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“無印良品”は何処へ行くの?
 21才になった子息が“無印良品”の水差しを買って来て『これいいよね』などと気に入ってますが、デザイン先行で使い勝手が悪く素材のプラスチックも怪し気で、私は訝る事しきり。ゼネレーションギャップなんでしょうかね。
 “無印良品”と言えばこの大恐慌下で“ユニクロ”に続く国民ブランドになってもよいのに、毎月の売上を見ていると大苦戦続きで快進撃の“ユニクロ”とは較べるべくもありません。直近の6月なんか既存店売上が89.8と7ヶ月連続の前年割れで02年9月来の二桁割れに陥り、中でも衣料品は87.9と10ヶ月連続の前年割れに苦しんでいます。一昔前は『訳あって安い』という神話が活きていて若い人から大人までフアンも多かったのに、なんでこの等身大の時代に支持が盛り上がらないのでしょうか。
 私は『“無印”というブランド神話に胡座して真摯な商品開発を怠った』事が今日の凋落をもたらした要因だと思います。私もかつては“無印”にかかわった事がありますが、『訳あって、こだわって』という建て前の裏側で実際の商品開発は時代のトレンドに流されたり安易に品質を落としたりと、エッという事が多かったようです。とりわけ衣料品の開発は蛇行が激しく、‘ナチュラルで無垢’というブランドイメージからは懸け離れた合繊素材やモードなデザインまで横行して嘘臭かったですネ。
 最近の店頭を見てもそんな体質はさほど変わっておらず、デザインが先行して機能性や品質の追求が甘く、周囲が劇安化した今となっては割安感も怪しくなってしまいました。“ユニクロ”や“ニトリ”が真摯な商品開発と価格合理性で国民ブランドの地位を確固たるものとする中、ブランドイメージやデザイン性に胡座して真摯な商品開発を欠く“無印良品”は国民的支持からは遠ざかるばかりです。いったい“無印良品”は何処へ行くのでしょうか!
 2009/07/31 09:21  この記事のURL  /  コメント(0)

大阪ブルース
 クライアントへの来SSディレクションや会ってみたい方がいて大阪に出掛けました。何時もは用事だけ片して逃げるように東京に帰るのですが、なぜか今回は新幹線の時間ギリギリまで街を歩いてみたくなりました。
 久しぶりに大阪の街を歩いてみて実感したのは街を見る自分の価値観の変化でした。昨年までは大阪のゴチャゴチャした緑の少ない灰色の街並やコテコテドロドロした灰汁の強い大阪ファッションがうざく思えたのが、今回は灰色の街並や小汚い看板が氾濫する小路が「ブレードランナー」的スラムに見えたり、コテくてドロい大阪ファッションに発展途上国的無国籍な活力やディープローカルなソウル感を感じたり、ちょっと見方が変わったと思いました。あっさり小奇麗にまとめるクールで都会的な東京感覚?が薄っぺらいものに思え、大阪や群馬のディープローカルな灰汁や外しが可愛く思えるのは時代の空気なのでしょう。
 御堂筋を歩けば点在するブランドストアは皆セールで、ちょっと前のプチバブルな勢いの中で開店した高級志向百貨店が身売られて閉店セールをしているのがもの悲しかったですネ。セレブだラグだニューリッチだと舞い上がっていた去年春までのプチバブルはいったい何だったのでしょうか。今はもう遠い過去のように思えます。
 大阪に来る度に『ふり返るとそこは灰色の街、青春のかけらをおき忘れた街〜♪』(BORO)や『大阪の海は悲しい色やね、さよならをみんな、ここに捨てに来るから〜♪』(上田正樹)の旋律を思い出します。私の中では大阪はブルースな街なのでしょう。
 2009/07/30 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

オイリーボーイになろう!
 ちょっと前の話になりますが、丁度来SSメンズのディレクションテーマ組み上げが終わって『田舎の寂れた商店街のメンズショップの親爺が語る蘊蓄がいいよね』なんて思ってた折りに、某著明セレクトショップがオールデイズ仕様にこだわった親爺アメカジブランドを開発するというのでサンプルを見せてもらいました。でもサンプルを一見して立ち昇るOEM臭にビックリ!加工前とは言え、“ユニクロ”ライクなスタンダード仕様かと見紛う小奇麗な仕上がりで、こだわりまくって醤油で煮染めたような面を期待した向きには大空振りでした。
 「Lightning」や「Free&Easy」に出て来るようなオールデイズアメカジは皆、デットストック風素材や古いミシンを使った50〜60年代の仕様にこだわっており、ヴィンテージ志向の親爺アメカジマーケットを狙うなら、デットストック素材を探しに産地の倉庫を漁ったり古いミシンの活きている縫製工場に分け入ってミシンオイルに塗れたり・・・・・から商品開発が始まるはずなのですが・・・・・前述したセレクトショップは産地や工場に分け入らぬOEMで商品調達しようとしていたのです。
 『てめえら、ふざけんじゃねえ!』と机をひっくり返したくなりましたが、そこは大人の対応。『OEMではそんな味は出ませんよ。自ら産地や工場に分け入るべきですよ』とアドバイスするに留めました。でも後日、その会社のトップとお会いしたついでに『手を汚さない綺麗な仕事ではいい商品は開発出来ませんよ』と釘を刺しておきました。
 ブログ293『悲しい現実』では業界の企画・開発職の待遇劣化を嘆きましたが、企業側の雇用条件というスタンスではなく働く側の手応えというスタンスから言えば、もともとファッション業界はある意味で3Kを楽しんで仕事する面もあったのではないでしょうか。産地や工場に分け入って仕様を追求する仕事は小奇麗では済みませんが、商品の出来栄を見ての達成感も大きいのです。
 商品企画・開発という仕事は生産現場から離れては劣化が避けられません。アパレル分野でも商社やOEM/ODM業者に依存して企画・開発職が生産現場から乖離する傾向が顕著ですが、それが仕様の同質化を招いて個性や味わいを損なっている事は否めません。生産地が中国や南アジアの量産工場にどんどん移転して行く中、ファストファッションとは一線を画したいブランドの企画・開発職には細々と生き残る国内の産地や工場に分け入ってオイリーボーイ/ガールになる決意が求められているのではありませんか!
 2009/07/29 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

劇安SPAが一番トレンディ!!
 コ−ディネ−タ−達が猛暑の中を商業施設を駆け回って秋物立ち上げ動向をリサーチ。百貨店系は春夏売れ筋の焼き直しばかりで鮮度を欠き、駅ビル系はまだラック1〜2本程度でルック訴求に至らず、セレクトも外資SPAもクリアランスセール満開という中、まだラックに投入されたままの秋物をひっくり返して新鮮なルックを探してくれました。
 ヤングでは‘ミリタリーミックス・ヴィンテージロマンティック’や‘ロマンティックパンク80'Sポップ’、セクシーガールでは‘ゴスロリミックス・グラムロック’や‘ロックミックス・レトロアメカジ’、ワーキングガールでは‘ロマンティックゴシック・クラシックドール’や‘バロックアヴァンギャルド・フェミニンエレガンス’、セレクトでは‘マスキュリンミックス・ヴィンテージゴスガール’や‘フェティッシュ&グラム・ミリタリーガール’などが目に付きましたが、やっぱインパクトがあったのは外資劇安SPAの‘UKヴィンテージロック・ゴスロリガール’(Forever21)や‘80'Sグラム・ゴシックエレガンス’(H&M)でしたネ。ワンシーズンだけと割り切るからこそトレンド剥き出しのシャープなスタイリングが打ち出せるのでしょう。
 前シーズンとの連続性を意識して売れ筋の焼き直しを軸に組み立てる百貨店ブランドは価格の高さを後ろめたく思うゆえでしょうし、今着れる現実性に囚われる駅ビルブランドは等身大な顧客をリードする自信がないのでしょう。劇安価格ゆえ色んなしがらみに囚われない外資SPAは思いっきりストレートに今だけの価値を打ち出しています。ファッションって元々、そんな刹那なものだったのではないでしょうか・・・
 2009/07/28 08:58  この記事のURL  /  コメント(0)

形振り構わぬセール大合戦のツケは
 7月も下旬だというのに百貨店も駅ビルもセール一辺倒で、秋物の立ち上げは隅っこのラック1〜2本というブランドがほとんど。セールもクリアランスに入って60%70%オフまで値引かれ、赤札が売場に散乱していますよ。
 今年は売上不振が極まって在庫が積み上がり、GW明けからあの手この手のプレセールが横行。期間限定の‘10%カード割り引き+10%オフ’なんかは可愛いもので、‘2buy get all 20%off’を常打ちするストアまで登場。6月中旬には少なからぬブランドが30〜40%オフのシークレットセールを始め、駅ビル/SCブランドのほとんどは20〜30%オフのコーナーを設けていましたから、月末になってセールが幕を開けても40%オフなんかでは見向きもされません。やむなく50%60%オフのクリアランスを前倒したり、セール価格からさらに‘3buy get all 20%off’なんて仕掛ける外資系ブランドが出て来たりと、形振り構わぬ仕掛けが続出したセールシーズンとなりました。
 在庫が積み上がってやむを得ない選択だったのでしょうが、仁義無き値引き合戦をエスカレートしたツケはプロパー価格不信に回る事は必定。60/70%オフの傍らで打ち出す秋物は法外な値段に見えるでしょうし、今着れる値頃トレンドアイテムには手を出しても、ちょっと値の張るアイテムには触手が動かないのでは。そうでなくてもアウトレットモールが繁昌してアウトレットサイトが過熱する御時世ですから、今シーズンの形振り構わぬ値引き合戦が今後のプロパー消費に落とした影は重いものになるのかも・・・・
 2009/07/27 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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