« 前へ | Main | 次へ »
本物のVMDに目覚めて欲しい
 最近の店頭は何処もマーケットインのQRでMDが崩れ、それをお化粧して誤摩化すようなディスプレイをVMDと称するのが業界の主流となった感がある。MDが崩れている以上、カラーストーリーも素材のコントラストも決まらず、ほとんど混ぜご飯のような陳列になっているのは醜いと言うしかないが、顧客の側も退化して気にしなくなったのかも知れない。
 「ユニクロ」や「ギャップ」は計画MDを棚割り陳列する数少ない正統派のVMDを見せているが、この夏の「ユニクロ」は主軸となる大型企画を欠いて小作りな企画の羅列に終止し、VMDもインパクトを欠いていた(ゆえに苦戦している)。カラー展開やサイズ展開の見せ方は心得ていても(洗練されているとは言えないが)、デザイン展開や柄展開の見せ方は未だ確立していないようだ。はっきり言わせてもらうが、「ユニクロ」のVMDは棚もの単品の単純なリピテーション量販訴求型で美術的洗練には遠く、ハンガー陳列のノウハウがまったく欠けており(ゆえに「+J」を表現出来なかった)、ベーシックな棚ものを量販するお店以外は参考にならないと思う。
 本当のVMDは提案するスタイリングやMD展開を建築的美術的かつ購買階梯誘導的に陳列して販売に繋げるもので、スタイリングやMD展開が曖昧だとVMDも崩れ、インパクトも洗練も買い易さも欠いたものになってしまう。VMDを追求するには、まずスタイリングやMD展開を明確にし、それを最適に表現する棚割りとカラー配列や陳列フォルムをデザインし、インパクトあるIPやLPを添えたり、カラーグループ別にルックを出前して売場のストーリーを組み上げる。「ZARA」のカラーグループ別ルック陳列、「MAXMARA」のサイズ回転ルック陳列など、スタイリングとMDを適確に表現して販売に繋げる巧妙な陳列と評価したい。
 服飾雑貨、とりわけ靴やバッグでは衣料品のような大型のMD展開は限られるが、カラーや素材をまとめてストーリーを組み、生け花的韻律を表現するのが定石だ。私が今まで見た中で最も洗練されていたのはマンハッタンのバーグドルフ・グッドマンとロンドンのセルフリッジだった。それに較べると、日本の百貨店の靴売場やバッグ売場はバーゲン会場のように見える。低価格帯でも(ユニクロより安いかも)、シンガポールの「エンフォシス」の靴の陳列は単純だが極めて洗練されている。
 このような建築的VMDや美術的VMDは、日本では外資系ブランドを除いて、ほとんど見る事が出来ない。業界がグローバルに通用する本物のVMDに目覚め、混迷を脱する事を祈るばかりだ。それにはまず、場当たりの継ぎ接ぎMDを脱し、MDに建築的計画性を取り戻すのが先決なのではないか。
 2012/07/18 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ