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晩夏初秋企画は戦後復興期風
 コーディネーターが報告する晩夏初秋物のスタイリングイラストを見ると、戦後復興期風の50’Sルックが目立ちます。ヤングはファンキーなアプレゲール風、OLはバナルなクラシックエレガンス風と客層でスタイルは異なりますが、晩夏初秋トレンドの主流が50’Sである事には変わりありません。昨年の今頃の予測ではレイト60’S〜70’Sが主流になると見ていましたが、震災を契機にマインドが一変してしまい、焼け跡感覚の戦後復興期風に大きくシフトしてしまいました。まさしく「想定外」の変化と言うしかありません。
 ようやく震災の痛手を脱却しつつあるかに見える日本ですが、産業界のダメージや海外での日本製品神話の陰りは深刻で、原発危機が収束の見通しも立たない中、国民の心に受けた喪失感は癒されるどころか逆に深まってさえいるように思えます。敗戦の焼け跡から立ち上がって世界第二の経済大国まで伸し上がった自信が「失われた20年」で色褪せ、震災と原発危機という未曾有の災難と日本製品神話の崩壊に直面して第三の敗戦に打ち拉がれる日本は文明の危機に直面しているのかも知れません。
 「頑張ろう」の掛け声の一方で深刻さを増す現実と政治の混迷を直視すれば、貧乏だったけど底抜けの明るさもあった戦後復興期とは異質の状況と見るべきでしょう。どん底からどんどん良くなるという期待感や開放感は望むべくもなく、さらなる想定外の事態を恐れる不安感も払拭出来ません。節電の夏を経て秋が来ればマーケットのマインドはどう変化するのか、誰もが恐る恐る先を読もうとしているのでしょう。
 2011/06/23 10:41  この記事のURL  /  コメント(0)

渋谷が見えない
 70〜80年代の渋谷カルチャーをリードしたセゾングループも今は無く、その末裔たる西武百貨店とパルコも往時の勢いはない。渋谷パルコの凋落は公園通りを衰退させて神南の丘に広がったセレクト街も寂れさせ、もう一方のリード役だった109もファストファッションブーム以降、すっかり影が薄くなり、今や渋谷のメインストリートは外資SPAが並ぶ井の頭通りに移った感がある。
 そんな渋谷の東口(旧東急文化会館跡)に来春、渋谷ヒカリエなる複合施設が開業する。ミュージカル劇場やオフィスも入る高層ビルで、下層階は東急百貨店がプロデュースする商業施設となる。ヒカリエの商業施設は、東横店が渋谷駅の建て替えで休業する間の仮設店舗になるとか、松濤の丘の上にある東急本店を移設するとか、様々に言われて来たが、結局はテナント主体の構成になるようだ。10年以上先の話になるが、渋谷駅の建て替え後は駅ビルも出来るから、エキュートやルミネも登場するのだろう。
 パルコは建て替えて捲土重来を図るとか言っているが、それで公園通りが復活するとも思えないし、西武百貨店もあの器のままでは将来性がない。東急本店だって何度も閉店の噂が流れているし、東急プラザなんてほとんど忘れられている。そう言えば渋谷マークシティとかも井の頭線の奥にありましたね。これで109の衰退に歯止めがかからないと街から魅力的なコアが消えてしまい、渋谷の商業立地は先行きが見えなくなってしまう。
 渋谷駅の建て替えが終わって駅ビルが開業するのを待っているうちに、新宿や池袋どころか二子玉川や恵比寿にまで客を奪われ、渋谷はどんどん衰退して行くのかも。さすがのプロフェッサーも、いったい渋谷の何処に店舗投資すべきか読みかねる。JRや東急からパルコや西武百貨店までバラバラな動きでは街の活性化も遅々として進まない。何だか今の日本の縮図みたいですネ。
 2011/06/22 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

貧困時代に回帰する日本
 最近復活しているトリスや角のCMを見る度、日本がまだ貧乏だった50年代を思い出します。60年代は経済成長とともに角からオールドへ、70年代はジョニ赤、80年代はジョニ黒かチバス、90年代になったらシングルモルトと思ったのも束の間、再びトリスと角の時代に戻ってしまうなんて想像も出来ませんでした。トリスなど貧乏だった遠い昔を懐かしむ博物館物でしかないと思っていたら、今や若者の飲み会では第一線に復活しているなんてビックリですよ。日本は貧困時代に回帰しているんですネ。
 目をお洋服に転ずれば、敗戦直後の更生服から50年代の手縫い洋裁服、60年代の国産ナショナルブランド(VANなんて懐かしいですネ)、70年代の洋物ライセンスブランドやマンションメーカーブランド、80年代のDCブランドの次はラグジュアリーブランドを謳歌したのが頂点でした。バブル崩壊以降、日本がどんどん貧乏になる中、ユニクロやしまむらで落ち止まるかと思いきや、チープを極めたファストファッションがブームになるわ、それさえ醒めて等身大なナチュラルレイヤード(中国では農民服に見えるとか)が席巻するなど、貧乏臭い(エコナチュラルと言うべきです!)ローカル化が止まりません。震災の痛手冷めやらぬこの秋冬なんか真知子巻きまで復活するのかも・・・・
 これほどマーケットがローカル化しては海外コレクション報告セミナーなんか無用の長物で、等身大なローカル市場に徹した当社の『MDディレクション』の方が遥かにお役立ちですよ!何だか宣伝になっちゃいましたね。
 2011/06/21 09:03  この記事のURL  /  コメント(0)

ユニクロは良いお手本
 様々な店頭を見歩いても、きちんと組まれた棚割りMDを見かける事は極めて稀です。「棚割りMD」とは、単品企画あるいは定型ルック企画をカラーやサイズ、ディティールや柄で展開して補給を前提にラックに棚割り配置したもので、通常は「元番地」に置かれます。そこから週毎か二週毎に特定の色組を抜き出してコーディネイト訴求するのが「出前」なのです。この元番地と出前のVMD体系が確立されたのは80年代の米国だと思いますが、当時はギャップ系のみならずリミテッド系でもよく見られました。とりわけリミテッドの色別多重露出出前展開は圧巻でしたよ。
 単品企画を長射程で開発して補給展開するベーシックSPAやファクトリーダイレクトSPAには最適なVMD手法ですが、近年はファストなODM調達に依存するバイイングSPAが主流になり、補給を前提にきちんと組まれた棚割りMDはユニクロや量販店の戦略PBの一部にしか見られなくなりました。中でもユニクロは大半の企画をきちんと棚割りを組んで展開しており、色配列のセンスこそ首を傾げたくなるものの、色やサイズの配置が解り易く棚割りされています。
 かつてのユニクロはほとんど元番地とセールワゴンだけでしたが、グローバル展開に乗り出してからはギャップ社流の出前を積極的に活用するようになり、大型の旗艦店では大規模に展開されています。ギャップ社に較べればまだ出前の展開パターンは未確立で粗雑さを否めませんが、元番地の棚割りを学ぶには良いお手本だと思います。基本を忘れてファストに流れるカジュアルチェーンが多い中、やはりユニクロはベーシックSPAのひとつの完成形として評価されるべきでしょう。
 2011/06/20 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

SPAとブランドショップの境
 SPAとは『自社企画オリジナルブランドを製販一貫の効率的なビジネスモデルでお手頃に提供する事業形態』と定義されるが、ODM業者の企画を仕入れて回すフォーエバー21や国内大手カジュアルチェーンは明らかに自社企画とは言えないし、自社企画を直営店で売るブランドビジネスをSPAに括るのもどうかと思う。ましてや、ODMで調達原価率が30%を切るようでは『効率的なビジネスモデル』とも『お手頃に』とも言い難い。何か現実に即した新しい区分けが必要なのではないか。
 企画・開発手法には自社企画・自社開発型、自社企画・他社開発型(OEM依存)、他社企画・他社開発型(ODM依存)があるが、何処で線引きしてSPAか否かを問うのは現実的ではない。むしろオリジナル企画をMDテクニックで水増ししないで原液のまま提供するものをブランドビジネス、オリジナル企画をディティールやサイズ、カラーや柄などで水増ししてMD展開するものをSPAと仕切るのが現実的と思われる。カルピスとカルピスウォーターの違いと言えば分かり易いのではないか。
 この区分けで見ると、なるほどユニクロやGAP、アバクロやZARAは確かにMD展開されているし、ブランドビジネスの直営店では露骨なMD展開はあまり見られない。国内カジュアルチェーンの多くは部分的なMD展開に留まって類似した単品ODM企画を追っかけているに過ぎず、SPAらしい構造的なMD展開は滅多に見られない。これを発展途上と見るかローカル的進化と見るかは意見の分かれるところであろう。どちらにせよ、日本のSPAが岐路に立っている事には変わりない。
 2011/06/17 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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