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マークアップし過ぎです!!
 先週(23〜27日)は月度のMD切り替えサイクルにあたり、朝に夕に(開店前と閉店後)VMDクリニックが続きました。連日の早出と残業?にバテ始めたところを週末のゴングに救われたというのが実感です。
 お手頃価格のカジュアルSPAからセレクトショップ、百貨店の自主売場、インポートブランドとクリニックする売場は様々で、商品を手に取って陳列してみると品質感の差が歴然と感じられます。お手頃カジュアルは後加工/付加加工が勝負で、素材は何処も似たり寄ったりの中国素材。縫製始末に破綻が無ければ良しとする世界でしょう。セレクトになるとさすがにインポート商品には素材/デザインともキャラがありますが、縫製始末はお手頃カジュアルより乱れ気味。そんな事を気にする人は買わないでくれという事なのでしょう。セレクトのオリジナルはコストを抑えたOEM調達が主流で、素材のキャラやクオリティは価格に見合うとはとても思えない。お手頃カジュアルSPAと大差ない商品に倍の価格を付けているものさえ見られます。
 百貨店のブリッジセレクト自主売場やインポートブランドではさすがに高キャラ/クオリティの素材も使われていますが、縫製にキャラがあるのは極々一部の手縫い品だけ。後は大量生産の中国製も日本製も大差ありません。さすがにイタリア物(伊アパレルの東欧工場製も含む)には縫製糸と縫いテンションの緩さが光るものがあります。ブリッジ価格のブランド商品でも国内素材/縫製品は手堅い仕上げでNB的なカッチリ感があり、イタリア製品的な緩い上質感を期待する向きには失望を否めません。中には中国素材/縫製の商品もあり、デザイン/縫製はともかく素材のチープさはいただけません。総じて素材が劣悪な割高品をブランドネームに騙されて買わされているというのが実情でしょう。
 実際、小売価格に対する工場原価率はこの15年で10ポイント近くも下がったのではないでしょうか。その要因は百貨店の歩率高騰とSPA型ビジネスモデルの氾濫にあると思います。低価格/高品質で知られるファーストリテイリングの調達原価率が36%程度と推察されますから、他のSPAはもっと低コスト率で調達していると見てよいでしょう。百貨店ブランドの調達原価率など、80年代の33%程度から24%程度まで圧縮されたと言われます。統計的に見ても百貨店から駅ビル/ファッションビルへの消費移動は明白で(両者のボリューム価格帯は10対7)、さすがの百貨店の高歩率も数年前にピークを打って低下に転じています。“ユニクロ”のファッション化や“ZARA”の急速多店化で、マークアップし過ぎのSPA業界もやがて転機を迎えるのでは。
 
 2006/10/30 10:31  この記事のURL  /  コメント(0)

20年も続く秘密サロン
 先週の木(19日)、金(20日)と月例の「販売情報交換会」を行いました。これは都内主要百貨店/セレクトショップのバイヤーが一堂に会して最新の販売情報を交換するもので、タイプ/ブランド/アイテム別の販売実績から売れ筋までリアルな情報が飛び交います。木曜日は婦人服、金曜日は紳士服の会で、もう20年以上も続いているクローズド・サロンです。
 今月はさすがにコート情報に集中し、テストセールスの反応分析から直近の販売動向、果てはピークへの仕込み状況まで白熱した報告が続きました。それによればレディスの本命はハーフからロングのダウンコートで、襟や袖、ウエストのデザイン性がポイントとの事。ウールは一歩遅れてファー付き上質素材のドレス系/ロイヤル系が主流になるようです。メンズは「モンクレ争奪戦」の過熱ぶりに象徴されるようにダウン本命は確実ですが、店頭のカラー展開にも拘らず売れ筋は黒に集中しているとか。詳しくはビジュアルも含めて26日のSPAC研究会で報告されますが、エッセンスはFCNの「百貨店バイヤーズサロン」でも見れます。
 各社の中枢が参加している会ですから、20年も続けば会の参加者も組織を上り詰めて行きます。M社の常務取締役本店長、O社の代表取締役社長、I社系列のIW百貨店社長も毎月、会で顔を会わせていた人達です。今の参加者の中からも明日のエグゼクティブが出ることになるのでしょうが、発表が面白い人が偉くなるという訳でもありません。男の出世は実力と人柄はもちろんですが、チャンスと嫉妬の罠をどうくぐり抜けていくかで命運が定まるのです。次期社長を噂されながら嫉妬の罠にはまったり、有能ゆえに問題を抱えた子会社を転々とさせられたり、男の人生は流転なのです。
 おっと失礼。女性エグゼクティブもこの会から出始めています。この春まで来ていたO社のCさんは30代で初の女性部長に抜擢され欧州に栄転されましたから、10年もすれば役員になれるかも。エグゼクティブはともかく女性バイヤーは婦人服会参加者の2〜3割を占めています。ホットパンツにキラキラネイルなんて109系バイヤーも参加しているのです。
 2006/10/23 11:27  この記事のURL  /  コメント(0)

“g.u.”(ジーユー)は日本に不要です
 今日(10月13日)はファーストリテイリングの最低価格新業態“g.u.”のデビュー日でしたので、スケジュールの合間をぬって南行徳のダイエーまで行って来ました。
 表参道から半蔵門線に乗って九段下で東西線に乗り換え、計40分ほどで南行徳駅に着きましたが、ディズニーランドの隣駅とは思えない殺伐とした駅前に出鼻を挫かれました。駅から安アパートが並ぶ緑のほとんどない住宅街を歩いて行くと、ダイエーの裏口に出ました。これがまたパッとしない寂れたアーバン立地で、駐車場にはチャリンコと安手の小型車が散見されるという夢のない風景。店内も相当に荒れ果てているのではと恐る恐る入ってみると、意外にキレイにリモデルしてあるのにビックリ。産業再生機構ってお金があるんだ。1Fには衣料テナントが並び、2Fにもダイエーの衣料売場が広がっているのに、またビックリ。食料品に特化したんじゃなかったっけ。NBのコンセも多いけど自営の平場もまだちゃんとあったのに、またビックリ。産業再生機構の発表とはずいぶん違うんだな。
 肝心の“g.u.”がなかなか見つからない。ようやく2F奥の階段室の裏に見つけましたが、お昼時間だというのに大変な人だかり。特大の開店チラシに誘われて来たバーゲンハンターの人たちと解りました。朝の取材陣が一部まだ残っており、レポーター風のお姉さんに“g.u.”の服を着せてビデオカメラを回している一方、人込みに紛れてスーツ姿のおじさんもあちこちに。業界の関心が伺えました。
 “g.u.”の店舗はカラーウォールやVPで化粧はしているものの、プレハブ同然の最低仕様。最近のモダンになった“SUZUTAN”や“しまむら”に較べれば特設バーゲン会場の域を出ていませんでした。“ユニクロ”よりはハンガー陳列がぐんと多いものの、定番ニットなどは“ユニクロ”みたいな台帳棚陳列、壁面にもアウターのフェイスアウト/スリーブアウトに混じって“ユニクロ”風なパンツの棚陳列が垣間見えました。
 「商品の価格と品質は」という当然の関心に答えるなら、価格は公表通り“ユニクロ”の2〜3割安。開店目玉には390円のTシャツ、490円のジャージパンツ、590円のチェックネルシャツ、果ては90円のソックスやショーツ、キャミまでありましたが、レギュラー商品は総じて「安かろう悪かろう」というのが実感。デニムやチノのパンツこそ“ユニクロ”と大差ないのに安いという評価でしたが、ニットやカット、アウターは値段相応の代物。縫製こそ目立った破綻は見られなかったものの、素材は今時こんなものがあったのかと思うほど粗雑なものが多く、70年代の“Kマート”を思わせる程。でもパターンや色は“ユニクロ”より若々しいとの評価もあり、「貧困な30代ニューファミリーのための最低価格カジュアル店」というのが偽らざる印象でした。
 南行徳のダイエーにはピッタリだと思うけど、もっとましな品質で大差ない価格のカジュアルチェーンもあるし、「意外にファッショナブル」とパブを仕掛けているものの感度では量販店のヤングカジュアル売場にとっても適わない。ベーシックからちょいトレンドまで様々な品質/仕様/面の商品がごちゃ混ぜされた店で、特設バーゲン会場としか言い様がない。
 「下流社会」とか言われて最下層の生活をしている人も沢山いらっしゃるのかも知れないが、こんなに「安かろう悪かろう」なカジュアル業態が果たして日本社会に必要なのだろうか。どんなに生活が苦しくても少しは夢のある商品が欲しいのでは。はっきり言います。今日の日本社会に“g.u.”は不要です。
 2006/10/13 18:18  この記事のURL  /  コメント(0)

SCだらけになってこの国はどうなるの
 10月8日の日曜日は家族もそれぞれの予定があったので、野田/春日部方面へ開発予定大型SCの立地検証に行って来ました。首都高はVIP通過とかで渋滞していたので空いた都心を下から抜けて駒形から首都高に入り、柏ICから16号という ルートでスイスイと目的地に着いてしまいました。
 春日部の大型SC(KTインセンスモール)は一部用地未買収の虫食いのまま重機が入って整地作業が進行しており、08年11月開業へ向けて見切り進行していました(デベもアンカーも未定)。そこからイオン野田舟形SC建設地まで16号線を車でわずか9分(7.4km)。こんな至近距離で大型SCが競い合う時代なんだと実感させられました。さらに16号線を柏方向へ戻ると12km弱で三井不動産のららぽーと柏の葉SCが11月に開業、その隣のおおたかの森駅前には東神開発のSCが来春開業します。そこから江戸川を渡ると約5km西に三井不動産のららぽーと新三郷が08年開業、そこから約4km北西には商業面積186,000平米という巨大なイオン越谷レイクタウンSCが08年春開業へむけて建築中。その8km西にはイオン浦和美園SCがこの春に開業したばかり。
 これだけ接近戦になってみんな採算取れるのか、さすがに心配。これらのSCはすでに当社で緻密に売上が予測されており、計画通りの売上が確保出来そうなSCもあればやめとけばいいのにと思うほど苦しいSCもあります。衣料品テナントの平均的な坪効率で言えば月坪19万円級から10万円かつかつ級まで。テナントさんも選択を誤れば大損害を被ってしまいます。
 07春から08春にかけて開設される20の大型SCについて立地検証と売上予測を報告するのが11月8日(水)開催の『緊急提言SC出店戦略ゼミ』。ここは○、ここは×とはっきり数字を挙げて言い切るゼミですからテナント企業にとっては必参加ですが、検証されるデベにとってはヒヤ汗もの。でもこれまで開設された大型SCの売上予測は±5%の精度で適中していますから、信頼度は抜群です。
 勝てるSCの条件は判るけど、日本国中SCだらけになって中心商店街が悉く空洞化すればこの国はどうなるのだろう。そう心配する人も多いようで、『まちづくり三法』改正とあいなったわけです(『改正都市計画法』の施行は07年11月頃)。それまでに駆け込み開業する大型SCが急増しそうですが、08年以降は一気に開発が急減し、一万平米以下の小型SCと都心型SCに開発の主力は移ると見られています。それに対応する業態開発も既に始まっていますから、11月のSPAC月例会では徹底的な検証を行い、有望業態のポジション/コンセプトと開発要件をはっきり提示致します。
 確かに、SC開発に夢中になるより北朝鮮や階級分化の心配をする方が真っ当な情勢で、新総理の提ずる『美しい国』ともSC開発ラッシュは相容れないようです。東関東自動車道を自宅へと走るフロントガラスごしに、成田へと降りていくジェットが見えました。今日、パリから帰って来るあの人が乗っているのかも。
 2006/10/10 10:13  この記事のURL  /  コメント(0)

使える陳列写真が見つからない
 昨日は10月12日(木)に開催する『VMD運用ショップ運営ゼミ』で使うスライドやデジフォトを選んでいました。9月以降、取材した何百という売場写真からルールに叶った美しい陳列を捜すのですが、撮影時点でしっかり選んだつもりでも拡大すると色配列やアイテム配列が狂っていて使えないものばかり。中には照明が不適で色がズレて見えるものも(私の写真が下手なのではありません)。
 日本のブランドショップやセレクトショップの陳列もレベルが上がって来たとは言え、人様に「これが理想的実例です」と紹介出来るような陳列はめったにお目にかかれない。ほとんどの店スタッフは色環表が頭に入っていないようで、明るい暗い/暖色と寒色ぐらいしか解っていない。ベージュと茶色の色相には皆、騙されている。ましてや美しいフォルムとか韻律とか求めても無理というもの。でもブランディングには美術的洗練が不可欠だと思うのですが。
 もちろん、それ以前に「ルックとMD構造の適確な表現」「在庫情況に即した売れる再編集」が出来ていないと困ります。ルックの組み方がシャープでないとインパクトがないし、「ルック回転」とか「モノルック色組み換え回転」とか「ルービックキューブ棚組み」とかいった陳列技法を知らないと効果的なルック表現は出来ません。当然ながら、提案サイクル-->実売サイクル-->売り切りサイクルという売場展開の流れに即して、ルック提案-->パワーアイテム訴求-->売り切り再編集と陳列運用の軸も替わって行きます。
 「適確なルック/MD表現」「売れる再編集運用」「陳列の美術的洗練」の3点がVMDの柱であり、その組織的運用が成果を決めるのです。「いい例がなかなか見つからない」と言いましたが、数少ない上手例を挙げれば、ルックやMD構造の表現では“ZARA”や“リズリサ”“バーバリーブルーレーベル”“バナナリパブリック”、美術的洗練では“ルドーム エディフィス エ イエナ”や“ノーリーズ”“クロエ”“エトロ”などに見るべきものがあります。
 VMDに関しては今シーズン、10月12日(木)の『VMD運用ショップ運営ゼミ』、11月17日(金)の『ブランディングへのVMD技術革新ゼミ』の2ゼミを開催しますが、前者は「売れるショップ運営体制」「売れる再編集運用」を軸とした内容、後者は「適確なルック/MD表現」「陳列の美術的洗練」を軸とした内容となります。ちなみに10月12日(木)の『VMD運用ショップ運営ゼミ』は大変好評で、5日朝段階で残6席となっています。御検討中の方はお急ぎお申し込み下さい。
 2006/10/05 10:41  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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