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アウトレットは弱肉強食淘汰の時代へ
 三井不動産アウトレット10施設の11年3月期売上が発表されたが、総額は札幌北広島や滋賀竜王の新設で1912億円と16%増えたものの目標の2000億円には届かず、既存8施設すべての売上が7〜14%減少した。震災による3月の売上減少が足を引っ張ったとしているが、直撃を受けた仙台港が10%減に対して影響の限られた神戸が14%減という数字を見ても、震災以前から競争激化による食い合いで売上減少に転じていたと推察される。11年3月期のプレミアムアウトレットの既存施設売上も7%減少しているから、アウトレットモールは競合過熱による食い合いに転じたと見るべきだろう。
 4月末開業のイオンレイクタウンアウトレットとの競合で幕張、入間のさらなる売上減少は避けられず(チェルシーも佐野、阿見が食われる)、チェルシーの成田が13年春に開業すれば幕張のダメージは深刻なものとなるだろう。ましてや木更津で三井不動産とイオンのアウトレットが激突する事になれば、幕張に加えて横浜の営業継続も危ぶまれる。
 イオンは越谷、木更津に続く第三、第四のアウトレットモール開発を急ぐのは確実で(おそらく次は中京圏か)、三井不動産とチェルシーの二強が独占的栄華を享受した良き時代は終焉し、立地や規模の不利を抱える既存アウトレットモールが次々と廃業に追い込まれて行く弱肉強食淘汰の時代に入ったと結論される。
 2011/06/16 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

大阪駅春の陣
 大阪駅ステーションシティの開業一ヶ月の売上実績は5万平米のJR三越伊勢丹が45億円と大幅予算割れペースなのに対して2万平米のルクアは41億円と肉薄している。一番活況を呈しているのは『百貨店なのに・・・・』というキャッチフレーズで駅ビルとのハイブリッド型百貨店を謳った大丸梅田店だが、こちらは6割り増床の64000平米で670億円という予算(売場面積の15%を占めるテナント部分は家賃のみ計上だから実質売上はほぼ770億円と推計)だったが5月売上は前期比73.6%増とかなり予算を上回っているようだ。この勢いだと、大丸梅田店は800億円超ペース(テナントを売上計上)、予算270億円のルクアは300億円を軽く上回る一方、JR三越伊勢丹は予算の550億円を100億円も下回りかねない。
 JR三越伊勢丹の不人気は、駅ビルとのハイブリッドを謳って大衆価格でOL層もカバーした大丸梅田店の親しみ易さに較べ、小奇麗なブランド揃えと伊勢丹流の統一環境編集平場にこだわって親近感を欠き、大阪人の好みに合わなかったというのが大方の見方であろう。コテコテ好みの大阪風に対してスッキリ気取った関東風が空振ったという見方も出来る。
 不思議に思うのは、料理の味付けは関東が濃い味で関西が薄味なのに、ファッションの味付けはどうして逆になるのだろうか。関西人が力入れてコテコテに着飾るのに対し、関東人はサラッと薄味に着流してしまう。文化の違いは時として大企業の思惑も狂わせるのだろうか。それにしても、震災後のお通夜気分が抜け切らない関東に較べ、関西人のエネルギーには恐れ入る。そんな勢いが数ヶ月で移ろいで行くというのも大阪ならではのミーハーさなのだろう。今は絶好調のあべのキューズタウンなど、半年一年後にはどうなっているのだろうか。
 2011/06/15 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

文明の退化と再生
 震災直後ぐらいからビッグコミックで連載が始まった「星を継ぐもの」というSF劇画が人気のようだ。「宗像教授異考録」で注目された考古学研究劇画家、星野之宣氏の作品だが、原作はイギリス出身のSF作家、ジェイムズPホーガンの77年発表デビュー作品だ。78年の「ガニメデの優しい巨人」、81年の「巨人たちの星」、91年の「内なる宇宙」とシリーズ化された壮大な宇宙考古学SF作品で、その考古学スパンは2500万年に渡る。文明の消滅と再生の輪廻をテーマとした壮大なもので、人類の起源とその過剰な闘争本能の功罪を問うている。
 ちょっと回りくどく今日から見れば違和感も多い(宇宙船での喫煙シーンがやたら出て来るし、ハネウェル→DECとコンピューターエンジニアを勤めたホーガン氏のコンピュータ未来観はかなり外れている)原作より星野之宣氏の劇画の方がテンポも早くて断然面白いが、そんな宇宙考古学SFを読んで実感されるのは文明は進化し続けるとは限らず、むしろ退化、消滅してしまう事もあるという警鐘だ。
 戦前から60年代までのSF作品はロボットにしてもコンピュータにしても原子力にしても薔薇色の未来が描かれる事が多かったが、70年代以降のSF作品の大半は人類文明の退化や破局を描く事が多くなった。その転機となったのが68年公開の「猿の惑星」と「2001年宇宙の旅」ではなかったか。その流れを決定的にしたのが82年公開の「ブレードランナー」だったと思う。
 私が何かにつけて業界と若者の退化を指摘すると大量のツィッター爆弾が投下されてブログが炎上してしまうが、退化という地動説的事実を圧殺する事は出来ない。私は若者の退化に付け入る様な商売に違和感を感じ、出来れば市場に進化して欲しい、進化を前提とした商売が伸びて欲しい、失われた感性や技術を復活させたいと願うだけだ。
 近年のMDやVMD、ストアプランやインベントリィ・マネジメントなどのリテイリング技術の退化は目を覆うほどで、文明の退化を痛感させられる。ほとんど漫画雑誌と化した業界誌を見ると泣きたくなる。退化を当事者たちが実感出来ないところに退化の悲劇があるのだろう。退化する市場に添うように業界が退化し、怪しげな商法が横行するのが自然の理なのかも知れないが、私は敢えて商人道と商業文明の復興に力を尽くしたい。
 2011/06/14 09:56  この記事のURL  /  コメント(0)

「定価」は値引くための仮表示か
 先日、偽装二重価格商法に警鐘を鳴らしたが、某カジュアルチェーンでは毎日のように値引きの作戦会議が行われているそうだ。どの商品を何時、どのくらい値引くか、原価が○○%だから値引いても○○%の利幅が残って、売上はどのくらい伸びるか、細かく作戦を立てるらしい。値引きを仕掛けて売上を煽る効果と値引きで利幅がどのくらい残るかのバランスがこの企業の収益構造の要となっているようだ。これでは「定価」は値引くための仮表示に過ぎないではないか。
 重ねて問いたい。公取委通達の景品表示ルールは守られているのか、セール用低原価商品の大量調達は顧客を欺く偽装二重価格商法ではないのか。
 2011/06/13 13:08  この記事のURL  /  コメント(0)

夏はメンズとユニクロがリード
 震災後のシーズン在庫展開の混乱から立ち直れないままバーゲンに突入してバーゲン後の空白期間が危ぶまれる婦人服に対し、クールビズという夏場のプロパー商材が充実した紳士服はGW明けの滑り出しから堅調で、婦人服を半歩リードしている。バーゲンが一巡して本格的に暑くなれば、弾切れの婦人服が失速する一方で紳士服が加速するのは目に見えている。まさにクールビズさまさまという事になりそうだ。
 夏の冷感機能商品はもちろん、カジュアルシフトしたクールビズ商品が一番充実しているのはユニクロだから、今年は『夏に弱いユニクロ』という汚名を返上する転機となるかも知れない。5月の既存店売上は月末の創業祭で盛り上げても98.4と未達だったが、暑くなれば冷感機能商品やクールビズ商品が冬場のヒートテック並みの大ヒットとなるのも夢ではないだろう。
 昨年はファストに振れてデザイン物を増やしたり長射程の商品開発ゆえにジーンズからチノへの主役交代に乗り遅れたりと散々だったユニクロだが、その反省によるベーシック回帰に震災による国民的等身大志向とスーパークールビズが加わり、V字回復となるのかも。
 2011/06/10 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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