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ヒルズの呪い
 投資関係者向けの講演に六本木ヒルズに出掛けましたが、何度行ってもその迷宮ぶりには困惑させられます。リーマンの破綻もあって空床率が急上昇しているとかで、心無しか商業フロアの人出も疎らでした。度重なる入居企業の不祥事や破綻で「ヒルズの呪い」が囁かれていますが、私は2003年4月25日の開業を報じた「ファッション販売」7月号のカラーレポートに『森タワーはゴッサムシティを彷佛させる21世紀のバビロンの塔』と評してそのバブリーな悪徳の栄華と破綻を予見しています(当時の論文はこちら)。度重なる悲劇は呪いではなく、六本木ヒルズに与えられたバブリーな性格が必然にもたらしたものと言うべきでしょう。
 呪いとは関係ありませんが、六本木ヒルズも表参道ヒルズも商業施設としての営業成績は低迷しており、テナントの退店が目立ちます(SPACメンバーの退店数も六本木ヒルズは国内SC中最多)。六本木は迷宮的レイアウトとショールーム的店舗の多さが、表参道は立地の客層と乖離した構成とやはりショールーム的店舗の多さが災いしているのでしょう。どちらも一等立地にもかかわらず、バブリーな家賃がもたらす浮ついた構成が顧客を遠ざけており、このままではスラム化が避けられません。森ビルはいったい、どうするつもりなのでしょうか。
 『凍結する消費と事業再編』と題したその日の講演内容は、世界恐慌と収縮する消費、チープ&シックに流れる衣料消費、破滅に向う大手流通業、暗転したモールビジネス、など暗澹たるもので、不況どころか平和の終焉に至る最悪のシナリオにまで言及。国民服コンセプトと戦時統制経済型マーケティングを提唱して締めくくりました。やや飛躍した論展にもかかわらず投資プロの方々は意外に納得したようで、講演後の質問にも積極的でした。とは言え私は自分の論展にすっかり鬱ってしまい、暗い面持ちでバビロンの塔を後にしたのです。人類は再び「何時か来た道」を辿るのでしょうか。
 2008/09/29 10:39  この記事のURL  /  コメント(0)

越谷レイクタウンに行って来ました

 商業施設面積218、500平米の超怒級巨大SCとして注目される“イオンレイクタウン”の内見会に行って来ました。一般の商業施設のプレス内見会とは異なって自由がまったく無く、イオンの広報がセットしたコースを強制的に引率される形式で、9時半開始の説明会からKAZE〜MORIの店内見学に延々4時まで拘束されるという苦渋のフルコースにウンザリ。まだ陳列が終わっていない店が多く(シャッターが降りている店もすくなくなかった)写真取材も困難でしたから、ランチタイムに這這の体で脱出させて頂きました。イオン広報の設定したコースはエコをテーマにエコ施設やエコアートを説明するのが主でテナントの説明は少なく、『ファッション販売』の取材にはなりませんでした。
 幸いにも一番目玉の“アズール・バイ・マウジー”(バロック・ジャパン)は陳列もほぼ終わっていて、スタッフの方の説明もあってイメージを掴む事が出来ました。“アバクロ”風のクローズドなファサードの中身は“マウジー”をそのまま6掛け価格にしたような魅力的なレディス8割にほぼ同感覚のメンズ2割という構成で、バリュー感は期待以上。これは人気沸騰するでしょう。ユナイテッドアローズの“コーエン”はまだ陳列途中でしたが、“グリーンレーベル”をカジュアルに振ってほぼ6掛け価格にした感じでした。遊心クリエイションの低価格オンシーンSPA“イーブス”は“アズール・バイ・マウジー”の隣でしたが、まだシャッターが降りたままで見る事が出来ませんでした。
 この他にもワールドの複合新業態などがありましたが編集とVMDで新味を訴求するに留まり、インパクトは限定的。端から端までほぼ1000mの3層を一周して正味3時間もかかった巨大モールにしては他に新味なテナントが揃う訳でもなく、正直くたびれ損という印象。類似したテナントが何店も重複して買物の効率も悪そうで、生活消費の場としては無用の長物と言うしかありません。イオンの広報はエコだエコだと強調していましたが、8200台もの駐車場を埋める多量の車両を広域から集めようと言う巨大さこそアンチ・エコそのもので、多少のエコ施設やエコアートで贖罪しても環境への負荷ははるかに大きいはず。エコに暮らすには生活圏のコンパクトなSCを重宝すべきでしょう。世界大恐慌とガソリン高騰で巨大SCの時代は終わったのでは。

 2008/09/25 15:28  この記事のURL  /  コメント(0)

ギャップの4Jと減収増益に注目

 メディア操作で大量動員には成功したものの、ジャパン・クオリテイもジャパン・フィットもジャパン・ルックもジャパン・サービスも欠いたまま大空振りしそうな“H&M”ですが、95年に日本進出した“ギャップ&ギャップキッズ”は674億円、“バナナリパブリック”は97億円の売上を獲得(08年1月期)とギャップ・ジャパンは立派なものです。米国と同じデザインでも7割はジャパン・フィットにパターンを引き直し、“バナナリパブリック”では日本向け上質素材への置き換えも一部、行なわれているとか。著しく違うのが“ギャップ”のジャパン・ルックで、日本的にレイヤードを強調したディスプレイは大味な米国のそれとはまったくの別物。販売サービスも日本式にきめ細かくなりましたね。それらジャパン対応が功奏してか、米国の既存店前比が93/95/96(5月/6月/7月)なのに対してジャパンのそれは104/99/108(同)と健闘しています。
 もっと注目すべきは全社売上の減少が続く中、なんと営業増益を続けている事です!!08年1月期は0.5%の減収ながら在庫コントロールと経費圧縮で8%の増益、08年上半期も4.9%の減収ながら35.8%の増益を叩き出しています。日本の専門店各社の決算では売上減少が減益に直結していますが、もっと打つべき手があったのでは。在庫コントロールとロジスティクスVMDの強化、経費圧縮で増益を叩き出すマネジメント努力を徹底すべきでしょう。今の逆風下、ロジスティクスVMDによる消化回転改善こそが突破口と思って『在庫再編集陳列ロジスティクスVMDゼミ』(御案内はこちら)を提じたのですが反応は今一つ。ファッション業界ってホントに解ってないのですネ!!
 2008/09/22 10:37  この記事のURL  /  コメント(0)

安曇野に行って来ました

 先週末の連休は軽井沢のハーヴェストを拠点に安曇野に行って来ました。黒沢明が「夢」の撮影のためにわざわざ建てたという三連の水車小屋(遠近効果を狙って大中小と同じ水車が並ぶ)を水上のゴムボートから眺め、大王わさび園の広大なわさび田の景色を堪能しました。帰りに岩崎ちひろ美術館に立ち寄り、併設の公園でのんびりと信州の初秋を味わいました。往復600km近い旅程にちょっと疲れましたが、まあ気分のいい週末でした。残念だったのは旧軽井沢ハーヴェストのペットルームが取れず、狭苦しいゲージでスヌーピーを二晩過ごさせた事。ゴメンネ!来週末は箱根翡翠へ行きたいけど、ペットルームは難しいかも。その時はスヌーピーは御留守番ですね。
 同じハーヴェストでも軽井沢はスタンダード仕様で温泉も水道の湯沸かしですが、箱根翡翠はデラックス仕様で温泉も本物が2種類も揃う等、グレードの差がクッキリ!!お部屋の広さや設備、レストランの質も雲泥の差があります。翡翠の質を知ってしまうと旧軽井沢がチープに思えますが、軽井沢の一等地という地の利は捨て難く、両方を使い分けて楽しもうと思っています。ペットルームが10室もあるという那須にも近々出掛けましょう。
 リーマンが破産して世界中の株が大暴落し世界大恐慌の実感がリアルになる中、外資金融関係のエグゼクティブが多い大山町では生活が一変する方も出て、お引っ越しも目立って来ました。東欧ではロシア軍とNATO軍が睨み合ってキナ臭く、なんだか1930年代っぽくなって不況どころでは済まなくなる予感もしますが、もはやジタバタしても始まりませんから、ウィークデーは頑張っても週末は翳り行く美しき日本をのんびり味わう事に致しましょう。
 2008/09/19 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

米国ランジェリーウォーズとギリーヒックス
 繊研新聞によれば、あの“VICTORIA'S SECRET”も来年か再来年にはいよいよ日本に進出するとか。真似っこから出発した“ピーチ・ジョン”は可愛エロ系だけど御本家はエレガンスモダン本流で、もっとシンプルで機能的なアイテムが揃っています。日本ではフリフリだったりカラフルだったりの自己主張過剰なブランドか機能一辺倒のブランドばかりですから、シンプルモダンな正統派エロガンスの“VICTORIA'S SECRET”は成功疑いなし。“ユニクロ・ボディ”と大差ないお手頃価格もあって一気に人気沸騰するのでは!!
 日本でも“ピーチ・ジョン”“ラヴィジュール”“ラグナムーン”の109系ランジェリーウォーズが盛り上がっていますが、米国でも“VICTORIA'S SECRET”のヤング向けカジュアルライン“PINK”が大人気で、アメリカンイーグルの学生向けカジュアルランジェリーの“エアリ”が後を追い(どちらもカジュアルランジェリー+ドームウェアと言われるワンマイルウェアの構成)、アバクロが今2月に“ギリーヒックス”を開発して参入と過熱気味。“ギリーヒックス”は両者とはテイストもターゲットも異なる「Boy Girl」をコンセプトとする洗練されたランジェリー業態で、Tシャツやスウェット、コスメも展開しています。ヘルシ−スウェット感覚からイノセントエロガンス感覚まで巾がありますが何れも繊細かつシンプルで、自社の“ホリスター”“アバクロ”“ルール”を超えて日本では“マウジー”や“エゴイスト”“カリアング”の顧客までカバーしそう。ランジェリーフリークには必見のニューフェイスでしょう。まだ10店舗しかありませんから、見たい買いたい方はwww.gillyhicks.comでチェックしてからお出かけ下さい。 
 危惧されるのがアメリカ人の大味感覚で、ナイーブに洗練された“ギリーヒックス”を理解出来るのは百人に一人か二人ではないでしょうか。日本やフランスならその10倍は解る人がいるでしょうが、米国では成功は難しいと思います。ストアはとても素敵ですが何処へ行ってもお客は少なく、ガランとしていたのが残念です。グローバルモデルと割り切って、早く日本に持って来て欲しいものです(来秋の“アバクロ”日本上陸1号店の銀座店に併設して欲しい)。

 2008/09/16 09:47  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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