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東京スタイルに脱帽
 今朝の新聞報道に拠れば、東京スタイルがあの「ローズバッド」を買収して子会社化するとか。卸とFC展開を行うメーカーのローズバッド社と直営店を運営する小売のエレファント社の両方を、投資関連事業を切り離した上で子会社化するそうです。
 「ローズバッド」はモードカジュアル系トレンド編集セレクトショップの一番人気ブランドで、12店舗、メンズの「スラップショット」はストリート系トレンド編集セレクトショップの草分けで、4店舗を展開しています。「ローズバッド」は駅ビルなどでの売上を見る限り高効率で安定しており、店頭で見ても後発の類似ブランドを引き離す魅力を維持しています。なんで身売りするのか内情は知りませんが、ビジネスモデルと販売効率から想像される利益率と実際の経常利益率(両社単純合算で5.27%)はかなり乖離していますから、本業以外に足を引っ張る投資があったのかも知れません。
 それにしても、東京スタイルの矢継ぎ早の買収戦略と目利きの鋭さには脱帽させられます。03年のナノユニバース、04年のジャック(「ステューシー」)に始まって08年のスピックインターナショナル(「トルネードマート」)、09年のイジット(「ダイアリー」)、そして10年には中国で活躍する日本人デザイナー村山蕾のメゾン北京子苞米時装、11年にはフィット(「ザ・ファーストウィメン」)に続いてのローズバッドの買収ですから、まさしく矢継ぎ早。しかも買収した企業が皆、ブランド価値が確かで買収後も上手く行ってるようですから、目利きと買収後のマネジメントは卓越したものと評価されます。買っては壊すケースも少なくない業界ですから、ご立派と言うしかありません。となれば、サンエーインターナショナルとの経営統合も大きな成果が期待されますネ。
 2011/05/24 13:09  この記事のURL  /  コメント(0)

一気にラフになりそう
 木曜金曜と月例の『販売情報交換会』を開催しましたが、コーディネーターのスタイリング動向報告もバイヤーさんの売れ筋報告も、通勤スタイルが随分とラフになったのにはちょっとビックリ。レディスでは‘ゆる透け’なロングOP/ロングスカート/フレアパンツ+レーシーニットのレイヤードが氾濫し、‘ゆる爽やか’なボーイッシュ/マスキュリンルックが台頭しています。メンズではきれい目ポロや綿麻ワークシャツにロールアップのチノ/デニムというプレップスタイルがオフィスの主流となる一方、ストリートでは‘ゆる楽ちん’に落とし履くサルエルのバリエーションが目立ちます。いくら節電クールビズが推奨されているとは言え、日本の夏スタイルは一気にラフになってしまいそう。このトレンドが続けば、秋の通勤着もこれまでの常識を超えてラフになるのでは・・・・・
 2011/05/23 09:21  この記事のURL  /  コメント(0)

リアルマインド
 某カジュアルチェーンが外人部隊を使って開発したブランドを見ていると、どれも戦略は解るのだが肝心の商品の詰めが甘くVMDもオリジナリティを欠き、バリュー感が伝わって来ない。戦略を現場の実務に繋げるリアルマインドを欠いているからだと思う。
 振り返ってみれば、某大手アパレルの前社長がやはり外人部隊を使って立ち上げたブランドが悉く失敗して失脚した事が思い出される。なのに、また別の大手アパレルがそっくりその手法を使って次々とリアルマインドのないブランドを立ち上げているのを見ると、性懲りも無いものだと呆れてしまう。某量販資本もリアルマインドを欠いての失敗を繰り返しているが、何百億円何千億円、溝に捨てても問題の本質を理解出来ないようで、また同じ失敗を繰り返している。
 外人部隊や外部スタッフを使って描いた青写真は、実際に商品を開発し店舗を運営する現場を巻き込んで、ひとつひとつ手順と技術を教えて定着させて行かない限り、絵に描いた餅になってしまう。外人部隊にせよ企業内の人材にせよ、事業責任者がリアルマインドを持って戦略を丁寧に現場に落としていかないと事業の成功は覚束ない。
 リアルマインドを持った事業責任者とは、商品企画・開発、ロジスティクスとVMD、店舗システムと売場運用、販売プロセスなど、すべての実務分野の具体的な手順と技術に精通し、現場に入ってひとつひとつ丁寧に教えて現場の理解とやる気を引き出し、現場が自分の意志で動き出すよう起動する実行力を持ったリアルな人材である。戦略を外部や現場に丸投げしてスマートにマネジメントしては、決して戦略は実現しない。
 あまりに当然で当たり前の事なのだが、同じ過ちが繰り返されるのを見て、一言申し上げたくなった。
 2011/05/20 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

レイクタウンアウトレットは圧巻でした
 4月29日に開業したイオンレイクタウンアウトレットに遅ればせながら行って来ました。近所で仕事があったついでに立ち寄ったのですが、想像以上にテナントが充実していたので時間を取られてしまい、オフィスに帰り着いたのは来客時間ギリギリでした。
 2万7000平米に141店を揃えたレイクタウンアウトレットは中央広場から三方向にモールが伸びる二層構造で、一周すると結構歩きます。ラグジュアリー系こそ限られるもののアウトレット初登場の海外ブランドや国内ブランドが充実しており、ゾーニングもカテゴリーや客層を考慮したストーリーがあって、イオン初のアウトレット開発にしては望外によく出来ていました(各店入り口の水返しの高さだけは難点)。これまでのアウトレットでは例外だった仕入れのオフプライスストアが何店か見られるのもひとつの特徴でしょう(百貨店のアウトレットも含め、今後の新ジャンルだと思います)。三井さんやチェルシーさんもこれは侮れないと思ったのではないでしょうか。
 開業前の当社の検証では大成功間違いなしと判定され、3万平米で377億円の売上を予測していましたが、実際には2万7000平米で開業したので初年度売上は339億円と予測されます。これはアウトレット売上ランキングでも御殿場、入間に続き軽井沢や佐野と三位の座を争う水準ですから、初仕事としては大成功と言えるでしょう。となれば、イオンが第二第三のアウトレット開発を急ぐのは当然で、二強独占が強まっていたアウトレット業界も大きく変わって行くのかも知れません。
 アウトレットの成功はともかく、既存のMORIやKAZEにどんな影響があるか懸念されますが、神戸三田や泉南でアウトレットとモールの並存を経験して大丈夫と踏んだのでしょう。それでも多少の不安はあるのか、東埼玉道路を跨ぐブリッジでMORIの中央部と繋いだだけで、KAZEからは道路を歩いて渡るしかありません。一体化というより隣接する別物として運営されているようです。KAZEはともかくMORIには影響が及んで、実質アウトレットな処分店が増えて行くのではと心配してしまいます。半年一年と様子を見て行きましょう。

 2011/05/19 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

岐路に立つSPA
 当社主催のSPAC研究会メンバーに毎年5月、お答え頂いている調達手法アンケートが今年もまとまったが、リーマンショック以降に加速した原価率の切り下げが止まらない。リーマン前の08年から11年にかけて、自社開発商品の原価率は2.5ポイント低下したが、OEM商品のそれは4.5ポイントも低下している。開発スタッフの固定費がかかる自社開発ならともかく、OEMやODMで原価率が25%という回答もあり、いったいどんな品質なのかと不安になってしまう。メンバー企業ではさすがに聞かないが、中にはODMで原価率が18%というカジュアルチェーンもあるそうだ。
 小売価格を上げないで(実際には07年度から10年度間に平均購入単価は14.5%も低下している)原価率を切り下げれば品質は確実に低下するが、OEM/ODMに依存するカジュアルチェーンの商品を見ると縫製はともかく素材は間違いなく切り下げられている。高騰する羊毛や綿の混率を下げて露骨にローカル合繊比率を上げた商品が急増しているではないか。
 かつて70年代にKマート商品を見た時、こんな合繊(途上国生産のローカル合繊)だらけのガサガサ商品を日本人が受け入れる事は決してあるまいと思ったものだが、ファストファッション上陸以降、日本の若者は嬉々としてそんな商品を受け入れるようになった。業界の玄人には嘆かわしい変化とも感性の退化とも受け取れるが、事実として正視するしかない。定性的な印象に加え、調達原価率の統計的変化でも感性の退化は否定し難い事実なのだが・・・・・・
 品質と原価率を切り下げ、宣伝費をかけてブランディングする企業が勝ち組になる世相(世界共通のようです)は、商人道と流通革命の理想を追って来たSPA研究者には馴染めません。ファストファッション以降のSPAは『製販一貫の効率的なビジネスモデルで良品を手頃に供給する』という理想を見失っているように思えます。SPAは岐路に立っているのではないでしょうか。
 2011/05/18 09:01  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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