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台車が怖いよ〜!
 もう二ヶ月近く前の話だが、夕刻に帰宅しようとして会社の駐車場を出ようとした時、何かが運転席のドア付近に衝突した。運転席からは何も見えなかったし、物音ひとつ聞こえなかったが、ドアを開けて様子を見ようとしても何かが当たっていてドアが開かない。いったい何が起きたのかとウインドウガラスを下げて首を出してみると、なっ何と荷物運搬用の台車が衝突しているではないか。
 這々の体でドアを開けて状況を確認すると、某S急便の運ちゃんが使っている台車が会社の前の坂道をすべり落ちて衝突したのだと解った。誰がこんな坂道に台車を置いたのかのと怒っていると、いつも会社に出入りしているS急便のお兄さんが現れ、彼も状況を理解して頭をかきかき会社の事故係に連絡をとった。
 結局、S急便の負担で車は元通りに治ったが、その後もS急便はブレーキの付かない同じ台車で周囲を走り回っている。それを事故係の責任者に指摘した所、『ブレーキを付けても効かない事があり、付けると運転手が注意しなくなるのでブレーキ付きの台車は採用していない』との事。『それではまた事故が起きてしまうのでは』と突っ込むと、『当営業所だけでも台車事故は何件も起きており、ショーウインドウの破損や人身事故もあった』と言っていた。
 考えてみれば、何処の商店街でも商業施設でも、S急便に限らず配送業者の台車がお客さんの間を走り回っている。S急便に限らず台車事故は結構、多発しているのだろうが、欧米の商業施設ではお客様が通るモールを運送業者の台車が走るのを見た事がない。台車とお客様の接触事故を避けるべく、以下のような規制を行っているからだ。
 1)運送業者の出入りは館の荷受け口までとし、館内店舗への搬入を認めていない。
 2)店舗側スタッフによる店舗への搬入も営業時間外に限っている。
 3)店舗へ搬入するための裏通路を設けており、台車がお客様の通るモールを走る事は無い。
 訴訟社会の欧米ではトラブルを避けるため顧客導線と物流導線をはっきり区分する事が定着しており、ショッピングセンターの設計でも顧客導線(車/自転車/歩行者)と物流導線(トラック/台車)がクロスしないよう最新の注意が払われている。
 残念ながら、日本の商業施設では物流導線の設計が軽視される事が多く、顧客の間を台車が走り回ったり、物流トラックが顧客用出入り口を通るケースが多々見られる。ましてや、モールの裏側に物流用通路を通すケースなど見た事もない(新設の百貨店では後方物流通路が設けられている事が多い)。私の数少ない経験でも、ゾーニングやテナントミックスを相談される段階では建築設計は終わって工事が始まっている状況で、物流導線を指摘しても時既に遅しという事が多かった。
 何かと『お客様第一』と打ち上げる日本の小売業だが、お客様の安全を軽視しては『お客様第一』もないのではないか。顧客通路を台車が走っては事故は必ず起きる。商業施設で顧客通路を運送業者の台車が走るのを見る度、『お客様第一』は建前でしかないのだと痛感させられる。
 2012/07/17 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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