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不誠実な商人
 急成長中のITベンチャーや大手カジュアルチェーン/セレクトショップなどを見ていると、『コンプライアンス重視』を建前に何でも秘密にする一方、取引先や顧客に対して明らかに不誠実な対応を繰り返す事例が多々見られる。取引先に対しては優越的地位を振りかざして限界までコストを切り下げ、顧客に対しては法外な利幅を乗せした商品をブランドのオブラートに包んで上手に売り込んでいる。有力各社の実態を見ているとそんな‘力技’が確立しており、上手く取引先を使い倒し顧客を騙すのがビジネスモデルだと勘違いしている。残念だが、それが今の世代のビジネス観なのだろう。
 それで上手く行っているのだから外からいちゃもんを付けるのも憚られるが、こんな商法が続くと錯覚されても困る。より取引先と顧客に誠実な(コストの低い)新手の商人が台頭して不誠実な(コストの高い)商人を駆逐して行くのが小売業の世界的公理(MPマクネリアが提じた「小売りの環」)とされて来たが、店舗小売業時代からトランスメディアなO2O時代へと急変する中、顧客も事業者の真贋を見分けかねる状況にあるのかも知れない。逆に言えば、こんな転換期だからこそ誠実な商法が画期的なインパクトを放って極端な世代交代が起こるのではないか。
 2月2日のビッグコンベンションではO2O時代の誠実な商人を提議したが、3月29日のSPAC研究会では最新のO2Oテクノロジーをビジュアルに紹介するとともに、顧客と取引先を最低コスト最速消化で繋ぐO2Oロジスティクス&フルフィルメントを詳細に提示したい。どんなにテクノロジーが進んでも、それを使って顧客と取引先を繋ぐのは商人のリアルマインドだ。出来れば、‘力技’の誘惑に負けない誠実な商人達に先頭を走ってもらいたいものだ。

 
 2012/02/22 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

アジア視点のブランド開発
 シンガポールや香港、上海や北京などアジアと日本、同時デビューするブランドや既存ブランドでもアジア進出を契機にアジア起点にリコンセプトするブランドが相次いでいるが、遅きに失した感がないでもない。
 孤立した大型成熟市場でガラなローカルファッションが異様に花咲いて来た日本市場は極めて異質で、多彩なローカルファッションの魅力は否定しないが、それがアジア市場に広く受け入れられるとは限らない。一時はコアなトーキョーフアンに享けてもマスな広がりは難しいというのが現実であろう。そんなローカルブランドをどうアジアに拡げるかという泥縄技ではなく、初めからアジアに照準を合わせたブランドを開発して一気に浸透を図ろうという動きが本格化して来たのは必然と言えよう。
 アジア市場は一部の米国文化圏(米軍基地があるフィリピンなど)を除けばフランスやイギリスなどの欧州系旧植民地が主体で大人びたユーロモード志向が通低しており、それがローカルファッションやアメカジと混在して市場を形成している。アジア市場の憧れの頂点に在るのはモードな欧州ブランドであり、トーキョーファッションは興味深いローカルファッションに位置付けられると推察される。
 ユーロモードの原点は肉体賛美のボディコンシャスと階級意識であり、等身大で階級意識を欠くゆるカワなトーキョーファッションは傍流を出る事はない。アジアで大きな市場を獲得するにはユーロモードを底流にアジアンなエッセンスを効かせたキャラクターが不可欠で、現地のクリエイターや企画チームを軸にブランドを開発する方が確実と思われる。そんな視点で見ればシンガポールにはビッグになれそうなブランドが幾つか見られるが(意外に香港や上海には見られない)、日本ブランドではグラマラスモード系やグラマラスワーク系(どちらも109卒OL対象)のブランドが条件に合っているのではないか。
 2012/02/21 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

定休日復活と営業時間短縮は必然
 三越伊勢丹が昨年の8月に続いて今2月にも定休日を設定し営業時間も1時間短縮するそうだが、百貨店と納入業者の不要なコストと労働負担を圧縮して消費スタイルを健全化する意味で極めて好ましい事だと思う。2月8月といった閑散期に限らず曜日を決めて年中定期休にすれば消費者側の購買スタイルも定着し、社会的コスト改善効果は極めて大きいと期待される。
 過去5年間で衣料品の無店舗販売シェアは5.5%から10.3%に急増し、スマホの急激な普及もあって人気のセレクトショップや駅ビルブランドではウェブ販売比率が1割を超えるケースも続出しており、消費者は実店舗とウェブを上手く使い分けるようになった。そんなO2O時代に実店舗の営業時間を無理して維持する必要は薄れて来たのではないか。実店舗とウェブを上手く連動してトランスメディアな販売を実現すれば、顧客が実店舗に出かける無駄も物流センターから実店舗に商品を運ぶ無駄も、もちろん実店舗を開けて販売員を張り付ける無駄も、もっと圧縮出来るはずだ。
 今や消費者に商品を届ける社会的インフラは実店舗網から大手通販業者のフルフィルメントと宅急便のネットワークに移行しつつあり、無店舗と実店舗のトランスメディアな適正分担の構築が急がれる一方、過去の慣習に囚われない店舗運営の合理的な見直しが求められている。ほんの数年で、実店舗を経由せずに物流センターやメーカーの倉庫から消費者に直送される比率は二割を超え、実店舗の毎週定休制と店舗要員の一交代制が定着する事は疑う余地もない。店舗労働者の健康と安全を守るべく地域行政が営業時間を制限する動きも広がり、深夜9時や10時まで営業するショッピングセンターも遠からずなくなるだろう。深夜営業のコンビニやファストフーズ店の労働環境にも行政のメスが入り、労働時間に拘らず夜間深夜の加算手当が義務づけられるのは当然な社会正義と思われる。
 2012/02/20 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

○○もスカイツリーに登る
 『○○も煽てりゃ木に登る』という諺があるが、これは『広報も図に乗ればスカイツリーに登る』というお話。
 5月22日に開業する「東京ソラマチ」の内覧会の案内を頂こうと思って広報の連絡先をネットで探したものの、広報スタッフの紹介ばかりで連絡先が何処にも記載されていない。やむなく東武鉄道の広報部を調べて連絡を入れ、電話に出た広報担当者にプレス内覧会の日時が決まったら案内を欲しいと依頼したところ、そのやり取りの途中で『申し込みをされても内覧会の案内を送るとは限らない』と三回も釘を刺された。
 商業施設のブレス内覧会では通常、問い合わせに対して連絡先を聞いて取材申込書を一斉にFAXし、申込書の記載(掲載誌や取材意図、ビデオやスチールなどの機材)によって取材時間を仕分けたり、例外的だが丁寧に取材を断る文書を送付したりする。ラグジュアリーブランドでもない限り内覧会の案内依頼段階で門前払いするケースは前代未聞で、調子に乗って三回も釘を刺されたところで、『何様のつもりか。広報担当者として逸脱しているのではないか。』と一喝して電話を切った。
 「東京ソラマチ」が如何に人気とは言え極めて大衆的な施設で、露出を制限する意味はあまりないと思う。まだ十分に時間があるのだから、取材が集中するようなら時間帯別にビデオとスチール、VIPを仕分けするなど幾らでもやり方はあるはずだ。それを案内依頼の段階から上目線で横柄に対応するなど、商業施設の広報担当者として明らかに逸脱している。こんな横柄さが本来裏方に徹するべき広報担当者を表に出して持ち上げた結果だとすれば『○○も煽てりゃ木に登る』という逆効果であり、人気に乗って態度が大きくなっているという印象を与えては「東京ソラマチ」のイメージにもマイナスしかねない。大プロジェクトの開業を控え、東武鉄道は兜の緒を締めるべきであろう。
 2012/02/17 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

華麗なる耐乏生活
 ファッション流通の法外な暴利や無駄を知る業界人として、あるいはトレンドを追うミーハーさを失った老人として、近年はホントに衣料品を買わなくなった。ブランド品の購入はほとんどアウトレットばかりで百貨店からは足が遠のき、手軽な日用衣料は気の利いたSPAで済ませる事が多い(しかも、その大半はアウトレットかセール)。ブランドやアイテム、品番を決め込んで価格比較する場合や手早く入手したい場合はネットも使い良いが、衣料品のブランドやデザインを探して時間を潰すような馬鹿はしない。
 手持ちの仕事着や外出着は靴、バッグまで含めてイタリア製かフランス製の高価なものが多いが、何度もリペアして何年も使い込んでいるものばかりだ。上着は掛け矧ぎ、シャツの袖は何度も詰め直し、靴底は繰り返し張り直している。こんな仕事を長くやっていると目が肥えて気に入った品は滅多に見つからないから、万一見つけたら同じ品を二点買う、何度もリペアして長く愛顧する、を心掛けている。高級品をリペアして愛顧する方が安物を使い捨てるより確実に高質な生活を楽しめるし、結局は経済的でもある。「華麗なる耐乏生活」とでも題しておこう。
 2012/02/16 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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