| Main | 次へ
ユニクロに学んではいけない
 06年4月の大和証券SMBCPI保有キャビン株のファーストリテイリングへの譲渡に関してイマージュホールディングの南保正義社長(3月30日付けで引責退任)がインサイダー取引で高松地検に告発されましたが、キャビン買収劇の突発性を改めて認識させた出来事ですネ。ファーストリテイリングによるキャビンの買収は創業オーナーの愛憎劇に発した予想外の展開で、社員の方々も寝耳に水だったに違いありません。ほとんど小説か韓流ドラマのような劇的展開で(そのうち誰かが小説化するかも)、インサイダー取引を誘発するだけの意外性があったのでしょう。
 問題はファーストリテイリングが買収した後の展開で、柳井さんが乗り込んでユニクロ流の改革を押し進めた結果、多くの幹部が退職する流転のドラマとなり、展開する業態もユニクロみたいな無味無臭の商品になって本来のキャラを失い、販売数字も低迷しています。“アンラシーネ”なんか酷い状態ですネ。
 ユニクロは劇的進化を繰り返してグローバルに通用するSPAとなりましたが、その手法を真似た企業は悉く失敗しており、当のファーストリテイリング社さえ買収した企業にユニクロ流を持ち込んでは失敗を繰り返しています。ユニクロの手法は企業最適なスタンスに立つ強者の正攻法であり、本来ニッチで顧客最適であるべきファッションビジネスにおいては空振る率が極めて高い‘逆手’なのです。素材も型も工場も絞り込んで少品種大量販売を仕掛けるのは企業最適な論理であり、多様な等身大個性を志向する消費者の様々な期待に応えるものではありません。多様なニッチを志向するファッション業界において確かにユニクロの手法は革命的でしたが、それが他の多くのファッション企業にとって成功手法とはならない事をファーストリテイリング社自体が買収企業の低迷で証明しています。
 H&Mにせよフォーエバー21にせよ、ユニクロとはまったく異なるアプローチで独自の成功を実現しています。ファッションビジネスはあくまでローカルでニッチ、そして時流に左右されるもの。他社の成功に学ぶ事は大切ですが、自社のキャラや顧客に適した自分流を失わない革新が求められているのではありませんか。‘顧客最適’を捨てたら破滅が待っていますよ!
 2009/03/31 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

SPACも世代交替
 26日に開催したSPAC月例会は『ロスとコスト削減策総研究』という地味なテーマにもかかわらず満員御礼となりましたが、ここ1年ほどでメンバーの顔ぶれは随分と替わりましたネ。経営が悪化した百貨店アパレルや買収されたナショナルチェーンがポロリポロリと抜けて行き、替わって元気なネットアパレルやローカルチェーンが新たに参画。26日も急成長中のネットSPAとローカルチェーン、九州の有力デベロッパーが新たに顔を出してくれました。
 ファッションビジネスを取り巻く環境は劇的に変化しており、衰退する百貨店アパレルやナショナルチェーンが抜けていくのは仕方ありません。ネットやSCなど伸びる低コストチャネルへのドメイン転換と効率的なSPAモデルへの事業構造転換を提じて来ましたが、耳を貸さない企業、聞いても実行しない企業は凋落して行くしかないのです。
 折角伸びて来た企業も、ひとたび罠にはまれば失速は免れません。幾度忠告しても聞き入れず破綻して行った企業も在りましたネ。『やめとけ!』と忠告した多業態化を強行して体力を消耗して行った企業、『やめとけ!』と忠告したブランド開発の失敗で地位を追われたCOO、『やれ!』と押したのに躊躇してチャンスを捨てた企業、臍を噛むような出来事がいっぱいありました。
 コンサルタントって職業は事実検証に基づく予言者のようなもので、面白くない真実を敢えて告げる義務があると思います。残念ながら大半の経営者は機嫌を損ねるだけで、虚心坦懐に事実を受け入れる経営者は極めて少ないのが現実です。御機嫌取りの上手さで経営者キラーになったコンサルタント?やカリスマバイヤー?を見ると『詐欺師!』と弾劾したくなります。気力体力が続く限り、不愉快な事実を真摯に訴え続けましょう。それが男の生き様ですから!
 人気取りする気もありませんから、人気ブログランキングなんて野暮はもうやめます。やっぱ本音でスバリ言いたいですものネ。
 2009/03/30 10:05  この記事のURL  /  コメント(0)

どこが‘衝撃’なのでしょうか?
 新宿小田急百貨店のレディスフロアが3月20日にリニューアルしたというので、チョコっと一周して見ました。2Fはコスメと服飾雑貨を集積してHALKやMYLORDとの回遊性を狙っていますが、部門で割った配置では回遊性は難しく、コスメと服飾を細長く並列するレイアウトの方がベターだったと思いました。3Fも靴、バッグ、洋品雑貨の部門割りで流れが分断されており、似たような陳列が延々と続くので巨大すぎる靴部門の奥まで客を引っ張るのは難しそう。壁面側に靴/バッグ、島側に洋品/小物を配して陳列の変化を付け、奥まで客が流れるよう考慮すべきだったのでは。
 多少は変わったネと思ったのは4FのOL〜キャリア向け婦人服フロアですが、9割がブランド箱並べで、OL向け平場も駅ビルブランドのコーナーミックス、目玉のコーテリーエクスプレスもNYブランドのラック編集に留まり、バイヤーによる編集ミックスはゼロ!ちょっと芸が無さ過ぎます。OL向け平場のヒートアップパーツは玉石混交ですが可愛くて手頃な駅ビルブランドが揃い、このフロアの中では一番鮮度がありそう。コーテリーエクスプレスはフォーエバー21に並ぶような商品が何倍ものプライスタグを付けてあり、発注頻度の低さもあってシーズンに1回転も難しそう。やりたい事は解るけど、技術も体制も欠いては形だけで終わるしかありません。もっとLA系の手頃で高頻度調達出来るブランドに入れ替えないと売場が維持できないのでは!
 5Fはキャリアとプレタ、6Fはミセスをコンサバ系とコンテンポラリー系に分けた可もなく不可もない穏当な構成。綺麗にはなったけど、どのフロアにも価格要求に応える‘衝撃’的ブランドも時代の先端を行く‘衝撃’的高感度編集売場もなく、安心感のある穏当な構成は‘衝撃’というキャッチフレーズとは乖離しており、安全運行の電鉄的リニューアルと総括いたしましょう。
 2009/03/27 09:34  この記事のURL  /  コメント(0)

営業時間短縮に大賛成
 百貨店各社に続いてイトーヨーカ堂も営業時間短縮を決め、イオンも昨年10月から一部店舗で短縮に踏み切っています。とは言え、11時や10時の閉店時間が10時や9時になっただけで、長時間営業の人員やり繰りに苦しんで来たモールテナントにとってはまだ不十分。ローカルのSCなんか8時過ぎるとモールは人影もまばらで恐いぐらいなのに、どうして遅くまで営業するのでしょうか。食料品を除けば8時閉店で十分なはずで、何でこんなに長時間営業が当たり前になってしまったのか、仕掛けたイオンに恨み言のひとつも言いたくなりますネ。
 もともと西洋式の週間制はキリスト教(元はユダヤ教)から来たもので、日曜なんて安息日として営業が禁止されてる国もあるぐらい。米国でも日曜はダウンタウンはお休み、郊外のSCでも営業は正午から6時までが一般的なようです。では平日は9時10時までかというと、特定の曜日(金曜日など)はそうでも他は6時7時には閉まってしまう店が大半です。24時間営業とか7−11とかはCVSやSMなど食料品中心のお店に限られており、なんでも長時間営業というのは日本ぐらいなものですよ!
 バブル期までは百貨店など毎週定休日があって量販店も月に一度は休んでいたのに、バブル崩壊後の不況の中で少しでも売上を稼ごうと店休日が減り営業時間が伸びていったのです。毎週定休日があって営業時間も短かった当時でもちっとも困りませんでしたから、1時間くらいの短縮ではなく定休日も含めて元に戻してもよいのでは!!
 しばらく続いて来た小売業の人手不足は無用な長時間営業に起因するもので、ホントは人手は足りているのです。営業時間短縮で人手不足が解消されれば、売上低迷の御時世ですから次は首切りラッシュでしょうか。良い事には悪い事がつきまとうものですネ。
 2009/03/26 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

ランウェイは大嫌い!
 月曜日からJFWが始まったようですが、ショー巡りは元気な部下に任せ、ランウェイ嫌いの私はまったく知らん顔を決め込んでいます。クリエイション支援を免罪符に産地を切り捨てて来た四半世紀に渡る行政の背任が許せないからか、セレブ気取りの行政担当者(公務員ですよ!)がむかつくのか、クリエイター育成を売物にデザイナー志望の若者達を販売員に押し込んできた産学共同トリックが許せないからか、デザイナーばかりにスポットを当ててMDや営業職、販売職を日陰者にして来た業界の士農工商風潮が許せないのか、ファッション誌のミーハーなお姉さんばかりが優遇される席配置が鬱陶しいのか、ともかくランウェイにはむかつく事がいっぱいなのです!
 忙しい時間を割いてショーを見て、つまんなくても拍手をして、良かったネと書かないとチケットが取り難くなる出来レースにも大人のプライドが絶えられず(30代の始めまではファッション・ジャーナリストもやってました)、ショーのスタイリングやデザインが現実のマーケットに大きく影響するならともかく、リアルクローズの世界とはどんどん距離が開いているのが現実ですから、勝手にやればとなってしまいます。クリエイターが消費者をリードしていた80年代ならともかく、消費者進化がクリエイターを追い抜いてしまった今日、ランウェイショーが業界振興の核になるという感覚は現実離れも甚だしいのでは!フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会のディディエ・グランバッグ会長さえ、「プレタポルテのショーはもう必要ない」と明言しているではありませんか!!
 商品やMD展開がよく見える展示会の方がずっと時間を割く価値があるし、業界振興は産地への支援や実務人材の育成によって果たされるべきでしょう。解り易いお祭り騒ぎにばかり予算が割かれメディアが群がる80年代から何も変わらぬ風潮に怒り悲しむしかありません。だから、ランウェイには出かけないのです。
 2009/03/25 10:10  この記事のURL  /  コメント(0)

| Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ