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ミイラ置き場
 かつて、高名なエッセイストで日本画家でもある玉村豊男氏がスーパーマーケットを指して『野菜の死骸置き場』と揶揄した事があるが、それなら最近の衣料品売場は何と揶揄すれば良いのだろうか。控えめに言って『売れ筋クローンの叩き売り市場』、もっと率直に言うなら『終わった流行品のミイラ置き場』であろう。
 玉村さんは流通経路の複雑さが鮮度を損なっている事を嘆いて『野菜の死骸置き場』と言い、『タネが危ない』を著した野口勲さんは生産・流通の合理性を優先したクローン野菜の氾濫に警鐘を鳴らしていたが、個性と鮮度を失った衣料品にはいったい何と警鐘すれば良いのだろうか。最近の新ブランドは素人の代表たるブロガーや読モがディレクションするケースが多いが、確かに独特のミックス感や着回しは面白いにしてもスタイリングやディティールは凡庸さを否めず、クリエイティブとは言い難い。そんなミキシングによる誤摩化しを『カワイイ〜!』と囃してあげるのがAKB的学芸会に退化した若者文明のお約束なのだろう。
 ファッションに限らず、最近の若手小説家の作品を見てもケータイ小説や体験談や日記の域を出ず、文体の韻律や壮大な構成力など期待すべくも無い。これでは石原都知事が『バカみたいな作品ばかり』『全然刺激にならない』として芥川賞の選考委員を退任してしまったのも当然であろう。通常の知性を持った成熟した大人にとって、この世は極端にデフォルメされデジタルに圧縮されたアニメでしかなくなった。TVのチャンネルを回しても本を開いても興味を惹かれる事は極めて稀だ。
 新たに出来るストアも陳列も美術的韻律はおろか創造的リアリティさえなく、建築も都市の韻律を変革しようという意志を失っている。この国がとうに終わっている事は疑う余地もない。
 2012/03/21 09:09  この記事のURL  /  コメント(1)

そんな服で彼女に会うのか?
 という宣伝コピーがしつこくアパログのゲートに出るので、いちゃもんのひとつも付けたくなった。そんな事は大きなお世話だ。そんな事まで他人の意見を聞きたくなったら養老院か託児所に行くしか無い。そんなコピーにひっかかる人が結構居るのなら若者向けの託児所が必要だという事なのだろう。
 ちなみに、プロフェッサーは1日、五回着替える。パジャマから部屋着へ、御近所の散歩着へ、そして仕事着となるのだが、これが神経を使う。仕事は会議や講演か、あるいは現場か調査か、クライアントはモード系かトラッド系かアメカジ系か、といったTPOに加えてジャケットやパンツ、シャツやスカーフなどのカラーハーモニーと柄合わせ、フレンチな革靴かイタロな革靴かモードスニーカーかなど足下の仕上げも不可欠だ。おまけに、出かけようとするとルン妻のチェックが入る。『そのシャツほつれているわよ』『そのズボンはテカリが出ているわよ』・・・・・・となるとお出かけは20分は遅れてしまう。という訳で、いつも20分のゆとりを見て出かけるようにしている。
 帰宅したらコートや上着などをカジュアル系とドレス系のワードローブに仕分けてアイテム別色環順別に分類し、奇麗なカラーハーモニーに収まったら完了。それから部屋着に着替えて階下の食堂に降り、家族と遅い団欒を過ごしてから自室に上がり、しばらく書類に目を通したり明日の予定を確認したりしてから、お風呂に入ってパジャマに着替えます。
 ま、それなりのキャリアを積んだエグゼクティブの平凡な日常と言うべきでしょうが、この衣生活を支える洗濯やクリーニングは主婦の片手間では到底無理。同じようなTPOのルン妻や子息の洗い物までカバーするには専属のハウスキーパーが二台の全自動大型洗濯機をフル稼働して、かつ3日に空けず白洋舎に通うしかありません。多くの若い人たちはもっとシンプルな衣生活で済ませているのでしょうが、これもひとつの『ファッション文化』なんですよ。
 2012/03/19 09:05  この記事のURL  /  コメント(0)

柳井さんの空回り
 今朝のTV各社はユニクロ銀座店の開店を伝えていたが、TV画面で見る限りNY店ほどの新鮮味はなく、プレス内覧会に行った部下の評価も『よく出来た大きなユニクロですが相変わらず色音痴』。国内でもグローバルブランドという評価を確立したい柳井さんのテンションは際限なく高まるものの、日本国民にとってユニクロは『かっこいいグローバルブランド』ではなく『親しみのある普段着ブランド』であり、あんまりテンション上げられては腰が引けてしまう。国内市場におけるユニクロはふさわしいポジションに上手くはまっているのに、何か見果てぬ夢を追って空回りし始めているのかも。先週報道されたファーストリテイリング社の今春国内採用人数が予定を100人下回ったという話も、柳井さんのテンションについて行けない周囲の現実を垣間見せたものかもしれない。
 旧銀座店はジーユーの旗艦店とするらしいが、これはまったくの企業都合で街の景観や文化への配慮を欠いている。経済や社会への提言も多く最近では『経営は総合芸術』とまで発言している柳井さんにしては熟慮が足らないのではありませんか。
 2012/03/16 11:52  この記事のURL  /  コメント(0)

戦友の訃報
 昨日の繊研新聞には神戸阪急の閉店に加え、ふたつの訃報が載っていた。ひとつは森稔、森ビル会長、より身近に感じられたひとつはバツ創業者の松本瑠樹(65才)さんだった。瑠樹さんとは歳も近く、DCブランド華やかなりし80年代には鍔迫り合いもしたし、今世紀に入っては座談会でご一緒した事もある。近代ポップアートの収集家としても知られており、ロシアアヴァンギャルドのポスターを見せて頂いたと記憶している。ご自宅も当社のご近所で、通りがてらに瑠樹さんらしいお家だなあと何時も思ったものだ。
 何事も思い通りにならない世の中だが、言いたい事を言って元気に生きていられるだけでも有り難い。同世代の戦友達が鬼籍に入るたびにそう痛感される。松本瑠樹さんのご冥福を心からお祈りしたい。
 2012/03/14 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

飛んで行きたい
 東京から遠く離れた地にあって次々と東京に開店するストアやブランドの情報を聞いているとホント、飛んで行きたくなる。部下には、こことあそこはこう調査してこのビルの企画にこう反映せよとか指示してあるものの、行ってみて買ってみた実感のインパクトとは比較にならない。3月6日に新宿ルミネに開業したISETAN MiRROR Make & Cosmeticsなどその最たるものだが、帰国するまで実感する手は無い。
 他にも幾つかそんなストアやブランドがあるので1日も早く帰国したいのだが、今週末に帰れるかどうか。飛んで行きたいという想いだけでも伝えておきたい。
 2012/03/13 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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