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「クロコダイル」の新レーベルは良かったよ
 ヤマトインターナショナルが「クロコダイル」の新レーベルを出すというので、ランチついでにキャットストリートを渋谷近くまで歩いてショールームにお邪魔しました。今年二月に開いたというショールームはフレッシュネスバーガーお隣りのビルの4Fで、コンパクトながら見易く陳列されていました。
 まず眼についたのが見知った「クロコダイル」とは異なるコンテンポラリーなスタイリングで、レディスはアラフォーミセス好みの上質なコージーナチュラル・レイヤード、メンズは40代ビジネスマン好みのナチュラルニートなプレップスタイルが打ち出されていました。レディスはゆるくレイヤードしながらもプレップな質感を崩さず、メンズはナチュラルながら加工感を避けて上品なプレップ感を保っていました。
 「クロコダイル」と大差ないお手頃価格できっちり品質を保ち、若々しいスタイリングを打ち出した新レーベル(「クロコダイル・トーキョー」と言うのでしょうか?)は代官山のアドレスや恵比寿のアトレに合いそうで、結構いい商業施設に売場を確保出来るかも。
 最近の新ブランドはファストな市場対応が先に出て品質感やテイスト軸が危うかったり、逆に物作りのこだわりが先に出て何処で誰に売るのか無理を感じるケースが多く、前者は再構築しないと離陸出来そうもないし(はっきり言えば世の中に不要のブランド)、後者は店舗展開が広がらず売上も伸びない事になる(ホントもったいないです)。そんなブランド達に較べると「クロコダイル」の新レーベルは出生が確かで品質やテイストの軸が定まっており、何処で誰に売るのかも素直に読める。今時めずらしく無理のないスタートを切るブランドになりそうだ。


 2012/05/31 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

ファストからスローへ20年振りの神風
 最近のアパレル企業決算を見ていると、何となくだがファストからスローへ勢いが移っているのが実感される。ファストとかスローとか言うのは商品開発速度の事で、アウトソーシングを活用して短期間で商品開発する企業の勢いが陰る一方、じっくりと時間をかけて自社開発する企業の勢いが復活しつつ在るようだ。それは3.11直後から目立ち始めていたが、ほぼ一年を経て企業決算に顕著に現れるようになった。
 それを『水平分業から垂直統合へ』と言ってしまうと家電業界とは流れが逆になってしまうし、『デフレ局面に在る業界では水平分業、インフレ局面にある業界では垂直統合』とも言い切れないが、今のアパレル業界は20年振りにインフレに転じ、20年間続いたアウトソーシングとファスト化の流れが逆流し始めているように見える。ではデフレ局面が続いたこれまでの20年間は水平分業志向のアパレル企業が伸びたかと言うと、必ずしもそうではない。アパレル専門店企業の売上ランキングを見る限り、むしろデフレ局面下でも一貫して垂直統合志向のアパレル企業が伸びて来たとしか見えないのだ。
 80年代の売上上位企業はファストな水平分業調達に依存するナショナルチェーンが占めていたが、90年代以降はスローな垂直統合調達のロードサイド紳士服チェーンが急速に台頭し、00年代に入っては名前とは逆にスローな垂直統合調達に徹するファーストリテイリング(ユニクロ)が首位を占めるようになった。加えて、近年は垂直統合志向の強いセレクトSPA企業がランキング上位に加わるようになり、ファストな水平分業調達企業はポイント一社だけになってしまった。そのポイントにしても、ファストからスローへ調達体制の転換を急いでおり、国内大手アパレルチェーンでファストな水平分業を志向する企業は皆無になった感がある(中小中堅チェーンでは未だ多いが、それゆえビッグになり切れないという見方も出来る)。
 もちろん、グローバルに見ればファストな水平分業を志向するH&M社やフォーエバー21社が依然として伸びているが、日本国内に限ればその勢いは明らかに陰っている(「ZARA」などを展開するINDITEX社は垂直統合志向が強く、ファストファッションとは体質が異なる)。一時はファストに流れた国内アパレル市場だが、長期的なスパンで見れば、その本質はスローな垂直統合調達による完成度を志向し続けて来たのではないか。生産の空洞化とともに退化して行ったと見える日本のアパレル市場だが、そんなに悲観する事もないのかも知れない。アパレル業界には20年振りの神風が吹き始め、「誰でもSPA時代」が終焉して玄人が再評価される時代に回帰しつつあるようだ。
 2012/05/30 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

どうせ買収するのなら
 衣料消費の本格的底打ちを見て、大手アパレルが積極策に転じようとしているが、その方向は二つあると思われる。ひとつはファストからスローへの質的消費への転換を受けての客単価アップによる既存ブランド/既存チャネルの売上拡大、ひとつは郊外SCや駅ビル、トラフィックチャネルなど新流通分野の業態開発や企業買収による売上拡大であろう。
 昨年以降、客単価はほほ一貫して5%前後の伸びを続けており、今春以降は客数も前年を超えるようになったから、適切なMD展開を行えば既存店は5%程度の伸びが期待出来る。ただし、売れ筋の焼き直しで深追いするくせを改めないと、これは絵に描いた餅になりかねない。最近の紳士服と婦人服の伸び率格差は、リスクを張った計画MDと安易な期中MDの差のようにも思える。
 駅ビルばかりが注目される嫌いはあるが、震災以降の既存施設売上伸び率はほぼ一貫して郊外SCの方が高く、コンビニの伸び率はさらに高い。外人観光客まで取り込む超広域祝祭型商業施設も有望だが開発の絶対数は知れており、多店舗展開による市場獲得の本命はやはり郊外SCだと思われる。カジュアルチェーンや大手セレクトショップが郊外SC向けの業態開発を加速しているのに対し、大手アパレルのそれは試行錯誤ばかりで遅々として進んでいない。
 大手アパレルは駅ビル/ファッションビル展開アパレルの買収が成長の突破口と考えているようだが、駅ビル/ファッションビルの競争は激しく変化の速度も桁違いで、専業アパレルさえ成長力を失ったり行き詰まるケースが少なくない。買収しても成長力を回復出来るケースは稀で、お荷物になってしまうリスクも指摘される。今後の成長機会や競争の難易度を考えるなら、むしろ買収すべきは郊外SC展開チェーンなのではないか。買収後の再構築と拡大の手順も駅ビル展開アパレルに較べれば格段に容易で、実際の成功率も極めて高い。ちょっと目線を替えてみてはどうか。
 2012/05/29 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

160名が参加しました
 先週金曜に開催した月例のSPAC研究会は「最新ロジスティクス技法総研究」という地味なテーマにも拘らず160名ものメンバーが参加して盛り上がりました。私の子細なアンケート分析と提言に続いて株式会社ポイントの伊井様、株式会社アイジーエーの佐藤様、株式会社コーエンの杉山様によるパネルディスカッションを開催。初期配分から補給、店間移動とマークダウン、在庫コントロールと再編集まで、それぞれ実際に行っている手法を忌憚なくお話し頂きました。
 これらの手法は多店舗運営に不可欠な実務ノウハウでありながら学ぶ機会がほとんどなく、毎年五月の開催を待たれるメンバー企業も多いと聞きます。どのような手法を採ればどんな成果が挙るのか、データを揃えて確実な答えを提示出来る事が評価されているのだと思います。
 SPAC月例会とは別に、6月8日(金)に「脱52週MDマーチャンダイジング技術革新ゼミ」、6月15日(金)に「ブランディングVMD&ストアプランゼミ」を東郷記念館オークガーデンで開催します。最新の実務ノウハウを学びたい方は是非、ご参加下さい。
 2012/05/28 17:13  この記事のURL  /  コメント(0)

バーゲン時期はどうあるべきか
 業界ぐるみの「夏バーゲン後ろ倒し」が様々な波紋を呼んでいるが、私は『バーゲン時期は早い方が良い』などと言うつもりはない。業界利益のために業界ぐるみで遅らせる事が反消費者的で、独占禁止法上の競争制限行為にあたると指摘しているだけだ。
 そうは言っても夏物はプロパー販売期間が短く、少しでもバーゲンを遅らせたいと考えるのは合理性があるが、販売期間を確保すべく毎年のように投入が前倒されてGW前には新規企画商品が出尽くしてしまい、GW明け以降の投入は売れ筋の素材替えなど新鮮味のない値頃商品ばかりになってしまうのが実情だ。売れ筋の素材替え値頃商品は20〜30%程度定価を落とす事が多く、実質的なプレセール商品という性格が指摘される。GW明け以降の投入でも実質定価を保てるのは実需対応の機能商品やオケイジョン商品、雨の日商材やリゾート商材、晩夏リゾートのライフスタイル商品など、実需性と付加価値が備わったもので、これらはプレセールに出される事はないだろう。価格を通したければ、売れ筋を焼き直して追うのではなく、実需性と付加価値が備わった鮮度のある商品を投入すべきと思われる。
 5月から五月雨式にプレセールに入るブランドもあれば6月に入ってシークレットセールやファミリーセールを始めるブランドもある一方、館がバーゲンに入っても一週二週遅れてバーゲンを始めるブランドもあり、バーゲンを一切しないでアウトレットに持ち越すブランドもある。ブランドのポジションや販売政策で多段階にバーゲンが行われるのが実態で、業界がバーゲン時期を統一して遅らせても対象は大手アパレルなどに限られ、多段階なバーゲン時期という実態は変わらないだろう。元よりバーゲン時期は個別ブランド個別商業施設が政策的競争的に設定するもので、パリ市のように法律で制定しない限り全面的な統一は不可能だ。
 これを機会に各ブランドが販売政策を見直して独自のポジションを固め、値崩れしない鮮度ある商品展開を再構築する事こそ、プロパー販売比率の向上に繋がるのではないか。
 2012/05/25 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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