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日本は等身大マーケット先進国
 コーディネーターから上がって来た10月後半のスタイリング傾向は大きく3パターンでした。OL〜キャリアはレトロ/バナル×フェミニン/ロマンティック/ファンシー、カジュアルはカントリー/フォーキー/ノルディック×ガーリー/メルヘン/クラフト、ストリートはグラム/グランジ/バロック/フェティッシュ×ミニマルモダン。ストリートの一部を除けば秋口から続くスタイリングの冬移行がほとんどで、ちょっとしたクラフト感やメルヘンなディティールを加えたりミックス感で変化を訴求しているものの等身大な微温湯にどっぷり浸かったまま。外資SPAの一部ではミニマルなマスキュリンモードも見られますが、マーケットの大勢からは浮き上がって見えます。
 目を世界のコレクションシーンに移しても、NY/ロンドン/ミラノ/パリと巡ったSSコレクション報道では前シーズンから継続のレトロ×フェミニン/ロマンティック/ファンシーを基調に、SSの風物詩たるオリエンタルやアフリカン、欧米コレクションではほぼ定期的に盛り上がるミニマルモダン×クチュールなどが氾濫する一方、一部にストリートと共通するバロックやフェティッシュが見られた程度で、サプライズはありませんでした。まだ東京は終わっていませんが、欧米になかったサプライズがあるとも思えません。
 落日の20年で東京マーケットはすっかり等身大になってローカル化してしまいましたが、経済危機に瀕する欧州も日本病に陥った米国も、みな冷や汗物で勢いを失い、欧米コレクションシーンからサプライズが出る訳もありませんでした。一部のコレクションシーンで盛り上がったミニマルモダンなど、元気のない市場に広がるとも思えません。
 欧米と比較しても新興国と比較しても、等身大スタイリングが定着した日本はそれぞれにローカル的な盛り上がりがあって結構、多彩で楽しいマーケットです。欧米や新興国も斜陽の時代に入ればコレクションシーンとは掛け離れた多様な等身大マーケットが形成されるでしょうから、日本は等身大マーケット先進国として大いに注目される事でしょう。
 2011/10/21 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

VMDは奥が深〜い
 定番商品の棚割りは補給によるフェイス維持が大前提と思い込んでいたら、実は素材切り替えによる変化訴求が不可欠なケースがある事を指摘され、VMDって様々な視点が必要なんだと再認識させられました。同じ定番商品でも、ユニクロ的な台帳棚割りを補給で維持する手法と素材を切り替えて心太運用する手法がある事は承知していましたが、定番メンズシャツは後者なんだそうです。 
 それとは別に、昨日は某セレクトSPAの開店前の売場でカテゴリー配置とテイスト分類、出前什器と元番地什器の配置、出前什器の陳列と元番地什器の陳列という基本に加え、今週のあるべきアイテム訴求とルック訴求、カラーストーリーを教えていました。本部指示には限界があり、現場が知恵と技術を手にして状況対応する足腰の強さがないとチェーン店の売場は鮮度を維持出来ません。そんな売場運用の本質を指摘し、本部の意図するMD展開を店舗が『一を指示されて十を実行する』体制をどうしたら創れるか、提議していたのです。
 VMDを顧客と売場のコミュニケーション、売場と本部の組織問題と考えて改善策を考える日々、VMDは奥が深〜いと痛感させられます。一生勉強するしかありませんネ。
 2011/10/20 10:30  この記事のURL  /  コメント(0)

メーカーズシャツ鎌倉を拝見
 昨日はメーカーズシャツ鎌倉の貞末会長にお話を伺った後、翌朝の店舗クリニックの下見ついでに渋谷マークシティのメーカーズシャツ鎌倉のお店を拝見しました。
 メーカーズシャツ鎌倉は首都圏15店にJR博多シティ店を加えて年間28億円(他にウェブ販売で5億円)を売り上げるシャツのファクトリーダイレクトSPAで、素材から開発・備蓄して提携工場のQR生産でサイズ補給し、消化率99.7%、年間在庫回転8.53回、店舗販売効率は月坪80万円という極めて効率的なビジネスモデルを確立しています。
 同社の売りは80番手以上の高密度オリジナル生地(多くは100番手)を使ってハンドミシンで縫い上げた上質シャツを4900円(税別)というバリュープライスで提供する革新性にあり、10人に7人はリピーターになってしまうそうです。そのバリュー革新性はユニクロをも凌駕するもので、柳井さんから提携のオファーがあったとか。ファクトリーダイレクトな開発・生産と物流・補給の仕組みはSPAC研究会の場で詳細を聞くとして、まずはマークシティの店舗でショッピングしてみました。
 マークシティ渋谷のメーカーズシャツ鎌倉は渋谷駅からは4Fの一番奥、道玄坂側からは入り口に位置する横長のお店で、ガラス張りのファサードから店内が見渡せます。入って正面から右側がレディスシャツで大半がハンガー陳列され、メンズシャツは左側の奥にかけてボックス陳列されていました。売上の70%を占めるメンズシャツ(回転はレディスの方が二回り速いとか)の棚割りはタイプ(ボタンダウンとかクレリックとか)→サイズ(首回りと袖丈)→素材→色の順に陳列されており、欲しいタイプと自分のサイズの枠内で在庫する素材と色を選ぶという購買プロセスになりますが、実際に買おうとすると素材と色の欠品で四苦八苦。あれこれ迷った末に欲しい素材・色のサイズが見つからず、もっと揃っているというウェブで買う事にしてパジャマを買って帰りました(この高密度綿の4900円のパジャマ、セレクトショップで買えば三倍はする掘り出し物でしたよ)。
 ファクトリーダイレクトなQRサイズ補給を売りにするなら欠品を許容するような階梯順に陳列せず、タイプ→素材→色→サイズの階梯順に陳列して顧客の選択を優先し、同時に棚割りから視覚的に欠品を防止してはどうかと思いました。物はホントにお値打ちですから、VMDをちょっと考えてほしいものです。
 2011/10/19 11:57  この記事のURL  /  コメント(0)

退化する編集技術と陳列技術
 昨日のブログで『買い取らないなら編集するな!』と断じましたが、買い取れば様々な編集手法を駆使して顧客に訴求する事が出来ます。欧米のセレクトショップやデパートメントストアに見る編集手法は「ブランド企画を訴求する」か「編集切り口を訴求する」のどちらかに明確に分かれています。
 買い取りでも「ブランド企画を訴求する」方がベターならブランドラック編集が選択され、ブランドの企画をコレクションのワンシーンごと、あるいはワンルックごと、ラックにまとめます。前者では大型のシングルラック一本、後者では4ウェイや2ウェイがよく使われます。ロンドンのセルフリッジなど上手にブランド企画をピックアップして編集していますよ。
 「編集切り口を訴求する」手法は多様ですが、ベーシックなのはアイテム編集やルック編集(定型コーディネイト)で、欧米でも大半はこれです。テイスト編集は単一テイストでまとめず、対極テイストのアイテムをリミックスするのが効果的です。カラー編集はカラーグループに分けて色環順にトーン・素材・丈のコントラストをリズムさせながらルック回転に組む名人芸で、もはや欧米でも滅多にお目にかかれません(ブランドやSPAのカラー展開企画とは異なる)。写真はもう20年も前の「コ・サムイ」(コベントガーデン)のカラー編集ですが、これ以上の名人芸には以来、出会う事がありませんでした。
 市場の退化とともに編集技術や陳列技術も退化しているのが現実で、寂しい限りです。そんな潮流に一石を投じようというのが11月10日開催の『ブランディングへのVMD技術革新ゼミ』なんですが、業界の関心はいまひとつですネ。
 2011/10/18 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

買い取らないなら編集するな!
 阪急MEN’S TOKYOは4Fのスタイリスト野口強氏によるセレクトショップ「ガラージュD.エディット」、B1Fの紳士洋品平場など一部を除いてブランドの箱売場で構成されていましたが、箱売場と編集売場のどっちが買い易いのか魅力があるのか、また運営が効率的なのか、改めて考えさせられました。
 JR大阪三越伊勢丹不振の要因として、有力ブランドの欠落と並んで伊勢丹流の統一環境編集売場が大阪人には買い難かったとの指摘がありました。元々、百貨店はブランドという弾を揃えて成り立つものですから、それを編集してブランドを見え難くするのはリスクがあります。ましてや、品揃えも販売管理もブランド側が行っている消化仕入れのブランドを編集するなど本末転倒も甚だしく、三越銀座店の編集売場を見た時の違和感もそこにあったと思うのです。
 編集手法は買い取り商法のセレクトショップや欧米の百貨店で発達したもので、自ら品揃えと補給、在庫運用と販売管理を貫徹する者ならではの技術体系なのです。買い取らないで編集するなど権利と義務のはき違えもいいとこで、独占禁止法上の優越的地位の濫用さえ疑われます。消化仕入れのブランドを編集すればブランド側の補給と販売管理を阻害して売り難い売場になってしまいますから、効率的とも言えません。編集するのは買い取り商品に留め、消化仕入れのブランドは箱展開かコーナー編集に割り切るべきでしょう。『買い取らないなら編集するな』が鉄則だと思います。
 2011/10/17 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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