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エスプローズは見かけ倒しでした
 アリオ橋本を一周したついでにイトーヨーカ堂の新衣料PB群を覗いてみました。「ギャローリア」と「L&B」はもう他のSCで何回も見ていたのですが、ウォルマートも組んでる香港の高名な大手商社 利豊(リーフォン)と取り組んだという「エスプローズ」を是非とも見たかったのです。
 クロスプラスと組んだ「ギャローリア」と「L&B」は従来のIY婦人服の延長上でエレガントな質感があり、やや若返ったかなという印象。売場も平場そのもので新しさというインパクトはないものの、デザインと品質には安心感がありました。それに対して「エスプローズ」は目立つ店舗環境とVMDで平場から突出しており、玄人ならずとも興味を惹かれるでしょう。カラーストーリーを組んで上手に陳列されているので、ちょっと目には良く見えましたが、手に取ってパターンや素材、縫製仕上げを見ると、貪引きしてしまいました。価格はユニクロ程度でナチュラルなデザイン性もあるのですが、なにせ素材が薄っぺらくパターンも大味なのです。IYの品質感に慣れたお客さんには到底、受け入れがたいのではないでしょうか。これがグローバル感覚というのなら、残念と言うしかありません。
 どんなに一流の商社と組んでも、どんなに一流のクリエイターを起用しても、顧客を見据えて組織ぐるみでリアルマインドに徹しない限り、いい商品は出来ません。イトーヨーカ堂にせよイオンにせよ、リアルマインドを欠いたPB開発が成果を得る事はないでしょう。
 2010/09/30 08:54  この記事のURL  /  コメント(0)

アリオ橋本はいま一つでしたネ
 昨日は所用があって早朝から京王電車に乗って橋本まで出かけました。駅から狭い歩道を線路沿いに三分ほど歩くと右手にアリオ橋本が見えて来ましたが、建築デザインのせいなのか塗装色のせいなのか、随分と古びて見えたのが第一印象でした。
 そんな外観とは対照的にモールは白一色のモダンな空間に仕上がっていましたが、テナント構成はいま一つでしたネ。1Fも2FもモールのIY対極側が大型テナントで埋められて専門店のバラエティを欠き、客層対応も業種構成も欠落だらけだったのです(昨日のブログ「テナントミックスのマトリックス表」を読み返してネ)。1Fでは大型雑貨店のロフト、ワールドのブランド複合ストアのスタイルジャム、ZARA、2Fでもゼビオ、アカチャンホンポ、IYのキッズタウンが大面積を占め、テナント密度はIY側に偏っていました。1/2Fとも飲食のサブモールを設け、1Fではサービステナントを小路にまとめるなど、それなりの工夫も見られますが、モール専門店のバラエティとバランスを大きく損なったのは痛手と言うしかありません。目玉となる新業態もワールドのスマーティーだけとは寂しい限りです(スマーティーにもガッカリしましたが・・・・)。
 アリオ橋本は西〜南方向に広がる商圏と競合環境に恵まれ、当社の開業前予測でも初年度売上が273億円、衣料テナントの平均販売効率も15.9万円/月坪と高く評価していただけに、こんなにバラエティとバランスを欠くモール構成になっては予測値を下回るのではないかと不安になってしまいました。リーシング時期がリーマンショック不況と重なって弱気の交渉となったのかも知れませんが、これほどの好物件ですから、もっとテナントを詰め込んでも良かったのでは。勝てる稼げるモールだけに、ちょっと残念でした。
 2010/09/29 08:50  この記事のURL  /  コメント(0)

テナントミックスのマトリックス表
 ローカルのリージョナルモールを検証してテナントミックスの改善を提案する仕事があり、九月初めに一泊で現地調査を終え、テナント別売上報告書や来店客調査報告書などを参考に改善案を組み上げ、このほど作業が一巡した。
 テナントミックスの検証で基本となるのが実勢商圏のニーズと該当施設の競合ポジションで、商圏顧客が該当施設に何を期待しているのか割り出す事からスタートする。今回の場合は商圏内にリージョナルモールは該当施設ひとつしかなく、他は足元依存のCSCやパワーセンターばかりだったので、競合ポジションは明確だった。とは言え該当施設のテナントミックスは90年代中期の開設時点からあまり進化しておらず既に魅力を失ったテナントも多く、何より顧客と業種のマトリックスから検証すれば欠落や重複が目立っていた。
 顧客と言えば世代だけで見がちだが、世代毎にどの程度の質感や価格を求めているかを見極める必要があるし、業種と言っても現実は細分化されている。眼鏡店を例にとれば、ブランドフレームを品揃えするセレクトタイプ、オリジナルフレームを揃えるSPAタイプ、幾つかのパッケージ価格を打ち出すプライスラインタイプの3タイプがあるし、前二者には高級タイプとプロモーショナルタイプがある。リージョナルモールの場合はこの3タイプすべてを揃えないとニーズを取りこぼしてしまうが、それぞれどのプライスポジションのテナントがマッチするか、商圏特性や来店客調査などから見極める必要がある。同じように化粧品店も、ブランドの美容部員が張り付いた専門店タイプ、ドラッグコスメを揃えた大型バラエティタイプ、医薬品も揃えたドラッグタイプ、ナチュラルコスメのブランドショップなど、幾つかタイプがあって、それらをどう選択して配置するのかが問われる。
 こんな作業をいちいち積み上げたのでは時間がかかるし、欠落や重複も生じてしまう。だから当社では毎年、客層と細分化された業種のマトリックス表を郊外SC版とターミナルビル版に分けて作成し、それぞれ2000を超えるテナントをリストして一覧出来るようにしている。これに該当施設のテナントをポジションして重複と欠落を探し、実勢商圏のニーズと競合ポジションから割り出した方針に基づいて新規導入テナントや退店テナントをピックアップしていく訳だ。毎年、テナント情報を更新してマトリックス表を書き換えるのは大変な作業だが、これさえ出来れば個別商業施設の作業はスイスイ進む。SCのテナントミックスには科学的手順が不可欠なのですよ!
 2010/09/28 08:54  この記事のURL  /  コメント(0)

三越銀座店は松屋銀座本店を抜けるか
 11日に増床開店した三越銀座店は初日に18万人が来店して7億円を売り上げたと発表されているが、事前の外商売上などを除いた正味当日売上は3.5億円に留まったと聞く。プレスプレビューで見た売場構成からこれは売れそうもないと失望したが、開店初日の正味売上がそんなに低かったとなれば630億円という初年度売上目標には到底届きそうもない。
 三越銀座店は昨年、2万4000平米で428億円を売り上げたが、1.5倍の3万6000平米に増床して何処まで売上を伸ばせるのだろうか。フロア構成やブランド集積密度などから私が推計した初年度売上は570〜580億円。昨年、3万2000平米で563億円を売り上げた松屋銀座本店は三越の改装工事中は顧客が流れて2月以降、売上が前年を超えているし、開店後も相乗効果で好調ぶりが加速しているから、三越銀座店の増床初年度にあたる10年9月〜11年8月の年間売上は580億円を超えると推計される。となれば、増床した三越銀座店が松屋銀座本店を抜いて地域一番店となれるかは極めて微妙だ。よほどのてこ入れをしない限り、松屋銀座本店の後塵を拝する事になるのではないか。
 増床した三越銀座店が30〜40代のコンテンポラリー層中心にOL層まで狙って編集志向が強いに対し、松屋銀座本店は50〜60代ミセス層中心に40代のコンテンポラリー層まで狙ってブランド軸と催事訴求を鮮明にしている。三越銀座店が有楽町商圏と客層が重なるの対し、松屋銀座本店は本来の銀座広域商圏客を確実に押さえる布陣に徹している。七〜四丁目の量販化、有楽町の新宿化という銀座商圏の変質が進む中、この勝負は松屋銀座本店の判定勝ちという結果になりそうだ。
 2010/09/27 08:59  この記事のURL  /  コメント(0)

リアルマインド
 新ブランドが立ち上がる度に店頭をチェックするようにしているが、仕掛けは上手いのにリアルマインドが欠けるブランドに落胆させられる事が多い。タレントやモデル、ブロガーの○○子さんを前面に出して共感する若い娘たちを惹き付ける仕掛けはなるほどと思うけど、肝心の商品が素人の後出しじゃんけんの域を出なかったり、OEMやODMが剥き出しでキャラが薄々だったりしてお育ちが知れてしまう。これではマスコミに載って初めは注目されても、商品に納得して固定客になる人が限られ、やがては先細っていくしかない。そんな新ブランドばかり見ていると、諸行無常な川面に佇んでいるような空しさに囚われてしまう。
 私がガーンと頭を叩かれたり愛しさにスリスリしたくなってしまうのは、頭でお利口に策を弄したブランドではなく、誰かがリアルマインドで入れ込んだブランドに接した時だ。経営者なのか現場責任者なのかを問わず、誰かが本気で企画から仕様開発、生産管理、店頭の陳列表現まで突っ込んだ商品は異彩を放つ。どんなに大仕掛けでトップが旗を振っても、誰もリアルマインドで突っ込まなかったブランドは空蝉でしかない。新規投入されるブランドの10個に9個は空蝉で終わり、一つか二つのブランドだけがリアルマインドの真剣さに輝いている。そんなブランドに出会うのが一番の楽しみだ。
 リアルマインドとは組織を貫徹するこだわりや理念のようなもので、どんなに優れたクリエイターを起用しても、どんなに優れた経営者が指揮しても、組織のトップからボトムまで意思が貫徹されない限り、リアルマインドな商品もブランドも生まれはしない。突出したビジネスモデルやフォーメーションを組んでも、上っ面に終わってはリアルマインドは形にならない。様々なプロジェクトに関わる日々、誰がリアルマインドを貫徹するキーマンたりえるのか、幹部一人一人の人物と信念、周囲を巻き込んで行くエネルギーを見抜こうとしてしまう。その一人を確実に見いだし、彼のおぼろげな信念を組織を貫徹するリアルマインドに論理武装させるのが私の役割なのだろう。
 2010/09/24 08:50  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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