレイ目モードに集中してダメージ加工やハードな洗い加工は影を潜めるからだ。
 デニムやダンガリーはカジュアルの一素材としてノンウォッシュ〜ワンウォッシュで継続するが、ダメージ加工やハードウォッシュ、過度に着崩すローカルなジーニングはほぼ消滅する。ワークスタイルをベースとする旧来のジーニングは一段と衰退し、ジーンズショップやジーンズメーカー、後加工の工場は絶滅の危機に瀕する、と推察せざるを得ない。
 若者が社会へのアンチテーゼを叫びジーンズがカウンターカルチャーを象徴した60〜70年代は遠い過去となり、90年代のLAに発したセレブデニムブームも過ぎ去って久しい。ワークスタイルやカウンターカルチャーを脱してグローバルモードの一翼としてリ・クリエイションされない限り、ジーンズ業界の消滅は避けられないだろう。欧米モードクリエイターとのコラボが起死回生の突破口となるのではないか。
 2012/12/21 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

「ルクア」でブランディングを!
 今朝の日経に拠れば、売上不振で巨額損失を計上した「JR大阪三越伊勢丹」がついに、私が11月5日の当ブログで提言した「ルクア」化に踏み出すそうだ。とは言っても、一部フロアに有力専門店を導入して集客を高め賃料負担を軽減するという事のようで、『「ルクア2」に転換する』とは言っていない。売上予算との大きな乖離や巨額の損失を考えれば、そんな中途半端な事で済むのだろうか。
 『大阪人に馴染みの無い4番店の百貨店など不要。むしろおもろい駅ビルが欲しかった』というのが大阪人の出した投票結果であり、馴染みの有力ブランドを欠き、馴染みの無い編集でブランドの顔が見えず、いちびった店作りの「三越伊勢丹」は大阪人の失望を買って負のブランドと化した感がある。対して「ルクア」は教科書的なルミネ型をはみ出したおもろい構成が大阪の若者を惹き付け、すでに馴染みのブランドとして定着したと評価される。大阪人には独自の文明観があって独特なローカル文化を築いており、アジア辺境のいちローカル文明に過ぎない東京ブランドを崇めるとは限らない。そんな大阪人の心意気を痛感させる「事件」だったのではないか。
 過小な空間にあれこれ詰め込んだ「ルクア」は若者に偏って欠落業種・欠落テイストも多く、無理にコンパクト化したテナントもあって、大阪駅を利用する広範な顧客に応えているとは言い難いから、「ルクア2」は必然の要求であろう。「小売の環」の歴史的必然から考えても、高コスト化して行き詰まった百貨店より、格段に低コストで利便性も高い駅ビルの方が望ましいし、既に有力な百貨店が揃った梅田に4番目の百貨店が必要とも思えない。
 「JR大阪三越伊勢丹」を抜本的に浮上させ巨額な損失の垂れ流しに終止符を打つには、すでに負のブランドと化した「三越伊勢丹」ではなく、大阪人の熱い支持を得た「ルクア」でブランディングすべきと思うが、如何だろうか。
 2012/12/20 10:17  この記事のURL  /  コメント(0)

| Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ