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次世代アウトレットモール
 三井不動産は明日13日、「三井アウトレットパーク木更津」を開業するが、今年のアウトレット開業はこれだけで、05年以降では最も新設数が少なくなる。次は来年春の「酒々井プレミアムアウトレット」の開業が決まっているだけで、アウトレット市場は頭打ちで新たな出店立地も極めて限られるというのが業界一般の見方だが、果たしてそうだろうか。
 国内アウトレット数は39カ所で市場規模は6000億円と言われるが、‘頭打ち’と言われるのは『ブランドのアウトレットを集積した独立立地型』という従来のアウトレットであって、次元を異にするアウトレットはまだまだ増えると私は見ている。『次元を異にする』とは、1)ブランドのアウトレット(ファクトリーアウトレット)だけでなく仕入れ型のアウトレット(オフプライスストア)が広がる、2)リゾートやウォーターフロントの独立立地だけでなく既存商業地区近辺にも開発される、3)特定のカテゴリーや客層に特化したスペシャルティ・アウトレットも開発される、の三点だ。
 米国のアウトレットモールも初期はファクトリー型が主流だったが、市場が拡大する過程でデパートのオフプライスストアや専業のオフプライスストアチェーンが参入し、今日では後者の方が主流となって全米300カ所近いアウトレットモールを支えている。おそらくは日本でも一時の足踏みの後、百貨店や大手セレクトショップ、専業チェーンがオフプライスストアに参入し、従来のファクトリー型にオフプライス型を加えてバラエティを拡充したアウトレットモールが従来立地に加えて既存商業地区近辺にも開発され、プロパー商業施設と複合したハイブリッド型や特定カテゴリー/客層に特化したスペシャルティ型も開発されるに違いない。
 アウトレットモール市場は頭打ちではなく、次世代アウトレットモールが加わって新たな拡大期を迎える、というのが長年、米国市場を研究して来たプロフェッサーの見識だ。
 2012/04/12 10:05  この記事のURL  /  コメント(0)

渋谷109大本営発表
 渋谷109の三月度売上が前年比150%と復調していると業界紙に「大本営発表」が載っていたが、渋谷109の前年三月度は震災で前年比55%と大幅に落ち込んでおり、前年比150%では前々年比では82.5でしかない。さらに前々々年比では78.4、前々々々年比では72.1と釣瓶落としに堕ちて行った近年の凋落を証明してしまう。二月度まで38ヶ月連続して前年を割り続けている渋谷109だが、三月度も実質前年割れで、復活の兆しはまったく見られない。こんな状況だから業界ではマルキュー系アパレルの売り物が後を絶たず、買い手も腰が引けている。
 シブヤはアキバと並んで世界にトーキョーカルチャーを発信する重要拠点なのだから、いっそ秋元康さんに頼んでSBY48でも立ち上げるか、マルキューぱみゅぱみゅ発掘コンテストでもやるしかありません。天の岩戸でもこじ開けるつもりで、凄い仕掛けをやって欲しいものです。
 2012/04/11 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

何で紳士服が売れてるの?
 3.11後の4〜7月にも同様な傾向が見られたが、都内百貨店では伸び悩む婦人服を尻目に紳士服の好調が続いている。昨年10月以降、紳士服・洋品は5ヶ月連続して前年をクリアし、同期間の平均前年比は103.6と婦人服・洋品の98.0を5.6ポイントも上回っている。これが全国的傾向かとなると、同期間の全国百貨店における紳士服と婦人服の前年比格差は1.7ポイントに過ぎないから、東京地区の紳士服好調は明らかに突出している。
 都内百貨店の紳士服好調には新設店舗が加わった数字のマジックが疑われるが事実は逆で、紳士服の好調振りを逆に証明してしまう。阪急メンズトーキョーの売上が加わった10月から好調が継続しているが、売上が予算通りなら都内百貨店紳士服売上を7〜8%押し上げる効果があり、5ヶ月平均実勢の103.6では他百貨店が食われて苦戦している計算になる。ところが他百貨店の紳士服はほとんど毎月、前年を超えているから阪急メンズトーキョーは大幅予算割れという計算になってしまう。その辺の真偽は近々公表されるのではないか。
 紳士服関係の方々とお会いする度、好調要因をお尋ねするのだが、様々な見方が交錯して決定打が見えて来ない。『ビジカジ効果では』という指摘は『クロージングの方が好調』『ネクタイが復調』という事実に突き当たる。AOKIや青山商事、タカキューが毎月のように好調という事実を見ては『今回の紳士服好調の主役はクロージング』と結論せざるを得ない。
 では何故クロージングが好調なのか、百貨店やセレクトショップ、紳士服チェーンのバイヤー達に聞いても納得出来る要因が見当たらない。毎月報告される売れ筋を検証しても、カジュアル単品では従来なかった新鮮商品も見られるが、クロージング関連では需要を喚起するような新鮮商品やトレンド変化はほとんど見られない。
 強いて要因を探すなら、厚生労働省が毎月発表している現金給与総額前年比が10月からやや落ち止まり傾向を見せている事ぐらいであろうか。これ以上は悪くならないと見て、長年我慢して来た紳士服の購入意欲が高まったのかも。昨年中はユーロ危機で逆資産効果だったのに宝飾品や高級雑貨が好調だった事を考えても、「理由なき好調」と見るべきかもしれない。
 これではマーケティングになりませんから、業界に詳しい方々のご意見をお待ちしましょう。紳士服好調のホントの理由を教えて下さい。
 2012/04/10 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

流通ジャーナリストという芸人
 TVで流通ジャーナリストとして活躍している方が居るというのでその方の論展をチェックしてみたら、これがもう事実検証やマーケティング的分析をまったく欠いた素人感覚の気分的コメンテーターというレヴェル。こんなんで「流通ジャーナリスト」なんて言われてしまうと二の句が継げない。TVのバラエティ番組ではほとんど吉本の芸人的スタンスで活躍しており、真面目な報道番組にはあまり出て来ない。AKB的素人芸が享ける末法の世ですから、流通ジャーナリストの分野でもこういう方が巾を利かせる事になるのでしょう。そう言えば、関西ローカルでは流通のプロなのかタレントなのかアバウトなおっさんが何人かいらっしゃいますし、関東でも元某百貨店カリスマバイヤー氏なんか限りなくタレントさんですよね。
 元々誰もあまり信用していないバラエティ番組にこんな流通系芸人さんが出て来るのは致し方ないとしても、業界の大きなイベントにまで、こんな芸人さんが人寄せパンダとして登場するのはあまりに安易ではないでしょうか。流通ジャーナリストにせよ業界コンサルタントにせよ、業界の経営リーダーに明日の方向を真摯に提言するのが本来の役割で、素人さんの享けを狙って芸人的キャラを売るなんて外道と言うしかありません。公的業界団体はもっと真摯な視点に立ち、安易な芸人活用に流れる事のないよう警鐘を鳴らしておきましょう。
 2012/04/09 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

巨大な販売工場と小さな宝石箱
 多忙と体調不良にかまけて銀座のお目玉新店を拝見したのは、ようやく昨日の事。ホントは一昨日の午后の予定でしたが春の嵐に妨げられ、一日遅れとなったのです。
 銀座四丁目の地下鉄から上がって来ると先に見えるのは「g.u」で、『なんで銀座にg.uまで必要なの?』という批判をよそに「ユニクロ」どころじゃない大混雑。郊外から来たOLや団体のおばさんが店頭に殺到していました(1F入り口まで目一杯売場なので)。それに較べると小奇麗なのが「ユニクロ旗艦店」で、1Fの大半と2Fの吹き抜け回りを兵馬俑のパロディのごとく無数の回転マネキンの進軍で埋め、その後ろ側に昇降導線を銀座通りと並行して配置し、その後方にレジカウンターを置くというレイアウト。12Fまで押し上げる昇降導線優先とは言え、エスカレーター回りの売場配置は非常に苦しく、レジカウンターに列が出来れば昇降導線が塞がれてしまうという大失策もの。
 世界の晴れ舞台たるマンハッタンで幾つも旗艦店を立ち上げたにしては建築的な洗練にはほど遠く、34丁目店では米国側スタッフの手で色環順に並べられたという単品色陳列も、ここ銀座では元の木阿弥に戻っていました。よくよく見ると、色の並べ方以前に色展開や混色のタブーがそこら中で冒されており(油絵入門のレヴェル)、企画スタッフやVMDスタッフの美術的素養が大いに疑われました。
 『鳴り物入りで進出して来たチャイナSPAの日本旗艦店』というのが私の偽らざる印象で、こんな醜い色彩感覚や単純に過ぎる着こなし(数百体ものマネキンに弛落とし履きなどの崩しはほぼ皆無だった)がグローバルに通用すると柳井さんがもし本気で考えているのなら、誇大妄想も限界を超えている。このまま暴走するなら、中国やアセアンでは急成長しても欧米では行き詰まり、日本でも売上が減少するリスクが指摘される。
 そんな巨大販売工場に較べると、その裏通りにひっそりと開店した「ドーバーストリート・マーケット・ギンザ・コムデギャルソン」は小さな宝石箱のよう。エスカレーターの左右空間に川久保玲が厳選したブランドのコレクションが凝った演出で陳列される様は、まさにセレクトの美術館(SPA化し過ぎたセレクトショップの方々は必見です!)。汚い混色も色環順外れもない清潔な陳列はアーチストの生け花のようにフォルムも美しい。巨大販売工場を一周して疲れた身には清らかな聖水のようだった。



 2012/04/05 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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