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どうせ買収するのなら
 衣料消費の本格的底打ちを見て、大手アパレルが積極策に転じようとしているが、その方向は二つあると思われる。ひとつはファストからスローへの質的消費への転換を受けての客単価アップによる既存ブランド/既存チャネルの売上拡大、ひとつは郊外SCや駅ビル、トラフィックチャネルなど新流通分野の業態開発や企業買収による売上拡大であろう。
 昨年以降、客単価はほほ一貫して5%前後の伸びを続けており、今春以降は客数も前年を超えるようになったから、適切なMD展開を行えば既存店は5%程度の伸びが期待出来る。ただし、売れ筋の焼き直しで深追いするくせを改めないと、これは絵に描いた餅になりかねない。最近の紳士服と婦人服の伸び率格差は、リスクを張った計画MDと安易な期中MDの差のようにも思える。
 駅ビルばかりが注目される嫌いはあるが、震災以降の既存施設売上伸び率はほぼ一貫して郊外SCの方が高く、コンビニの伸び率はさらに高い。外人観光客まで取り込む超広域祝祭型商業施設も有望だが開発の絶対数は知れており、多店舗展開による市場獲得の本命はやはり郊外SCだと思われる。カジュアルチェーンや大手セレクトショップが郊外SC向けの業態開発を加速しているのに対し、大手アパレルのそれは試行錯誤ばかりで遅々として進んでいない。
 大手アパレルは駅ビル/ファッションビル展開アパレルの買収が成長の突破口と考えているようだが、駅ビル/ファッションビルの競争は激しく変化の速度も桁違いで、専業アパレルさえ成長力を失ったり行き詰まるケースが少なくない。買収しても成長力を回復出来るケースは稀で、お荷物になってしまうリスクも指摘される。今後の成長機会や競争の難易度を考えるなら、むしろ買収すべきは郊外SC展開チェーンなのではないか。買収後の再構築と拡大の手順も駅ビル展開アパレルに較べれば格段に容易で、実際の成功率も極めて高い。ちょっと目線を替えてみてはどうか。
 2012/05/29 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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