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未だ士農工商ですか
 思うところがあってIFIのカリキュラム体系を精査してみましたが、実務体系の大半がマーチャンダイジングがらみで、マーケティングもその延長上に過ぎす、リテイリング体系はビジュアルマーチャンダイジング(これもマーチャンダイジングですが)に触れるのみで、流通戦略や店舗布陣戦略、店舗運営はもちろん、ロジスティクスと一体になった本物のビジュアルマーチャンダイジングなど、リテイリングを体系的に教えるカリキュラムは見当たりませんでした。マスターコースやプロフェッショナルコースはやはり、アパレル・マーチャンダイジングが中核なのでしょう。マネジメントコースやスポットの特別カリキュラムではケーススダディ的にリテイリングに触れる事もあるようですが、リテイリングを体系的に教えるカリキュラムの欠落は否めません。未だ士農工商なのでしょうか。
 思えば80年代のDCブランド華やかなりし頃もクリエイションばかりが叫ばれてリテイリングが軽視され、華やかなコレクションの陰でハウスマヌカンがシャケ弁を食うという格差が揶揄されたものです。当時の服飾専門学校はクリエイション一辺倒で、リテイリングどころかマーチャンダイジングさえ無視されていたのです。90年代に入ってIFIが設立された当時はまだ、その影響が強く残っていました。その後、米国ビジネススクール式のアカデミズムが強まってビジネスモデル論やケーススタディが追求された時期もありましたが、リテイリングが体系的に取り上げられる事はありませんでした。
 IFIの支援背景となっていたアパレル業界や百貨店業界が勢いを失うにつれ、業界の明日を開く人材の育成という本来の命題より組織の存続が現実の課題となり、体系的なカリキュラムを追求する状況ではなくなったのかも知れません。欠落しているリテイリング体系を確立すれば裾野が広がって状況も好転すると私は思うのですが、やはり士農工商の偏見が残っているのでしょうか・・・・
 2011/05/31 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

現実的に対処すべき
 関東以西は27日から梅雨入りして雨続きの鬱陶しい日々だが、今年はなにもかもが異例の流れで、売場の在庫運用も異例の対応をせざるを得ない。
 まず三月後半の春物ピークが震災と交通混乱で飛んでしまい、4月は気温の低さと春物在庫の山があいまって2〜3週ずれで春物実需が盛り上がったものの値崩れで利幅は薄く、GWこそ初夏物の山があったものの、震災直後の悲観的見通しと春物在庫の積み上がりでGW以降の夏物投入が極端に圧迫され、GW明け以降は残品ばかりで売場の鮮度を失って失速する店舗が目立っている。
 こんな状況ではセールを早めるしかなく、既に五月雨式にプレセールが始まっているが、バーゲン解禁を二週早めたルミネを除けば前年踏襲に固執する商業施設が大半なのは理解に苦しむ。テナントの在庫状況を適確に掴んでいればバーゲンを前倒すしかないのは明白で、ルミネ以外のデベが前倒しを躊躇している理由が解らない。夏バーゲンの早期化がプロパー販売期間を短縮するという批判は一般論としては理解するが、メンズのクールビズ関連とセレクトショップの輸入品を除けば夏物投入が異例に薄いという今年の異常事態に対応するにはバーゲン前倒しを躊躇すべきではない。むしろバーゲン一巡後の長い夏に対応する晩夏商品を如何に構築するかが問われており、米国市場のBack to schoolシーズンのような新たなライフスタイル営業期を創造すべきと思われる。長期的に見ても夏バーゲンの早期化は止め難い潮流で、この機会に抜本的に頭を切り替えた方が良いのではないか。
 夏バーゲン前倒しの是非を論ずるより、異常事態の今年は現実的に対処すべきで、前倒した施設とそうしなかった施設で明暗が開くのは避けられないだろう。来年以降どうすべきかは、また別の問題と考えるべきだ。
 2011/05/30 09:57  この記事のURL  /  コメント(0)

たまにはHPも覗いて下さい
 昨年リニューアルした当社のHP(http://www.fcn.co.jp/)ですが、コンテンツがどんどん変わる訳でもないので伸び悩んでいます。でも、結構役立つコンテンツもあるんですよ。
 1)毎月末に更新される「NEW STYLING」のイラスト
店頭の最新スタイリング報告から注目度の高いルックをピックアップして解説しています。毎月追うと流れが解るかも。
 2)全国ショッピングセンター情報
全国の主要SC/駅ビル/ファッションビル/アウトレットモールを地域別やあいうえお順で検索し、オフィシャルHPへ飛べるようリンクしています。私がテナントをチェックするのに使い易く組んだもので、個別に検索するより断然速いと思います。
 3)最新論文やSPAC報告
私が業界紙誌やSPACレポートで発表した論文やデータを随時、掲載しています。業界紙誌の発表原稿がない月はSPAC研究会のエッセンスを掲載しますから、毎月何かしら更新されます。
        ※       ※       ※       ※
 この他、不定期ですが「バイヤーズサロン」の裏話、毎月のSPAC研究会開催案内や入会案内、事業概要に加え、時には求人なども掲載されます。たまにはHPも覗いて下さいネ。
 2011/05/27 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

バーゲン後はどうするの?
 ルミネが節電対策を主な理由として例年より半月も前倒して6月16日から夏のバーゲンを開始すると発表してから、ルミネとテナントが共通するファッションビルや駅ビルがバーゲン解禁日を巡って動揺しているそうだ。
 テナント側としては全国同時解禁が原則だからルミネと同時開始するしかないと考えるところが多いが、ルミネと共通しないテナントはプロパー販売期間の短縮を嫌って例年並みを主張するところもあり、デベとしては難しい選択を迫られている。妥協の産物なのか、一週遅れでバーゲン入りするファッシビルや駅ビルが多いようだ(顧客年齢層が高い商業施設や百貨店は例年通り)。しかし、ルミネが16日から解禁する以上、遅れて解禁すればテナントの用意する在庫もお客様もルミネに流れ、後発施設のバーゲンは盛り上がりを欠く恐れがある。
 ルミネとテナントが最も共通するのはウェブモールのゾゾタウンだが、今の所は6月末の解禁と聞く。しかし、お客様が共通する以上、テナントはルミネと同時に値下げせざるを得ないから、6月16日から実質バーゲンに突入してしまうだろう。実店舗とウェブが密接にクロスする今日、考えさせられる問題だ。
 ファッションビル/駅ビルのバーゲン解禁は実質、ルミネと同期せざるを得ないと見られるが、問題はバーゲンが前倒された後の長い空白期間だ。7月も第二週に入ればバーゲンの人出も一巡して目星しいバーゲン在庫も底を尽き、8月末になって初秋物が動き出すまで売るものが無くなってしまう。クールビズの機能商品が期待されるメンズ(5月の都内百貨店では既にメンズが5ポイント以上レディスをリードしている)はともかくレディスは晩夏企画しか弾がなく、ほぼ6週間の空白が避けられない。
 最低保証付き歩合家賃が常識となった今日では開店休業と割り切る訳にも行かず、テナントは最低保証家賃を払うために在庫を投入せざるを得ない。セールを引っ張る下代商品(値引きしても儲かる)を大量に手当するテナントもあるようだが、本命はやはり晩夏の値頃企画。例年にはなかった長期間の晩夏シーズンを支える企画を絞り出す知恵較べになりそうだ。
 2011/05/26 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

ファストファッション終焉宣言
 H&Mの11年度第1四半期(10年12月〜11年2月)売上は287.08億SEKと前年同期の290.95億SEKから1.3%減少、本国決算から推計される日本売上も3.51億SEKと同3.53億SEKから0.6%減少した。INDITEXの最新四半期決算(10年11月〜11年1月)売上は前年同期より10.1%伸びているから、H&Mの失速は際立っている。とは言ってもこれは為替のマジックであって、11年度第1四半期の場合、SEKベースでは前年を割り込んでいてもローカル通貨ベースでは109%と伸びているし、10年度年間決算でも、SEKベースでは107%だがローカル通貨ベースでは115%と二桁増だった。
 ところが、目を日本に移せば10年第1四半期以降、店舗が増え稼働売場面積が急増してもH&Mの売上はまったく伸びていない。たった10店舗で、店を増やしても売上が伸びない飽和点に突き当たっているのだ。08年9月の上陸直後は銀座、原宿の2店舗平均で月坪百万円以上を売り上げていたのに、店舗数が6店になった09年第4四半期には75万円、続く10年第1四半期には41万円と急落。10店となった11年度第1四半期では25万円まで低下し、店を増やしても売上がまったく増えなくなってしまった。という事は、多店化にもブレーキがかかるはずだ。
 H&M上陸直後の過熱したブームの中、私は2ダース(24店舗)で行き詰まると予見したが、それを裏付ける売上の推移となって来た。フォーエバー21は都合の良い数字しか発表しないが、多店化による販売効率の低下はH&Mと大差ないと推察される。海外はともかく日本におけるファストファッションブームは一過性のもので、メジャーマーケットとして定着するのは難しいというのが結論ではないか。
 ただし、日本的ファストファッションとしてのしまむらの地位は日本の貧困化とともに揺らぐ事はないし、自社開発で完成度の高いINDITEX(ZARA)はファストファッションという分類にははまらない。もちろん、開発期間が長いベーシックSPAのユニクロはまったくファストではない。H&Mとフォーエバー21、それに刺激されて開発された幾つかの国内ブランドまでをファストファッションと限定した上で、ブームの終焉を宣言する。08年9月の上陸からたった二年余りでファストファッションは終焉したのだ。
 2011/05/25 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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