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急増する偶発債務リスク

 SPAC研究会準備の為に注目業態をリストアップして運営企業の業績をチェックしていたら、好調業態と言われていた300円均一雑貨店“CouCou”(株式会社イミクリエーションズ)が5月2日に東京地裁に民事再生法の適用を申請して倒産していた。業績は好調だったのに主力仕入れ先で親会社の株式会社マザーバード(大手寝具卸業)が4月28日に倒産した為、連鎖倒産してしまったのだ。同時に連鎖倒産した雑貨小売のアウトレットジャパンは直ちに店舗を閉鎖したのに対して“CouCou”は通常営業を継続していた為、まったく気が付かなかった。とは言え、“CouCou”の仕入れはマザーバードの口座を経由していたと言うから、今後の営業継続はどうなるのだろうか。
 不況が深刻化する中、デベロッパーが倒産して店舗の営業継続が困難になったり保証金が回収不能になったりする事態が頻発しているが、関連会社や主力取引先の破綻に伴う連鎖倒産まで心配しないといけない最悪の情況になって来た。好況時には詐欺的行為以外はあまり発生しなかった偶発債務リスクが急増しており、関連するデベロッパーや取引先の財務情況を総チェックせざるを得ない。「景気はどうでっか」「いゃー、ちょぼちょぼでんな」といった挨拶も「ほな、帳簿見せてーな」と突っ込む御時世なのでしょう。当社も取引先の総チェックをしないといけないのかも。
 2008/06/30 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

『自滅する企業』

 木曜の午後、春夏期最後のSPAC研究会を『ターミナルから郊外SCまで注目業態総研究』をテーマに東郷記念館で開催しました。雨模様の中、そして景気の悪い中、180名を超える出席で盛り上がり、アートヴィレッヂの鈴木社長とパルの杉本事業部長のパネルも好評でした。「偶然が開いた成功と必然がもたらした成長」って感じのお話の中にオリジナル開発や生活雑貨の調達手法など具体的な啓示もあり、皆様満足されたようです。メンバーには好評なSPAC研究会ですが、新たに入って欲しい会社に中々参画していただけないのは残念です。トホホ・・・・
 今、『自滅する企業』という翻訳ものの経営書を呼んでいますが、‘現実否認’‘傲慢・慢心’‘コア・コンピタンス依存’に陥って自ら没落していく企業の実例が次々と紹介され、「企業は偶然によって成功し、必然によって自滅する」というテーゼには説得力がありました。かつてない逆風に直面して自滅の坂を転がり落ちて行くファッションビジネスに係りながら説得し切れない自分の限界を嘆き、この本に一抹の救いを感じました。読ませたいトップが何人もいますが、‘現実否認’‘傲慢・慢心’の前にはこの本も無力なのでしょうか。諸行無常ですな・・・・
 2008/06/26 19:19  この記事のURL  /  コメント(0)

6月の惨劇

 先週の木金と月例の『販売データ交換会』を開催しましたが、木曜の婦人服部会は“緊急事態”という事で百貨店の欠席が多く、セレクトショップ中心の討議となってしまいました。かつてない売上減少に直面して対策会議や催事準備などにバイヤーが狩り出されたり売場に張り付かされたりで、店から出られなくなっているのです。昨年まではそれほど起こらなかった事態ですが、4月頃から“緊急事態”が頻発するようになりました。
 売上が急落しているのは婦人服だけでなく、3月までは堅調だった紳士服も4月以降は釣瓶落としに急落しています。有力セレクトショップとて情況は大差なく、ファッション業界はもはや阿鼻叫喚の世界。18日段階の既存店売上は婦人服、紳士服とも90の大台を割り込み、専門店やセレクトショップの一部は85前後まで落ち込んでいます。この情況が一段と底割れするのが“6月の惨劇”。なぜなら、昨年のセール開始が6月末だったのに対し今年は7月1日になるからです。セール初日の売上は少なくとも月計を8ポイント以上動かしますから、都内百貨店の婦人服、紳士服の6月売上は80台前半まで急落してしまう計算になるのです。
 不況下の諸物価高騰で生活防衛意識が高まる中、不要不急の衣料品は支出抑制の槍玉に上げられた感があり、モードだトレンドだラグジュアリーだといった浮ついた訴求は空回りするばかり。破綻寸前の国家財政に張り付いた濡れ落ち葉たる官僚機構と貧乏神福田政権の下、国家も社会も転落の坂を転げ落ちるのみで、ファッション業界/流通業界など惨を極めつつあります。戦線整理とリストラの縮小均衡の果ては破綻の連鎖が目に見えて来ました。“6月の惨劇”は阿鼻叫喚の大団円へのプレリュードに過ぎないのです。企業も労働者もBRICsへと明日を求めて旅立つ事になるのでしょうか。なんだか1930年代の『俺も行くから君も行け満州へ』的事態になって来ましたね。ならば、青年将校や血盟団の出番となるのかも。
 2008/06/23 10:17  この記事のURL  /  コメント(0)

H&Mに食われる者

 H&Mの上陸が9月に迫る中、グローバルSPAの脅威が叫ばれていますが、彼等のバリュー創造とコスト競争力は国内有力SPAと較べて本当に突出しているのでしょうか。
 バリュー創造はオリジナルなウェアリング提案によるものとトレンドの最大公約数的トレードオフによるものが在りますが、後者では‘速い安い’が伴わないと競争力を欠きます。H&Mは後者の代表ですが、確かに‘安い’が調達手法が突出している訳でもなく、国内有力SPAに較べて‘速い’訳でも上質でもありません。コラボなどによる話題作りは派手ですが「上手いトレードオフによる安いSPA」と言うしかなく、ハニーズのコンテンポラリー版と位置付けられます。既に日本市場に定着したZARAはH&Mより高価格ですが、独自の素材軸逆看板生産方式とシステマティックな物流体制で‘速い’上に上質でバリュー感は突出しています。
 前者を代表するのが来年に上陸するアバクロンビー&フィッチですが、手間暇掛けて商品化した独自のウェアリングをブルース・ウェーバーのフォトをフィーチャーした特異な店舗環境で訴求するブランディングはお手頃ラグジュアリーブランドの方程式と言えましょう。GAPも本来のスタンスはこの仲間ですが、マス化し過ぎてウェアリングのオリジナリティもバリュー感も薄まってしまいました(直近は復活著しい)。コンテンポラリーベーシックな上質パーツを提供するグローバルSPAと認知されるに至ったユニクロは、GAPとは異質ですが一種独自のウェアリングがあり、素材開発や生産工程まで踏み込んだNB的調達手法とそれがもたらすバリュー感で突出しています。
 ビジネスモデルの独自性とモードなバリュー感ではZARAが、ウェアリングとブランディングの独自性ではアバクロンビー&フィッチが、ライフスタイル感ではGAPが、バリュー感ではユニクロが突出していますが、H&Mはそのいずれも欠いています。その替わり、トレードオフの上手さと安さ、話題作りという3点で突出していますから、キャラのないトレードオフ型の国内SPAは食われる事必定でしょう。逆に言えば、H&Mに食われるような中途半端なSPAはH&Mが来なくても生き残れないという事です。ならば、それよりバリューを欠く不合理な古典的流通が生き残れる訳もありません。H&M上陸を契機に不合理な古典的流通の崩壊が加速するのは必定でしょう。
 2008/06/18 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)

殿、お覚悟を!

 米国から始まった陰りが日に日に拡がって景気後退が大半の産業に波及する中、税金と諸物価だけが高騰するというスタグフレーションが深刻化しています。消費者は生活防衛意識を高めて価格とバリューに神経を尖らせ、モードだトレンドだラグジュアリーだといった浮ついた訴求は空回りするばかり。これまでの好調組も次々と失速し、ライフスタイル軸とバリューカテゴリー軸だけが元気という情況です。各社の対応も弱気の戦線縮小派と変に強気の成功体験固執派ばかりで、自滅の坂を転がり落ちて行く企業も少なくありません。ブランド/店舗の整理撤収や大量リストラ、果ては倒産と暗い話題が増え、業界は凍り付いています。
 この情況はバブル崩壊局面に匹敵するという声も聞かれますが、あの時は日本だけが重篤に陥ったのであって欧米は軽症でした。今回は米国の住宅バブル崩壊が全世界に波及して病み上がりの日本は再び重体に陥るという、より深刻な救いのない情況です。国家財政も破綻して90年代のような公共投資による景気下支えも困難で、無為無策のまま日本は衰退していくしかありません。我らファッション業界も消費者のモード離れ/衣料支出抑制による売上低下、調達から店舗運営まで止まらぬコストアップと両面から追い詰められて収益構造が崩壊しつつあり、百貨店のようなコストの高い流通から順次、破綻が拡がって行くと危惧されます。不思議に上手く行っていたバブリーな元気ベンチャーもここへ来て冷水を浴び、一時、業界に雪崩込んだファンド資金も潮が引くように退避し始めています。
 ‘祭りの終わり’と言うより‘御落城’という末期的情況で、バブル崩壊局面を上回る悲劇の連鎖が始まろうとしています(売り掛け債権の回収に要注意!!)。失われた12年の後は衰亡の12年になってしまうのでしょうか。殿、お覚悟を!
 2008/06/16 10:20  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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