前へ | Main | 次へ
H&Mとフォーエバー21の売上は?
 ピッグコンベンションのレポートを作成するためにH&Mとフォーエバー21の売上を調べたところ、とんでもない数字に腰を抜かしてしまいました。上場企業であるH&Mは決算発表から日本での売上が解るのですが、09年度上半期(08年12月〜09年5月)の売上は銀座/原宿のわずか2店で何と年間算で119.6億円。1店舗当たり約60億円になるのです。銀座と原宿が同効率(月坪131.6万円)と仮定すれば、原宿店(1500平米)の売上は年間71.76億円と推計されます。
 フォーエバー21は未上場の私企業なので決算は公開されていませんが、関係者の情報を総合すれば原宿店の売上は年間で229億円から241億円のペースと推計されます。これはお隣のH&Mの3倍以上で月坪360〜380万円と言うとんでもない超高効率になりますが、両者のショッピングバッグ露出度から推計すれば妥当な数字と考えるしかありません。
 1750平米の大型店とは言えたった1店舗で年間240億円なんて、数字の桁が違い過ぎます。大手アパレルが新ブランドを立ち上げても240億円というスケールに達するには10年近くかかるでしょうし、200店舗前後の布陣を必要とするでしょう。それがたった1店舗で上陸初年度に達成されてしまうのですから、マーケットに与えたインパクトの大きさは桁違いと言うしかありません。同じ外資SPAでも価格が倍以上の“ZARA”は日本国内で11年かけて40店舗を布石しても年商250億円に留まりますから、‘速い安い可愛い’のインパクトは天文学的パワーを発揮した事になりますネ。
 H&Mは今秋4店舗を加えて年商400億円体制になり、フォーエバー21も2店舗目をオープンしてほぼ同スケールになるでしょう。来年中には両者で1ダースを超えて軽く一千数百億円を奪ってしまう事になりますよ。日本のファッション屋さん達、ホントに何とかしろよ!!
 2009/08/25 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

もうすぐビッグコンベンション
 今週の木曜日27日、SPAC研究会の半期に一度のビッグコンベンションを開催します。リーマンショックから1年近くが経過して消費スタイルと価格常識は一変してしまい、業界の構図もすっかり塗り替えられてしまいました。法外な価格と不合理なコストを抱えた旧世代ビジネスは瀬戸際に追い詰められ、ファスト(低コスト/ハイスピード)な新世代ビジネスが市場を席巻しています。この構造変化を直視してカタルシス後の戦略とビジネスモデルを提示せんとするのが今回のビッグコンベンションなのです。
 デジタル世代のファスト消費体質が明らかになった以上、ファストなビジネスモデルへの割り切った転換が不可避で、ファッションビジネスは事業の全面再構築を決意せざるを得ませんが、その一方でマイナー化していくアナログマーケットへの対応も別途、検討されるべきでしょう。メジャーマーケットは‘速い安い可愛い’ファスト消費に流れ、マイナーマーケットでは‘懐かしい濃い味’のアナログ消費が再評価される。そんなマーケットにどちらのスタンスで対応するか、企業の哲学が問われています。
 どちらにせよ外せないのはスピードとリズムですから、誰かが労務条件を厭わず汗と油に塗れざるを得ません。それを外注業者に強いて自らは綺麗な仕事で済ますか、ノブレス・オブリジェの高貴な精神に立って自ら労苦を楽しむか、労働観の問題と言うより生き様の選択なのでしょう。ファッションビジネスをどう楽しむか、一人一人の業界人が原点から考えるべき時なのかも知れません。
 2009/08/24 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

百貨店最後の選択
 今さら滅び行く百貨店の背中を刺すような苦言を呈する意味があるのか疑問ですが、大手各社の右往左往とミーハーな時流対応を見ていると背中からバッサリ切り倒したくなります。ここまで追い詰められてなお謙虚さも真摯さもかけらさえ見せない百貨店人の腐敗ぶりにはヘドが出そうです。
 百貨店が今為すべき事は、1に不要人員の解雇整理と業務刷新による運営コストの抜本圧縮、2に歩率の駅ビル水準への大幅圧縮による価値競争力の回復、3にODM調達とメーカー別注を軸とした高鮮度高回転型自主売場の拡大、4に薄利消化仕入れ大規模催事の連打による集客力向上、5にポイントシステムに頼らない顔の見える顧客対応の復興、の5点に他なりません。量販店紛いの低価格PBやユニクロ導入は傷口に塩を塗り込むようなもので、顧客の百貨店支持回復には繋がらないでしょう。賢明な百貨店人は右往左往しないで指摘した5点を歯を食い縛って粛々と実行すべきです。
 怠慢な破綻か真摯なリストラか、百貨店の選択は二つに一つという所まで来ましたネ!ホントにプライドがあるならJAL紛いの労働貴族利権を恥じ、ノブレス・オブリジェ(高貴なる者は自己犠牲を厭わない・・・日本式に言うなら腹を切るという事)を見せて欲しいものです。
 2009/08/21 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)

秋立ち上げはH&Mがリード
 秋立ち上げの店頭を一巡すると百貨店も駅ビル/ファッションビルも実需対応の端境いアイテムばかりで新鮮なルック提案はほぼ皆無。目を惹いたのはグッチをパクったH&Mのグラムルックだけで、フォーエバー21も夏物セールを引っ張って秋物提案はショボいのがちょっぴり。‘モードの秋’ではLAカジュアルはネタがなく、モードパクリの上手いH&Mが逆転しそう。
 そのH&Mは9月5日に横浜ランドマークプラザ、17日にららぽーと新三郷、19日に渋谷旗艦店、10月には新宿フルライン店と4店舗を矢継ぎ早にオープンします。フォーエバー21の出店計画は明らかにされていませんが、来年中には両者で1ダースを超えるのは確実でしょう。たった3杯でファストファッションブームに火を付け価格常識を一変させたのですから、1ダースも揃えば衣料品の値崩れは一段と加速してしまいます。今秋立ち上げのフリーズマートを皮切りに民族資本系ファストSPAの開発ラッシュも加わりますから、ブームは加速度的に広がるのでしょう。デジタル世代のファスト消費という奔流はもう誰にも止めらませんネ。
 それに引き換え、既存ファッションビジネスの元気の無さは酷いものです。秋の立ち上げを見ていると闘う前からタオルを投げている惨状で、楽しさがまったくありません。これではリーマンショックから一巡しても大幅前年割れが2周目に入ってしまいそう。109でもバロック系もギルド系も新鮮な提案がまったくなく館まるごとショボくれており、109−2もブラッカー系の退店ラッシュで火が消えたよう。マルイもセールと前年踏襲で閑散としており、渋谷はホントに黄昏れてます。9月19日に迫るH&M開店に頼る様はジャパンファッションの落日を見る想いがしますよ。このままでは黒船ファストSPAにデジタル世代市場は制圧されてしまいそう!日本のファッション屋さんたち、何とかしろよ!
 2009/08/20 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

没落するデザイナービジネス
 「ヨウジヤマモトが身売り」という日経ビジネスオンラインのスクープ記事が8月4日に出てから2週間もたつのに業界紙には今だ一行も出て来ませんネ。ネット上でもこの件を取り上げたページが軒並み削除されるなど徹底した報道管制にはちょっとビックリ。事実は日経ビジネスの報道通りで、(株)ヨウジヤマモト、(株)リミヤマモトとも資金繰りに窮して7月末支払いの80%ヘッジを依願する文書を取引先に送付したのがスクープの発端のようです。直営店の販売数字ではそこまで追い詰められているようには見えなかったのですが(2〜6月平均でヨウジヤマモトが102.4/リミ・フゥが88.4)、やはり欧米市場の急冷却が引き金になったのでしょうか。
 80年代に世界を席巻したトーキョーデザイナーはコレクション起点の古典的なメゾン型ビジネスモデルで価格合理性も市場対応力もスピードも欠き、その後の消費者進化と手頃なSPAの氾濫に圧されて退場を迫られるに至った・・・・と総括するしかありません。カリスマ販売員や読者モデル、ギャルプロデューサーなど消費者代表がファッションリーダーとなって劇安SPAが市場を席巻し、高名なデザイナーもファストSPAとのコラボに活路を求めざるを得ない御時世でございます。ラクロワもエスカーダも破綻し次は○○という噂が飛び交っているのが現実ですから、クリエイション発信に依存する80年代型デザイナービジネスはもはや賞味期限切れなのでしょう。
 デザイナービジネスの没落は時代の必然としても、物創りを支えるデザイナーの急激な地位低下(7月17日付けブログ『悲しい現実』)と産地の崩壊はジャパンファッションの発信力を根底から損なってしまうのでは・・・・・もっとスピード感と市場対応力のある(毎月、新たなコレクションを投入するような)新世代のクリエイティブブランドが登場して産地でオイルに塗れるデザイナーが活躍するようになればいいですネ。
 2009/08/19 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

前へ | Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ