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もはやバーゲン待ちですね!
 コーディネーターが報告して来た5月直近のゾーン別スタイリング動向は駅ビルから百貨店まで新たな提案がほとんど無く、GWから目立った変化は見られませんでした。新規投入も売れ筋の素材替えなど継続商品に限られ、売場の一部で不振商品のセールを始めるブランドやストアが目立っていたそうです。新たな提案が無い以上、継続商品をプロパー価格で引っ張るのはそろそろ限界で、5月末段階でも、もはやバーゲン待ち状態に入った感があります。
 そんな状況ですから、業界で申し合わせてバーゲン時期を遅らせても、顧客向けのシークレットセールや過剰在庫品のプレセールは先行して始めざるを得ず、例年通りの日程でバーゲンを始める商業施設もあって、バーゲンを遅らせてプロパー価格を引っ張った大手アパレルの夏物在庫は販売機会を失ってしまうリスクが指摘されます。通常、アパレル側としてはバーゲン開始日の早い施設から順に在庫を移動して行くので、バーゲン開始日が後になるほど売れ残りばかりになりがちで、それを埋めるべくセール用に調達した(セール価格でも利幅が残る元から原価の低い)商品を投入するのが一般的です。
 消費者としては価値ある商品をバーゲン価格でゲットしたいのは当然ですが、シークレットセールも終わって二週間遅らせた解禁日以降にバーゲンに出かけても、めぼしい商品はあらかた売り切れてセール用に投入したお得感の薄い商品ばかり、という事になるのかも知れません。となれば何とかシークレットセールに潜り込んで価値ある商品を物色すべきで、今シーズンのバーゲンハンティングは何かと気苦労が多くなりそうです。
 2012/05/23 17:15  この記事のURL  /  コメント(0)

これって価格維持カルテル?
 三越伊勢丹が提案してルミネや東急百貨店が同調した「夏バーゲンの二週間後ろ倒し」がオンワード樫山や三陽商会まで広がって業界ぐるみの様相を呈して来たが、これでは業界が「二週間の価格維持」を申し合わせたカルテル行為と看做される恐れがある。もとより業界の利益確保が目的で消費者利益という錦の御旗を欠いた動きであり、平成14年に公取委が示したガイドライン「衣料品業界によるバーゲンセール実施時期の制限」で違法とした行為に極めて近似しているから、公取委がどんな判断を示すか注目される。
 バーゲン時期をどうするかは個別企業の営業政策であって、個々の企業が前倒したり後ろ倒したりするのは自由な競争行為だが、業界大手各社が申し合わせてバーゲン時期を遅らせたとなると、競争を制限するカルテル行為が疑われる。コンプライアンスを重視する企業なら法務担当者が慎重な判断を示してもよいものだが、今回はなし崩し的に同調が広がってしまった。業界ぐるみで統一するなら、ワールドの寺井社長が『フランスのように法律で決めては』と発言しているように公のお墨付きが必要になるのかも知れない。
 バーゲン時期を遅らせても上顧客向けのシークレットセールや不振商品処理のプレセールは先行されるし、カジュアルチェーンなど既に五月雨式にプレセールに突入しているから、「二週間の価格維持」は大手アパレルブランドなど一部に限定され、ブランドの販売政策による多段階なバーゲン時期というこれまでの実態はほとんど変わらないだろう。となると、カルテル行為を疑われてまで業界ぐるみで「夏バーゲンの二週間後ろ倒し」に同調する意義があったのか、疑問に思わざるを得ない。バーゲン時期は各企業が消費者利益に立って競争的に設定すべきで、業界利益を目的に統一するのは無理があったと思われる。
 2012/05/22 12:36  この記事のURL  /  コメント(0)

東京ソラマチは一大祝祭空間だった!
 金曜朝、「東京ソラマチ」のプレス内覧会に行って来ました。既に政財界人や東武百貨店お得意様、地元関係者などに向けた内覧会が毎日のように行われており、そちらはスカイツリーにも登れるようですが、残念ながらプレス向けは商業施設部分だけの内覧でした。
 エントランスを入ると、館内に4店も出店してアジアに発信しようと意気込むサマンサタバサジャパンリミテッドのお嬢さんたちが派手なパフォーマンスでお出迎え。ファッション関連は二階三階に細長く並んでいましたが、家賃が高いという前評判の割りには旗艦店級での出店が多く、3Fの「アーバンリサーチストア」など全業態を結集してテラスに広がるカフェを併設したデカい店(790平米)で勝負を賭けていました。(2Fの「ビューティ&ユースUA」もカフェを併設)。単店での採算を超えてグローバルな宣伝効果を狙うお店が多いというのが私の第一印象でした。
 「東京ソラマチ」はスカイツリーのお膝元で国内外の観光客に対応する一大祝祭空間ですから、毎日がお祭りでなければなりません。それを意図して下町風の「ソラマチ商店街」(1F)やお土産物街の「ジャパンスーベニア」(4F)、民放全社とNHKを網羅する「TVキャラクターストア」(4F)に加え、5Fには「すみだ水族館」、7Fにはプラネタリウムまで揃っています。
 商業施設面積52000平米に312店と言っても主役はお土産物店やキャラクターショップ、飲食関連で、ファッション関連はややおまけの位置付け。そんな中ですから、ファッション関連でも「TOKYO10月H.P.FRANCE」のようにスーベニール商品に徹したり、「ダブルシー」のように銭湯をイメージしてキャラクター商品主体に構成したりを筆頭に、多くのお店がソラマチ専用のお土産商品(公認ライセンス商品だけで47店舗)を揃えていました。お祭り気分という事ではサマンサタバサのパフォーマンスは特筆物ですが、公式キャラクターのソラカラちゃんたちには敵いませんよ。
 明日22日に正式開業すれば国内はもちろん、海外からの観光客も集めて押すな押すなの大混雑となるのは必定。先発した阪急メンズトーキョーや先日開業したダイバーシティ東京など、アジア全域を狙ったグローバル型商業施設が次々と開設されれば、東京もシンガポールに並ぶアジアのハブシティ、いやパリやニューヨークに並ぶ世界のファッションシティに返り咲けるかも。これからの都心型商業施設開発のキーワードは「等身大」に代わって「グローバル」と「祝祭」になるのでしょう。



 2012/05/21 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

独断的革新か優越的地位の濫用か
 今朝の日経に拠ればイオンが6月1日から三ヶ月間、総合スーパーの「イオン」や食品スーパーの「マックスバリュ」など全国1100店舗で開店時間を二時間早めて午前7時から営業するそうだ。閉店時間は変えないから、営業時間は長くなる。ちなみに、総合スーパーの早朝営業は食品フロアだけで、衣料品フロアなどは対象外。モールの専門店に早朝営業を強いる事もなさそうだ。今夏はすべての原発が停止して電力不足が避けられず、来店客を分散させてピークとなる日中の電力使用量を抑制するためとしている。
 イオンは高齢者対応でも早朝営業しているが、夏場の三ヶ月だけとは言え、二時間も早めての全国規模での早朝営業は関係者への負担が危惧される。まず自社の従業員に早出してもらわないといけないし、納品も二時間早める必要がある。となれば物流センターからのトラック便のスケジュールもピッキングなどの出荷作業も前倒されるから、運転手も物流スタッフも早出しなければならない。もちろん、物流センターへの納品も前倒す事になり、食品問屋や食品メーカーは生産から配送まで全国規模で業務行程を組み直して対応し、従業員の勤務時間も大きくシフトせざるを得ない。
 従業員から取引先まで巻き込んで少なからぬ負担を強いる事になるが、イオンは自社の労組や取引先に事前に適切な根回しをしたのだろうか。従業員はともかく、納品業者からは相当のブーイングがあってもおかしくないが、力関係から受容せざるを得なかったと推察される。イオンはかつてモールの専門店にまで夜間営業を強い、営業時間延長への対応で何年にも渡って全国的に販売員が不足する事態を招いた事は記憶に新しいが、今度の早朝営業はモール専門店には及ばないとの事で、関係者は胸を撫で下ろしているのではないか。
 営業時間の延長にせよ早朝営業にせよ、バーゲン時期の意図的な前倒しや後倒しにせよ、占拠率の高い特定の大企業が仕掛けると関係者に様々な負担を強いる事になる。リーダーシップを発揮しての独断的革新と言えなくもないが、振り回される側からは「優越的地位の濫用」という恨み節も聞こえて来る。
 2012/05/17 11:55  この記事のURL  /  コメント(0)

内需大復活時代が来た!
 倍、3倍、6倍、17倍、22倍。何の数字かと言えば、今春に決算を迎えたファッション企業の増益率のお話だ。倍はAOKI、3倍は青山商事、6倍はコナカと紳士服チェーンの復調が目立つが、17倍はワールド、22倍は三越伊勢丹HD、ワコールHDも2.5倍となった。これは税引後純利益の話で、紳士服チェーンの場合は昨年の震災に伴う特別損失の反動が大きいし、ワールドも震災関連の特別損失と固定資産の除却損による反動、三越伊勢丹は税制改正による380億円もの法人税の戻りが極端な純利益増をもたらした。営業利益で見るとAOKIは26%増、青山商事は35%増、コナカは44%増、ワールドは32%増、三越伊勢丹HDは2.2倍だったから、純利益は様々な会計マジックで誇張されているとは言え、販売の急ピッチな回復を象徴している。
 今春開業の注目商業施設は何処も予算を大きく上回る好調が伝えられているし、長年低迷して来た百貨店さえ紳士服に続いて婦人服も4月以降は浮上している。地デジ切り替えによる薄型TV特需が終わって衣料品に支出が回って来たとか、長年の支出抑制の反動が出たとか、あまり説得力のない理由付けが言われているが、本質はデフレの終焉と米国型消費主導経済への変質にあると思われる。
 20年も続いた衣料品のデフレも昨年一月にインフレに転じて以降、購入単価は5%前後の伸びを続けているし、産業の空洞化と少子高齢化が進む中で収入は伸びないのに支出が増加し、製造業が低迷しても消費が経済成長を主導するという米国型の経済に転換し始めたのではないかと推察される。OECDの統計に拠れば、90年代までは倍から三倍も差のあった日米の貯蓄率が今世紀に入って急速に縮まり、08年以降は日本が逆転して低くなり、11年度では米国の3.6%に対して日本は3.2%となっている。もはや日本人の勤勉貯蓄体質は過去の神話となったのだ。
 個人消費が経済成長を支えて来た米国より日本の方が貯蓄率が低くなった事は、老齢化が進んで貯蓄が取り崩されるようなった事に加え、将来不安から支出を抑制するより消費して今を楽しむ米国的享楽志向の人々が増えて来たのかも知れない。もしそうだとすれば内需が本格的に回復し、衰退業種と烙印を押された百貨店も増収増益を享受するバブリーな時代が始まる事になる。遠からず家計も国家も借金が嵩んで欧州的な緊縮に追い詰められるにしても、それまでの何年間か、最後のあだ花が咲くのではなかろうか。その確率は少なくとも51%以上だと思われる。
 2012/05/16 10:05  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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