| Main | 次へ
杜の都のコネチカット
 先週の金曜は早朝からはやてに乗って杜の都に出かけました。某アウトレット店のストアメイキングを採点するためで、仙台駅からタクシーに乗って泉パークタウンまで辿り着きましたが、まるでコネチカットの住宅地みたいな緑溢れる街並にちょっとビックリ。こんなに美しい住宅地があったのかと感心してしまいました。聞けば専任のガーデナーチームが常駐しているとか。これを単独で開発し維持している三菱地所さんはエライ!食い合いで共に苦戦が伝えられる仙台のアウトレットモールですが、街並の美しさもあってか、こちらの方が優勢だそうです。
 それはさておき、某社のアウトレット店はあまり良い構成とは言えませんでした。なぜなら、アウトレット店は倉庫の売れ残り品を自在に編集して季節に合わせた構成が出来、品番に囚われず(色やサイズが欠けているので)美しいカラー配列やフォルム陳列がレギュラー店よりし易いのに、むしろレギュラー店の在庫が崩れたような状態(当たり前ですが)になっていたからです。レギュラー店に近い構成をしようとするからレギュラー店より崩れた構成と陳列になってしまうのであり、発想を転換してアウトレット店ならではのテクを駆使すれば見違えるほど充実した構成と美しい陳列が出来ますよ!
 季節感はちょっと遅れていましたが、商品構成自体は意外なほど今年の売れ筋が揃っていましたから、在庫の選択眼は確かだと思います(昨シーズン物も結構、先を行っていたという事か)。これでテイスト分類がきちんと出来てクリスマスカラーやホリデイカラーがしっかり打ち出されていれば合格なのに、ちょっと残念でした。店長さん、挫けずに頑張って下さいネ。
 2010/11/30 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

ファクトリーダイレクトSPA
 今朝の日経MJにメーカーズシャツ鎌倉が大きく取り上げられていたが、同社は国内生産に徹したファクトリーダイレクトSPAとして業界では以前から注目されていた。小売系はもちろんメーカー系のSPAでも生産は商社などを経由して外部の工場に依存するファブレスモデルが主流だが、同社は自ら素材を調達して国内の10工場とダイレクトな生産体制を組んで来たばかりか、今度は協力工場と折半出資で直営工場の開設に動いている。直営工場によってファクトリーダイレクトSPAを極め、品質と価格の合理性に徹したフアクトリーブランドを確立しようとしているのだ。
 同社の商品原価率は約60%と聞くが、これはSPAとしては異例に高いもので、極めて良心的な価格設定と言えよう。ODM依存の小売系SPAでも40%前後、工場直接発注の大手SPAでは30%前後、流通コストの高い百貨店ブランドなどでは20から25%、大手グローバルSPAでは15%程度とされるから、60%ではよほど消化回転がスムースでないと利益は出ない。中間業者を一切排した良心価格のファクトリーダイレクトSPAが顧客に認められた故の奇跡と言うべきだ。
 同社の貞末会長は『もっと生産性を高めれば、日本の工場は人件費上昇が続く中国などとコスト面でも十分に戦える』と発言しているが、私もまったく同感だ。シングルライナーやマルチライナーのように特定アイテムに特化してファクトリーダイレクトな生産体制を確立すれば、60%は無理でも40〜50%の原価率で十分な利益を出していけるのではないか。
 グローバル展開には原価率を15%以下に抑えるべきだという指摘もあるようだが、SPAの本質は製販一貫のコスト合理性にあるのだから、本末転倒という批判を免れない。SPAのコスト合理性(品質と価格のバランス)を追求するほど垂直統合調達が極まり、その究極はファクトリーダイレクトSPAになる、というのが私の見解だ。国内産地の生産チェーンは既に回復不能なほど分断されてしまったが、パンツやシャツ、高級ニットなどではまだ手遅れではない。ファクトリーダイレクトSPAの奔流が国内産地の復活に繋がればと願うのは私だけではないだろう。
 2010/11/29 09:22  この記事のURL  /  コメント(0)

百貨店のSC化は進化か退化か
 私のブログに商業施設開発に関わる方からコメントの投稿があって、最近の百貨店のSC化と低価格テナント導入を嘆いておられたが、私も同感である。百貨店がテナントと業務が重複する人員を圧縮してコストを抑制し、駅ビル並みの低歩率で人気ブランドを導入する事自体は時代の要請に適った事だと思うが、それは百貨店がSC化駅ビル化する事と同義で良いはずがない。
 百貨店が無駄なコストを削減して法外な歩率が招く割高な価格を是正して行くなら歓迎したいが、駅ビル並み低歩率での導入は駅ビルブランドや低価格SPAに限られており、百貨店ブランドの価格合理性回復にはまったく繋がっていない。これでは百貨店のSC化駅ビル化であって百貨店の進化とは言えないのではないか。大丸と松坂屋の「うふふガールズ」を見ても、百貨店的規制も色濃く残っているし、ブランドの選定や配置の目利きもルミネなどと較べれば素人の域を出ないし、営業指導や営業催事運用の水準など較べようもない。進化と言うより安易な時流対応という感を否めないのだ。ましてや家電量販店や量販ファストファッションの導入など、雑居ビル化としか言いようが無い。
 目を復活著しい米国のデパートメントストアに移せば、JCペニーはリズ・クレイボーンやラルフローレンと組んで著名ブランドを次々とPB化しているし、コールズも手頃NBの売れ筋品番訴求に加えてブリトニー・スピアーズの「キャンディーズ」などセレブと提携した独占ブランドを展開し、それぞれ顧客を引きつけている。デパートメントストアとして独自の商品展開で活路を切り開いていると評価出来よう。それに較べれば、日本の百貨店の雑居ビル化は自らの商品展開を放棄した不動産屋化と揶揄されても仕方在るまい。10年というレンジで見れば、独自の商品展開も提供方法の革新もない百貨店のSC化は退化でしかないのでは・・・・・ 
 2010/11/26 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

「誰でもSPA時代」が終わる
 これまでは誰もがODM業者やOEM業者を使って手軽にオリジナルの衣料品を作れたものだが、この夏を境に事情は一変した感が在る。低価格衣料品の生産を一手に引き受けて来た中国の労働需給逼迫による賃金高騰と内需拡大による素材と生産キャパの逼迫で、納期が短く品質にうるさい割りにロットが小さく利幅も薄い日本向け生産はコスト急騰と納期遅れ、素材の入手難が際立って来たからだ。中国の衣料品生産は成長が著しく日本向けより価格が通る内需を優先し、メリットの薄い日本向け生産は急速に細って行くと覚悟すべきであろう。もはや中国は都合の良い低コスト生産地ではなくなったのだ。
 低コスト調達を維持するにはベトナムやバングラデシュなどの南アジアに生産を移行するしかないが、生産ロットは桁違いに大きく納期も長いし品質もまだ安定していない。なにより日本向けに適する高品質素材の生産背景が育っていないから、品質を落として現地素材を使うか高騰する中国素材を使うか難しい選択を迫られる。ユニクロのような納期の長い大ロット生産ベーシックSPAなら南アジアシフトも可能だが、ODM業者を使って短納期で市場対応して来たカジュアルチェーンなどシフトは不可能だ。そうかと言って、ロットが小さく短納期が可能な国内生産へ回帰しようとしてもコストは跳ね上がるし、何より生産チェーンが途切れて開発力を失った国内テキスタイル業界はもはや素材を供給する事が困難になっている。高級なニットや毛織物、デニムを除けば、国内生産でも素材は中国から輸入せざるを得ない。ジャージや綿織物は中国から輸入するしかないところまで来ているのだ。
 そんな事情を知ってか知らずか、これまでODM業者やOEM業者に依存して来たカジュアルチェーンやカジュアルブランドの多くは業者がなんとかしてくれるとまだ錯覚している。多少はコストが上がって納期も長くなるぐらいに高を括っているのかも知れないが、その錯覚が重大な事態を招くのも時間の問題だ。春節が明けた来春夏物の供給は劇的に減少し、納期は月単位で遅れるに違いない。それは生産キャパ以前に素材の確保が困難になるからだ。綿糸が高騰し内需が逼迫する中国素材の調達は業者任せで価格交渉しては時間切れになってしまう。ましてや、これまでのように8週とか10週のリードタイムで製品が調達出来ると思ったら大間違いで、ODM業者やOEM業者は素材リスクを負えなくなっている。恐らく来春夏物は商品不足の大パニックになるだろう。コスト上昇に品不足も加わり、衣料品価格は20年ぶりというインフレに転ずるに違いない。
 中国産地の一変を予見し、ODM/OEM商品の氾濫が招く止め処ない値崩れに見切りをつけた聡明な経営者達は今、果敢に垂直統合生産への大転換を押し進めつつある。苦難を乗り越えてその転換を果たした一握りの勝者の一方、ODM/OEM依存を脱却出来ない大多数の企業は値崩れに品不足と納期遅れが加わって壊滅的な打撃を受けるに違いない。それは素材調達を業者に依存した表面だけの垂直統合も大差ないだろう。こうして20年近く続いた「誰でもSPA時代」は終わるのだ。
 
 2010/11/25 09:02  この記事のURL  /  コメント(1)

国産繊維製品調達促進法を制定しよう
 一昨日の繊研新聞に『メード・イン・ジャパン』賛同の意見広告が載っていたが、『欲しいときに国内の工場が無い、でいいのか』という意見にはもちろん大賛成だが、繊研新聞の意見広告だけではどうしようもない。経済原則で動く商売の世界では割高と解っている商品をわざわざ調達するのは会社や株主に対する背任行為となりかねないから、メーカーズシャツ鎌倉のように、割高なコストに見合う付加価値を実現出来るビジネスモデルを組織ぐるみで推進する必要が在る。私が究極の垂直統合ビジネスモデルとしてファクトリーブランドを提唱しているのもそんな視点からなのだ。
 せっかく業界の心ある方々が賛同して『メード・イン・ジャパン』を啓蒙するのなら、もっと具体的な実効のある法律の制定を目標とすべきではないか。日本の繊維産業を見殺しにしたのも法律(71年制定の特定繊維工業構造改善臨時措置法〜74年改定の繊維工業構造改善臨時措置法)なら、それを再生するのも法律であるべきだ。当時の日米貿易摩擦と沖縄返還にからんで繊維業界が生け贄にされていく経緯は城山三郎の『官僚たちの夏』に生々しく描かれている。
 私が提唱したいのは『国産繊維製品調達促進法』に他ならない。例にとるのは不適切かもしれないが、『障害者雇用促進法』に見るように、一定以上の仕入額の企業に対して一定比率以上の国産繊維製品調達を事実上、義務づける法律を制定すべきと考える。
 『障害者雇用促進法』は常用雇用201人以上の企業に対して1.8%(56人に一人)以上の障害者雇用を義務づけるもので、一人不足する毎に月5万円(平成27年6月までは4万円)の障害者雇用納付金を徴収し、一人超える毎に月2.7万円の障害者雇用調整金を支給するという運用が行われている。06年から三年連続で障害者雇用ランキング第一位のファーストリテイリングは08年で常用雇用者1万1000人に対して約700人の障害者(重度障害者をカウントして890人と認定)を雇用していたから、障害者雇用調整金だけで2億2420万円が支給された計算になる。逆に不足した企業は障害者雇用納付金を徴収されるから、販売子会社を200人以下に分社して納付を回避している企業も少なくない。そんな企業と較べたらファーストリテイリングの真摯な障害者雇用は高く評価されるべきであろう。
 まったくの試案だが、『国産繊維製品調達促進法』では繊維製品仕入れ高年間10億円以上の企業に対して仕入れ高の10%以上の国産繊維製品調達を義務づけたい。09年度の国産繊維製品シェアは3.7%だから、10%以上を義務づけて国産繊維製品の普及を図るのが妥当と思われる。この比率を下回った場合は下回った金額に対して20%の課徴金を徴収し、上回った場合は上回った金額に対して20%の奨励金を支給するというものだ。
 本気で国内繊維産業を再生したいなら、このような法律の制定が不可欠と思われる。法律には素人の発想なので正確さを欠くという指摘は甘んじて受けるが、『メード・イン・ジャパン』再生への賛同意見を具体的な法律制定に繋げるスキームが求められているのではないか。関係者の具体的アクションを望みたい。
 2010/11/24 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

| Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ