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カニバリよりO2O効果
 業界紙やHPに公開される毎月のブランド別既存店売上伸び率を見ていると、ウェブ販売比率の高いブランドほど実店舗の伸び率も高いという傾向が見られる。ウェブ販売比率が二桁に乗って来ると実店舗売上を食うのではないかと心配したくなるが、現実はカニバリゼーション(共食い)よりO2O効果の方が大きい。スタートトゥデイの急激な売上増加で有力セレクトショップの実店舗売上が食われるのではないかという指摘が一時あったが、現実はO2O効果の方が大きく、ウェブ売上が伸びると実店舗売上も伸びるという結果となった。
 O2O(Online to Offline)、すなわちウェブでの情報発信・交信が実店舗への来客に繋がるという概念だが、既に飲食店業界では「食べログ」などの消費者評価投稿はもちろん、地図検索やナビゲーションと連動したクーポン送信が定着している。アパレル業界でも会員登録アプリでスマホに店頭クーポンをダウンさせるのは当たり前で、ブログやSNSを使ったステマO2Oも着々と巧妙化しており、知らないやらないブランドは置いて行かれた感さえある。
 もはやO2Oやステマは是非を問う段階ではなく、如何に効率的に販売戦略に組み込んで行くかが問われている。カニバリよりO2O効果が大きい事が明白になった以上、アパレルのウェブ販売とO2O仕掛けは加速度的に拡大して行くのではないか。
 2012/01/24 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

秋入学か春入学か
 グローバル化が教育制度まで及び、留学生の多い有力大学では従来の春入学からグローバル基準の秋入学へ転換する事が検討されています。満開の桜の下で入学式という伝統を捨てるのは寂しい感じもしますが、日本がグローバリゼーションから取り残されない為には、いずれ断行せざるを得ない事なのでしょう。
 実はファッションの世界でも欧米と日本は春秋の起点や季節暦が異なり、国内ブランドと欧米ブランドではシーズンMD展開が微妙に違うのです。両方をミックスしているセレクトショップなど、その組み合わせ方がひとつのMDノウハウになっているはずなのですが、店頭で見る限りは欧米ブランドのシーズン展開を活かしているとは思えません。
 日本では年末投入の初春が起点となり、春、初夏、盛夏、晩夏、初秋、秋、冬、梅春とシーズンMDが流れますが、米国では独立記念日(7月4日)前後から立ち上がる晩夏・初秋に相当するバックトゥスクール(欧州ではプレフォール)に始まって、9月第一週末〜月曜のレイバーデイ休暇明けに秋冬物が一斉に立ち上がり、11月に入ると最終木曜日の感謝祭から始まるホリディ商戦向けのギフト商品やクリスマス休暇向け商品が並び始めます(日本で言えば梅春&クリスマスですが、年中パーティやってるのでパーティウェアはシーズン商品とは言えません。クリスマス柄のバルキーニットなどが代表でしょう)。ホリデイ商戦の後半にはクリスマス休暇を暖かいリゾートで過ごす為のクルーズ(リゾートウェア)が立ち上がりますが、欧米でも一般大衆向けとは言えません(日本でも正月休暇を暖かいリゾートで過ごすのはリッチな芸能人や開業医ぐらいでしょう)。
 欧米のシーズン商品で特徴的なのはホリディとクルーズだと思いますが、日本のセレクトショップがそれらを大きく訴求しているのは見た事がありません。有力セレクトショップも多くはガラなマーケットに埋没しており、本来のグローバルな編集提案力を失っているのは残念です。
 2012/01/23 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

棚割りマーチャンダイジング
 今年に入ってから某GMS衣料部門に向けた『棚割りマニュアル』作りに忙殺されています。商品企画における型×色柄×サイズの展開が陳列段階で適確に訴求出来るよう、陳列と矛盾して溢れたり欠落したりしないよう、陳列階梯誘導に無理の無い組み合わせパターンをMDの性格毎に例示して行くという手間のかかる作業なのです。
 まず部門別の什器システム(寸法/ガチャ機能/アタッチメントなど)を検証して規格を統一し、標準什器/出前什器/出前補助什器の体系を定めます。次に単品企画を棚系/棚&ハング系/ハング系に分けて型展開/色展開/サイズ展開などの展開パターンを想定して型×色×サイズの棚割りを組み立て、色環表の順に美しく配色して仕上げます。同様にルック企画を棚系/棚&ハング系/ハング系に分け、セットアップ/クロスセットアップ/定型コーディネイト/モノルックなどのスタイリングパターン毎に型×色×サイズの棚割りを組み立て、色環表の順に美しく配色して仕上げます。4系と2/2系という異なる什器システム毎に一連の作業を進めるのですから人海戦術に他なりませんが、とことんやり切るしかありませんネ。
 VMDとは個別商品企画の棚割り設計から始まって、それらの売場での配置とIP/LPのセッティング、見せ場の出前陳列と大向こうを唸らせる大仕掛けのディスプレイで完結する一連のクリエイションで、先行して什器群やレジ/FRの配置、VP誘導体系を建築的に設計しておく必要が在ります。という訳で、お遊戯ではない本物のVMDとはどんなものか、一端を想像していただけたのでは・・・・・
 2012/01/20 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

前年踏襲MDを忘れるな
 売上の安定しているブランドと不安定なブランドを店頭のMD展開から比較検証すると、大きく違うのが前年踏襲MDの精度だ。売上が安定して確実に稼いでいるブランドは8割方をしっかり前年踏襲MDで固めているが、不安定で失速しがちなブランドは前年踏襲MDが崩れて実績売れ筋が幾つも欠落している。
 「前年踏襲MD」という指摘は本来、変化に対応しない保守的なMDを批判するものだが、後出し52週MDが蔓延するガラな業界では売れ筋を追って右往左往する結果、MDのストーリーが崩れて売上が不安定になる事が多い。直近の売れ筋ばかり追ってはMDストーリーが崩れるのも当然で、却って顧客の期待を裏切る事になりかねない。
 有力ブランドの顧客調査でもブランド支持の理由を『安心感』や『品揃えへの信頼感』と答える例が多く、『目新しい品がある』『トレンディだから』などという答えは少数派だ。同じブランドなら毎月売れるアイテムや色は毎年、大きくは変わらない。同じアイテムを如何に新鮮に味付けするかが問われるのであって、売れ筋を追って右往左往する事が求められているのではないだろう。52週MD本来の意義も、前年実績をベースに組まれた計画MDの販売進行誤差を週単位に補正するもので、毎週のように売れ筋を後追い投入する仕組みではないはずだ。ユニクロの52週MDなど、本来の在り方を徹底しているではないか。
 売上を安定させる第一条件は、前年踏襲MDを固めて今年風の味をつけ、アイテム別の販売進行を計画と比較して毎週、補正対応すれば前年がクリア出来るMDストーリーを確立する事だ。基本中の基本という鉄則だが、ガラな52週MDが蔓延する中で忘れられがちなのはもったいないと言うしかない。
 2012/01/19 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

自社企画シフトの落とし穴
 ODM依存の後出しMDで壁に当たった企業が自社開発シフトを模索するケースが少なからず見られるが、掛け声ばかりで成果が上がらないのが実情だ。そんな企業のやっている「自社企画」を見ると、デザイナーを雇って企画に注力しても仕様開発と生産管理は商社に丸投げしているケースが多い。とりわけ大手商社と取り組むケースでは、商社が下請けの開発チームや生産チームに丸投げするばかりで、誰も一貫して企画を完成させようとはしてくれない。こんな開発を私は『リアルマインドがない』と切り捨てている。
 企業の経営者からすれば、デザインチームを雇って生産を大手商社と取り組めば自社開発が成り立つと勘違いしているのだろうが、自社開発の成否はフォーメーションの問題ではない。実際の企画当事者が工場まで行ってインダストリアル・スペックを詰め切ってくれるかどうかが問われるのだ。デザインチームを雇用しても大手商社に丸投げして商社も下請けに丸投げしたのでは企画当事者の意図をインダストリアル・スペックに反映しようもないが、ODMでも業者のデザイナーを本気にさせれば遠隔地の工場に泊まり込んでインダストリアル・スペックを詰め上げてくれる。
 本気で自社企画を完遂したいなら、自社のデザイナーを工場まで行かせてインダストリアル・スペックを詰めさせるべきだし、ODMでも自社デザイナーが発注窓口になって業者のデザイナーの意欲とアイデアを引き出すべきだ。引き出すと言っても意欲だけでは限界があるから、業者のデザイナーが遠隔地の工場へ行ってスペックを詰め切るだけの開発期間とコストを担保するのは当然だろう。
 自社開発シフトと声高に叫ぶ一方で調達コストを極限まで切り詰めるという最近の風潮は結局、自分の首を絞める事になるのではないか。業者のリアルマインドを引き出す調達体制こそ、付加価値創造の突破口だと思うのだが・・・・
 2012/01/18 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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