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ゆるポップな来春夏トーキョートレンド
 今朝の繊研新聞はパリ・メンズコレクション会場における柄アイテムの氾濫をビジュアルに報告していたが、今春夏のトーキョーストリートを後追いしてケバくした様にも見えた。欧米コレクションシーンのメンズは相変わらずボディコンシャスで、トーキョーストリートの緩く和ませる崩し履きとは乖離しているが、プリントの氾濫に見るようにコレクションシーンがトーキョーストリートを後追いして行くのかも知れない。
 欧米とは一線を画してガラに突っ走るそんなトーキョーメンズの来春夏シーズンを予測する当社の『メンズ版MDディレクション』がほぼ固まり、総括と素材ボード作成を残すのみとなったが、その骨子を紹介しておこう。当社の『MDディレクション』は‘MD’と称しているように、トレンドファクターをまとめるのではなく、それらをミックスしたウェアリングテーマを設定して即、MDに落とし込めるよう着回しの巾を組んだもので、アイテム/カラー・柄/素材をビジュアルに構成している。
 まず、MDテーマが集中する(勢いが期待される)客層タイプはヤングから団塊ジュニアではプレップ系〜ワークミックス系、コンテンポラリーではナチュラルモード〜スタイリッシュモード系、ローカルのコンテンポラリー〜アダルトではディープアメカジ系で、今年よりさらに集中度が高まると思われる。プレップ系〜ワークミックス系では‘ゆる’と‘ポップ’がキーワードで、‘インディゴ’‘サイクリスト’も注目される。ナチュラルモード〜スタイリッシュモード系では‘ゆるワーク’や‘コロニアル’がキーワードで、‘インディゴ’や‘スポーツ’も無視出来ない。コンテンポラリーではキレイ目スタイリッシュなビジカジ主流は変わらないものの、さすがに‘ゆる’な崩しが波及すると予測している。
 コレクション報告セミナーでは決して掴めないガラなトーキョートレンド(実際のマーケットでは主流となる)を知りたければ是非、当社の『MDディレクション』に注目して頂きたい。レディス版は7月24日から、メンズ版は7月26日からクライアントへのディレクションが始まります。
 2012/07/11 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

夏休み最初の連休をバーゲンで潰すの?
 先週末は雨に降り籠められ、仕事の持ち帰りもあって何処にも出掛けませんでしたが、昨年までは新宿某百貨店のバーゲンを覗いていたように思います。当家の衣料・服飾品購入はなるべく軽井沢のアウトレットに振るようにしていますが新宿某百貨店に依存するところもまだ多く、今年はバーゲン開始が二週間後送りされて13日の週末からになって海の日の連休と重なってしまい(当然、軽井沢へ行く)、バーゲンハンティングは見送る事にしました。
 物が足らなかった売り手市場の遠い昔ならともかく、物が溢れライフスタイルが多様に広がった今日、百貨店や駅ビルのバーゲンに行く為に週末を犠牲にするという感覚はかなり時代ズレしているのではないでしょうか。新宿某百貨店を言い出しっぺに夏バーゲンの後ろ倒しが広がった事には業界の識者として何度も異議を申し上げましたが、夏休み最初の連休にぶつけるなど、生活者の実感と大きくズレている事にも改めて異議を唱えたいと思います(パリ市のソルドは市民がバカンスに入る前の6月最終水曜日から、米国のセールも6月中旬から始まって7月4日の独立記念日前には一巡してしまう)。
 新宿某百貨店はエリート意識が極端に強く、未だ『顧客に教えてやる』という感覚があるようですが、『ファッション感度の高い顧客はライフスタイルも充実しており、バーゲンのためにバカンスを犠牲にするという選択はしない』と教えてあげたくなります。私が新宿某百貨店をしばしば槍玉に挙げるのは業界の識者として疑問に思う事が多いのに加え、長年の顧客として消費者感覚とズレていると感じる事が多いからです。
 それでも子息や私のパジャマやモードスニーカー、ベッドリネンなどをバーゲンプライスでゲットすべく、軽井沢から帰って来て元気があったら、新宿某百貨店に出掛ける事に致しましょう。
 2012/07/10 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

ユニクロはチャイナSPAか?
 国内ユニクロの既存店売上が3ヶ月連続して前年を割り、ファーストリテイリングは3〜8月(12年8月期下期)の既存店売上計画を1%増から4%減に引き下げた。国内ユニクロは9〜2月(12年8月期上期)も95.1に終わっており、国内既存店売上は10年8月期下期から5期連続して割り込み続けている。客単価こそ20年振りのインフレ転換に下支えされて11年8月期下期からプラスに転じているが客数は三半期連続して減少率が拡大しており、国内消費者のユニクロ離れが指摘されている。海外(正確にはアジア)ユニクロやジーユーが好調な一方での国内ユニクロの長期低迷をどう見るべきなのだろうか。
 業界やアナリストはヒートテックに続くヒット商品がない事を指摘しているが、私はそれに加えてビジカジ対応商品開発の失敗、国内トレンドからの乖離、の二点を指摘したい。
 国内ユニクロは10年8月期下期(3〜8月)、ファストファッションに煽られて短期開発のトレンド商品やデザイン物に流れ、『高品質ベーシックパーツ』という原点が希薄になって失速した。11年8月期はベーシックに回帰したものの古典的なジーニングに固執してチノブームに乗り遅れ、さらには3.11以降のスロー消費転換やビジカジブームにも乗り遅れ、国内トレンドと乖離して既存店売上の低迷が深まったと総括したい。
 チノブームへの乗り遅れはジーンズを山積みした店頭からも一目瞭然だったが、それに続く翌年のチノ系丈パンツ/デザインパンツのブームにも乗り遅れ、きちんと感あるチノスタイルを提案出来ずにクールビズブームにも乗れず、さらには3.11以降に加速したレディスの‘ゆるナチュラルレイヤード’、メンズの‘ゆる落とし履き’にも対応出来ず、ユニクロの古典的なアメリカンウェアリングがグローバル展開とともにややモードに振れるにつれ、国内トレンドとの乖離が一段と拡大して行ったのだ。実際、最近のユニクロの店頭はアジアン・グローバルな感覚が強まってチャイナSPAかと見紛うほどで(ほとんど「Meters/bonwe」みたいだ)、日本人の好みとは逸脱しているように感じられる。
 ユニクロの国内トレンドとの乖離は、企画から店頭までほぼ1年を要する素材からの巨大ロット開発が災いしている一面もあるが、本質的要因は日本市場のガラパゴス化が加速している事にある。中国を中心としたアジア市場が欧米トレンドの影響を強める一方、日本市場は3.11以降、モードトレンドから乖離した世界に類のない等身大な‘和み’‘崩し’のレイヤードが一段と加速しており、ユニクロがグローバル化を志向すればするほど国内市場と乖離してしまうというアイロニーに陥っている。
 アジア市場、とりわけ中国市場で成功するには現地の好みや体型に対応する事が不可欠と言われるが、ならばユニクロはアジアンSPAとなるのかドメスティックSPAとなるのかの二律背反に答えを出さなければなるまい。日本企画で日本市場に対応するドメスティックSPA、中国企画で中国やアセアン市場に対応するアジアンSPA、この両者を分離しない限り、国内市場における低迷は打開出来ないのではないか。
 2012/07/09 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

インバウンド対応を急げ
 国内衣料消費は震災以来、5%前後というインフレに支えられて回復基調にあるが、直近の6月は夏バーゲン後ろ倒しによる買い控えで失速し(大手百貨店5社が揃って前年を割ったのは15ヶ月ぶり)、大手ファッションサイトまで急減速(スタートトゥディの6月前年比は106.4)するという大混乱に陥っている。消費者利益という錦の御旗無き業界の迷走はせっかくの回復基調に水を差す事態を招いており、迷惑このうえない。
 その一方、原発パニックで急減した観光客はほぼ震災前水準を回復し、都心百貨店の売上を下支えしているが、その売上比率は多い店で一割弱と、香港やシンガポール、パリやロンドンなどでは過半を占める商業施設も少なくないのと較べると極端に低く、インバウンドMD(海外観光客向け品揃え)の遅れが指摘される。今春はダイバーシティ東京や東京ソラマチなど海外観光客を意識した商業施設が相次いで開業したが、お土産物やキャラクター雑貨はともかく、主力となる衣料品はグローバルSPAの導入だけで、有力アジアンブランド/SPAはまったく見られず、国内ブランド/SPAもインバウンドはまったく意識していない。これでは海外観光客増加もクールジャパン・キャンペーンも売上に繋がらず、世界のファッションキャピタルたるトーキョーへの期待を裏切ってしまう。一昨年九月に三越銀座店がドメスティック一辺倒なMDと店舗デザインで増床開店した姿を見て、私が失望を露にした意味を理解して欲しい。
 来秋、幕張に開業するイオンの巨大SCも「10の熱中」をテーマにライフスタイルセンター紛いの大人の成熟消費コンセプトを打ち出しており、成田と羽田を高速道路で結ぶ中間点という絶好の立地を活かしたインバウンドMDにはまったく触れていない。本来ならグローバル勢に加えてアジアの有力ブランド/SPAを勢揃いさせ、シンガポールか香港かと見紛うインバウンドモールを打ち出すべきではなかったか。建築的にも従来の郊外型イオンモールの枠を超え、シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」のような観光客の度肝を抜く斬新な意匠を打ち出して欲しかった。ちなみにキャピタランドが17年の開業を目指して重慶で開発を進めている巨大複合施設(SC部分だけで22.2万平米、全体では六本木ヒルズを凌駕する規模)は「マリーナ・ベイ・サンズ」をさらにスケールアップした設計で、それだけで中国中から観光客を惹き付けるインパクトがある。
 東京都心や福岡ではSCも百貨店もテナント企業も、もっとアジア全域、いや世界を視野に入れたインバウンドMDと商業建築を追求すべきだと思う。ファッション企業もアジア視点のブランドを開発して都心や湾岸のインバウンド店舗から発信し、グローバル展開の起点とすべきではないか。
 2012/07/06 10:14  この記事のURL  /  コメント(0)

忙しくなりますよ!
 昨日、イオンモールがニューオータニで開催した「幕張新都心プロジェクト&中国・アセアン出店説明会」に行って来ました。12時半からの開催でしたが10分前に行ったところ、ニューオータニ最大のバンケットホール「鶴の間」の1200席が九割がた埋まるという盛況ぶりで、次々に押し寄せる来客で開催が10分近く遅れ、ほぼ満席で説明会が始まりました。
 「幕張新都心プロジェクト」はイオンレイクタウンに次ぐ規模(商業施設面積で計15万平米級か)で、成田と羽田を結ぶ湾岸高速のほぼ中間に位置してアジア全域を狙う、イオンが本社お膝元の‘フラッグシップ’と意気込むイオンモール史上最大最注目の案件ですからテナント企業の関心も高く、1200席がほぼ満席となる盛況となった訳です。その「幕張新都心プロジェクト」の説明はグローバルな性格より足元のライフスタイル専門性を強調したもので、具体的な構成は明確にされませんでしたが、同時に13年は7SC、14年は10SCという国内開発計画が発表され、改正都市計画法の施行で09年以降、冷え込んでいたSC開発の復活が予感されました。また、中国では11SCが開店準備に入っており、14年以降は毎年二桁のSCを開設して20年には計100SCまで拡大する他、アセアン各国でも積極的にSC開発を進めるとして、テナント企業の参画を繰り返し煽っていました。
 SC開発が激減したここ三年ほど、店舗開発担当者は口々に『暇になった』とぼやいていましたが、これからは国内に加え中国・アセアン出張も重なって忙しくなりそう。それだけ専門店業界の投資や採用も増えて活気が戻って来ると期待されます。セール時期の混乱で足元の6月は苦戦が目立つものの、SC開発抑制の競争緩和効果に20年振りのインフレ転換も加わって既存店の回復が広がっており、内需復活とアジア市場開拓で業界は久方振りの活況に潤いそうです。
 2012/07/05 09:57  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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