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m)phosisを取材しました
 一年振りにシンガポールに行くので、前々から注目していたm)phosisのオーナーさんにインタビューしたいとキャピタランドのYUさんにお願いしたら快くご手配下さり、ラッフルズシティのお店でお話を伺う事が出来た。m)phosisのオーナーHensley Tehさんは見た通り気さくな方で、シンガポールに11店、中国に11店、香港に1店、インドネシアに5店、フィリピンに4店、ベトナムに3店、マレーシアに4店、計39店を展開する辣腕ビジネスマンにはとても見えない。
 アパレルOEMメーカーとして80年に創業して94年にm)phosisを立ち上げ、09年には上海に初出店して今や北京など6都市に拡げている。自社ウェブサイトはまだなく、シンガポールのZALORAというモールに出ているのみで、売上はシンガポールの一店分程度。年商はシンガポールで1000万S$、全体で1400万S$ほどで、中国の売上は期待ほどではないそうだ。
 チーフデザイナー、アシスタントデザイナー、パターンナーからなるデザインチームが6人、生産マーチャンダイザーが4人の体制で、SS400型、AW400型、クリスマス企画とチャイナ春節企画それぞれ20〜30型のコレクションを組み(アジアンMDの参考になるでしょ!)、アパレルは自社工場で半分、外注工場で半分を生産している。m)phosisの価格はトップスで27.90〜52.90S$、ボトムで31.90〜59.90S$、ニットドレスで52.90〜73.90S$、ケミカルシューズで19.90〜52.90S$(1S$はほぼ70円)とH&M水準にも拘らず、パターンナーや生産管理まで抱える自社開発だから、コスチュームからシューズ、バッグまでほとんどモノトーンに徹したアバンギャルドモードなコレクションが抜群のお値打ちを感じさせるのは当然だ。そこがプロフェッサーの注目する所以と言ってもよいだろう。
 年中、亜熱帯気候で四季のないシンガポールでのコレクションだからアウターは限られ、欧米コレクションに較べれば立体感が弱く、日本のスタイリングに較べればミックス感を欠くが、中国市場への対応が進めばアウターも充実し、日本のモードスタイリングを研究すればリミックスやレイヤードの面白さも加わるのではないか。日本に持って来てアジアングローバルなモードSPAに育ててみたいという誘惑にかられる。




 2012/10/31 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

底抜けに明る〜いシンガポール
 金曜夜の夜間飛行でシンガポールへ飛んで、同じJALの夜間便で今朝、羽田にとんぼ返りして来ました。現地二泊機中二泊の強行軍ながら、底抜けに明るく清潔でマナーの良いシンガポールの活力をたっぷり味わって、何だかいっぱい元気をもらった感じです。
 今回はアパレルウェブが総力を挙げてジャパンブランドをアジアに売り込もうという「JRunway」プロジェクト一号店の立ち上げをお手伝いに出かけたのです。オーチャードロードの一画を占めるプラザ・シンガプーラSCが増床する新館一階の入り口正面エスカサイドという一等地に百坪というスケールでローンチする「JRunway」は渋谷系グラマラスブランドや原宿系ストリートブランドなど30ブランドで構成するジャパンブランドのプロモーションストアで、シンガポールで人気のストアデザイナーが手掛けた表現主義風の店舗環境は十分に目を惹きます。
 慌ただしいプレオープン(本オープンは11月後半だとか)なので準備万端とは行かず品揃えもまだ中途半端でしたが、東京から送り込んだスタッフに加えて現地採用の女の子達のレヴェルも高く(何せカワイ〜イ!)、NY方式の陳列ルールやTOKYO風ルックの組み方を教えても飲み込みが早い。マネキンが本番用ではなくグラマラス感が弱かったり照明が一部、欠落していたり色温度が低すぎたりと本オープンまでに修正すべき点も少なからずありましたが、スタッフの質の高さに救われそう。
 しっかりお仕事した後は熱い夜風に誘われてリバーサイドのお洒落なエンターテイメント地区(クラークキーと言うのでしょう)にお出かけ。丁度、ハロウィンの週末とあって思い思いにコスプレした若者達が次々と繰り出し、もう熱気いっぱいのカーニバル状態でした。目を惹くギャルは皆、日本の80年代かと見紛う露出度の高いボディコン姿でしたから(扇子を持ってる娘もいたよ!)、こんなイケイケ市場で等身大なナチュカワとかナチュラルレイヤードを売ろうという日本企業のマーケティング感覚は無理が在り過ぎるよね。
 バニールックで極めたギャルちゃんがあんまり可愛いので声をかけたら笑顔で並んで写真を撮らせてくれました。こっちの娘は東京と違って未来が明るいせいか底抜けに明るく素直で(教育水準も高くバイリンガルが当たり前!)、つい、『ハアーッ 未来も無エ 希望も無エ 若者もそんなに明るくネエ おらこんな日本いやだ〜♪ おらこんな日本いやだ〜♪ シンガポールさ行くだ〜♪ シンガポールへ出だなら銭コァ貯めでボディコン姉ちゃんと暮らすだ〜♪』(吉幾三)などと替え歌を唸ってしまいました・・・・・





 2012/10/30 13:30  この記事のURL  /  コメント(0)

‘面で魅せるMD’を組もう
 日本では売れ筋後追いのQRが蔓延して継ぎ接ぎのMDになり、季節毎のフェイス切り替えが曖昧になって売場の鮮度が損なわれ、QR商品の同質化で値崩れと期中セールが日常的となって期末バーゲンも前倒しが進行し、「バーゲン正常化」の無謀な試みが混乱を招く事態を引き起こしたが、NYの「Jクルー」店頭などを見ると季節毎にフェィスがきちんと切り替わり、常に売場の鮮度が保たれている。とは言ってもNYのバーゲンは前倒しが進行している日本よりさらに早い。11月末のブラックフライデー(サンクスギビングデイの翌日)を皮切りに秋物セールや冬物のキックオフに拍車がかかり、クリスマスの翌日から冬物バーゲンに突入してしまう。
 米国小売業に特徴的なのがキックオフで、立ち上げ直後の商品を20%程度オフして先物需要を喚起する。これはシーズンコレクションを組んで計画生産するSPAでは不可欠で、計画通りに販売消化してフェイスを切り替え、期末処分にかかる商品を圧縮して粗利益を確保する常套手段となっている。売れ筋後追いQRが期中セールと期末バーゲン前倒しをもたらすのが日本流とすれば、計画MDのフェイス切り替えをキックオフで強制遂行するのが米国流(正確には米国のブランドビジネス流)と言えよう。
 どちらが正解かはビジネスモデルにも拠るが、きちんと構築されたフェイスを計画通りに切り替えて行く方がフェイスが継ぎ接ぎにならずMDを面で訴求出来、期中セールの乱発や期末バーゲンの前倒しも少なからず回避出来るのではなかろうか。
 それ以前にブランディングという視点に立てば、醜く継ぎ接いだ売場より美しく面で構成された売場の方が優位に決まっている。現場が誇りを持ってブランディングしていくには計画MDの面展開と季節毎のフェイス切り替えが不可欠だと思うのだが如何だろうか。そんな想いで企画したのが11月7日に開催する当社の「マーチャンダイジング技術革新ゼミ」なのだが、想いを同じくする業界人は限られるのが実情だ。継ぎ接ぎではない‘面で魅せるMD’をどう組み、どう消化回転させて行くのか、基本から最新テクまでビジュアルに提示すべく準備を進めている。
 2012/10/29 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

新業態の離陸条件
 昨日のSPAC研究会では日米の様々な注目業態/新業態を検証して業態開発の指針を提示したが、幾つも開発される新業態の中でも順調に離陸して多店化していくもの、離陸に失敗して数シーズンで撤収されてしまうものがある。その明暗を分けるのはいったい何なのだろうか。
 長年、多くの業態の消長を見て来た経験から、一号店のインパクトの有無、2〜3シーズン目に入って6〜12店舗を布陣した段階での店舗/MD/VMDの標準化の進行度で離陸出来るか否かほぼ判断出来る。一号店のインパクトがなくては大幅な修正が不可避で、2シーズン目に入ってもインパクトある姿に修正出来なければ、もう離陸は難しい。インパクトを決めるのは切り口のシャープさと客層の広さ、価格とバリューの競争力、VMDを含めた提供方法の革新性で、これが弱いと多店化への標準化プロセスに移れない。インパクトがあっても標準化が遅れれば運営効率が上がらず、顧客も定着しないから収益性の目処も立たず、多店化は頓挫してしまう。
 米国の例で言えば、09年9月にスタートしたアメリカンイーグルの「マーチン&オサ」は第一段階で空振ったのに第二段階まで強行して28店まで拡大し、10年7月に全店を閉鎖している。04年9月にスタートしたアバークロンビー&フィッチの「ルール」も28店まで拡大したが大幅赤字を脱却出来ず、09年中に全店閉鎖された。日本ではそこまで多店化する以前に見切りを付けるケースが多く、オンワード樫山の「サザンウインドフィールズ」など、僅か2シーズン2店舗で撤収している。
 鳴り物入りでデビューした新業態のどれが離陸し、どれは撤収に至るか、それは第一段階の蹉跌か第二段階の蹉跌か、ほぼ読める。一号店のインパクトが弱い業態は問題外で、業界の話題にも登る事無く何時の間にか消えてしまう。「○○○ファクトリー」や「○○○&ペッパー」は開発コンセプトと市場性のギャップが大きく、このままでは離陸が難しい。ビームスの「ビーミングライフストア」は試験的な一号店には疑問符が付いたが、2シーズン目二号店で早くもフォーマットが固まり、ほぼ離陸が読めた。クロスカンパニーの「セブンデイズサンデイ」は一号店が評価されたのに2シーズン目15店に至ってもフォーマットが固まらず、ちょっともたついている。第一段階をクリアしているのだからテクニカルな問題であり、体制を整え直せば離陸プロセスに移行出来ると見る。
 2012/10/26 12:02  この記事のURL  /  コメント(0)

ハイブリッド現象に注目!
 ショールーミングに続いてネット販売が店舗小売業を脅かす新たな現象が広がっている。それはネットでの売れ方が店舗の売れ方に波及してMDを一変させつつあるという現象で、私は「ハイブリッド現象」と名付けている。
 アパレルのネット販売では視覚効果の高い柄物やアクセントカラーから先に売れる傾向が顕著だが、それが最近のコレクションシーンや店頭のMDにも波及し、柄×柄のコーディネイトや派手なアクセントカラーが広がっているのだ。加えて、ネットの先行受注が影響してかシーズン立ち上げも早まっており、十月の店頭に早くも獣毛混春色の梅春商品が並ぶという近年に無い現象も見られる。
 そんなMDの一変に対応出来ているブランドやストアはまだ例外的で、ハイブリッド現象への対応如何で売上の明暗も分かれると推察される。柄物企画の拡大や柄×柄のルック訴求に加え、アクセントカラー在庫の積み増し(これまではベーシックカラーの売上比率が高かった)やカラー展開企画の拡充が急がれるのではないか。
 2012/10/25 11:53  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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