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百貨店はオフプライスストアになれ!
 先週木金と月例の『販売情報交換会』を開催しましたが、百貨店の販売不振は2周目に入っても深刻さを増すばかり。11月の都内百貨店売上前年比は婦人服は前月からほぼ横這いの83.5でしたが紳士服は79.0と底割れし、12月半ばの折り返し時点でも値引きクーポンなどのプレセール的キャンペーンを行った一部のストアこそ瞬間風速で前年をクリアしたものの、他ストアは回復が見られませんでした。キャンペーンで前年をクリアしたストアとて売上の先取りに過ぎず、月計では元の木阿弥になるのでしょう。
 結局の処、セールを除けば顧客が購買意欲を発揮するのはカード優待に10%値引きが加わって実質20%オフになった場合に限られますから、いっその事カード優待を最大20%オフにエスカレートした方が売上回復には効果的なのではありませんか。そもそも駅ビルなどと較べれば法外な歩率を搾取しているのですから、20%優待ぐらい当然です。12〜14%程度の家賃に抑えているルミネでも年に5〜6回はデベ負担で10%優待を仕掛けざるを得ない御時世ですから、30〜40%あるいはそれ以上の歩率を貪っている百貨店は常時20%オフでようやく辻褄が合うというものです。
 以前にも指摘しましたが、百貨店はブランド商品のオフプライスストアとして生き残るしかないと思います。元々、外商は事実上のオフプライスストアでしたし、アウトレットがリゾートや郊外という制約を脱して都心にまで出現する今日、もはや百貨店の定価販売は不合理不公平と言わざるを得ません。最初に決断した百貨店は逸早く売上を回復するに違い在りませんよ!
 2009/12/21 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

韓国企業躍進の秘密は!
 今年1〜9月の現代自動車グループの販売台数はフォードモーターを抜いて世界第5位となって7位のホンダを突き放し、米国市場での品質評価もトヨタを上回ったとか。サムスン電子は液晶パネルと半導体の自社一貫生産で圧倒的な高収益を加速しています。深刻な低迷が続く日本の百貨店を尻目にロッテ百貨店は好調ですし、中国市場への進出も加速しています。そう言えばフォーエバー21のオーナーも韓国系でしたネ。韓国企業は何故、こんなに好調なのでしょうか。
 対ドルで2割も安くなったウォンの恩恵で価格競争力が高まって輸出が伸び、海外とりわけ日本からの観光客の急増で百貨店も潤っている、というのが表面的な見方ですが、本質はもっと深いところに在るようです。サムスン電子にしても現代自動車にしても日本企業のようにアウトソーシングに流れず、自社ないしは系列下請け企業群を一貫する開発・生産体制を崩さず不況下でも生産ラインに果敢に投資しており、R&Dでも品質管理でも量産効果でも日本企業を凌駕しています。その日韓逆転の構図は「ファブレス化するSONY対自社一貫開発・生産のサムスン電子」に顕著ですが、なんだか「OEMに流れて開発力を失っていくアパレルNB対自社一貫開発のユニクロ」という構図に重なって見えますネ。
 付加価値開発力もコスト競争力も生産現場から市場までを一貫するR&Dとロジスティクスで決まります。アパレルメーカーのSPA化は小売方向ばかり見てSPAの本質たる製販一貫体制を見失ったのではありませんか。SONYみたいなファブレスブランドになったらお終いですよ!
 2009/12/18 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

アバクロ銀座店の価格はラグジュアリー!
 15日にアバクロのアジア1号店たる銀座店が開店して早朝から閉店まで行列が絶えなかったとか。人気のほどもともかく、11層974平米のペンシル店舗を買い回る昇降の渋滞も店頭の行列に輪をかけたようですネ。
 私はアバクロが今日のコンセプトを立ち上げた93年来の熱烈なフアンで、米国視察に行く度にアバクロやルールで買い捲って来たのはもちろん、ブルース・ウェーバーの手になるカタログは全米PTA協会が発禁に追いむまで全部コレクションしています。ラルフのコピーみたいな単品をクラシックな店舗に山積みしていたアバクロがマイケル・ジェフリーズCEOの手でタフなアウトドア感覚のWASPキャンパスカジュアルに一変して行く93年をリアルタイムで見た驚きは未だに忘れられませんよ。そんなアバクロフリークの私ですが、今回の日本上陸には納得出来ない点が幾つもあります。
 第一は上陸が遅きに失した事。Dスクエアードやドルガバがアバクロをフィーチャーした4〜5年前がベストタイミングで、遅くともミニバブルに湧いた07年頃までには上陸すべきだったと思われます。プチ・ラグジュアリーなセレブカジュアルのアバクロにとって、深刻な不況下でファストファッションが盛り上がり衣料品の価格が急落する今は最悪のタイミングだったのではないでしょうか。
 第二は立地と店舗を外した事。アバクロが出た6丁目の角はZARAやH&Mが並ぶ低価格ブランド地区で、来春に松坂屋のグッチ跡にフォーエバー21が出ればもうプチ・ラグジュアリーなアバクロは息が詰まってしまいます。銀座に出るなら2〜3丁目、松屋通り近辺であるべきだったでしょう。それにあのペンシルビルではスケール感もWASP選民感覚のアバクロワールドも表現し切れず、品揃えもVMDも制約されざるを得ません。もっとベターな物件は無かったのでしょうか。
 第三はプチ・ラグジュアリーを意識した法外な価格設定です。米国店頭価格の1.6倍以上という価格はネットやセレクトショップに溢れる平行輸入品の水準をかなり上回っており、やっと正規ルートで買えると喜んでいたアバクロフアンの期待に水を差すものでしょう。これでは米国旅行で買うか並行輸入品を買った方がはるかに合理的ですよ。
 とは言え、熱心なアバクロフアンに支えられて銀座店は当分賑わうに違いありません。プチ・ラグジュアリーなブランドイメージを大事にして福岡、大阪、名古屋、神戸と大型旗艦店をゆっくりと出店し、最大でも1ダース未満の展開に留めると推察されます。それより先に、香港や上海、シンガポールとアジア全域での布陣を進めて行くのでしょう。日本はアジアの橋頭堡に過ぎませんからネ。
 2009/12/17 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

W型プラットフォームは賞味期限切れ?
 リーマンショックから2周目に入っても百貨店NBの落ち込みは止まりませんが、一部に前年をクリアするブランドも出て来る中でW社やS社のNBには回復の兆しが見られません。その要因は百貨店の客離れやデフレのせいばかりではないようです。
 S社のMDプラットフォームはよく存じ上げませんが、W社のMDプラットフォームは90年代の“Oブランド・プロセス”に発して“U”や“I”などW社の主要ブランドに共通するプラットフォームとなり、一時はSPA型百貨店NBの成功ビジネスモデルとして注目されました。その手法は外部クリエイターを企画エンジンに社内企画チームが展示会MDを組み上げ、販売員やバイヤーの声を聞いて修正するアキュレートレスポンスを経て計画MDを売場投入し、その販売動向を見て順次に期中企画を投入してMDを修正して行く、というもの。一見は合理的な仕組みに見えますが、1)実需サイクルには期中企画の単品売れ筋に集約される結果、素材や仕様がオリジナリティを欠く事もあって同質化と値崩れが避けられない、2)期中企画の売れ筋投入に圧されて期中の新たな提案商品が限られ、売場の鮮度と変化が乏しくなる、という欠陥が指摘されます。
 計画MDと期中MDの比率が4対6を超えるとこの欠陥が露呈しますが、W社主要ブランドの現実は2対8に近いと聞きますから、今のデフレ局面では同質化による値崩れが売上低下に直結してしまいます。W社出身の方々が活躍する他社ブランド(百貨店NBと限らない)でも同じような弊害が露呈して売上が萎縮する傾向が見られますから、W型プラットフォームは時代の役割を終えたのでしょう。
 まったく新たなプラットフォームを直ちに見い出すのは困難ですから、とりあえずは実需サイクルの計画MD比率を高めて期中MDを抑制し、プラットフォームの欠陥をミニマムに抑えるべきと思われます。どんなに優れたプラットフォーム(実務ビジネスモデル)も環境が変化すれば欠陥が露呈するものです。新たな環境を勝ち抜ける新たなプラットフォームの開発を急ぎましょう。
 2009/12/16 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

丘の上の百貨店が無くなるの?
 ルン妻が小耳に挟んだ噂によれば丘の上の百貨店が無くなるとかで、松涛近辺のセレブミセス達の間で『困るわ〜!』とパニックになっているそうです。噂では東急文化会館跡地に2012年春に開業する複合商業ビルに移転するそうですが、上質な丘の上の百貨店が庶民的な渋谷の谷底に移転するなんて似合いませんよ。明治通りの向こう側へなんて、松濤や大山町から日々のお使いには通えそうもありません。
 東急文化会館跡地のビルに東急百貨店が出店する事は7月に発表されていましたが、丘の上の百貨店を移設するという話が出て来たのはやはり深刻な販売不振が影響しているのでしょう。百貨店絶不振下で渋谷に3店舗も展開するのは非現実的という結論になったのかも知れませんネ。東急文化会館跡地の新店舗はファッションビルにして、丘の上の百貨店は何とか存続させて欲しいものです。
 棟続きの文化村はどうなるのでしょうか。オーチャードホールなどの文化村はそのままに、百貨店跡はファッションビルになってしまうのかも。丘の上の交差点にはドンキに続いてH&Mも出来ましたから、ユニクロやフォーエバー21など低価格大型店が入る事になれば最悪。そんな事になれば、文化村と丘の上の百貨店で形成されていた『大人の上質な日常空間』は崩壊してしまいます。
 何時でも混む事もなく親切で快適な丘の上の百貨店がなくなれば、何時も混んでいて疲労困憊してしまう新宿某百貨店まで足を伸ばさなければなりません。丘の上の百貨店は渋谷の山の手文化を象徴する最後の神殿であり、渋谷が原宿や新宿に飲み込まれないためにも是が非でも残すべきです。時代ずれしたラグジュアリー戦略で売上が低迷しているとは言え、『大人の上質な日常』を現実的に構築すれば売上の回復は可能だと思うのですが・・・・私もルン妻とともに存続を訴える御旗を掲げましょう!
 2009/12/15 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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