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下町で育ったイトーヨーカドーが下町の顧客を切り捨てた
 日曜日に千代田線に乗って遥々、亀有まで行って来ました。3月3日に開業した「アリオ亀有」とアンカーのイトーヨーカドーをチェックするためで、「こち亀ゲームパーク」や両さんの銅像が目当てではありません。開店の遥か前にテナント募集パンフレットで施設レイアウトをチェックした時、休日のカーアクセスは大渋滞が避けられないと解りましたから、地下鉄を利用したのです(代々木上原から我孫子行きで直通)。現地に行ってみると案の定、施設を一周する片道一車線の公道は入り待ちの車でギッシリで、環七にも延々と入り待ち車が連なっていました。これでは予測通り、週末商圏は限定されざるを得ません。

 駅から寂れた商店街を横目で見て狭い歩道を3分ほど歩き、環七を越える横断陸橋のエスカレーターに乗れば、そのまま「アリオ亀有」二階のモール入り口に繋がります。モールに吸い込まれて行く人々を見ると、下町ぽいおじさんやおばさん、ヤンキーな若者やニューファミリーがほとんどで、百貨店や山の手の郊外SCとは一目見て服装が違っていました。モールは大変な混雑で擦れ違うのも気を使うほどでしたが(イオン系モールに較べると通路が狭い)、「アリオ蘇我」同様、イトーヨーカド ーの中までモールが回り込む一体感のある構造で、とてもコンパクトな印象を受けました(店舗面積42,120平米と今どきのモールにしては小振りです)。年間売上目標は270億円と公表されていますが(計画発表時は300億円だったのに)総投資額も270億円ですから、土地から購入して開発したとは言え資本回転もイオン系と較べるとふた回り低いようです。ちなみに、当社のシステムで予測した初年度売上は上限289.4億円でした。

 モールには今風のテナントが並んでいましたが、なぜかワールド系は“ザ・ショップTKキクチタケオ”だけ、オンワード系も“anyFAM&anySIS”だけと力が入っておらず、“ユニクロ”や“無印良品”“アカチャンホンポ”といった量販的なお店が目立っていました。その中で、“コフィコレクト”“&byピンキー&ダイアン”といったキレイ目なお姉さんのお店は場違いのようでお客も入っていませんでした。いっち輝いていたのは一階の“ブックス・キディランド”で、書籍の編集と連動した玩具やファンシーのクロス・マーチャンダイジングと質感のある環境演出には世界のお店を見て来たプロもグイグイと惹き込まれてしまいました(なんとギディランドは元々、本屋さんだったんですって)。

 藤巻チームが世に真価を問うたPB群を捜してイトーヨーカドーの衣料品売場に目を移せば、柱巻き最上部にでっかくロゴが巻かれ各コーナにもロゴが打ち出されているものの、あっさり上品に徹した商品のインパクトはいまひとつ。レディスでは団塊Jr向けの“Pbi”とミセス向けの“L&BEAUTIFUL”のテイストやカラーの重複が目立つし、“Pbi”のトラ味の強い商品は下町の顧客層には嫌われそう。一方でモールやジャスコに氾濫するヤンキーなグラマラスカジュアルは皆無だから、気取った山の手風品揃えに限定されていると言われても仕方ないでしょう。メンズではビジネスカジュアルを十歳刻みに細分化した“ジェントリーノ”“イスキア”“サボォイア”“マッキオ”の違いが出せず(商品の質感は百貨店級と評価すべき)、総じて各PB間の重複が目立つ平板で片寄った品揃えに感じられました。

 百貨店感覚の洗練されたPBと売場環境は意図したとおりと評価されますが、百貨店人の理屈先行で現場の実感や顧客層からの乖離がさらに拡がった事は否めません。下町で育ったイトーヨーカドーが下町の顧客を切り捨てて行く姿は自らの強みの否定であり、決してよい結果は招かないでしょう。
 2006/03/16 19:03  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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