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セレオ八王子は駅上の郊外SC
 今年一月末のそごう八王子店閉店の跡を受け、10月25日に駅上大型商業施設として再出発する「セレオ八王子」の内覧会に行って来ました。吉祥寺での早朝VMDクリニックを終えて中央線を三鷹で特快に乗り換え、八王子に着いたのは11時過ぎで、もう内覧会が始まっていました。
 「セレオ八王子」は旧そごう部分と専門店ゾーンの「八王子ナウ」を一体に再構成したもので、店舗面積2万9000平米に200ショップ(一部は12月開業)を集積し、初年度売上はそごう最終年度223.5億円(ピークの92年2月期は492億円だった!)とナウ57億円の合計280.5億円を若干、下回る270億円を目論んでいるが、達成は微妙であろう。B1/1Fは食品、9/10Fはレストランで、2〜5Fをファッション、6〜8Fはライフスタイル関連で構成している。
 駅ビルと言ってもファッションフロアの構成は郊外SCに近く、2Fのナノユニバース・ザ・ファーストフロアー、アーバンリサーチドアーズ、グリーンレーベルリラクシングが目玉となるぐらいで、3Fも駅ビルとしては量販的なテナントや郊外SC向けのテナントが並び、4Fは無印良品、5Fはユニクロ、7Fはアカチャンホンポがコアとなっている。極めて足元志向の堅実な構成で、駅ビルと言うより「駅上の郊外SC」と言った方が適確であろう。
 八王子はかつて5つも百貨店があったほど栄えていたが立川商圏に押されて79年に伊勢丹、85年に大丸、93年に西武、04年に丸井、そして12年1月にそごう、と次々と撤退し、商圏が萎縮して行った。もはやそんな劣勢を押し返せる状況にはなく、デベロッパーのJR東京西駅ビル開発株式会社も足元特化型の再開発に徹するしかなかったと思われる。
 内覧会の後、14時からは地元客を招いてのプレオープンが始まると聞いていたが、入館待ちに並ぶ人数はちらほらで行列も短く、勢いの無さを痛感させた。八王子は駅ビルと言えども勝ち組になれないほど寂れた街になってしまったのだろう。
 2012/10/24 09:08  この記事のURL  /  コメント(2)

爆弾提言予告
 国内取材とNY取材に加えてショールーミングやAR革新など最新情勢を判断し、25日(木)開催の月例SPAC研究会では近未来を見据えた「爆弾的提言」を行う予定です。日米取材による百枚近い店頭ビジュアルに加えて日米有力企業(店舗&ウェブ)の最新コスト構造を検証し、ガラパゴスな退化に陥った我が国ファッションビジネスに抜本的進化を迫ります。メンバーはもちろん、どうしても聴講したい非メンバー企業のエグゼクティブは事務局までご相談下さい。
 2012/10/23 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

ルミネ有楽町は大苦戦
 業界の注目を集めて昨年10月28日に開業したルミネ有楽町の苦戦がようやく明らかになった。私はルミネ有楽町のゾーニングが発表された時点から苦戦は避けられないと喝破し、9月15日の当ブログで『サプライズがなかったルミネ有楽町店』、開業日の10月28日にも同『ルミネ有楽町店は東京ローカル等身大』と、その立地戦略とゾーニングの稚拙さを指摘したが、当時は飛ぶ鳥落とす勢いだったルミネの苦戦を予想する人などなく、恐らく失笑を買うに留まったと思われる。
 ルミネ有楽町店は、1)グローバルな都心立地にも拘らず東京ローカルなOL層を狙った等身大な実績テナント中心に構成し、広域から集客出来る目玉テナントを欠いた、2)本館と繋がりの悪い別館に分かれ本館も昇降導線が3〜4F間で分断されるという使い辛い館の構造を解決するゾーニングを組めず、初期から回遊性が危ぶまれていた、3)やや高価なルミネ的下層階とは昇降導線が分断される4〜6階をお手頃価格でヤングOL層をカバーするルミネエスト的構成に徹底せず、4F以上への集客が弱い、という問題があった。手堅い成功を積み上げて来たルミネにしては稚拙としか言いようのない構成となったのは、契約時点から法外な家賃が発生する負担を軽減すべく、契約から開業まで半年というスピード開業にこだわったためで、恐らく戦略設定からゾーニング、テナント交渉にかけられた時間は二ヶ月もなかったのではないか。これではルミネと言えどもベストな構成を組む事は困難だったと思われる。そんな無理な開業スケジュールを決めた経営判断こそ、困難な船出をもたらした最大の要因と指摘すべきであろう。
 ルミネ有楽町店の無謀な開業スケジュールにせよ、昨年と今年で4週間も夏バーゲン時期を前後してテナントを振り回した事にせよ、近年のルミネの経営陣には成功体験による慢心があったのではないか。国民の財産たる国営鉄道の資産を受け継いだ優位な立地で商売する寡占企業として、ルミネは常に公共の利益に留意し公正で開示された経営を心掛けなければならない。ルミネの現経営陣が旧弊を一掃し、公明正大な開かれた経営を実践する事を願うばかりだ。
 2012/10/22 09:53  この記事のURL  /  コメント(0)

「anima」はクール!
 NY〜TOKYOと駆け巡るライフスタイルストア調査の一貫で、今春3月17日に原宿の明治通際(OZZOC→BASE STATIONの跡)に開店したワールドの「anima」を取材して来ました。当社オフィスから至近にありながら何時も通り過ぎるだけで、何時かはきちんと取材しなければと思っていたのです。
 「anima」はランニングとヨガ&フィットネス、アウトドアの三カテゴリーを軸にスポーツとファッションを融合したライフスタイル業態。自らスポーツライフスタイルを実践するデザイナー市川麻衣子氏をディレクターに起用したオリジナルウェアを中核に、専門的な用具や雑貨、オーガニックコスメなどをセレクト編集し、入り口サイドには「グリーンスムージースタンド」の日本第一号店、三階にはヨガスクールやイベントを開催するスタジオも併設している。カテゴリー別の比率はランニング35%、ヨガ35%、アウトドア/デイリー5%、コスメ8%で、あとはシューズや用具という構成。ウエアのオリジナル比率は80%、用具は同15%。現在はまだ原宿店だけで、オペーク銀座店やJR名古屋高島屋でイベント的に展開するに留まっているが、来春からはファッションビルや百貨店に出店を始める計画だ。
 米国で婦人アスレチックウエアのブームをリードしている「ルルレモン・アスレティカ」(165店舗/10.84億ドル)と較べると、ヨガスタジオを軸としたコミュニティ・マーケティングや懇切な機能フィッティング接客などは比較すべくもないが、カラーコンセプトに基づくウエアとVMDのファッション性は注目に値する。それは「ルルレモン」を追走するギャップ社の「アスリータ」(28店舗)とも次元を画するもので、SPA屋やスポーツ用品屋の手掛けるアスレティックウェウより遥かにファッショナブルだ。事業として成功するには「ルルレモン」的なコミュニティ・マーケティングや機能フィッティング接客が不可欠で、店舗も高級住宅地のSCなどに立地すべきだが、アスレティックマインドなファッションブランドとして百貨店やファッションビルに展開するにはこれで十分クール!だと思う。





 2012/10/19 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

ビーミングライフストアは化ける!
 4月にららぽーとTOKYO-BAYで立ち上がったビームスの郊外SC戦略ファミリーライフスタイル業態「ビーミング・ライフ・ストア」第一号店は既存業態から寄せ集めた商材が目立って価格もこなれておらず、什器配置も流動的でMD展開の輪郭が見えず、新業態というインパクトがいまひとつ欠けていたが、ようやく体制が整った今秋の新店舗は見違えるように変身していた。実験段階でプレオープンしたららぽーと店よりMDが固まった後で開設されたコピス吉祥寺店の方が明確な姿が見れると期待して、昨日の朝一番で取材に行って来た。
 「ビーミング・ライフ・ストア」はビームスで育ったシティボーイ/シティガール達が家庭を築いて子供達と暮らす(部分的には三世代)郊外ライフスタイルに対応するもので、アメカジベースのサバブカジュアルを中核に、メンズは通勤用のクロージングやビジカジ、レディスはオーガニックのルームウェアやコスメ、キッズはベビー/トドラーからポーイズ/ガールズまでカバーしている。商品構成はメンズ35%、レディス40%、キッズ10%、ルームウェア/肌着/雑貨15%で、アパレルのオリジナル比率は90%。キッズは100〜140cm中心に60〜150cmをカバー。メンズはS〜XL(定番パンツはXXLまで)、レディスはSMLをカバーし、ターミナルのビームスより大きめのサイズを充実して上の世代まで狙っている。価格はカジュアルはビームスの6〜7掛け、メンズのクロージングは同5〜6掛けに抑えられており、セレクトっぽい味付け(大味なSPAっぽくない)にしてはお買い得感がある。
 レディス/メンズのカジュアルは小粒ながらキーアイテムを中核に定型ルックがきちんとMDに組まれており、定番ボトムはカラー/サイズが揃っているから、売れ筋継ぎ接ぎ型ではなく計画MDによる補給とフェイス維持という多店舗展開SPA型のMDが意識されている。ビームスという企業文化からはちょっと想像し難い戦略が仕組まれており、侮れないものを感じた。先行するライバル企業の郊外業態もうかうかとしてはいられないのではないか。
 そんな印象を決定づけたのが、お手頃になったパッシブ型RFIDタグを採用しての画期的なハイブリッド戦略だ。RFIDタグを使えば棚卸しやチェックアウトが格段にスピーディになるし、店内のアドレス管理と連動すれば品出しや店間移動のピックアップも格段に省力化され、什器別の販売効率や消化率も掴める。試着室への持ち込みと買い上げの関係も掌握出来るから、単品別の試着落ち率も検証出来る。加えて、姿見にセンサーを組み込んでデジタル・サイネージと連動すれば、お客様が手にした商品のコーディネイトも訴求出来るし、オンラインストアへもタイムリーに誘導できる。「ビーミング・ライフ・ストア」にはまだオンラインストア端末は配置されていなかったが、欧米のSPAでは常識となりつつあるから配置は時間の問題であろう。
 ショールーミングに晒されるこれからの店舗小売業はオンライン・リテイリングとの連動やそのテクノロジーの導入に拠る訴求力と運営効率の革新が不可欠で、一見はアナログな和み感が漂う「ビーミング・ライフ・ストア」がデジタル・テクノロジーで武装してオンライン・リテイリングとのハイブリッドに目覚めようとしている姿には衝撃を受けた。米国の動向に見るまでもなく、店舗小売業のハイブリッド武装は今や最大の経営課題となったのではないか。








 2012/10/18 09:45  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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