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この業界に科学は不要?

 米国ギャップ社の今上半期決算(2〜7月)では既存店売上が前年比90.0%、全社売上が同95.1%と低迷したにも拘わらず、一株当たり利益は65%も伸び、本決算も10%の増益を見込むと発表しています。売上不振を在庫コントロールとコストマネジメントで増益に転ずる同社のリテイル・テクノロジーは突出したもので、恐慌下で売上不振に苦しむ我が国のファッションビジネスは真剣に研究すべきと思われます。
 70年代からギャップ社の動向を注視し90年代にはそのロジスティクスVMDとインベントリーコントロールを徹底して研究した当社には今回の増益マジックは大体読めており、そのテクノロジーをそっくりパッケージして教えてあげようと『ロジスティクスVMDゼミ』を仕掛けたのですが、これがまるっきりの大空振り!!我が国のファッション業界人には高度すぎて何の事かも解らず、ゼミには定員の半分しか集まりませんでした。トホホ・・・・
 一月以上かけて進めていた郊外某大型SCのリモデル案がようやく完成し、賃貸面積の2割に及ぶテナント入れ替えと新たなレイアウトをまとめ上げました。来店客層や販売成績、ライバルSCの販売動向などを体系的に検証して基本戦略を立案。来店客層とのギャップやライバルSCとの競合関係を業種×客層のマトリックス上で細かく検証して過剰不足のテナントを割り出し、全国5300余店の最新販売動向から新規導入テナントをリストアップ。購買関連を重視してレイアウトに落とし込みました。
 新たに開設されるSCをくまなく見ていますが、商圏の客層や競合関係を検証して客層×業種のマトリックスを精密に積み上げた構成は皆無で、経験則や思い付き、目新しさに流されてバランスを欠き、売上のバラつきが避けられないSCが大半です。SCの構成やテナント配置は科学的プロセスをきちんと踏んで行なうべきですが、不振SCの多くは当社のようなきちんとした科学的プロセスを踏んでいないのでしょう。
 ロジスティクスVMDにせよMD展開技術にせよSCの構成企画にせよ、クリエイションばかりが叫ばれるこの業界に科学は不要なのでしょうか。
 2008/10/31 13:35  この記事のURL  /  コメント(0)

玉音放送に涙する

 30日木曜に開催するSPAC月例会のメンバーアンケートを分析してガックリしました。来期のMD展開政策が悉く時流と乖離しており、メンバーの時代感覚はピンボケているとしか思えなかったからです。未曾有の大恐慌下で生活防衛を強いられ格下げ消費とベーシック回帰が急進する中、『単価アップとトレンドMDを志向し、開発・調達の射程距離を短縮し、バリュー革新への高原価政策に背を向ける』というメンバーの大勢には絶望しました。毎月のように情況を報告して政策を提言しているメンバー企業でさえこの有り体ですから、一般のファッション業界が何を考えているかは想像に難くありません。
 阿鼻叫喚の中、世界は破滅の坂を転げ落ちていますが、ファッション業界/小売業界は茹でガエル状態で破滅の時を待っているとしか思えません。この業界はいったい何処へ流されて行くのでしょうか。わずかな英知を期待して頑張って来ましたが、あまりのギャップに性も魂も尽き果てました。もはや玉音放送に涙するしかないのでしょうか。
 2008/10/27 09:38  この記事のURL  /  コメント(0)

マルキューはニッポンの宝

 火曜日に某郊外大型SCのリモデル戦略を提出して賛同を得、来週からは具体的なレイアウトとテナント設定にかかります。その参考にと思って越谷レイクタウンの開店一ヶ月間の売上動向をヒアリングしましたが、段突一番人気は“アズール・バイ・マウジー”で坪月100万円を超え、坪効率上位にはワンウェイやバイバイ、INGNIやANAPなど109系ブランドが目立ちます。意外と売っているのが“ラブズ・ウィゴー”で、注目の“コーエン”はほぼほぼといったところ。注目されながらも売上は今一つなのが“イーブス”で、お隣の“アズール・バイ・マウジー”の3掛けほど。アーバンモードなテイストが郊外SCと噛み合わないのかMD展開の薄さゆえ売りが伸びないのか、2号店以降の健闘に期待したいと思います。
 木、金と月例の『販売情報交換会』を開催しますが、それに先立つコーディネーターからのスタイリング動向報告は109ゾーンを除いては変化に乏しく、マーケット活力の格差は明らか。09SS欧米コレクションレポートを見てもインパクトは薄く、109のエロカワイイ玩具箱の輝きには遠く及びません。やはりマルキューはニッポンの宝と言うべきでしょう。大恐慌下も輝き続ける業界の希望の星なのかも。
 2008/10/23 09:49  この記事のURL  /  コメント(0)

SCのゴルフ場型倒産

 H&M銀座店、越谷レイクタウンに続き、11月8日にはH&M原宿店、11月下旬には阪急西宮ガーデンズ、つくばSCが開業します。世界恐慌が深刻化して消費が一段と冷え込む中、こんなにどんどん商業施設を作ってどうするのでしょうか。お台場のパレットタウン跡地にもトヨタと森ビルが複合商業施設を開発するとか、真っ暗闇の中でも強気な会社もあるんですネ。改正都市計画法施行にともなう駆け込み開業も今年いっぱいで一巡し、ガソリン高騰と消費退潮による既存SCの販売不振もあって来年以降はSCの新規開業は急減します。テナント企業の出店意欲も急冷却しており、来年以降は巨大な箱を作ってもテナントが埋まらなくなるのは必定。今年が最後の華という事になりそうです。
 問題は負けSCのスラム化で、テナントの歯抜けが何ケ所も埋まらないまま客足が遠のくSCが全国に何百ケ所もあり、その多くは閉鎖が避けられそうもありません。中にはデベが倒産して保証金も帰って来ないという泣き面に蜂話も聞かれます。バブル期までに開発されたSCでは保証金の額が大きく、テナントの撤退が続くとゴルフ場型倒産が危ぶまれます。危ないSCからは早めに撤退して保証金を回収するほうがお利口かも。いやな御時世ですネ。
 2008/10/20 10:55  この記事のURL  /  コメント(0)

墓の中に持って行く

 水木と続いた公開セミナーを終えてバーンアウトしているのに、今朝は早朝から越谷レイクタウンでVMDクリニックをこなし、お昼過ぎにようやくオフィスに辿り着きました。レイクタウン駅改札口から“MORI”の通用口を通ってクリニック店舗まで実に20分もかかり、ちょっと息が上がってしまいました。これから来火曜までに某郊外大型SCのリモデル戦略をまとめなければなりません。世界が音をたてて崩れて行く中も日々仕事に終われ、嵐の中の木の葉のような気分です。どこまで吹き飛ばされて行くのか、もはや誰にも判らない情況ではないでしょうか。
 そんな中、ファッション業界ではクリエイションばかりが叫ばれ、ファッション系大学/大学院の教育もクリエイションばかりで、ビジネスモデル・マーケティングやリテイル・マネジメントはあまりにも軽視されています。VMDと言えばディスプレイや心理誘導ばかりで、ロジスティクスと一体になったプロセス・マネジメントという本質は完全に無視されています。最新のビジネスモデルを体系的に教えないと組織を指揮する人材は何時までたっても育たないのでは!
 35年間に渡って国内外有力ファッション企業のビジネスモデルとマーケティング/マーチャンダイジングを体系的に研究して来ましたが、業界のあまりの無知と教育界の無関心に絶望しています。きちんと体系的に教える機会もないまま年老いて引退して行くのかと思うと、今まで築き上げたノウハウは何だったのかと悔やまれます。このまま墓の中に持って行くしかないのでしょうか。
 2008/10/17 13:58  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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