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ガラパゴス楽園崩壊の予感
 今年は東日本大震災やユーロ危機など国内外で‘想定外’な出来事が頻発し、文明の行き詰まりが露呈したカタルシスの歳でした。では来年はと言うと、私は様々な分野で日本のガラパゴス的状況が崩壊するグローバル化の歳になると予感します。
 既にケータイ世界では日本独自に発達したガラ携帯があっけなくグローバル仕様のスマホに主役の座を奪われ、日本独自に発達した高機能家電も新興国の低価格家電に押されて悉く赤字事業に転落してしまいました。ガラな技術立国、日本のアドバンテージも薄皮一枚まで詰められ、自動車産業や家電からITまで、一気に空洞化が加速する瀬戸際に追い詰められているのです。
 そんな切迫した状況下でも、我らファッション業界だけは未だガラな等身大ローカル世界に浸って茹で蛙を決め込んでいます。ガラパゴスな環境下で独自に発達した多様な等身大ローカルスタイルはもちろん、52週MDや過度のQR依存で汚く崩れた売場、OEM/ODM依存でお手軽に開発された薄っぺらな商品が蔓延する状況がいつまでも続くとは到底思えません。アジアや欧米を巡る度、この異様なガラパゴスは遠からず崩壊するという確信が強まるのです。
 アジアと日本、欧米が加速度的に接近して行く今、日本市場のガラパゴス楽園崩壊はもはや避けられないと思います。ガラな環境下で異形に発展した商品開発手法やMD運用手法、店作りやVMD手法をグローバルスタンダードに照らして抜本から見直すべき刻が来ているのではないでしょうか。2012年は好むと好まざるに関わらず、正面からグローバル化に向き合わざるを得ない歳となるでしょう。
 さて、当社は今日で仕事納め。新年は5日から営業します。という訳で、ブログもこの間はお休みします。では皆さん、良いお年を!
 2011/12/29 09:43  この記事のURL  /  コメント(0)

52週MDが招く汚い売場
 近年、駅ビルや百貨店で「汚い売場」が多くなったと感じるが、その要因は52週MDの蔓延にあるのではなかろうか。
 52週MDは品番単位の販売動向に週毎に対応するもので、確かに在庫回転効率は高まるものの、直近運用に依存して計画MDの精度が疎かになるという弊害も指摘される。ユニクロのように計画MDを遂行すべく品番単位の週別販売進行を予測してキックオフや販促を仕掛けるというのならともかく、52週MDに依存する多くのブランドは期中QR比率が計画MD比率を上回るのが実情で(期中QR比率が7割という酷いケースも聞く)、短期開発のQR商品が氾濫してルックやカラーのストーリーが崩れ売場が汚くなるのだ。これでは在庫回転や売上が多少、向上しても、中期的にはブランディング上のマイナスの方が上回るのではないか。
 私の経験則では月度/シーズンの計画MD比率と消化回転のバランス点は計画MD比率6〜7割で、過半を割り込むと「汚い」感が強まってしまう。最近の店頭を見ていると国内ブランドでは「汚い売場」が7〜8割方だから、それだけ52週MDが蔓延しているという事なのだろう。
 欧米やアジアのブランドビジネスでは計画MD完遂によるブランディングが至上で、これほど52週MDが蔓延して「汚い売場」が氾濫しているのは日本だけではないか。アジアでは52週MD依存の売場は「市場」にしか見えないから、「汚い売場」のまま進出しているブランドはMD運用とVMDを抜本的に見直すべきだと思う。
 2011/12/26 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

中国ではニッチもでかい!
 昨日の日経MJに「アースミュージック&エコロジー」の中国直営一号店が好調に推移しているという話題が大きく取り上げられていたが、その中でなるほどと思ったのが以下の三点だ。
1)中国ではニッチもでかいマーケットになる。
 中国のヤングマーケットではモード系やセクシー系が主流で「ナチュカワ系」はマイナーに過ぎない(と認識している)。アースも中国では無名に近いが、ネットやファッション誌を通じて日本ファッションに憧れるニッチ層を掘り起こせば、人口が巨大な中国ではニッチがニッチでなくなる(クロスカンパニー石川康晴社長)。
2)中国版ツイッターの威力は絶大
 日本ではテレビCMで一気に知名度を高めたが中国では視聴率の高い全国放送のキー局が存在せず、広く普及している中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」を通じて人気ファッションブロガーに発信してもらう方が効果的と考え、現地商業施設のイベントショーにブロガー達を招待して多いに発信してもらった。
3)アジア最大級デベを後ろ盾に
 キャピタランド社はシンガポール政府系投資会社が筆頭株主のアジア最大級の不動産/商業デベロッパー/フィナンシャルグループで、シンガポールの主要商業施設はもちろん、中国でも傘下のラッフルズシティが多数の商業施設を展開している。同社と優先出店契約を締結したという事は、日本でイオングループや三井不動産を後ろ盾にした以上のメリットがある。

 これら三点は現地の実情を正確に掴み、肝になる人脈を繋げたゆえと評価される。トップが上海に生活拠点を移した成果と言えるだろう。ちなみに、上海ラッフルズシティの「アースミュージック&エコロジー」はナチュラル感を抑えてキラキラ感を強調したモダンな店舗デザインで(一見、「セシルマクビー」みたい)、中国市場対応が強く意識されていた。
 2011/12/22 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

百貨店はオフプライスストアに出よ!
 日本百貨店協会に拠ると全国百貨店の今年11月までの累計売上は2.4%減少しており、通年でも6兆1000億円前後と前年を割る事が確実になった。百貨店売上は15年連続して減少する事になり、ピークの91年の9兆7130億円からは62掛けに落ち込んでしまう。
 低価格専門店や駅ビルなどとの競合激化がその要因と言われるが、私が幾度も指摘して来たように、90年代の売上急落局面で自らの高コスト体質を歩率に転嫁し、品質に見合わない法外価格を定着させてしまった事が本質的な敗因だ。実際その8年間で衣料品の歩率は平均8ポイントも高騰し、納入する大手アパレルの生産原価率も同じく8ポイント(平均32%から同24%に)下落して品質に見合わない法外価格になってしまった。今や大手アパレルの原価率はさらに低下して20%の攻防になっていると聞くから、お値打ち感など期待する方が無理というものだ。これでは原価率38%のユニクロはもちろん、ユニクロ以上の原価率でお値打ち品を提供する駅ビル系人気ブランドにお客が流れるのも致し方あるまい。
 そんな中でも、駅ビルブランドなどを導入するハイブリッド政策などで運営コストを圧縮し、売上は減少しても利益は増やすという強かさを見せる大手百貨店も出て来たし、アジア店舗の積極拡大で利益の過半をアジアで稼ぎ出すという離れ業を見せる百貨店も見られる。『意外に頑張っている』というのが素直な実感だが、国内事業に関しては三越伊勢丹が高級化粧品の専門店や空港でのメンズストアを始めるぐらいで積極的な展開は限られる。
 百貨店の販売不振はそもそも品質に見合わない法外価格が要因であり、オフプライス販売こそ、それを抜本的に解決する突破口と思われる。米国では高級百貨店の運営するオフプライスストアが本業を支える事業規模になっているケースもあるのに、日本の百貨店はどうして手を出さないのだろうか。余程、買い取りが怖いのだとしか思えない。百貨店ブランドの多くが百貨店でのセール後でも10%以上の残品を抱えてファミリーセールを乱発する現状を考えれば、百貨店/大手アパレル/消費者の三方winwinの事業がすぐにも成り立つはずなのだが・・・・
 2011/12/21 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

中国は儲かってますよ!
 誰かのブログで『中国に進出しているアパレルはユニクロ以外、上手くいっていない』と書いていましたが、当社が6月に実施したSPACメンバーアンケートではまったく逆の回答が出ていました。
 既にアパレルメンバーでは半数近くが中国に進出。ほとんどが現地法人を設立して直営店中心に展開しており、FCや卸も並行するのが主流です。メンバーの直営店は373店舗、販売代行とFCを加えた総店舗数は684店舗。香港、台湾、韓国、シンガポールを加えた総店舗数は943店と千店に迫ります。
 肝心の収益性は、中国事業は国内より高収益という回答が四分の一、国内ほどではないが黒字という回答が半分、営業赤字という回答が四分の一でした。進出間もない企業も多い事を考慮すれば、まずは儲かっていると見て良いでしょう。ちなみに、日本企業の進出が早かった香港では、国内より高収益という回答が半分、国内ほどではないが黒字という回答が半分で、赤字という回答は一社もありませんでした。
 こんな状況ですから未進出の企業も多くは進出を準備、あるいは検討しており、『ほとんど上手くいっていない』という認識とは掛け離れています。イオンや三井不動産、三菱地所などデベロッパーの進出も加速していますから出店環境も急速に改善されていくでしょう。よほど長期的にはともかく、中期的には進出が加速するのではないでしょうか。
 2011/12/20 09:01  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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