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紳士服・婦人服の明暗を分けた要因
 今春夏期(2〜7月)の東京地区衣料品売上前年比は通算して紳士服が婦人服を3ポイントほど上回ったようだが、その要因をどう見るべきだろうか。
 婦人服に較べると変化に乏しい紳士服だが、今期に限れば婦人服を上回る変化があった。昨年に続いてビジカジのスタイル提案が広がった分、ビジネスとカジュアルのTPOが明確になり、スーツは上質志向で単価が上がり、カジュアルは一気にお洒落になってプリント物や丈変化パンツが広がった。それに対して婦人服は昨年来のレトロスウィートやクラシックフェミニンのトレンドを引き摺って変化に乏しく、レイヤード化でTPOがますます曖昧になって紳士服ほど単価が回復せず、両者の格差をもたらしたと推察される。この対称的な動きは3〜4月の春期で著しく、5月以降は格差も縮まって行った。
 紳士服は変化が緩慢な分、カジュアルは3〜4年に一度、クロージングは10年に一度ほどの間隔で地滑り的な変化が生じるもので、今年はビジカジとカジュアルの変化にビジネスの買い替え需要が重なり、売上が伸びたと思われる。婦人服は毎シーズンのように変化があるものの今春はトレンド変化に乏しく、売れ筋追いのQRがそれに輪をかけて鮮度を損ない、売上が伸び悩んだと推察される。OEM/ODM活用による短サイクルなマーケットインが蔓延した婦人服に較べれば紳士服はまだ自社開発による長射程なプロダクトアウトが色濃く残っており、トレンド変化が明確に出る分、3.11を契機としたスロー消費への転換にも紳士服の方が適応したと見るべきであろう。
 20年振りのインフレ転換から3シーズンを経た今も婦人服の開発体制はマーケットイン体質を脱しておらず、不器用にプロダクトアウト体質を維持して来た紳士服が変化に適応したというアナロニー劇と総括されよう。
 2012/08/27 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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