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百貨店人は学習するのか?
 今朝の日経はセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が西武沼津店とそごう呉店を来年早々に閉店すると報じていたが、同じく来年一月に閉店する大丸のららぽーと横浜店(食品のみの一層)、新長田店(食品と衣料・雑貨の二層)を合わせれば全国の百貨店は245店に減少する事になる。ピークの99年の311店からは66店減少して八掛け弱の店舗数になるが、この間に百貨店売上はほぼ七掛け弱、ピークだった91年からは実質六掛けになってしまった。
 この間の閉店店舗は地方都市の空洞化に伴う地方小都市店舗、地方都市下位店舗、新幹線駅上店舗(京都、名古屋、博多)への売上集中に伴う周辺都市店舗、大都市駅上/駅前店舗への売上集中に伴う旧商店街店舗に加え、一時は希望の星だった郊外SC店舗や郊外駅上衛星店舗も少なからず含まれる。結局のところ、日本の百貨店は成長機会をすべて失って都心一等立地への集中化と減店化の道を辿り、成長著しいアジアに希望を託す事になった。
 振り返って見れば、バブル華やかなりし80年代末期には米国ノードストロムに注目し、バブル崩壊後は低価格SPAの一方でセレクトショップが芽生えて行ったのに、百貨店は消化仕入れの歩率交渉に終始するばかりで買取の自主MDには踏み込めず、それゆえ郊外SC店舗の収益性にも目処が立たず、あらゆる成長機会を見失ってしまった。
 90年前後には百貨店業界のノードストロム詣でがブームとなったが、お偉方が大枚賭けて視察した結果は大理石張りの豪華な店装とピアノ演奏だけで、『買取仕入れに基づくセレクトショップの複合体』というノードストロムの魅力の本質が学ばれる事はなかった。それゆえ、今世紀に入っての郊外大型SC開発ブームにおいても郊外SC店舗の収益性が見えず、米国のような郊外店のチェーン展開は幻に終わってしまった。
 結局の所、日本の百貨店人は真摯に学んで成長機会を開く事がなく、今もセール時期を後ろ倒すの否のという次元で右往左往している。一部の賢明な百貨店は駅ビル/ファッションビルとのハイブリッドを志向しているが、これは日本の百貨店より格段に収益性の高い中国や韓国の百貨店の定石であり、ある意味、素直な学習が評価されよう。明日開催するSPAC研究会では中国における百貨店の歩率とSCの歩合家賃、代理商への買取卸掛け率などが検証されるが、中国や韓国では百貨店がビル型SCを一体開発するケースが多く(専業デベの開発するSCには百貨店は入らない)、百貨店とSCの実質家賃負担は大差ない。元からハイブリッドな一体開発ゆえと思われる。
 日本の流通業はこれまで欧米から学んで来たが、これからは中国や韓国、シンガポールやマレーシア、タイなどの先進的小売業者から学ぶべきだ。日本の小売業がアジアに先行していると思い違いしていてはアジアでの競争に取り残されてしまう。とりわけ百貨店人は真摯に学習してほしいものだ。
 2012/06/27 10:14  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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